薬理学/免疫系
免疫抑制薬
編集概要
編集免疫抑制薬は、臓器移植時の拒絶反応の抑制や、自己免疫疾患の治療などに用いられる[1]。
副作用として、感染症からの防御に必要でもある免疫機能を抑制するため、感染症にかかりやすくなる(易感染性[2])[3]。
免疫抑制剤による免疫能力の低下のため、日和見感染や、悪性リンパ腫[4]の危険性が高まる[5][6]。
免疫抑制薬であるシクロスポリンとタクロリムスは、カルシニューリン(CaN)阻害薬である。カルシニューリン阻害薬は1980年代に登場した技術である[7]。
シクロスポリンは、土壌真菌に由来、タクロリムスは放線菌に由来する抗生物質[8]である。[9][10]
臨床応用は臓器移植の拒絶反応の抑制のほか、ベーチェット病、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、皮膚筋炎/多発性筋炎、全身性エリトマトーデス、クローン(Crohn)病、ネフローゼ症候群など、自己免疫疾患やサイトカイン異常疾患にも用いられる[11][12]。
シクロスポリンは実質臓器移植、骨髄移植などの拒絶反応の抑制に広く用いられる[13][14]。
機序
編集カルシニューリン(CaN)の標的分子である活性化T細胞の核内転写因子(NF-AT)は、脱リン酸化されると核内に移行して、インターロイキンなどのサイトカインの転写[15]などの過程を制御している[16][17]。
- ※ これらのシグナル伝達には、非常に多くの分子が関わっているので、個々の分子の暗記は不要。詳しい情報が必要なら「TCRシグナル伝達カスケード」などの用語で図があるので、それを調べよ。また『標準免疫学 第3版』P445 にもTCRシグナル伝達カスケードの図表あり。
カルシニューリン阻害剤は、細胞内タンパク質(それはイムノフェリン[18]と総称される)と結合することにより[19]、この過程を阻害している[20][21]。 < なお、シクロスポリンが結合するイムノフェリンは「シクロフェリン」という。タクロリムスのイムノフェリンは「FK結合蛋白質」という[22][23]。
タクロリムスはシクロスポリンに比べ免疫抑制作用は10~100倍強力で、肝臓、心臓、肺、腎臓、膵臓移植など実質臓器移植の拒絶反応に用いられている[24][25]。
抗悪性腫瘍薬
編集- ※ 『薬理学/抗悪性腫瘍薬』で記述中。
抗リウマチ薬
編集- ※ すでに『薬理学/抗リウマチ薬』で説明済みなので、それを参照せよ。
脚注
編集- ^ 『パートナー薬理学』、P398
- ^ 『標準薬理学』、P584
- ^ 『パートナー薬理学』、P398
- ^ 『標準免疫学』、P301
- ^ 『パートナー薬理学』、P398
- ^ 『標準免疫学』、P301
- ^ 『標準免疫学』、P301
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 谷口克 監修『標準免疫学 第3版』、P302
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準免疫学』、P376
- ^ 『標準免疫学』、P302
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445
- ^ 『標準薬理学』、P585
- ^ 『NEW薬理学』、P445