経済学は、大きく二つの専門分野に分かれている。「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」である。ミクロ経済学がひとつひとつの経済主体を個々に分析対象とするのに対して、マクロ経済学は国民経済全体を大きくひとくくりにして分析対象とする点で違いがある。
ミクロ経済学では、個々の家計や企業など個別(ミクロ)の経済主体の行動分析から始めて、市場全体の需要と供給の分析に積み上げて経済を説明しようとする。この後にも詳しく説明するように、家計であれば予算制約のもとで「効用」(簡単に言えば満足感のこと)を最大化するように行動すると考える。企業であれば、生産制約のもとで「利潤」(要は儲けのこと)を最大にするように行動すると考える。
ミクロ経済学は、個々の経済主体の主体的な最適化行動を前提として、ある個別の市場でどんな経済活動が行われているかを分析したり、産業の間の関連を考えたりするものである。
マクロ経済学とはなにか
編集これに対してマクロ経済学では、個々の経済主体のミクロ的な行動よりも、物価、インフレーションや失業、国民総生産の決定、経済成長など国民経済全体(マクロ)の経済の動きに関心を寄せる。 日本経済全体では景気がどう変動するか、経済成長はどの程度実現するか、失業やデフレはどう克服できるか、世界金融危機はなぜ生じるのか、など、暮らしに密着した経済現象を取り上げる。
ミクロとマクロはお互いが補い合う関係にある。 マクロ的な分析を用いる場合であっても、ある程度ミクロ的な基礎(個々の経済主体の最適化行動を前提とした分析)が重要視される。