電磁気学がからんでくる現象は数多いが、
これらの現象のうちの多くは
次の2つの方程式によって記述される。
ガウス単位系では、
-
-
ここで、
-
-
でありまた、
-
である。
更に、
-
(Aは、
-
のある関数。)
となる。
note:
実際には現在ではほとんどの分野で、古くなっているGauss単位系ではなく、
SI単位系が用いられている。(特に工学の分野ではそうであるようである。)
ただし、特殊相対論と組み合わせた
電磁気現象を見るぶんには、Gauss単位系でもそれほど不自由がないので、
こちらを用いている。
ここではこれらの式がどの様に書かれるかを見ていく。
comment:
過去の遺物である Gauss単位系を今さら用いるのは、教育的
見地からしても問題である。
Gauss単位系が相対論に適合しているというのは誤解である。
(たとえば電荷保存則を見れば明らかである。)
空間中に電荷を置くと、
その回りには、
等方的に
-
の電界が生じる。
ただし、これはSI単位系で書かれた式であり、
ガウス単位系では、
-
と書かれる。
放射状に電界が広がるという描像は変化していない
ことに注意。
これを一般化すると、
ある表面積分を行なったとき、
-
-
が成り立つ。
ここで、
-
である。(電荷密度の定義)
ここで、
-
は電荷密度である。
ガウスの定理を用いて
この式の
左辺を空間積分で書き変えると、
-
-
-
よって、
-
が成り立つ。
同じ計算をすると、ガウス単位系では
-
となることが分る。
ここで、
-
の第0成分を書き変えると、
(
-
-
に注意。
)
-
-
となり、確かに現象と一致する。
上で、ある電荷があるとその回りに放射状の電界が生じることを
述べたが、磁場についてはその様な対応物、つまり磁荷が存在しないことが
実験的に知られている。
(一般的な磁石はS極とN極が対になっているので磁荷と呼ぶことはできない。)
このことを用いて電荷の場合と同じ計算をすると
-
-
-
(これは磁荷密度が常に0であることによる。)
上と同様にガウスの定理を用いて書き換えると、
-
が成り立つことが分る。
ここで、
-
で、
-
と選ぶと、
-
-
-
となり確かに式が現象を説明することがわかる。
(この結果は、ガウス単位系でもSI単位系でも同一である。)
磁場の時間変化が電場を引き起こすという法則が
レンツの法則として、知られている。
-
(SI単位系での式)
これは円形のコイル(半径a)を使ったときの表式であるが、
そうでないときに一般化すると、
-
-
-
ストークスの定理を用いて書き変えると、
-
よって、
-
が従う。
Gauss単位系では
-
となる。
ここで、
-
で例えば、
-
と置くと、
-
-
-
となり、上で現象から得られた式のz成分と一致する。
x成分、y成分はそれぞれ
-
,
-
と置くと求めることが出来る。
よってこの場合も式が現象を説明することが
わかる。
直線的に流れる電流の回りには、
-
の磁束密度が生じることが知られている。
(SI単位系での式。)
(aは電線からの距離。)
これを一般化すると、
-
となる。
ストークスの定理を用いて線積分を
面積分に変換すると、
-
-
よって両辺を比べることで、
-
が得られる。実際にはこの式が
上で得られた式と一致するには
もう1つ現象を付け加える必要がある。
例えば、平板
コンデンサに対して電荷が蓄積していくとき、
コンデンサの間の空間には電場の時間変化が現われる。
このとき、%電荷の時間変化には
コンデンサの間の空間には(電流からの寄与が無くても)
磁場が生じることが知られている。
この項は、通常の電流と比べて変位電流と呼ばれる。
数式では、(SI単位系では)
-
としたものに等しい。
これら2つの寄与を足し合わせると、式
-
が得られる。
ガウス単位系では、
-
ここで、
-
で例えば、
-
を代入すると、
-
-
-
-
となり確かに一致する。
y,z方向については
-
,
-
とおけばよい。
真空中では、
-
が成り立つので、
-
-
が得られる。
ここで、
-
がゲージの自由度を持つことを考慮して
この方程式を簡単にすることが出来る。
ここでは、
-
(ローレンツゲージ)
をとる。
すると、上の式は簡単になって、
-
となる。
ここで、
-
である。
この式は速度cで伝搬する波の波動方程式であり、
真空中を電場や磁場が光の速さで伝搬することが分る。
実際にはこのことから光がこのような波(電磁波と呼ぶ)の
一種であることが知られた。
電磁波は振動数によって様々な名前で呼ばれる。