給料が増えて所得が増加し、消費全体に回せる資金量が増加したとする。 消費全体の資金量=所得が増加すれば、消費量も拡大する。 所得効果は消費を刺激する。 通常の消費財は所得効果がプラスで、こうした財を正常財あるいは上級財と呼ぶ。
リンゴの消費量がもとのまま、所得が拡大したとする。 これは、リンゴ以外の財・サービスの消費量が増加することを意味する。 つまり、ミカンの消費量が拡大する。 これはリンゴの限界効用にも影響を与える。 今までよりもミカンの消費量が多くなれば、リンゴがより新鮮に感じられ、ミカンの消費量が拡大する前よりは、同じリンゴの消費から得られる限界効用は増加する。 その結果、リンゴの限界メリット曲線は上方にシフトするのである。 つまり所得の増加で他の財の消費を増加させることができれば、当該財の消費も増やしたくなる。 毎日ご飯と味噌汁ばかりでは飽きるが、時々パン食もあれば、ご飯がよりおいしく感じるだろう。 このような所得の変化による限界メリット曲線のシフトが、所得効果である。
米は正常財、麦は劣等財
編集財・サービスによっては所得が増えると消費が減り、限界メリット曲線が下にシフトする可能性もある。 そのような財は、劣等財あるいは下級財という。
例えば主食としての米は正常財であるが、麦(やジャガイモ)などは劣等財である。 所得の低いときはジャガイモや麦飯を食べるが、所得が増えると麦飯ではなく白米を食べるようになる。 所得が増えると消費が減るため、主食としての麦は劣等財ということになるのである。