級数(或いは無限級数)というのは、項の和で書かれているものです。科学や工学、数学のいろいろな問題に現れる級数の一つに等比級数(或いは幾何級数)と呼ばれる級数があります。
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は、この和が無限に続くことを示しています。
級数を調べるときによく使う方法としては、最初のn項の和を調べるという方法があります。
例えば、等比級数を考えるとき、最初の n項の和は
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となります。
一般に無限級数を調べるときには、このような部分和がとても役に立ちます。
級数を調べるときに重要なことは、次の 2つです。
- その級数は収束するのか?
- 収束するとしたら何に収束するのか?
例えば、等比級数であれば、上で定義したSn(r) は r>1の時に、n→∞とした場合、有限な値に収束しません。(+∞に発散します。)Sn(r) の各項 ri は i が大きくなるにつれ大きくなっていくことからわかります。
|r| < 1 の時の方が面白い結果が得られます。項の数は無限なのに有限な値に収束します。
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これは、等比数列の和の公式を考えると分かります。
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|r| < 1 の時は、 rn は n→∞ で 0に収束するのでこの式が得られます。
他の級数でも、等比級数の場合と似たような評価をしていきます。
しかし、等比級数と違って和が簡単に表されるものは少なく、殆どの場合に分かるのは、その級数が収束するかどうか?だけです。
等比級数と畳み込み級数の場合だけは、比較的簡単に収束先まで求まるのです。
級数が収束するとき、項 an は n →∞ で 0 に収束する事はあきらかですが、逆に項が 0 に収束するからといって、級数が収束するとは限りません。
次のような調和級数を考えてみましょう。 因みに調和級数というのは項が 1/n で表される級数の事です。
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m→∞ の時、 最後の式も無限大に発散するため、この調和級数は発散するとわかります。
また、大体どのくらいの速さで発散するのかもわかります。同じように部分和を次のように上から評価する事ができます。
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或いは
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下の式を見るとわかるとおり、部分和は大体 log m と同じくらいの速さで増加していることが分かります。とてもゆっくりな速さです。
上の方法に注目してください。調和級数の収束性を調べるために、発散すると分かっている数列と比べています。
これは収束性の判定によく用いられ、どんな数列であっても似たような判定法を取る事ができます。
級数の収束性を調べるにはいろいろな方法がありますが、どれもここで述べたような考え方が根底にあります。
定理: 各項の絶対値を取った級数 が収束するならば、 も収束する。
この定理の条件が満たされるとき、級数 は絶対収束するといいます。
収束はしますが、絶対収束しない級数の例としては、1-(1/2)+(1/3)-(1/4) ... があります。この各項の絶対値を取ったものは、上でみた調和級数なので発散しています。この級数は ln(2) に収束します。
このように絶対収束していないけれど、収束する場合、級数は条件収束するといいます。
級数が絶対収束しているとき、項の和を取る順番をどのように変えても同じ値に収束します。
級数が条件収束しているとき、項の順序を変えると任意の値に収束させたり発散させたりできます。
例えば、級数 1-(1/2)+(1/3)-(1/4) ... は条件収束しますが、正の項と負の項にわけ、正の項を足し、100 を超えたところで、負の項を足し、100より小さくなったところで、また100を超えるまで正の項を足し…ということを繰り返していけば、100に収束する級数ができあがります。
有限個の項の和を取る場合は自由に順序を変更できるのですが、無限和を取る場合はこのような「項の順序」に気をつけなければならない場合があります。そういった意味で絶対収束する級数は扱いやすく、これから述べる収束性の判定法の条件が全て正の項であると仮定していたりするのも、絶対収束を考えてのことです。全てが正の項である級数であれば、絶対収束するか、+∞に発散するかのどちらかです。
正項級数 に対し
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という極限があるとします。この時
- r<1 ならば級数は収束します。
- r>1 ならば級数は発散します。
- r=1 ならば、この判定法では収束するかどうか判断できません。
ということが言えます。
例えば
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ならば
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なので、この級数は収束します。
f(x) は正の値を取る単調減少関数であるとします。
級数
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を考えると、この級数は、次の広義積分
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が収束するとき、かつ、その時に限り収束します。
例えば、定数pに対して、関数
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を考えれば
- p=1 の時は、調和級数なので発散します。
- p<1 の時は、調和級数の時よりも、各項が大きいので発散します。
- p>1 の時は、収束します。これは次の計算からわかります。
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したがって、p>1 の時、この広義積分は収束するとわかり、級数が収束するとわかります。
この判定法の正当性は次のようにするとわかります。
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広義積分をこのように和に分割した後に、f(x)が単調減少であることを考えれば、各項は次のように評価できるとわかります。
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この不等式の和を取れば、広義積分の収束性と、級数の収束性が同値であるとわかります。
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が有限の値に収束するならば、Σan も収束します。
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であるならば an も発散します。
例
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の時、大きな n に対して、この一般項は 0 に収束しますが、調和級数の一般項 cn = n−1 と比べて
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となるので、級数 Σ anは発散します。
数列 an の項の正負の符号が1項ごとに入れ替わるとき、つまり
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を満たすとき、この数列の和を交代級数といいます。交代級数は、
- かつ .
を満たすとき収束します。
またこのとき、級数の収束先と部分和との誤差の大きさは、部分和に含まれなかった最初の項よりも小さくなります。すなわち、
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幾何級数とは、
- または
のようにかける級数のことです。日本語では等比級数ということが多いです。このページの最初に見たように、幾何級数は のとき収束し、その収束先は
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です。
次の形の級数
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を畳み込み級数という。
この形の級数は有限和を展開すると
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となり、和が打ち消すことで
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となる。したがって、
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となるので、極限の存在によって収束を判定することができる。
その他の判定法も存在するが、多くの級数についてはこれらの判定法で十分であろう。