事前の解説 編集

高い建物から見渡した、雄大な眺めに対する感動。

その建物の名前が「鸛鵲楼」(かんじゃくろう)。

原文 編集

登鸛鵲楼

王 之渙


白日依山尽
黄河入海流
欲窮千里目
更上一層楼

書き下し文 編集

鸛鵲楼(かんじゃくろう)に登る(のぼる)

王 之渙 (おう しかん)


白日(はくじつ) 山(やま)に依りて(よりて)尽き(つき)
黄河(こうが) 海(うみ)に入りて(いりて)流る(ながる)
千里(せんり)の目(め)を 窮めん(きわめん)と欲し(ほっし)
更に(さらに)上る(のぼる) 一層(いっそう)の楼(ろう)

形式 編集

五言絶句

現代語訳 編集

照り輝く太陽は、山に寄り添って沈んでいく
黄河は、海に向かって流れていく。
(はるか)千里の彼方(かなた)の眺望を、見たいと思い、
さらにもう一階、上へと登った。

対比 編集

  • 対句(ついく)

起句 ⇔ 承句
白日 ⇔ 黄河 (「白」「黄」の色の対比、「日」「河」という天地の対比)
流  ⇔ 入  (動詞が対応)
山  ⇔ 海  (地形が対比的)
尽  ⇔ 流  (動詞が対応)

転句と結句 千里目 ⇔ 一層桜

「千」と「一」との対比。

編集

「流」(りゅう)と「楼」(ろう)

句法など 編集

  • 欲窮千里目

「欲」で願望を表す。

語彙 編集

白日(はくじつ) - 輝く太陽。照り輝く太陽。単に「太陽」と訳す場合もある。

語釈 編集

鸛鵲楼(かんじゃくろう) - 当時、あった建物。今でいう山西省(さんせいしょう)永済(えいぜい)市にあった。
王 之渙 (おう しかん) - 唐代の詩人の一人。
千里目(せんりノめ) - 千里の彼方まで見渡す眺め(ながめ)。