解析学基礎/指数関数と対数関数

指数関数 編集

定義 編集

指数が整数のとき 編集

  のとき、aをn回かけた数を であらわす。すなわち、  である。
また、  とする。

このとき、 は、 のとき単調増加、 のとき単調減少、 のとき定数である。

指数が有理数のとき 編集

   のとき、 として定義する。

 のとき、
 
であることから、 は、 のとき単調増加、 のとき単調減少、 のとき定数であることがわかる。

指数が実数のとき 編集

 を無理数とし、 に収束する有理数の単調増加列を とする。アルキメデスの原理より、 より大きい自然数Nが存在する。  とすると、そのようなNと十分大きいnに対し なので、有界で単調な数列 は収束する。 この収束値は、 によらないことを示す。

 を、無理数 に収束する有理数の単調増加列とし(したがって、 )、 とする。任意の に対して、 を満たす自然数Nが存在し、  に収束することから、nを十分大きくとれば、 を満たす。そのようなnに対し、 なので、 である。

この収束値の値を の値として定義する。  についても同様である。また、 のときは と定める。 定義から、指数関数  のとき単調増加、 のとき単調減少、 のとき定数である。

性質 編集

 のとき、次の性質が成立している。この性質のことを、指数法則と呼ぶ。

  •  
  •  
  •  
証明

また、指数関数は実数上で連続であり、次の等式が成り立つ。

  •  のとき 
  •  のとき 
証明

対数関数 編集

定義 編集

指数関数 の逆関数を と書き、これをaを底とする対数関数と呼ぶ。特に、ネイピア数eを底とする対数関数を自然対数と呼び、底を省略して と書く。

性質 編集

定義と指数関数の性質から、直ちに次の公式が得られる。 のとき、

  •  
  •  
  •  
  • 対数関数は連続である。
  •  のとき 
  •  のとき 
証明