名詞の分類 編集

基本 編集

まず、中学でも習うように、たとえば人名 Tom とか、国名 America とか USA みたいなのを、固有名詞という。

これは良いとして、問題はそれ以外の名詞をどう分類するかで、学者によって、やや流儀が分かれている。

通常、固有名詞以外の名詞をまとめて言いたい場合、「普通名詞」と言う(ロイヤル英文法)。

だが、文法参考書によっては、「集合名詞」や「物質名詞」「抽象名詞」とは別に「普通名詞」という分類を設けている書籍もある(たとえば「ジーニアス総合英語」、桐原フォレスト)。

このように、書籍によって分類が微妙に異なり、一致しない。

裏を返せば、大学入試にこういう問題が出ることは無いので、安心していい(もし出題されたら、その大学の見識が疑われるし、予備校などから大学が猛批判されるだけである)。


このように分類の異なる普通名詞よりも、もっと重要な分類法として、「可算名詞」と「不可算名詞」の分類がある。

「可算名詞」とは、数えられる名詞のことで、たとえば dog → dogs のように単数形と複数形との区別のある名詞のことである。

一方、tea(茶) や milk (牛乳)などは、単数形と複数形の区別がなく、こういうのを「不可算名詞」という。


ただし、実際にはレストランなどでは、注文の単位として tea や milk を単数形扱いして、一杯の茶なら a tea でいい(ロイヤル英文法、ジーニアス総合英語), 2杯の茶なら two teas のように言う場合もある(ジーニアス総合英語)。

ほか、paper は、「紙」という意味では不可算名詞だが、「新聞」の意味ではpaper は加算名詞である(ロイヤル英文法)。


集合名詞 編集

「集合名詞」とは、「家族」 family のように、人など構成要素のまとまりそのものを名詞としたもののことである。

1つの家族を言いたい場合は、たとえその家族が4人家族だろうが単数形で family である。

だが、「5世帯」とか言いたい場合は five families のように複数形になる。また、「私たちは5人家族です。」は

We are a family of five.

のように言う。


familyタイプの集合名詞を列記すると、

audience(聴衆), class(クラス) , club(クラブ) , committee(委員会) , crew(乗組員) , crowd(群集) , family(家族) , government(政府) , jury(陪審員団) , staff(職員) , team(チーム) ,

などがある。


ほか、policeタイプの集合名詞がある。policeは、つねに単数形の表記だが、意味的にはつねに複数的な意味である。

つまり、付随する be 動詞は現在形なら police are のようになるし、動詞は現在形なら、例えば police have のようになる(hasにしてはいけない)。

同様の police タイプの集合名詞を列挙すると、

cattle(畜牛), clergy(聖職者), people(人々), personnel(職員、社員), police(警察)

である。


furniture などのグループ

名詞の分類として、数えるときに a piece of ~ とか two pieces of ~ とかで数えなければいけない名詞があり、furniture (家具)などのグループがそれであり、不可算名詞である。名詞によっては、 piece 以外の名詞で数える場合もある。その情報が必要な場合、詳しくは辞書などを参考にせよ(市販の文法参考書では、深入りしていない)。

furniture タイプの集合名詞は、

baggage(手荷物),luggage,

clothing(衣類)、furniture(家具)、machinery(機械類) 、poetry(詩)、

がある。

数える場合は、

a piece of furniture や two piece of furniture のように数える。

または two beds のように具体的に家具名で数える。


その他

そのほか、注意すべき集合名詞として、fishがある。

同じ種類の魚なら、何匹でも fish である。だが、複数の種類の魚の事を言う場合、fishes と複数形になる。

hair は、頭髪全体を言う場合、aをつけずに hair といい、集合名詞になる。

なお a hair は「一本の髪の毛」の意味の普通名詞になる。


「果物」fruitは、日本語ではフルーツというが、しかし英語では普通は単数形で fruit で言う場合がほとんどである。

種類に注目する場合だけ、fruits と複数形で言う場合がある。


ほか、なお、よく中学英語などで 加算名詞としての a chicken は鳥としての一匹のニワトリだが、 「鶏肉」になると chicken になる。桐原ファクトいわく、こういうのは別に鶏肉にかぎった話ではなく、たとえばタマネギ an onion も、調理して刻んだりスープにしたりすれば不加算名詞 onion になるとのこと、である。


名詞の複数形 編集

名詞の複数形の不規則変化 編集

母音が変化するもの

man →men

woman → women (なおwomenの発音はウイミン)

foot (足)→ feet

goose (ガチョウ)→geese

mouse (ネズミ)→ mice

tooth (歯)→ teeth

語尾に-enがつくもの 編集

child (こども)→ children

ox (雄牛)→ oxen

外来語に由来する名詞 編集

ラテン語やギリシャ語に由来する名詞の複数形は次のようである。

a → ae

us →i

um, on → a

ex,ix → ices


例:

analysis (分析)→ analyses

crisis (危機)→ crises

datum (データ)→ data

medium(メディア) → media

phenomenon → phenomena (現象)

focus → foci

formula → formulae

appendix → appendices

data は本来は複数形だが、現代では、dataを単数形のように使う用例も多い。

mediaは本来は複数形である。

単複同形 編集

deer シカ、sheep ヒツジ、carp コイ(魚のコイ)、など、いくつかの動物は、単数形と複数形が同じである。

ただし、複数形であることを特に強調したい場合には deers や sheeps のように言われたり書かれたりすることもある。

また、下記のように単数形のお末尾がsやそれに近いスペル単語のいくつかで、単複同形の例がある。

具体的には、Japanese や Chinese のように -ese で終わる国民も、同形である。

-ese ではないが、スイス人 Swiss も単数形と複数形が同形(単複同形)である。

そのほか、means(手段)、シリーズ series 、種 species 、のように単数形がもとからsで終わる幾つかの単語が、単複同形。

ほか、yen (円、日本円)も単複同形。

略語や数字の複数形 編集

略語

略語の複数形には、s または 's をつける。

CD → CDs または CD's

アポストロフィーを省略し、sだけつけるのが現代では普通。

DVD → DVDs または DVD's

数字

2010s または 2010's

で、「2010年代」の意味。

複合名詞の複数形 編集

複合名詞の一部には、複数形では末尾ではなく第一の要素にsがつくものもある。これはその第一の要素がその単語の主要素だからである。

passer-by (通行人)→ passers-by


いっぽう、複合名詞であっても、末尾の要素が主要素なら、複数形ではその末尾にsがつく。

college student (大学生)→ college students

対がセットのもの 編集

たとえば眼鏡(めがね)は、左右のレンズで合計2つで1セットだが、英語でメガネは glasses というふうに、常に複数形で言う。

同様に、靴下 socksや、靴 boots あるいは shoes 、手袋 gloves も、基本的には複数形で使う。

ただし、靴や靴下など2つに分けられるもののうち、左右のどちらか片方だけを言いたい場合は、sock や shoe などのように単数形で言う場合もある(ロイヤル英文法)。

ほか、ハサミ scissors なども、同様につねに複数形で使う。


これらの単語を数えたい場合、

a pair of socks や two pairs of socks のように、セット単位で数える。


そのほか、ズボンを意味する pants (米国英語でスボンの意味)、trousers (イギリス英語でズボン)も、同様に必ず複数形で用いる。

ジーンズ jeans も、必ず複数形。


比較的新しい単語では、 「コンタクトレンズ」 contact lens も必ず複数形だと、よく参考書で紹介される。


常に複数形のもの

ほか、対のあるものではないが、日本語では行儀作法はマナーだが、英語では manners と常に複数形である。なお、単数形 manner は、「方法」という意味である(桐原フォレスト)。このように、単数形と複数形とで意味が異なる。

ほか、示した意味では単数形が存在せず一般に複数形扱いのものとしては、

clothes (衣服)、

riches (財産)、means(財産)、

などがある。

そのほか、「トランプ」cards,

病名の「はしか」 measles ,

など、表記だけは複数形だが、付随する動詞は一般に単数扱い(ロイヤル英文法、桐原フォレスト)。

単数形と複数形で意味が違う名詞 編集

多くの参考書で紹介される典型的なものを示す。

air 空気、airs 気取った態度

arm 腕、arms 武器

custom 習慣、customs 税関

day 日、days 時代

force 力、forces 軍隊

glass ガラス、glasses 眼鏡

good 善、goods 商品

letter 文字・手紙、letters 文学

pain 苦痛、pains 骨折り


紹介しなかったが上記の他にも、色々な名詞がある。


なお、上述の武器 arms などいくつかの単語は、意味的には単数であっても、文章の形式では一般に複数形として扱い、動詞なども複数形に対応したものになる。

一方、税関 customs は、動詞が単数形に対応するものと複数形に対応するものとの両方がある(ロイヤル英文法)。

このように、対応する動詞のあつかいについては、あまり規則的ではないので、高校生はそこまで深入りする必要は無い。

せいぜい、単数形 custom と複数形 customs とで意味が違うという事が分かる程度でよい。


余談だが、「武器」 arms の語源は、本来は「腕」arm とは別だということが英語学・言語学などでは知られている(桐原ファクト)。

学問名 編集

経済学 economics や 数学 mathematics や物理学 physics などは、語形は複数形のように見えるが、単数形扱いである。

たとえば

Physics is difficult. 「物理学は難しい。」

のようになる。

statics は、「統計学」の意味では単数扱いをして、動詞なども単数形に対応したものになる。だが、「複数の統計」という意味で statics を使う用法の場合、複数形扱いをする(ロイヤル英文法)。

複数形を使う慣用表現 編集

名詞の複数形を使う慣用表現や熟語は多数あるが、よく参考書で紹介されるものをあげると、

「電車を乗り換える」 change trains

「~と友達になる」make friends with ~

「~と握手する」 shake hands with ~

である。

所有格のsのつけかた 編集

所有格のsは、複数の意味ではないが、参考書では説明の都合上からか、複数形の単元にて所有格の解説もする。


さて、「AのB」という意味を書きたい場合、 アポストロフィ( ' )の意味が問題であり、

As' B

か、それとも

A's B

と書くかは、名詞Aの種類によって分かれる。つ


まず、

girls' school 「女子学校」のように、複数形がもともと末尾にsが付く場合(この場合はもともとgirls)、sのあとにアプストロフィが来る。


一方、複数形の語尾が -en の場合、

children's toy 「子供のおもちゃ」のように、 「 A's 」の並びになる。

なので、「女子大学」 women's college である。


なお「所有格」とは言うものの、所有以外の意味も表す。たとえば、対象者や目的語を所有格で表す場合もあり、たとえば上述の girls' school がそうである。 別に女子生徒が学校を所有しているわけではない。

そのほか、作家や作者なども所有格であり、たとえば Soseki's novel 「漱石の小説」である(ジーニアス)。

ほか、men's wear (紳士用衣服)など。


目的語のほかにも、意味上の主語を所有格で表す場合がある。

Tom's absence of school なら、「トムが学校を欠席したこと」である。


だから例えば mother's education と言った場合、母親による子への教育なのか、それとも母親への教育なのかは、文脈などから判断することになる(ロイヤル英文法)。


時間・金額・距離・重さなど、定量的な表現が可能なものを、形容詞的に名詞の前から修飾する場合、所有格を使う場合も多い。

「10分の休息」 ten minutes' break

「今日の新聞」 today's newspaper

「明日の天気」 tomorrow's weather

「3マイルの距離」 three miles' distance

「4キログラムの重さ」 four kilograms' weight


ほか、国や地域などの名詞を形容詞的に使う場合、所有格になる。

「日本の気候」 Japan's climate

「日本の歴史」 Japan's history

「世界の人口」 the world's population


なお、climateとweatherの違いとして、climate は年間を通じての気候、weather は一日単位の天気のこと。


固有名詞の末尾がsのとき、-sesや-susや-sasなら、下記のように最後にアポストロフィをつけるだけである。

Jesus' teaching 「イエスの教え」※ 青チャ、 Jesus' life 「イエスの人生」 ※インスパ


いっぽう、そうでない場合は、たとえ末尾がsでも、 's を追加する。

Dickens's novel 「ディケンズの小説」 ※ 青チャ

Henry James's novel 「ヘンリー・ジェームズの小説」 ※ ブレイク

Keats's poem 「キーツの詩」 ※ インスパ

固有名詞 編集

固有名詞は文中でも大文字で書き始める。

なお、Mt.Fuji などのような場合は、Mt. と Fuji のそれぞれを大文字にする。

固有名詞には、不定冠詞 a をつけない。なお、a をつけると、たとえば a Lincoln で「リンカーンのような人」という比喩的な意味になるか、あるいは「リンカーン家の出身の人」という出身の意味になる。

定冠詞 the もつけない場合も多いが、例外的につける固有名詞も少なくない。

the をつける固有名詞は、

たとえば the Alps(アルプス山脈)のように複数形の山脈の固有名詞、

船舶 the Titanic (タイタニック号)、

新聞・雑誌 the Washington Post (『ワシントンポスト』)、the Economist (『エコノミスト』)、the New York Times(『ニューy-クタイムズ』) ※ なお、新聞名や雑誌名の表記は通常、イタリック体(斜体)である。

of をともなう固有名詞 the sea of Japan(日本海)、the University of Washington(ワシントン大学)、the University of Chicago (シカゴ大学)

米国ホワイトハウス the White House,

太平洋 the Pacific Ocean

などがある。


なお、大学だからといってtheをつけるとは限らず、たとえばオックスフォード大学 Oxford University には the をつけない。

国名としての「日本」 Japan にも、the をつけないのが普通。

物質名詞 編集

gold (金)や iron(鉄) などの物質名は通常、物質名詞である。

「物質名詞」というものの、必ずしも物質だけでなく、ほかにも、物体として存在しているものの特定の形状をもたない液体や煙(smoke)なども物質名詞である。

なお、そもそも物体として存在しない「平和」などの抽象概念は、物質名詞ではなく「抽象名詞」である。


さて、ともかく物質名詞の例としては、まず

water や milk や coffee や wine などの液体や飲料の物質、

sugar などの粉体、

などがある。

なお、sugar を数える場合、たとえば a spoonful of sugar (スプーン一杯の砂糖)のように数える。


液体はべつに飲料出なくてもかまわない。 たとえば「ガソリン」gasoline も物質名詞である。

a gallon of gasoline とか a liter of gasoline のように数える。


なお、飲料としての water や milk などを数える場合は、

容器に注目し、a glass of water や a cup of water や a bottle of milk のように容器単位で数える。


ここでいう a glass とは、ガラス製コップという意味である。


材質としてのガラス glass は物質名詞であり、数えられない。


日本人の感覚とは違うが英語では、下記のものも物質名詞である。


英語では、「紙」paper や「パン」 bread は物質名詞である。


紙は a peace of paper または a sheet of paper (1枚の紙)のように数える。

パンは、 a slice of bread (一切れのパン)または a loaf of bread (一斤(いっきん)のパン)のように数える。


バター butter もチーズ cheese も物質名詞である。

a pound of butter (1ポンドのバター)のように数える。


money (お金)も物質名詞である。

多額の金をあらわすときに much を使うのと関連づけて覚えれば、money が数えられないことを覚えやすいだろう。


英語では、紙幣 bill や硬貨 coin は数えられるが、お金そのものは数えられないとして考えている。


雨 rain も、分類上は、物質名詞としている参考書が多い。

なお、rains と言う場合、豪雨や長雨など、やや別の意味になる(ロイヤル英文法)。


そのほか、wood(木質)は材質としての木材・木造を表す場合は物質名詞である。だが、ほかにも「一本の木」のことを wood という用法があり、この用法の場合は普通名詞である。(このため、参考書によっては wood が物質名詞の項目では紹介されていない場合もある。)


同様に、「石」stone も、材質としての「石」「石造り」ならstoneは物質名詞である。しかし、手でもてる程度の一個の石を言う場合は普通名詞であり、複数個あれば stones のようにも言える。


ここで紹介する名詞以外にも、多くの物質名詞がある。多すぎて参考書でも紹介しきれておらず、参考書ごとに紹介する名詞が違う有様なので、けっして片っ端尾から丸暗記の必要は無い。

代表的な物質名詞と、その数え方や使い方をわかれば十分である。

抽象名詞 編集

抽象名詞とは、たとえば happiness (幸福)やbeauty (美)などである。なお、fun(楽しみ)も抽象名詞。

information(情報)やadvice(忠告、助言)やnews(ニュース)なども抽象名詞である。

speech(言論)やwar(戦争)など行動が具体的に存在するものであっても、speechなどこれらの名詞は抽象名詞である。なお、「平和」 peace も抽象名詞である。

そのほか、kindness (親切)や homework (宿題)など、よく参考書では抽象名詞として紹介される。


抽象名詞の程度をあらわす場合、多い場合・大きい場合は much または a lot of を使う。抽象名詞の程度が少ない・小さい場合は、 a little of を使う。

many , few, a few は使えない。

news や advice は、抽象名詞ではあるが、数を数える方法があり、

a piece of news (1つのニュース)や a piece of advice (1つのアドバイス)のようにして数えられる。


ほか、「 of + 抽象名詞 」で、形容詞的な意味になる。

This map is use to me. 「この地図は私にとって役にたつ」


This map is of no use to me. 「この地図は私にとって役に立たない」

否定の場合は、「 of no 抽象名詞 」になる。


This book is of great use to me. 「この地図は私にとって大変に役に立つ」 ※インスパイア、ジーニアスに似た例文

of great use で「大変役に立つ」の意味(インスパイア、ジーニアス)。


This information is of importance to me. 「この情報は私にとって重要だ」

This information is of value to me. 「この情報は私にとって価値がある」


This information is of no importance to me. 「この情報は私にとって重要でない」

This information is of no value to me. 「この情報は私にとって価値がない」



関連して、前置詞 of にはofには「性質」の意味もあり、

a man of ability 「有能な人」(エバグリ、インスパイア)

a man of courage 「勇敢な人」(ファクト、インスパイア)

のような用法もある。

He is a man if ability. 「彼は有能な人だ」(エバグリ)


with care で 副詞 carefully 「注意深く」と同じ意味。

一般に 「with +抽象名詞」で副詞的は働きをする(ジーニ、インスパ)。

with ease なら easily と同じで「簡単に」の意味。


Tom did it with ease. 「トムはそれをやすやすとやった」(青チャに似た例文)

You can read this book with ease. 「この本は簡単に読める」(インスパに同じ例文)

Tom did it with care. 「トムはそれを注意深く行った」(青チャに似た例文)


「Tom did it with ease. 」を

Tom did it easily.

と言っても意味は同じ。同様に

Tom did it with care.

= Tom did it carefully.

である。

その他 編集

英語の名詞を使う場合、単数形を使うか複数形を使うかは、ネイティブではない私たち日本人には難しい問題である。だが桐原ファクトいわく、迷ったら複数形を使えば実用上は済む場合が多い、とのことである。


a novelist and poet 「小説家であり詩人でもある1人の人」

a novelist and a poet 「1人の小説家と1人の詩人」(合計2人)


a knife and fork 「ナイフとフォーク」

ナイフとフォークは、英米での食事では、通常は1セットで使う。

同様に

a cup and saucer 「皿つきカップ」

などの表現もある。

名詞と性別 編集

名詞の性別については中学校で習ったとおり。

高校でとくに新しく覚えることはない。そのため、参考書では名詞の性別について、紹介してない参考書も多い。

青チャートとインスパイアが、名詞の性別(gender ジャンダー)について紹介している。※ 青チャートが「 gender 」という単語を紹介。

参考書によって、性別の分類が少し違う。

青チャートでは、男性名詞、女性名詞、中性名詞、通性名詞、の4分類。

インスイパイアでは、男性名詞、女性名詞、中性名詞、の3分類。


まず、青チャートとインスパイアの共通点として、

boy, brother ,man ,father は男性名詞であり、代名詞は he で受ける。

girl や sister や lady や woman や mother, は女性名詞であり、代名詞は she で受ける。

man が本当に男性名詞かは、老人を old man といったりと疑問もあるかもしれないが、高校英語の参考書的にはman は男性名詞であることになっている。


上記のboy などの例のように、現実世界では人間である何かを現す単語では、その人間の自然界での性別(sex)と、単語の性別(gender)とは一致する。


英語では、現実世界の性別のないものは、とくに男性名詞でもなく女性名詞でもないのが一般的であり、よって「中性」名詞または「通性」名詞などと呼ばれる分類をされる(青チャート)。ただし、文学的表現などで、若干の例外があるが、後述する。


baby や person のように、単語だけでは性別が不明な場合は、とりあえず代名詞は it で受ける(青チャ、インスパ)。ただし文脈などから性別が判定できる場合、he や she に置き換える(ロイヤル英文法)。


動物・ペットなどは普通は it で受けるが、実際の性別に合わせて he または she で受けることも可能である(青チャート、インスパ)。

star や flower などの代名詞は単数はit で、複数は they で受ける。


「通性」と「中性」

現代の日本語では「中性」という表現を、あたかも女性的な見かけの男性、または男性的な見かけの女性などに対して使うことがある。

しかし英文法でいう「中性」は、それとは意味が違う。英文法でいう「中性」とは、無生物の star(星) や flower(花)のように、性別がない名詞のことである。


さて、青チャートおよびロイヤル英文法では、baby や person のように、ふつうは人間の男性か女性かのどちらかではあるはずだが、単語だけでは性別を決定できない名詞のことを「通性」としている。

一方、star や flower などは「中性」名詞であるとしていおり、it で受ける。


インスパイアでは「通性」の語を紹介せず。、star や flower などは「中性」名詞であるとしていおり、it で受けるとしている。

文学的な性別

「国」は本来、itで受ける。だが、文学または何らかの事情により、「国」をshe で受けることもある。

同様、船や愛車(青チャート)などの乗り物を she で受けることもある(青、インスパ)。


ほか、moon, sea を she で受けることもある(インスパ)。

sun, river を he で受けることもある(インスパ)。


男女でちがう名詞

actor 「男優」

actress 「女優」


god 「(男の)神」

goddess 「女神」


prince 「王子」

princess 「王女」

のように、いくつかの名詞では ess が語尾につくと女性名詞になる。また、上記のように語尾にessのついてない形が、それらの名詞の男性名詞である。


ただし、近年では actor を男優に限定するのは性差別だとされ、女優もふくめて男優も女優も「俳優」は actor とする傾向がある(青チャート)。

同様に、かつてレストランなどのウェイターについて、

waiter 男のウェイター

waitress ウェイトレス(女性)

だったが、近年では男女とも waiter で表すようになってきている(青チャート)。 waitperson という場合もあり、男女とも waitperson で受ける(インスパイア)。


なお、旅客航空機のスチュワーデス stewardess は女性名詞である。これを男性名詞にすると steward スチュワードになる(青チャート)。

しかし近年は、flight attendant または cabin attendant 「客室乗務員」という別の単語に置き換わっており、男女ともにそれを使う。


man という単語は性差別的であるとされ、英米では別の単語に言い換えている傾向が大きい。

(消防士) fireman → firefighter

(議長) chairman → chairperson

(販売員) salesman → salesperson または店舗販売員なら shop assistant (青チャ)など

(警察官) policeman → police officer

など。

古語

英語の古語では、自然の性別をもたない抽象名詞や物質名詞などにも、男性または女性の性別(「文法上の性」)が割り当てられていた過去があったが、現代では大部分が消失しているので(インスパイア)、高校生は覚える必要は無い。高校の範囲を大きく超えており、大学の英語学研究の範囲。

なお、インスパイアにある「文法上の性」とは、上記のような英語の古語などにあった抽象名詞や物質名詞などの性別のこと。