消費者の権利
編集1962年にアメリカの大統領 J・F・ケネディの主張した 消費者の4つの権利(Consumer Bill of Rights) がある。
- (商品が)安全である権利、The right to safety
- (商品の正確な情報を)知らされる権利、The right to be informed
- (商品を)選択する権利、The right to choose
- (消費者の意見を)反映させる権利、The right to be heard
日本の消費者保護
編集1948年 | 不良マッチ追放運動をきっかけに主婦連合会(主婦連)が結成 |
1951年 | 日本生活協同組合が結成 |
1955年 | 森永ヒ素ミルク中毒事件が発生 スモン病問題 |
1962年 | サリドマイド事件が発生 |
1968年 | 消費者保護基本法の公布 カネミ油症の発生 |
1970年 | 国民生活センターが発足 |
1974年 | 灯油やみカルテル |
1994年 | 製造物責任(PL)法が成立(翌年施行) |
1996年 | 薬害エイズ問題で東京・大坂両地裁で和解が成立 |
2000年 | 消費者契約法が成立(翌年施行) 雪印乳業食中毒 三菱自動車のリコール隠しが発覚 |
2002年 | 雪印食品の牛肉偽装事件 食品偽装問題が多発 中国製ダイエット用健康食品で被害 |
2004年 | 消費者基本法の公布 |
2009年 | 消費者庁の発足 |
- (※ サリドマイド事件など、センター試験の出題範囲)
- ・ 森永ヒ素ミルク混入事件 - 乳児用ミルクにヒ素が混入し、乳児133人が死亡、乳児1万人以上に健康被害。
- ・ サリドマイド事件 - サリドマイド社の睡眠薬を服用した、妊娠初期の妊婦の子どもから、身体障害のある子どもが生まれた薬害事件。
- ・ カネミ油症事件 - カネミ倉庫会社の製造した食用の米ねか油にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入し、1万人以上の健康被害が発生。
- ・ スモン病の事件、問題 - 整腸剤キノホルムの副作用で失明・歩行不能などの被害が1万人以上。
日本の戦後の高度経済成長の時代において、経済の発展にともない消費者問題も取り上げられるようになり、1968年(昭和43年)に消費者を保護するための 消費者保護基本法(しょうひしゃ ほご きほんほう) が施行(しこう)され、企業には商品の情報表示の適正化や情報の開示が求められた。(2004年に消費者基本法として改められた。商品情報の提供の義務がますます強化された。)
消費者は製品の情報を生産者ほどは持てないので(「情報の非・対称性」という)、そのため消費者の立場は弱く、その情報差をなるべく埋めるために上記の法律で、情報の公開を企業にさせる事をさせた。
1970年には国の相談センターである国民生活センターと、各地の地方公共団体に消費生活センターが設置された。
2004年(平成16年)には改正され 消費者基本法(しょうひしゃ きほんほう) となった。消費者基本法では、消費者の権利、事業主の責任、政府(国や地方公共団体など)の責任などを規定している。
1995年(平成7年)に 製造物責任法(せいぞうぶつ せきにんほう、PL法、Product liability) が定められた。
欠陥品による被害には、たとえ企業に過失が無くても、生産者が責任を負うことを定め(企業の無過失責任)、企業は損害賠償に応じなければならないとした法律。消費者が損害賠償をしやすくなった。
損害賠償を求めることの出来る期間は出荷後10年までである。
2001年に 消費者契約法(しょうひしゃ けいやくほう) が定められた。消費者契約法は、商品の説明が事実と異なる場合や、強引に加入されて契約した場合は、一定期間内であれば契約を取り消しできる法律である。
また、2006年には消費者契約法の改正で、消費者の救済のための追加の制度として、国の認定を受けた消費者団体が被害者個人に代わって訴訟を起こせる消費者団体訴訟制度が導入された。(※ センター試験2016年『政治・経済』追試験で出題。)
2009年には 消費者庁(しょうひしゃ ちょう) が発足した。これは、それまで各省庁に分散していた消費者行政を一元化したものである。
- クーリング・オフ
訪問販売や電話勧誘で商品を購入した場合は、一定の期間内(基本的には8日以内)であれば、無条件で契約を取り消せる制度があり、この制度をクーリング・オフ(cooling-off)という。特定商取引法に定められている。「契約自由の原則」の例外である。