高校受験参考書/社会 地理/南アジア

地形と気候 編集

インドは、インド半島に位置している。

ヒマラヤ山脈は、標高8000mほどもある世界で有数の高さの山脈である。世界で一番高いと言われるエベレスト山(チョモランマ)も、ヒマラヤ山脈の一部である。


南アジアの気候は、モンスーンの影響によって、雨季と乾季がある。 夏(4月〜10月)は海洋から吹く南西からの風の影響により、雨季である。 冬(11月〜3月)は大陸から吹く乾燥した風の影響により、乾季である。

しかし、いくつかの地域では、地形の事情により、年中、雨の少ない、乾燥帯である。

デカン高原では、綿花の栽培が、さかんである。デカン高原は、降水量が適度だったりして、玄武岩が風化した間帯土壌の土になっており(なお、この土を「レグール」という。高校「地理」の範囲)、黒色で保水力が大きく、これらの特ちょうが綿花(めんか)の栽培に適している。


インド半島の東側にある大きな川がガンジス川、西側にある大きな川がインダス川である。

ガンジス川下流に広大なデルタ(三角州)が広がり、農業などに利用されている。なお、バングラデシュは、ガンジス川の下流にある。

建国・独立 編集

 
ガンディー

第二次大戦前はイギリスの植民地であったが、1947年にヒンドゥー教の多いインドと、イスラム教の多いパキスタンが、イギリスから別々に独立した。1948年にスリランカが独立した(当時の国名はセイロン)。

また、バングラディシュは、パキスタンから分離独立した。

インドでは、第二次大戦前後の独立運動の際の精神的な指導者としてガンディーが尊敬されている。

宗教 編集

宗教 編集

インドはヒンドゥー教が盛ん。インドは、特定の宗教を国教にしていない。

パキスタンはイスラム教が盛ん。スリランカは仏教が盛ん。

ヒンドゥー教について 編集

ヒンドゥー教は、ビシュヌ神やシヴァ神などを信仰する多神教である。(※ 神様の名前は、地理の範囲外なので、おぼえなくて良い。ただし、「倫理」科目や「世界史」科目では、シヴァ神は有名な神なので、私大や国立文系2次では問われる可能性もある。)

ヒンドゥー教では、(うし)を神聖な動物と見なす。牛そのものが神様のひとつだったり、牛が神様の乗り物だったりする。

なので、ヒンドゥー教では牛肉を食べない。しかし、牛乳を飲むのは構わない、とされる。

ガンジス川を神聖な川としており、ガンジス川での沐浴(もくよく)で、現世での宗教的な汚れを落とせる、とヒンドゥー教では考えている。

輪廻転生(りんね てんせい)を信じている。

カースト制と呼ばれる身分についての慣習があり、これが身分差別につながることから、現在では憲法によってカースト制は禁止されている。だが、あいかわらず、身分についての差別が強い、と日本では一般的に言われている。


イスラム教と混同しないように。

イスラム教について 編集

イスラム教は一神教である。イスラムの神は、アラーの神だけである。イスラム教では、ブタを汚れた動物と見なす。なのでイスラム教では、ブタを食べない。

イスラム教の経典は、コーラン(クルアーン)である。

インドの人口 編集

2011年の時点で、インドの人口は12億人ほどである。インドの人口は世界2位である。なお、世界一位の人口の国は、中国(ちゅうごく)である。

なお、第二次大戦直後の独立のころのインドの人口は約3億人である。


このように近年のインドの人口が多いため、「インドは生産者・消費者の人口も多いから、きっと経済発展するだろう」的なことを、各国から考えられ、各国からインドに投資されている。


カシミール問題 編集

カシミール問題とは、インド、パキスタン、中国が、カシミール地方の領有をめぐって対立している領土問題のことである。

インド 編集

インドの首都はデリーである。

インドの農業 編集

インドでは、アッサム地方が世界的なの産地。なぜならアッサム地方には傾斜地が多く、また、茶は水はけのよい場所で栽培しやすいので。

そのほか、ダージリン地方が紅茶の産地。ダージリンは、アッサム地方の西にある。


麻袋などの原料になる植物のジュートの栽培が、ガンジス川下流のデルタ地帯で行われている。 稲作が、ガンジス川の中流〜下流の各地で行われている。


小麦の栽培が、インド北西部のパンシャブ地方や、ガンジス川上流を中心に行われている。これら(パンジャブ地方、ガンジス川上流)は、降水量が少ない、インド北部の内陸部である。


インドの工業 編集

インドではIT産業が発達している。インド南部にあるバンガロールにIT産業の工業団地があり、IT産業が発達している。このためバンガロールが「インドのシリコンバレー」と呼ばれている。

インドでは英語が補助公用語になっている。

このため、アメリカと貿易えおしゃすく、アメリカ企業からインドのIT産業に投資されている。インドとアメリカの時差が約12時間である。このため、アメリのIT企業がインドのIT企業に注文をだすと、アメリカでの夜中のあいだにインドは昼間なので仕事が進むので、アメリカの翌朝までにインドからアメリカにインターネットで成果が届き、アメリカからすれば翌朝には仕事が片付いているので、便利である。

東部のダモタル川の下流域が、第二次大戦後に工業地域として開発され、周辺の炭田(石炭)や鉱山(鉄鉱石、ボーキサイトなど)も開発され、この地域では重化学工業などが発達している。

また、インドでは近年、自動車の生産が、デリーやムンバイなどで、増えている。

インドの首都であるデリーはインド北部にある。デリーでは自動車工業と綿工業が盛ん。

インド西部の沿岸部にあるムンバイでは、自動車工業と綿工業が盛ん。


その他、零細(れいさい)な繊維(せんい)工業が、それらの原料である綿花やジュートの産地の近くの地域で盛んであり、家内工業で紡績などをしている。

インドの経済 編集

第二次大戦後、インドは工業の国産化を重視したため、重化学工業を公営企業化した。第二次大戦後、軽工業など重化学工業以外の工業は民営化したが、外国からの参入などを規制して、国内産業を保護した。

しかし、経済競走がとぼしく、そのためインドの経済力が落ちた。 よって、経済改革をするため、1980年代から部分的に経済統制をゆるめていき、そして1991年には経済開放によって経済をほぼ全面的に自由化した。この1991年の改革によって、外国との取り引きや、外国企業の参入なども、規制緩和された。


農村と都市との貧富の大きな格差がある。

その他、インドについて 編集

 
サリーを身にまとう女性を描いた1847年頃のイラスト

インドではヒンドゥー教を信仰している。ヒンドゥー教では(うし)は神聖な動物として扱われるため、インドでは牛が神聖な動物として扱われる。

インドの公用語はヒンディー語。だがじっさいには、準公用語の英語がインドでは普及している。その他タミル語をはじめ各州の公認語が定められている。

インドは核保有国である。(※ 高校「地理」の教科書・参考書にはインドの核保有について書いてないが、たぶん「政治経済」「世界史」あたりの教科書・参考書に書いてあるはず。)かつてアメリカ合衆国など核不拡散を主張する国々により、経済制裁をインドはされたが、現在はその制裁が解かれている。

インドの女性の民族衣装としてサリーがある。

インドは、BRICs(ブリックス)のひとつ。BRIcsとは、ひとむかし前に経済発展の予想された4つの大国(領土が広く、人口が多いという意味での大国)であるブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(china)のことで、頭文字をあわせている。

なお、BRICsについて近年では、BRICsに南アフリカ共和国(South Africa)をくわえて、BRICS(※ 全部、大文字)と呼ぼうという議論もある。

インドのおもな宗教はヒンドゥー教だが、じつはイスラム教徒も少しはいる。またシーク教徒やキリスト教徒も、インドにいる。

インドからの移民が、欧米などにいる。インドでは英語が準公用語なので、欧米で働くのに有利であり、IT業界のインド人技術者などでは、アメリカ合衆国などに移住していく人も多い。 ちなみに、インドからの世界各地への移民のことを「印僑」(いんきょう)と、日本語では言う。

パキスタン 編集

パキスタンの位置は、インドから見て、西側にある。つまり、アラブ地方側に近い位置にある。 つまり、インドから見て、インダス川の方向に、パキスタンはある。

首都はイスラマバードである。

パキスタンの公用語はウルドゥー語と英語である。

宗教はイスラム教が盛ん。 領土問題で、インドとのあいだにカシミール地方の領有をめぐる領土問題がある(カシミール問題)。

インダス文明の発祥の地は、パキスタンのあたりである。モヘンジョ=ダロなどのインダス文明の遺跡もパキスタンに多い。

(※ インダス文明の遺跡の中心地は、インドではなく、パキスタンである。)

インドとは、友好的ではなく、しばしば国境ぞいで武力衝突などが起こる。

パキスタンの農業は、綿花小麦が盛んである。(インド西部のインダス川方面の農業に近い。インド西部の農業と関連づけて覚えよう。)

パキスタンは核保有国である。

バングラデシュ 編集

バングラデシュの位置は、インドから見て、東側にある。つまり、東南アジアに近い側にある。宗教はイスラム教である。

バングラデシュの位置は、ガンジス側の下流のデルタ地域の近くにある。

このため、農業が、インドのガンジス川の中下流あたりの農業に近い。バングラデシュの農業は、(こめ)とジュートが盛ん。(インド東部の農業と関連づけて覚えよう。)

雨季に、洪水の被害を受けやすい。また、サイクロンの被害を受けやすい。

バングラデシュの公用語はベンガル語。そもそも国名の「バングラデシュ」は「ベンガル人の国」という意味。

バングラデシュは、1971年にパキスタンから分離独立した。

首都はダッカ

スリランカ 編集

スリランカは、インド洋にあり、島国である。茶の栽培が盛ん。

夏に季節風のため、雨が多く、高温である。また、傾斜地が多い。茶の栽培をしやすい場所とは、降水量が多く、高温で、水はけの良い場所である。スリランカは、このような特徴を満たしてる。

つまり、スリランカは、気候が夏には降水量が多く、高温であり、また地形は傾斜地が多い。

宗教は仏教が盛んである。シンハラ人が多数である。

首都は、スリジャヤワルダナプラコッテ

公用語はシンハラ語、タミル語、英語である。

スリランカの北部に、独立を求める少数民族のタミル人がいて、タミル人はヒンドゥー教を信じている。

その他の国 編集

  • ネパール

ネパールはヒマラヤ山中にある国であり、内陸国(ないりくこく)である。 首都はカトマンズである。寺院が多い。

なお、エベレスト山がある国は、このネパールである。

宗教は、ネパール全体としてはヒンドゥー教徒が多い。チベット仏教を信仰している人もいる。

産業は農業が中心である。首都のカトマンズにはヒンドゥー寺院、仏教寺院も多いため、観光都市にも、なっている。

  • ブータン

ブータンはヒマラヤ山中にある国であり、内陸国である。宗教はチベット仏教である。首都はティンプー。公用語はゾンカ語。

  • モルディブ

モルディブはインド洋にあり、モルディブ諸島を一つの国とする島国(しまぐに)である。首都はマレで、宗教はイスラム教を信仰している。公用語はディベヒ語。