区間[a,b]上の連続関数f(x)の定積分についてはこれまでに述べた通りです。この節では、区間が有限でない場合について述べます。

無限区間の積分

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無限区間の積分とは、積分区間の片方の端(あるいは両端)がないものをいいます。このような積分は、たとえばa以上のすべての実数という区間について積分するならば のように、 を使って表します。このような積分は、単純に原始関数を見つけて を代入する、などといって計算することはできませんが、極限を用いて積分を書き直せばうまくいきそうです。

 

このように書きなおせば、原始関数を見つけて定積分を計算し、積分が収束するかを確かめればよいことがわかります。

 

そこで、一般の無限区間の広義積分については、以下のように定義します。

  • (a)  となる任意の数bについて が存在するとき
 
  • (b)  となる任意の数aについて が存在するとき
 

これらの極限が存在するとき積分は収束するといい、存在しないときは発散するといいます。

  • (c) 同様にして を以下のように定義することができます。
 

ただし、定義できるのはどちらの積分も収束するときです。

例を見てみましょう。 は収束するでしょうか。

 

 と置換を行うと、合成関数の微分法より原始関数を見つけることができ、

 

よってこの積分は1/2に収束します。

優関数の原理

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具体的に原始関数を見つけられない場合でも、広義積分が収束するかどうか判定できれば便利です。そのような判定のために、次の定理が役に立ちます。

定理 連続関数 に対して、 において をみたし、 が収束するような連続関数 が存在するならば、 は収束する。

この  の優関数といいます。

(証明)

 

とおく。仮定より、 なるt,sに対して

 

である。よって、 なる自然数nに対して とすると、非負の値をとる数列  を満たし、 なる自然数mに対して

 

が成り立つ。よって数列 はコーシー列なので、 は収束する。 とする。

 なる実数tと自然数nを考えると、

 

なので、 の極限をとると

 

である。さらに の極限をとると

 

なので、はさみうちの原理より

 

である。すなわち、

 

である。//