まず、企業の生産活動について考えよう。

企業の生産活動を理論的に式に置き換えようとするときに重要な概念となるのが、生産関数である。 生産関数とは、生産需要(労働力や資本など)と生産物との技術的な関係を表したものである。

例えばある企業について、一定の効率的な企業経営が行われていて、生産要素と生産水準との間に安定的な技術的関係(=生産工程)が導出されているとする。 このときの生産要素と生産量との関係を表しているのが生産関数のグラフである。 生産関数のグラフは労働(変数 x)というひとつの生産要素を投入してある生産物を作るときの生産量(変数 y)の変化を示している。

限界生産逓減の法則

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生産関数のグラフは、x の増加とともに y も増加するが、その増加の大きさである曲線の傾きが次第に小さくなっていくのがわかる。

ある生産要素の投入量 x が増大すると生産量 y も増加するが、ある一つの生産要素のみを投入し続けていくと限界生産(生産要素を増やしたときに追加的に増える生産量=生産量の微分)はだんだんと減っていく。 これを限界生産逓減の法則という。

労働投入 x = 1 のとき生産 y = 10 であったとして、労働を追加的に 1 単位増加させて x = 2 とすると生産 y = 15 となったとしよう。 この場合労働の限界生産は 15 - 10 = 5 となる。さらに x = 2 から労働のんみ追加的に 1 単位増加させたとき、生産 y = 18 に拡大したとする。 このときの労働の限界生産は 18 - 15 = 3 である。このように労働のみを増やしていくだけでは、生産の拡大は場は次第に小さくなっていくだろう。