高等学校世界史B/オリエントの統一

アッシリアによるオリエントの統一編集

 
アッシリア王アッシュル=バニパルの浮き彫り。狩りをしている様子が描かれてる。

前2000年〜前1000年ごろにメソポタミアにおこったアッシリア(Assyria)が、最終的に前671年にオリエントを統一することになる。アッシリア人はセム系である。

まず、前15世紀ごろ、アッシリアはミタンニ王国に服属したが、その後独立した。前9世紀ごろにヒッタイトから製鉄技術を取り入れ、鉄製の武器や戦車・騎兵などで武装して強大な軍事力を誇った。

アッシリアは前8世紀に、ニネヴェ Nineveh を首都とした。 前671年にエジプトを征服し、全オリエントを統一した。

アッシリア王は征服地を州に区分して、各地に総督(そうとく)を任命して派遣して、支配した。また中央集権のため、駅伝制(えきでんせい)を置いた。駅伝制(えきでんせい)とは、伝令のための早馬(はやうま)をとばすため、各地に宿駅(しゅくえき)を置くことである。

また、支配地には重税を課した。しかし重税と圧政のため、諸民族が反乱し、前612年には都ニネヴェが陥落してアッシリアは滅亡した。

アッシリアの滅亡後、オリエントは4つの王国に分裂し、オリエントでは、エジプト、小アジアのリディア(Lydia)、メソポタミアでは新バビロニア、イラン高原のメディア(Media)の4王国が分立した。

新バビロニアが、ユダ王国を滅ぼした。このとき、ユダ王国のヘブライ人が、バビロンに強制的に連行された(バビロン捕囚)。

リディア王国は、世界ではじめての金属硬貨を発行した。

アケメネス朝によるオリエントの再統一編集

オリエントを再統一したのは、アケメネス朝ペルシアである。これは、前6世紀に、イラン高原で、インド=ヨーロッパ語系のペルシア人が台頭して建国した国であり、前550年にアケメネス朝ペルシアのキュロス2世 Kyros II のときにメディアを滅ぼした。

そしてキュロス2世は、リディア・新バビロニアも征服した。

このとき、新バビロニアによって、バビロンに捕囚されていたヘブライ人が、新バビロニアが滅んだことによって、解放された。このように、アケメネス朝は、ヘブライ人など異民族の信仰には、なるべく干渉せず、異民族の独自の信仰をみとめるという方針であった。

第2代のカンビュセス2世 KamByses II のときに、エジプトを征服した。第3代のダレイオス1世 Dareios I のときに、領土が拡大し、西はエーゲ海北岸から、東はインダス川までの、大帝国になった。

服属した被征服民や異民族に対しては、かれらの宗教には干渉せず、かれらの信仰や慣習を尊重するなど、柔軟な措置をとった。被征服民には、貢納や軍役が課された。

アケメネス朝のダレイオス1世 Dareios I は、アッシリアの統治方法を受け継ぎ、さらに発展させた。 ダレイオス1世は、各地に知事(サトラップ、satrap)を置き、さらに監察官として「王の目」「王の耳」と呼ばれる直属の監察官を巡回させ、各地を支配した。

 
ペルセポリス。世界遺産。
 
ベビストゥーン碑文。ダレイオス1世について書かれている。のちの時代に、イギリスのローリンソン(1810〜1895)による楔形文字を解読する手掛かりになった。

また、ダレイオス1世は、陸上での交通網や軍道を整備するため「王の道」という道路を整え要所を国道で結び、さらに都スサ Susa を中心に駅伝制をしいて中央集権をはかった。駅伝制(えきでんせい)とは、伝令のための早馬(はやうま)をとばすため、各地に宿駅(しゅくえき)を置くことである。

また、アケメネス朝は、貿易や商業の奨励のため、異民族であるフェニキア人やアラム人の商業活動も保護した。また、アケメネス朝は、金貨・銀貨も発行し、多いに商業を発展させた。 さらに、アケメネス朝の公用語には、ペルシア語だけでなく、国際共通語のアラム語も、アケメネス朝の公用語として用いられた。つまり、アケメネス朝の公用語は、ペルシア語とアラム語である。

このように、商業などを重んじる実用的な発想にもとづく支配体制のため、ながく、アケメネス朝の支配が続いた。

前5世紀に、アケメネス朝は、ギリシアに遠征して戦争したが、敗れた(ペルシア戦争)。 前330年、マケドニア(ギリシア)のアレクサンドロス大王の遠征によって、アケメネス朝は敗れて、アケメネス朝は滅亡した。

アケメネス朝の宗教編集

アケメネス朝の宗教では、宗教改革者ゾロアスターによって創始されたゾロアスター教が信仰された。これは、光の善神(ぜんしん)アフラ=マズダ Ahura Mazda と、暗黒の悪神(あくしん)アーリマン Ahriman とが、たたかうという、善悪二元論の宗教である。たたかいの最後には、「最後の審判」(さいごのしんぱん)によって善神アフラ=マズダが勝つので、前なる者の霊魂は救済されるという宗教である。

ユダヤ教の教えの一部は、このゾロアスター教を参考にしたと考えられている。また、のちの時代のキリスト教などの神話にも、ゾロアスター教は影響を与えたと考えられている。

ゾロアスター教は火を重んじるので、拝火教(はいかきょう)ともいう。