高校「日本史B/日本史探究」から歴史学へ

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普通の検定教科書では参考文献は省かれている。本来、参考文献のない書籍というものはあまり信用のおけるものではない。推測するほかないのだが、簡潔であることを旨とする検定教科書では膨大になることが予想される参考文献はカットされているのだろう。本格的な歴史についてのテキストは、新書などの入門書でも参考文献一覧が10ページ近くになることも珍しくない。また、教科書の内容は通説であり、ほぼ論争的なものではないというのも理由として挙げられよう。その分、資料集などで参考文献に当たるものを紹介することで補っているといえる。

ここであえて「日本史B/日本史探究」教科書の参考文献を挙げる理由は以下のとおりである。

  1. 信頼性の向上。どうしてもオンライン上の文献、とくにウィキ形式のものはだれでも編集できるという特徴から信頼性に疑問を持たれがちである。信頼性はどのような文献を元にしているかというのも大きい。そのため、ここでは参考文献を挙げることにする。
  2. 教科書からもう一歩先の探究活動を行う手掛かりとして。とくに2023年度から本格化する「日本史探究」では、そうした活動が求められることだろう。
  3. 大学での歴史学への接続。大学での歴史学はこれまでの歴史の授業や一般向けの歴史についての雑誌や書籍とは全く異なる。そのため、高校までの歴史ファンが大学の史学科に入ってから困惑し、絶望していくことが珍しくない。そのギャップを少しでも埋めるため。

なお、一部の文献にはコメントもつけている。学習者の参考になれば幸いである。

歴史学を学ぶ

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  • E.H.カー著(清水幾太郎訳)『歴史とは何か』岩波新書、1962年
大学の史学科にいれば一度は読むことになる、歴史学は何をするのかを論じたテキスト。高校生には難しいかもしれないが、ただの歴史好きでとどまるのでなければ、やはり読んでおきたい。
  • 小田中直紀著『歴史学のトリセツ――歴史の見方が変わるとき』ちくまプリマー新書 2022年
高校生にはこちらの方がよいだろう。また、『歴史とは何か』を読む前の予習にも。歴史学が何をするのか、歴史学がどんな学問なのかを高校生にもわかるように書かれているので、学校の歴史が嫌いな人にもおすすめ。「歴史は単なる暗記科目」「歴史なんて役に立たない」という見方が少し変わるかもしれない。
  • 網野善彦著『日本の歴史00 「日本」とは何か』講談社学術文庫、2008年
かつて一世を風靡した網野史学で知られる網野善彦晩年の著作。今では賛否両論ではあるが、歴史マンガや歴史小説にありがちな英雄中心の歴史ではなく、普通の歴史研究の「地味な」探究から庶民のすがたがうかがえる。

通史

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検定教科書

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  • 『詳説日本史B』、山川出版社、2013年(2012年検定)
  • 『新選日本史B』、東京書籍、2018年(2017年検定)
  • 『日本史B』、実教出版、2013年(2012年検定)

参考書・副教材

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  • 全国歴史教育研究協議会編『日本史用語集 改訂版』山川出版社、2021年

一般書・学術書

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  • 佐藤信・五味文彦他編著『詳説日本史研究』山川出版社、2017年
  • 佐藤信他編著『大学の日本史1~4』山川出版社、2016年

時代ごと

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旧石器時代

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縄文時代

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弥生時代

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古墳時代

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飛鳥時代

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奈良時代

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平安時代

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鎌倉時代

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南北朝時代・室町時代

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戦国時代・安土桃山時代

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江戸時代

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明治・大正・昭和(戦前)

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  • 加藤陽子著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』新潮文庫、2016年
  • 松沢裕作著『生きづらい明治社会――不安と競争の時代』岩波ジュニア新書、2018年
  • 吉田裕著『アジア・太平洋戦争』岩波新書、2007年
  • 和田春樹著『日露戦争 起源と開戦 (上)(下)』岩波書店、2009年
読む漬物石。日露戦争開戦についての学術的な分析としては非常にハイレベルで、本気で日露戦争やその前後の時代を研究したいのであれば、避けることは出来ない。大学に入ってから読みましょう。

戦後以降

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テーマ史

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土地制度史

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  • 伊藤俊一著『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』中公新書、2021年

武士・武家政権

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