冠詞

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贛語は定冠詞・不定冠詞にあたる文法要素はもっていない。物を指示するときは、通常「指示冠詞+量詞」の構造をとる。指示冠詞:「箇」「恁」。例:箇裏冇有箇隻人。

名詞

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贛語中の名詞は性や数の変化をもたない。通常一つの名詞は一漢字で表され、二つやそれ以上の漢字を組み合わせても作られる。二字からなる名詞がもっともよく見られるものである。贛語中では、小さ目のものを表すには、つねに名詞の後に「子」を加える。例:指拇頭子(親指)。

代名詞

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爾/倷 あなた
卬/偶

代名詞の複数形については、上の代名詞などに「倲」「人」等を加える。

形容詞

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贛語中の形容詞の前には、必ず「仄声字」を付加し、語義の表現の強さを強める。例: 寡淡嘅/鱉腥嘅。そして形容詞は通常名詞の前に置く。ただし名詞の後における場合もある。例: 雞公/豬婆癜。属格の前置詞「嘅」を形容詞と名詞の間に置くことで、より高級なニュアンスを表現できる。例: 「好人」→「咁好嘅人」。

副詞

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贛語の副詞は通常動詞の前に置く。ただ動詞の後における場合もある。例: 喫一碗湊。「動詞+得+補語+目的語」または「動詞+不+補語+目的語」等の文法形式に対し、習慣的には「動詞+得+目的語+補語」または「動詞+目的語+不+補語」の形をもちいている。例: 喫得飯進(おかずにして食べる)。/喫飯不進(おかずにして食べない)。

動詞

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贛語には豊富な動詞がある。それらは奥深くかつ鮮明に意味を表す。例: 毃(指を曲げて打撃する)。厾(棒状の物でつつく)。贛語はならびに動詞自身を変えて時制の異同を表す必要がなく、いくつかのつなぎ字を加えればよい。例: 佢去過哪隻國家? 動作の結果を表すためには、贛語では同時に二つの動詞を使用できる。例: 聽得轉/等下著。

数量詞

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贛語には比較的多くの量詞がある。その中で、「隻」がもっとも常用なものである。小さい事物を形容するときは、量詞のあとに「子」を加えられる。例: 隻把子人。

語気助詞

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贛語には多くの語気助詞があり、もちいることで、語句の表現の度合いを強められる。また簡易に異なる語気の直接的表現ができる。例: 喫飯哈!(相談)、 喫飯噻!(要求)、 喫飯啵?(質問)、 喫飯啊?(疑問)、 喫飯囉!(喜び)、 喫飯咯!(懇願)、 喫飯喔!(煩悶)、 喫飯嘍!(催促)、 喫飯呃!(承諾)、 喫飯不嘞/哩?(詰問)。

疑問詞

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什哩 何、どんな
哪/何個
哪/何邊 どこ
なぜ
誏樣 どのように
幾時 いつ
幾多 どのくらい

関係詞

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状態あるいは性質を表現するとき、「係」を使える。「係」は名詞の間で使用する。例: 佢係爺,倷係崽。 それから強調をあらわす上でも、「係」を使用でき、このときは通常、語気助詞を後ろにともなう。例: 佢係冇診了(彼は助からなかった)。 ただ「係」は以上のときに使うものであって、常に使用されるわけではない。例: 箇隻樓好高。 

贛語と北方中国語の対照

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贛語と北方中国語の対照例
贛語 北方中国語   贛語 北方中国語   贛語 北方中国語   贛語 北方中国語
箇首 這裡 許首 那裡 吃/喝 度/畀/等
上晝 上午 話事 說話 㦿 窗子 邊首 旁邊
掉換 場化/所在 地方 第日 第二天 搏命 拼命
鼻公 鼻子 生鑪 生鏽 水稻
蝕本 虧本 選擇 錯過 𩑃/戲
特試 故意 指紋 撇脫 簡便 鬝頭 禿子
挭仗 吵架 杌子 凳子 仰上 立刻 垢圿 體垢
變質 拔取 嗾禍 挑撥 癆藥 毒藥
喫價 厲害 誺尿 尿床 茅廁 廁所
栽禾 種田 搛菜 夾菜 拗烈 不聽話
看護 舊年 去年 沸滾 僄輕 很輕
擿癢 撓癢兒 挭仗 吵架 鬥霸 作對 攠攠摸摸 慢慢騰騰
涿雨 淋雨 喫價 厲害 誺尿 尿床 發坼 開裂
屙屎 大便 謱謰 囉嗦 瞌睏 睡意 荷包 口袋
細丫 小孩 囡孲子 嬰兒 背脊 背部 掽門 關門
引誘 談詑 聊天 芫荽 香菜
唆奅 吹牛 後生 年輕人 弆/囥 藏匿 水氹 池塘
蕩口 漱口 瀴涼 涼快 造惡 作孽
頂撞 踹、踢 日頭 太陽 起風 颳風
腥水 洩密 精靈 聰明 結棍 厲害 展開
鏾雞 閹雞 晾乾
𡱰 底部 現世 丟人 作興 欣賞 巴鍋 糟糕