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標本空間と事象 編集

ある実験を行ったときに、起こり得る全ての結果の集合を標本空間、または全事象という。 標本空間の要素(元)を標本点、標本空間の部分集合を事象という。

事象に含まれる標本点の数は有限個かも知れないし、無限個かもしれない。


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コイン投げ 編集

コイン投げを1回行った時に、起こり得る結果は{表}がでるか{裏}がでるかのいずれかである。この場合、標本点は{表}と{裏}であり、標本空間は{表、裏}となる。事象の定義は、標本空間の部分集合なので、∅、{表}、{裏}、{表、裏}の4つになる。特に空集合∅も事象(空事象という)である。

コイン投げを2回行うとどうなるだろうか?標本点は1回目に何が出たか?2回目に何が出たか?という情報を持たされる。1回目と2回目で表と裏どちらが出たかを表すために(1回目、2回目)の形で書くと、標本空間は{(表、表)、(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏)}となる。事象は、

∅ 、 {(表、表)}、 {(表、裏)}、 {(裏、表)}、 {(裏、裏)}、 {(表、表)、(表、裏)}、 {(表、表)、(裏、表)}、 {(表、表)、(裏、裏)}、 {(表、裏)、(裏、表)}、 {(表、裏)、(裏、裏)}、 {(裏、表)、(裏、裏)}、 {(表、表)、(表、裏)、(裏、表)}、 {(表、表)、(表、裏)、(裏、裏)}、 {(表、表)、(裏、表)、(裏、裏)}、 {(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏)}、 {(表、表)、(表、裏)、(裏、表)、(裏、裏)}

の、 合計16個ということになる。

一般にn個の要素がある集合の部分集合は2n個あるので、 標本点が4個であれば24=16個というように計算できる。

事象の種類 編集

コイン投げの例で並べた事象を眺めてみると、 標本点の数が0個(空事象)~4個(全事象)まで様々だが、 特に標本点が1個の事象を根元事象、 標本点が2個以上の事象を複合事象という。

毎回このように、 事象を書くたびに{…}のように標本点を並べたりするのは大変なので、 事象A={…}のように記号を用いて事象を表し、 Aという記号を用いて説明することも多い。 標本空間(全事象)は、 Ω と書く。

事象の扱い方 編集

事象の演算 編集

事象は標本空間の部分集合であると定義したので、 集合同士の演算というものが可能である。 ここでは、 事象Aと事象Bを考える。

  • 和集合 AB和事象という。
  • 積集合 AB積事象という。
  • 差集合 A - B差事象という。
  • 余集合 Ac余事象という。
補集合をとるための全集合は、 標本空間(全事象)とする。

このように「事象」という言葉を定義はしたものの、 それは、 「集合」と何ら変わりはない。

排反事象 編集

積事象 AB が空集合となるとき、 AB排反事象であるという。 重なりが無いとはどういうことかと考えると、 事象は標本点の集合なので、 共通の標本点を含まない事象同士の事であり、 このような事象同士の関係を背反であると言う。

集合について(復習) 編集

これは、 集合について知らない人、 或いは、 忘れかけてる人のために補足するための項目です。
まだ予定です。