高低差などの外部のエネルギー差に逆らって、低い場所から液体を吸い上げたり、液体を押し出したりする機械をポンプ(pump)という。気体に対しても、気体を吸引する目的の装置をポンプという場合もある。 密閉容器から気体を吸引すれば結果、真空度が上がるので、その真空を作る目的のポンプを真空ポンプという。 ただし気体を押し出す目的のものは、送風機(blower)などと呼ばれポンプとは呼ばない。送風の結果、たとえ結果的に低所から高所へ気体が送られたとしても、ポンプとは呼ばない。 気体を圧縮する目的のものは、ポンプとは呼ばずに、圧縮機(compressor)と呼ぶ。

以下、液体の水用のポンプを中心に解説をする。なお、水用のポンプを「水ポンプ」ということがある。 羽根車の回転子を使うポンプをターボポンプという。なお、真空ポンプのターボ分子ポンプとは別の者なので混同しないこと。また、タービンポンプとも異なる。タービンポンプは後述するディフューザポンプのことである。 いくつかの方式があるが、揚水の原理は、どれも、羽根の回転で真空度を高め、液体を吸引して上がる方法である。 ここで抽象論を解説するよりも、各方式の構造を具体的に学んだほうが早いので、次の説明へ進んでいただきたい。方式には、いろいろあるが、次の遠心ポンプが基本的な方式なので、まずは、それを学んで頂きたい。また、各方式の分類の仕方や用語は、業界によって微妙に異なるので、分類よりも、形状や構造に注目していただきたい。

ポンプが、水を組み上げられることが可能な高低差の限度を揚程(ようてい)、あるいはポンプ揚程という。

ポンプ

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遠心ポンプ

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石炭工場で用いられる渦巻きポンプ。
 
遠心ポンプの構造

羽根車の回転により、遠心力で、外周が高圧になり、外部に水が押し出される。羽根車はインペラ(impeller)と呼ばれる。羽の数は、おおむね7枚程度から12枚程度までである。 側板とよばれる囲い板を持つ密閉型と、側板を持たない開放型がある。 羽根車の周囲には、案内羽根 (guide vane)と呼ばれる固定された羽根がある場合がある。この案内羽根の役割は、方向の調節および圧力や量の調節などである。この案内羽根を持つ方式のポンプをディフューザポンプ(diffuser pump) という。 なお、案内羽根の向きと、内側のインペラの羽根の向きは、一般に逆向きである。 案内羽根を持たない方式のものにボリュートポンプがある。

多段ポンプ

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1個の羽根車では、遠心力に限度があるので、より遠心力を強めて揚程を上げる目的で、複数の羽根車を直列に設けた多段ポンプがある。段数は2段や3段といったものから20段といったものまで、さまざまにある。 高い揚程が必要な場合に、多段ポンプを用いて揚程を高める場合が多い。

シール

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グランドパッキン

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ポンプは軸を持ち、その軸がケーシングを貫通をするので、貫通部とのすきまから流体が漏れやすい。したがって、漏れ対策のための部品が必要である。軸からの漏れを防ぐ部品を軸封部品と言い、ポンプの場合はグランドパッキン(gland packing) という繊維状の素材から作られたリング形の軸封部品が必要である。ポンプでは、冷却や潤滑のため、若干、流体を漏らす。そのため、パッキン押さえで漏れ量を調節している。このような軸封部品を納める箇所をスタッフィングボックス(stuffing box)あるいは、単に「パッキン箱」という。 多量の水が漏れている場合は、単なる故障なので修理が必要である。グランドパッキンは消耗品なので、定期的な交換などのメンテナンスが必要である。 規格はJIS B 0116で、グランドパッキンが規格化されている。 グランドパッキンを用いる方式は、潤滑のための液体が必要なので、空運転は故障の原因になる。後述するメカニカルシールの方式も、同様に空運転は故障の原因になる。


メカニカルシール

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メカニカルシールの部品、カーボン製の固定環とばね
 
シングルメカニカルシールの断面.
1) ネジ
2) O-リング(二次シール)
3) ロールピンシールリング。(4)の回転を防ぐため
4) リングスリップ
5) シート
6) Oリング(二次シール)
7)
8) ロールピン (5)の回転を防ぐため
9) シャフト / アクスル
10) 羽

メカニカルシールという弾性のある部品をスプリングで押さえつけて密封しているポンプを用いる場合がある。このメカニカルシールの場合も、潤滑などのため、少しの漏れが必要であり、完全には漏れは無くせない。 メカニカルシールの方式は、空運転は故障の原因になる。


軸流ポンプ

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水を送り出す方向が、軸方向であるポンプを軸流ポンプ(axial pump)という。軸流ポンプが揚水できる原理は、以下の様な原理である。 プロペラ状の羽根を回すことで、たとえば扇風機が風を起こすのと同様に、水に速度エネルギーを与える。水が送り出されれば、圧力が下がり負圧になるので、水を組み上げられる。組み上げた水をプロペラ状の羽根で再び送り出すという原理のポンプ。プロペラポンプ(propeller pump)の一種である。

軸流ポンプは低揚程であり、吐出し量が大きい。農業用の灌漑ポンプとして、軸流ポンプよく用いられている。

案内羽根があり、プロペラ型の羽によって送り出された水を軸方向へと導いている。 漏れに関しては、遠心式と同様に軸とケーシングのすき間からの漏れがあり、グランドパッキンなどで対策をしている。


斜流ポンプ

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斜流ポンプ(英訳はmixed flow pump、あるいはdiagonal flow pump)の揚水原理は、簡単にいうと、遠心ポンプと軸流ポンプの両方を利用したポンプである。遠心力と、プロペラによって生じる圧力差の両方を利用して揚水している。したがって、ポンプの特性は、遠心ポンプと軸流ポンプの、ほぼ中間である。 軸流ポンプが、流れを軸方向へと送り出すのとくらべて、斜流ポンプでは斜め方向へ送り出すので、軸方向の推力と、半径方向の遠心力の両方が発生する。上下水道用の揚水ポンプや、農業用の灌漑ポンプなどに用いられている。

ポンプの揚程

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ポンプの揚程では、水面からポンプまでどれだけの高低差まで吸い込めるかという吸込み揚程の高さと、ポンプからどれだけ高くまで吐き出せるかという吐き出し揚程 という高さを区別する必要がある。 吸込み揚程は、供給源の水の水面にかかる大気圧とポンプの真空度との差によって、吸込みの力を得ているので、理論上での吸込み揚程の限界の高さは、大気圧に相当する10.33mである。大気圧は、絶対圧で約101.3kPaであり、これは水圧に換算すると10.33mの水圧に相当する。しかし実用では摩擦などによる損失のため、これよりもっと低く6m~7m程度が吸込み揚程の限界と考えられている。


ポンプが実際に揚程できる吸込み揚程を吸込み実揚程と言い、実際に吐き出せる揚程を吐き出し実揚程という。 吸込み実揚程と吐出し実揚程を合わせた高さを、実揚程(actual head)という。 摩擦などが無いとして、理論的に計算したときの揚程を全揚程(total head)という。

ポンプの動力

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水動力

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全揚程H_tを得るのに必要な動力を考えよう。吐出し量Q[m3/s]の場合、単位時間あたりに質量 に位置エネルギー  を与えることになるから、つまり、  [W]の動力が必要になる。 ポンプが液体に与える理論上の動力を水動力(water power)という。ポンプ本体の軸動力とは区別する。

なお、説明では吐出し量の単位を[m3/s]にしたが、実務では、[m3/s]も吐出し量の単位に用いられるが、他にも[m3/min]を用いる場合(minは分minuteのこと)や、[L/min]を用いる場合(Lはリットルのこと)もあるので注意のこと。

軸動力

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ポンプには流体摩擦や軸摩擦などによるエネルギー損失があるので、ポンプに与えられた動力が全て、位置エネルギーに変換されるわけではない。ポンプに与えられた軸が実際に回転するのに要した動力を軸動力(shaft power)と言う。なお、軸動力は、ポンプ軸を回転させるための原動機(たとえばモータなど)の動力とは異なるので注意のこと。

軸動力は水動力よりも大きい。 また、ポンプ効率(pump efficiency)ηは、軸動力 と水動力 を用いて定義され、以下のように定義される。

 

ポンプの効率は、その製品の規定の吐出し量の近くで最大効率化されるように設計されている。規定吐出し量から遠ざかるほど効率が低下していく。なので、特別な理由が無い限りは、なるべく規定量の近くで用いるのが望ましい。

グラフ表示によって、横軸で吐出し量にして、縦軸で効率と全揚程をそれぞれ表示したグラフを、ポンプの性能曲線(performance curve)、あるいはポンプの特性曲線(characteristic curve)と呼ぶ。


水撃作用

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ポンプに限った話ではないが、管路内に液体が流れているときに、弁を急激に閉めると、良くない現象が起こる。流体には慣性があるので急には止まれないし、しかも弁の上流からすれば、さらに上流から流体が流し込まれてくるのだから、結果的に弁の上流側の圧が一時的だが急激にあがる現象が起こる。この水圧上昇の現象を水撃作用(water hammer)あるいはウォーターハンマという。 水撃作用は、場合によっては、機械を破損させる原因になる。 「水」撃というが、べつに水でなくても、他の液体でも同様の圧力上昇の現象は起こる。水以外の液体でも「水撃」作用という。(英語のwater hammerも同様に水以外の液体でも、こう呼ぶ。) なお、閉じている弁を急に開くと、急に弁の上流圧力が低下するが、この現象も含めて水撃作用と言う場合もある。一般的には、「水撃」という言葉を用いる場合は、弁を閉じるときの上流圧上昇のみを意識して、水撃作用ということが多い。 水撃作用による破損を防ぐための対策としては、弁の開閉は、なるべく緩やかに行う必要がある。


キャビテーション

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キャビテーションにより壊食した水車

ポンプや水車の羽根車や、船の水中スクリューなど、水中で高速運動する流体機械によく起こる現象だが、水中で羽根車などの機械部品が高速運動すると、ベルヌーイの法則で知られているように、エネルギー保存則より圧力が下がる。そして、圧力が下がると、液体の沸点が下がる。だから、たとえ液体の温度が上がらなくても、液体は沸騰しやすくなり、実際に沸騰して気泡が発生する場合もある。この気泡は周囲の水圧によって、すぐに押しつぶされ消滅するが、気泡が押しつぶされる際に、急激な圧力変化を生じ、この衝撃圧力が機械に損傷を与える。 この気泡消滅による衝撃圧の現象をキャビテーション(cavitation)という。 キャビテーションによって、部材に損傷を与えることを、壊食(erosion)という。 キャビテーションを、なるべく起こさないようにする必要がある。 キャビテーションは壊食のほかにも振動や騒音の原因にもなり、また、性能低下の原因にもなる。

飽和蒸気圧

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なお、ある一定の温度の条件化で液体が沸騰するときの圧力を飽和蒸気圧(saturation vapor pressure)という。また、ある一定の圧力下で、液体が沸騰するときの沸点の温度を飽和温度(saturation temperature)と言う。 液体の飽和温度は、圧力が下がれば飽和温度も低下するのが一般である。


サージング

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ポンプの吐出し圧力や吐出し量が周期的に変化する振動現象をサージング(surging)といい、この現象は運転が不安定になり、好ましくない現象である。流量を絞った状態でおきやすい。より詳しく言うと、吐出し量Qと全揚程Hの関係をグラフ表示したQ-H曲線が、右上がりの勾配の状態で起こりやすい。なので、なるべく、この勾配の状態を避けて、吐出し量Qが大きい状態でポンプを用いる。なお、Q-H曲線のグラフ表示では、横軸に吐出し量Qを取り、縦軸にHを取るのが、一般的である。


呼び水

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ターボポンプの始動には、ポンプ内を液体で充満させる必要がある。ポンプ内に充満させた液体を呼び水(priming)という。あるいは、始動のためにポンプ内に液体を充満させる動作を呼び水という。なぜ呼び水が必要かというと、ターボポンプは液体の流れを利用して負圧を作っているので、この液体が無いと十分な負圧が得られないからである。

真空ポンプを用いて、呼び水をターボポンプに導く場合もある。


ポンプの運転

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ポンプの運転手順は製品ごとに異なる。なので、初めて使うポンプの運転の際には、事前に製品カタログなどの文書で運転手順を確認してから運転すること。 特に始動時の吐出し弁および吸込み弁などの仕切り弁の開閉の状態は、製品によって異なることが多い。

あくまで傾向だが、仕切り弁の開閉の手順の大まかな傾向として、遠心ポンプと軸流ポンプとで、それぞれ以下のような起動順序および停止順序の傾向がある。

  • 遠心ポンプ

遠心ポンプでは、一般に、吐出し弁を閉じた状態でポンプを始動して、ポンプが起動してから仕切り弁を開く。 遠心ポンプを停止させるときは、ポンプを停止させてから、吐出し弁を閉じる場合が多い。遠心ポンプで吐出し弁を閉める際に、水撃を避けるため、徐々に閉める必要がある。

  • 軸流ポンプ

軸流ポンプでは、弁を開いた状態から始動するのが一般である。

締め切り運転

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なお、弁を締め切って運転を行うことを締め切り運転と言う。一般に、長時間連続の締め切り運転は行ってはいけない。長時間連続の締め切り運転を行うと、温度上昇により焼き付きなどの損傷をしたり、あるいは事故の原因になるからである。

また、軸流ポンプや斜流ポンプでは締め切り運転を避ける必要がある。


ポンプの運転時の確認事項は他にもある。詳しくは作業手順書や製品カタログなどで確認をすること。


容積式回転ポンプ

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回転による容積変化によって、吸込みと吐出しを行うポンプを容積式回転ポンプと言う。単に容積ポンプと言った場合は、これの他の容積式往復動ポンプも含むので注意のこと。

歯車ポンプ

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外接歯車ポンプ
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外接歯車ポンプ 、油圧機械など

ケーシング内部に歯車があって、2枚のかみ合った歯車を回転させて、ケーシング外壁と歯車の谷の隙間とで、流体を閉じ込めて逆流しないようにしたポンプが外接歯車ポンプ(gear pump)である。吸込まれた流体は、ケーシング側の流路を通って吐出し側へと送られる。2枚の歯車のかみ合った中央部分は、吸込まれた流体の主な流路ではないので、間違えないこと。ただし、吸込んだ流体のごく一部は、吐出されず、歯車の隙間に閉じ込められる閉じこみ現象によって残り、吸込み側へと戻される。この閉じこみ現象はキャビテーションの原因になるので、回避の工夫がなされている。インボリュート平歯車を用いると、とじ込みが発生しやすいので、円弧歯型歯型などの他の歯形や平歯車以外の種類を用いるか、あるいは、歯面に逃げ溝などを設ける方法がある。歯車ポンプ用の歯型には、メーカごとに様々な方式がある。

外接歯車ポンプを、単に歯車ポンプと言うこともある。

内接歯車ポンプ
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内接歯車ポンプ、自動車用オイルポンプなど

これは、内部歯車を回転させて、それにかみ合う外部歯車が、同方向に回転するが、その際の閉じ込めによって、流体を吸込み側から吐出し側へと送り出すポンプが内接歯車ポンプである。 吸込み口の位置は、吸込み後に回転によって隙間が増加していく位置に設置し、吐出し口の位置は、隙間が回転によって減少していく位置に設置する。


ねじポンプ

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ポンプのケーシングが円筒形であり、そのケーシング内に流体を送るための、らせん状の、1個につながった羽根があり、その羽根を用いて吐出し口へと流体を送るポンプをねじポンプ(screw pump)と言う。軸の数は、様々な場合があり、ねじが1個の1軸のものから、ねじが2個の2軸や、4個の4軸のものなど、製品により様々である。


ベーンポンプ

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偏心ベーンポンプ

ロータにベーン(vane)と呼ばれる板状の回転子が差し込まれており、ベーンとカムリング(ケーシングに相当する)との間に流体を閉じ込めて、吐出し口へと送るポンプをベーンポンプ(vane pump)という。ベーンはスプリングによって、カムリングへと押し付けられる。一般に、ロータの中心軸は、カムリングの中央では無く、偏心させる方式が多い。


往復ポンプ

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逆止弁の原理。
(閉の状態)
 
逆止弁の原理。
(開の状態

ピストンやプランジャが往復させて、吸込みと吐出しを行うポンプが往復ポンプである。逆流防止弁が付いているのが一般である。吸込み口と吐出し口に付いていたり、あるいは吸込口とピストンに逆止め弁がついている。

なお、ピストンとプランジャの違いは、ピストンは連接棒に密閉のための板が付けられたものである。プランジャは本体が棒状であり、そのため新たに連接棒は付けずに、直接、本体で密閉も行う。


真空ポンプ

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機械工業における真空の定義は、大気圧よりも低い定圧へと、減圧された状態のことである。そのような減圧をするためのポンプが真空ポンプ(vacuum pump)である。

真空の分類

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JIS規格では、真空の度合いを残存している圧力の値によって、分類をしている。(JIS Z 8126)

  • 低真空:102 Pa
  • 中真空:102Pa~10-1 Pa
  • 高真空:10-1Pa~10-5 Pa
  • 超高真空:10-5 Pa 以下

真空ポンプの使用方法

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  • 荒引き

高真空や超高真空まで減圧するときは、まず低真空用のポンプで荒挽きをしてから、真空度が高まってから高真空用ポンプなどに切り替える。

真空ポンプの種類

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  • 油回転ポンプ(oil rotary pump)
 
偏心ロータリーベーンポンプ.
1. ポンプハウジング
2. ロータ
3. ベーン
4. スプリング

油は可動部の潤滑や、軸受け隙間の気密維持のために用いられているのであり、べつに油が回転するわけではない。 実際に回転する部品は、ベーンや羽根車である。構造は、一般に容積式ポンプを利用している。 荒引きポンプとして、用いられることが多い。 油回転ポンプなど液体を用いているポンプを総称してウェットポンプという。液体を用いていないポンプをドライポンプという。 また、半導体製造装置用のポンプなどでは、オイルによる汚染を嫌うため、オイルポンプ以外のポンプが用いられる。

  • ターボ分子ポンプ
 
ターボ分子ポンプの内部
 
ターボ分子ポンプの概略図。

高速回転する動翼によって、気体分子を排気側へと、叩き飛ばすことで真空を達成するポンプがターボ分子ポンプ(turbomolecular pump、略称:TMP)である。このポンプは真空度が高く無いと機能せず、大気圧で動作させると、破損の危険もあるので、他のポンプによる荒引きが必要である。構造は、動翼と固定翼とが交互に配置されていて、動翼が高速回転して、気体分子を叩き飛ばす仕組みになっている。

  • ドライポンプ

油や水などの液体を使用していないポンプの総称。

水車

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ペルトン水車

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ペルトン水車ランナ(ドイツの水力発電所のもの)
 
立軸単輪六射ペルトン水車 (VP-1R6N) : 上から見た図

ペルトン水車の構造は、円板に、椀の形をしたバケット(bucket)が、多数、取り付けられている、このバケットが水を受けて、円板を回転させる。この円板とバケットが組み合わさった状態の物をランナ(rnnner)という。 ペルトン水車は、流体が水車におよぼす衝撃力によってランナを回転させているので、流体の衝撃力を高めるためにノズルを水圧管の出口に設け、ノズルから噴流(jet)を吐出させる。 ノズル内部にはニードル弁が設けられているが、これは流量調整を行うために用いられる。

ノズルとバケットの間にあるそらせ板(deflecter)の役割は、軸側の負荷の急減時に、水車の回転速度を下げさせるため、噴流に当てて流れの方向を変えて、バケットから水をそらすためのものである。弁を急閉鎖すると水撃作用がおこるので、そらせ板が必要になる。

バケットの中央には、水流を二等分するための水切りが設けられている。これは、左右均等に噴流を割り振り、水車にかかる力が均一になるようにするためのものである。


フランシス水車

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フランシス水車
インペラはタービンの内側にある

水車のランナ外周側から内側へと水が流れ込み、内側から水が落ちる構造になっている。内側へと流れこむ際に、回転エネルギーへと変換される構造になっている。 遠心式と呼ばれる。


プロペラ水車

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カプランタービンの概略図
 
発電用のプロペラ水車。
A=発電機; 1=ステータ ; 2=ロータ;
B=タービン; 4=タービンブレード; 5=流れ; 6=タービン及び発電機の回転軸

プロペラ水車の有効落差は約10m~90mの低落差で利用される水車である。軸流水車とも呼ばれる。 羽根車がプロペラの形をしている。 羽根の角度を自由に変えられるようにしたものがカプラン水車(Kaplan turbine)である。 発電機と一体にして、水車の円筒形のケーシング内に発電機を納めた水車をチューブラ水車(tubular turbine)と言う。

ポンプ水車

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反動型水車を外部動力を用いて逆回転させると、ポンプの働きを持つ。フランシス型のポンプ水車やプロペラ型のポンプ水車などがある。発電所では、夜間などの軽負荷時には電力に余裕があるので、その余った電力で下流側の水を揚水して上流側の貯水池に貯めて高負荷時に備える目的で、ポンプ水車が用いられることがある。また、このような発電所を揚水発電所という。

落差

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水力発電などでは、高所にある貯水池からの落差を発電タービンの回転に利用する。このとき、高所側の貯水池の水面から、低所側の放水路の水面との高低差 [m]を総落差(total head)という。

総落差の分の位置エネルギーから摩擦損失などの諸損失を差し引いて、水車の回転に実際に寄与した分の位置エネルギーに相当する高低差H[m]を有効落差(effective head)という。

水車の、流量から計算した理論上の動力は、有効落差を [m]、流量をQ[m^3/s]とすれば、

  [W]

である。このPiを理論水力(theoritical water power)、あるいは水車入力(turbine input)という。

実務では、キロワット単位(kW)で表す事が多いので、単位をキロワットに直すと、

  [kW]

である。 実際には理論水力どおりの軸出力ではなく、種々の損失があり、理論水力よりも、軸から取り出せる出力は下がる。この水車からの軸出力を水車出力(turbine output)あるいは有効動力(effective power)という。 効率ηは水車入力Piと水車出力Poの比で定義される。

 

である。