高等学校商業 経済活動と法/株式会社の機関とその責任

機関編集

株主総会や取締役会(とりしまりやくかい)、取締役、監査役(かんさやく)、などを機関という。すべての株式会社は、株主総会と取締役を設置しなければならない。

また、定款に定めることにより、取締役会、会計参与(さんよ)、監査役、監査役会、会計監査人または委員会を設置することができる(会社326)。

株主総会編集

株主総会は、会社法で規定する事項および株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる(会社295)。

じっさいに株主総会を開くことを、株主総会の「招集」などと言う。

じっさいに株主総会を開くには、取締役は、株主総会の2週間前にそれぞれの株主に通知しなければならない(会社299)。

※ じっさいには、2週間前までに会社から株主名簿の宛て先に通達すればよい。株主が株券を会社に無断で第三者に譲渡するなどして、株主名簿の登録内容とじっさいの株主とが違っていても、会社は責任を免れる。


取締役編集

取締役の義務編集

競業避止義務編集

取締役(とりしまりやく)は、たとえばその取締役が個人で同じ業界の競合他社で働くことは、法的には原則的に禁止されている。同様に、会社の事業内容と同じ商品やサービスを手がける事業を行う新企業を立ち上げることも、競合他社をつくることとなり、このような事をさせないように法的に規制されている。

このように、競合他社を支援したり、競合他社をつくったりすることを、競合取引という。取締役は、競合取引が規制(原則的に禁止)されている。

このように、取締役は、自身が取締役をつとめる会社の事業内容と同じだったり似ていたりして競走相手となる他社を支援したりするなどの業務(競合取引)を行う事が規制されており、この義務のことを競業避止義務(きょうぎょう ひし ぎむ)という。

それでも、どうしても、その取締役が、自社と競合する同業他社や新企業で働くなどの競業取引をしたい場合、(取締役会設置会社の場合には)取締役会の承認が必要である(会社365)。

自社が取締役会が無い会社の場合、取締役がどうしても競業取引をしたい場合には、株主総会の承認が必要である(会社356)。

利益相反取引の禁止編集

会社から、格安でその会社の製品を大量に購入したり、あるいは会社の土地を格安で購入したりすることは、会社を犠牲にして取締役が利益を得ることになり、このような行為は禁止あるいは規制されている。同様に、取締役が、自分の所有物を割高で会社に買い取らせたり、自分の土地を会社に割高で買い取らせたりすることも、規制されている。

このように、あきらかに会社を犠牲にして取締役が利益を得るための取引は利益相反取引という。取締役による利益相反取引は、法律で規制されている。それでも、どうしても、ある取締役が利益相反取引を行いたい場合、取締役会設置会社においては、取締役会の承認が必要である。

忠実義務編集

民法には「善良な管理者としての義務」(善管注意義務)の定めがあるが(民644)、会社法でも似たような義務が取締役に課せられている。

取締役は、取締役としての職務を怠りなく、忠実に履行する義務を負い(会社355)、この義務を一般に「忠実義務」という。

取締役が忠実義務に違反したために会社に損害を与えた場合、取締役が損害賠償責任を負うことになる(会社423)。

もちろん、取締役も、その会社の管理者の一人であるから、取締役も善管注意義務を負う。

※ 取締役に課される「注意義務」と「忠実義務」は、どこが違うのかについては、高校生は深入りする必要は無い。アメリカ会社法のからむ、高度なハナシになるので、説明を省略する。

欠格事項編集

会社法331条で、取締役になれない者を定めている。

成年被後見人、被保佐人は、取締役になれない。禁固(きんこ)以上の刑に処せられ、執行の終わってない者は、取締役になれない。 法人は、取締役になれない。取締役は自然人でなければならない(以上、会社331)。

株主代表訴訟編集

取締役が注意義務・忠実義務を怠って会社に損害を与えたにもかかわらず、取締役会など会社の機関が、その取締役の責任追求を怠っているとき、会社法により、6か月前から株式を引き続き保有してる株主に、取締役を裁判に訴えて、責任追求をする権利が認められている。この訴訟の制度のことを株主代表訴訟という(会社847)。

(※ 範囲外: )公開会社でない場合(つまり非公開会社の場合)、株主代表訴訟に6ヶ月の要件はない(会社847条の2)。

代表取締役編集

「代表取締役」(だいひょうとりしまりやく)とは、取締役の代表者のことであり、取締役会がある会社では、取締役会で代表取締役が選定される(会社362)。代表取締役でない一般の取締役も会社の代表者であるが、代表取締役はさらに代表者である(会社349)。

ある会社で「社長」などのような、あたかも会社の代表者であるかのような肩書きを持っている人物の行った対外的な行為については、会社は責任を負わなければならない(会社354)。つまり、たとえば、その「社長」の肩書きを与えられた人物が、もしその会社の代表取締役や取締役でなくても、対外的な取引などでは、その名目上の「社長」が結んだ契約や取引については、裁判などでは、その会社が結んだ契約であると見なされることになりかねない。

このような、名目上でも「社長」のような肩書きを会社から与えられた人物、あたかも会社の代表者のような肩書きの人物のことを表見代表取締役という。表見代表取締役がした行為については、善意の第三者に対して、会社は責任を負わなければならない(会社354)。