聖書ヘブライ語入門/音節構造・アクセント・シェワー/音節構造
例えば、われわれがサクラという語を丁寧に発音するとき、sa|ku|ra のように切って発音し、これ以上短く区切ったり、これ以外の場所、例えば sak|ur|a のように区切ることはない。
このようにその語を母語とする話者が区切って発音することのできる最小の音の列を音節という。以下、音節の切れ目はハイフン(-)で転写する。音節は普通1個の母音を中心とし、その前後に子音を配して構成される。母音に終わる音節を開音節、子音に終わる音節を閉音節という。日本語では、多くは sa, ku, ra のように 1 個の子音に始まる開音節で、閉音節は、サン (san)、サッタ(saq-ta) にみられるように、撥音または促音に終わるものに限られる。また、キャク(kya-ku) のように、子音と母音の間に半母音が入ることはあるが、英語などと違って、音節が 2 個連続した子音で始まることはない。このように、どのような音がどのように並んで音節を構成するかという、音節構造の規則は、各言語ごとに決まっている。
聖書ヘブライ語の音節構造には、次のような規則が見出される。
- 規則1.音節は必ず 1 個の子音で始まり、同一音節内に子音連続はおこらない。ただし、語末に限り、音節が 2 子音の連続で終わることもある。(従来は、接続詞 וְ wə の異型の一つである וּ を ū と読んで、これをこの規則の唯一の例外としてきたが、これは当然 wū と解釈すべきであって、例外ではない。)
- 規則2.音節は 1 個の短母音または長母音を含み、相異なる母音の連続はおこらない。
- 規則3.ə(有音シェワー 3.3 節参照)は、閉音節には現れない。
- 規則4.ə に終わる音節が二つ以上連続することはない。
まとめると、子音を C, 母音を V として、
- ○ CV
- ○ CVC
- ○ CVCC(語末)
- ○ Cə
- × CəC
- × CəCə
- アクセントのない閉音節の母音は短い(後述)。