高等学校工業 電力技術/水力発電
水力発電について
編集水力発電は、1960年代の初期までは主な発電法になっていたが、その後は建設費がやすく、発電量の多い火力発電所での発電が主な発電法になった。
現在では、水力発電は全体においての発電の比率は小さいが、運転を調節するのが簡単なため、1日の電力需要のピークを補ったり、夜間に余った電力を用いて、一度発電に使った水をポンプでくみ上げ、電力需要の多い時間帯にその水で発電するなど、電力需要の変化に対応するための重要な発電方法である。
また、水力発電は再生可能エネルギーで、二酸化炭素も出さずに、よりクリーンである。
水力発電は、高い所から低い所に流れ落ちる時の水の圧力を用いて、水車を回転させて発電する仕組みになっている。
水力発電は、『水の位置エネルギー ⇒ 水車の運動エネルギー ⇒ 電気エネルギー』と発電する仕組みである。
また、水力発電は以下の様な利点がある。
① すぐに起動・停止が出来る。
② 需要の変動にすぐ対応できる。
③ 耐用年数が長い。
④ エネルギー変換効率が高い。(発電効率は最高でおよそ90%である。)
ただし水力発電には以下のような不利な点もある。
① 発電量が降水量に左右される
② ダムが周辺環境に影響を与える
水力発電の種類
編集<構造物による分け方>
①ダム式
②水路式
③ダム水路式
<発電方式による分け方>
①流れ込み式(自流式)
②調整池式
③貯水池式
④揚水式
理論水力
編集流水が持つエネルギー
編集流水は、停止した水と違い、位置エネルギーや運動エネルギーの他に、水が流れるための力によるエネルギーをもっている。
(未完成)の図において、基準面(流出する高さ)より [m]上の高さにある質量 [kg]の水は、重力加速度 ≒ [m/s²] とすると、基基準面まで水が降下する間に、位置エネルギー [J]分の仕事ができるので、 [J]分の位置エネルギーで仕事がすることが可能である。
(未完成)の図のように、静水面の水が基準面まで降下する場合、基準面から高さ 、 [m]にある点a、点bにおける流速を 、 [m/s] 、圧力を 、 [Pa] とし、水管の断面積を 、 [m²] とすれば、 [kg] の流水がもっているエネルギーは、以下の表のようになる。ただし、水の密度を [kg/m³]とする。
エネルギーの種類 | A点 | B点 |
---|---|---|
位置エネルギー | [J] | [J] |
運動エネルギー | [J] | [J] |
水か流れるためのエネルギー | [J] | [J] |
水管を流れる水は、摩擦を除いては外部に仕事をしておらず、エネルギー保存の法則によりA点、B点など、各点でのエネルギーの総和は、最初に持っていたエネルギー に等しく、高さや流速が変化してもエネルギーの大きさは一定となる。これをベルヌーイの定理といい、以下の式のようにあらわされる。
[J]
ただし、この場合、扱いにくい場合がある。なので、上にある式を で割って扱うことがある。 で割る理由は、[J]を[m]に変換するためであり、以下の式のにすると、[J]を[m]で表せるようになる。
① なので、 [J]
② [J] の式を [m] に変換するため、 [J] 、 [m]
なので、[J]の式を[m]で表すには、 で割ると変換できる。
理論水力の基本について
編集(未編集)の図のように、最終的に放水される場所の水面を基準面とし、
基準面から貯水池(ダムなど)の静水面(貯水池の水面)の高さ に相当する位置エネルギーから、
水路や水圧間などの摩擦によるエネルギーの損失を引いたものが、基準面からに対する有効な位置エネルギーになる。
水車の種類
編集水車は水の力を受けて回転するものであり、水のエネルギーを、回転する機械エネルギーに変える働きをする。
①フランシス水車
②ペルトン水車
③プロペラ水車
④クロスフロー水車