親水基と疎水基

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エタノールC2H5OHやグルコース(ブドウ糖)C6 H12 O6 などは水に良く溶ける。このエタノールの分子は、分子中にヒドロキシ基 OH を持つ。エタノールでは、このヒドロキシ基の部分が、水分子と水素結合を生じて、エタノール分子が水和をする。グルコース分子も、実はヒドロキシ基を持っており、このヒドロキシ基の部分が、水分子と水素結合を生じて、グルコース分子が水和をする。

このエタノール分子中のヒドロキシ基のように、水和されやすい原子団の部分を親水基(しんすいき)という。水和されやすい性質を親水性という。

これに対して、ベンゼンC6H6などは水に溶けない。このような原子は極性をもたない無極性分子である。一般に、親水基を持たない無極性分子は、水には溶けない。

また、エタノール分子中のエチル基C2H5の部分は、極性を持たず、この部分は水和には寄与していない。この分子の他にも、一般の炭化水素CmHnは無極性であり、水和には寄与しない。このような炭化水素のみからなり、エタノールと違って親水基を持たない、炭化水素分子は水和されにくい。このような親水性をもたない原子団を疎水基(そすいき)という。水和されにくい性質を疎水性という。


無極性分子からなるヨウ素I2やナフタレンC10 H8 は、無極性分子の液体であるベンゼンC6 H6や、四塩化炭素CCl(テトラクロロメタン)には、よく溶ける。 このように無極性分子の物質は、無極性分子の液体に溶けやすい。いっぽう、極性分子の物質は、極性分子からなる水に溶けやすいのであった。 これらのように、一般に極性の似ている分子は溶けあいやすい。

 
エタノールの構造式

溶解度

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様々な物質の溶解度曲線

ある一定の温度で、ある一定の質量の溶媒に対して、溶質を溶かして、溶質が溶けきる最大限の飽和溶液を得た場合、その飽和溶液に溶けている溶質の量を溶解度という。つまり、溶解度とは、未混合の溶媒に対して、「この溶媒は、これから、どれだけの溶質を溶かせるか」という能力のことである。溶解度と濃度とは、別の概念なので、混同しないように。

溶解度の数値の表し方は、2種類ある。 一般的なのは、溶媒の質量100gに対して、溶かせる溶質の質量の割合[g/100g]、またはその溶質の質量[g]で定義する方法である。

溶解度の単位は、無次元で表す場合もあるが、無次元だと状況が分かりづらいという考えのもと、[g/100g]や、[g]などと表す場合もある。

溶解度は、溶媒の温度によって変化する。溶媒が水の水溶液の場合、水の温度によって、溶解度は変化する。 水に溶かす溶質では、一般に水の温度が高まるほど、ほとんどの溶質で、溶解度は高まる。ただし、例外的に水酸化カルシウムCa(OH)など、いくつかの分子では、温度上昇によって溶解度が下がる物質もある。

溶解度の温度変化をグラフで表したものを溶解度曲線という。


再結晶法

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不純物の混ざった混合物の固体に対して、その各成分の溶解度が大きく異なる場合は、その混合質を、熱した溶媒に飽和するまで溶かし、飽和後に冷却をしていけば、溶解度の小さい物質の側から先に、結晶が析出をしていくので不純物を取り除ける。このように、何らかの方法で溶質の結晶を析出させて不純物を取り除き精製する方法を再結晶法という。

「再結晶」という語について、この例では、水溶液を用いた再結晶を紹介したが、「再結晶」とは、なにも水溶液にかぎらず、何らかの方法で結晶をいったん溶解または溶融させて、そのあとに結晶を析出させてえられた結晶ならば、一般に再結晶という。

なお、溶媒を冷却していく時に、あらかじめ他の実験で得られた、その物質の、平均的な溶解度を超えるまで冷やしても、析出しない場合がある。このように通常の溶解度を超えて溶質を含んでいる状態を過飽和(かほうわ)という。溶質を溶解度よりも過飽和に含んでいる溶液のことを過飽和溶液という。過飽和の状態は不安定であるので、過飽和溶液の場合は、少量の撹拌や振動などが加わるだけで、結晶の析出を始める。

溶質の種類によっては、再結晶法で結晶分子中に水分子が化合した結晶が得られる場合がある。このように結晶分子と化合している水を結晶水あるいは水和水という。結晶水は、加熱などによって除去できる場合が多い。 結晶から水和水を除去することを無水化などという。無水化して得られた結晶水を含まない固体を無水物という。 結晶が水和水を含む物質に対する溶解度の定義は、無水物の質量を、溶質の質量とみなして、溶解度を定義する。