次に費用について考えてみよう。

利潤(儲け)は、収入から費用を差し引いた金額で定義される。 だから、企業が利潤を最大化するためには、費用を最小化しなければならない。 企業は利潤を最大化する前提として、生産にかかる費用を最小にして、より効率的に生産をする必要がある。

どこまで生産量を拡大するかは利潤最大化行動の結果として決まるが、 どの水準の生産量であっても、それを生産するのにかかる費用をできるだけ小さくすることは常に企業の利益に合致する。

生産量が増加すると、総費用も増加する 編集

企業が各生産水準で費用を最小化する行動を取ることを前提とすると、生産量と最小化された費用との間には、ある一定の関係があることがわかる。 この関係を示しているのが、(総)費用曲線である。

生産量が増加すると、それを生産するために要する(最小化された)総費用も増加する。 だから、総費用曲線は右上がりになる。しかも、その傾きは次第に急になる。 つまり、生産量が小さいうちは追加的な生産に必要な費用はそれほど大きくないが、 生産量が拡大するにつれて追加的な生産に要する費用も大きくなるからである。

そして、総費用曲線の傾きが限界費用になる。限界生産が逓減すると、限界費用曲線は右上がりになる。 例えば労働者の働く時間が長時間になると、生産の増加スピードは下がります。 しかし、賃金は時間当たりで一定額を支払うことが普通だから、仕事時間が増える分だけ総支払額が増加して、 企業にとっては費用がより増大する結果となるからである。