7.4.3 連語句と修飾句の組み合わせ
(1) הָאִשָּׁה הַיָּפָה 《美しい妻》
(2) אֵשֶׁת־הַמֶּלֶךְ הַיָּפָה 《美しい|王の妻》
(3) הָאִשָּׁה יְפַת־הַמַּרְאֶה 《見目美しい妻》
(4) אֵשֶׁת־הַמֶּלֶךְ יְפַת־הַמַּרְאֶה 《見目美しい王の妻》
修飾句 (1) の A, B を (2)~(4) のように連語句に変えることによって拡張することは可能である。( יְפַת は יָפָה の連語形)。
一方連語句については、
(5) אֵשֶׁת הַמֶּלֶךְ 《王の妻》
(6) אֵשֶׁת הַמֶּלֶךְ הַטּוֹב 《良い王の妻》
(7) * אֵשֶׁת יְפַת הַמֶּלֶךְ
(5) の B を (6) のように修飾句に変えることによって拡張することはできるが、 (7) のように A を修飾句に変えることはできない「王の美しい妻」という意味を表すときには、 (2) のように連語句自身を被修飾部とする。 文(2)~(6) は、連語句の A と B が性を異にしているため、いずれも一義的である(文2, 4 は性・数の文法素性の無い日本語では曖昧だがヘブライ語では一義的)が、 A、B が性・数を同じくする場合、例えば
(2)' בֶּן הַמֶּלֶךְ הַטּוֹב 《良い|王の息子》
(6)' בֶּן הַמֶּלֶךְ הַטּוֹב 《良い王の|息子》
のように、表面的には全く同じ、曖昧な文が出来る。これを避けるためには、 (2)' の意味では前置詞(後述)を用いて
בֵּן טוֹב לַמֶּלֶךְ
とする。