会社法第702条
(社債管理者 から転送)
条文
編集(社債管理者の設置)
- 第702条
- 会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
解説
編集- 社債権者のために、弁済の受領・債権の保全、その他の社債の管理を行う社債管理者について規定する。
- 主な役割は以下のものである。
- 発行会社と社債権者間における社債の管理(債権の弁済の受領、債権の回収の容易化など)
- 社債権者に対して元利金の支払いの代行
- 元利金の支払いが円滑にいかなかった場合、投資家(社債権者)のために必要な裁判上または裁判外の行為
制度導入の経緯
編集- 2005年(平成17年)の会社法制定前、株式会社について定めた商法は、1993年(平成5年)の改正前までは、「社債募集ノ委託ヲ受ケタル会社」(一般にこれを「社債募集の受託会社」、あるいは単に「受託会社」と呼んでいた)について規定を設けていた。同法のもとにおける社債募集の受託会社は、これを置くかどうかは、社債発行会社の自由であったが、それが置かれた時は、社債発行会社と応募者との間にあって、社債発行に必要な事務を行う他、社債権者のために、社債の管理及び償還をする権限が与えられていた。
- しかしながら、受託会社の設置は任意であったため、実際には受託会社が置かれないケースが多く、制度が十分に活用されていなかった。さらに、受託会社が存在しても、社債権者保護の実質的な役割を果たしていない場合があり、制度の形骸化が指摘されていた。このため、受託会社による社債権者の利益の代表・保護が不十分であるとの批判があった。加えて、資金調達の国際化が進展するなか、欧米では社債管理のための専門機関(信託会社など)が制度化されており、日本でも国際基準に沿った管理体制の整備が求められたことにより、1993年改正において制度として導入された。
関連条文
編集- 会社法施行規則第165条(社債の種類)
関係条文
編集- 会社法第714条の2(社債管理補助者の設置)
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