高等学校理科 生物基礎/免疫

リンパ系

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人体各部の組織液の一部は毛細血管に戻らず、毛細リンパ管に入り、リンパ管で合流して、リンパ液になる。リンパ管は流れ着く先は、最終的には、静脈に合流する。リンパ管には逆流を防ぐための弁が、ところどころにある。リンパ管のところどころに、球状にふくらんだリンパ節がある。 リンパ液にふくまれるリンパ球(lymphocyte)は白血球の一種であり、マクロファージとともにリンパ球は異物を攻撃して、細菌などを排除する。 リンパ球はリンパ節で増殖する。

生体防御

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外部環境から生体を守るために、異物の侵入を阻止したり、侵入した異物を白血球などが除去したりする仕組みを生体防御(せいたいぼうぎょ)と呼ぶ。 生体防御には、免疫、血液凝固、炎症などがある。

私たち生物の体は栄養豊富なので、もし生体防御の仕組みが無いと、あっという間に病原菌などが繁殖し、私たちは死んでしまう。そうならないのは、生体防御の仕組みが私たちを守っているからである。

生体が異物を非自己と認識して、その異物を排除する仕組みを免疫(めんえき、immunity)と呼ぶ。 免疫は、病原体や毒素を排除する働きを持つ。

免疫には、白血球の食作用などの先天的に生まれつき備わっている自然免疫(innate immunity)と、いっぽう、リンパ球などが抗原抗体反応によって異物の情報を記憶して排除するという後天的に獲得される獲得免疫(acquired immunity)がある(中学の保健体育で予習しているのも、このリンパ球による抗原抗体反応)。


(※ 範囲外: ) 抗体による獲得免疫は、原則的にセキツイ動物(脊椎動物)しか持たない。 虫や昆虫などの非セキツイ動物は、抗体を作ることができない。しかし、実験動物でよく使われるショウジョウバエは、けっして病気にかかりやすいという事はなく、なんらかの免疫をもっている事が明らかである。このような観点から、20世紀後半には虫の免疫の研究も進み、1980〜1990年代には無脊椎動物のショウジョウバエのもつトル様受容体(Toll Like Receptor、トルよう じゅようたい)が細胞膜から発見された。このトル様受容体により、(セキツイ動物、無セキツイ動物を問わず)動物は大ざっぱに自己と非自己の認識をしている事が分かり、大ざっぱに自然免疫を制御している事が分かった。(一方、セキツイ動物の抗体による獲得免疫では、抗体の多様性により、病原体を細かく分類・認識できる。)トル様受容体を失ったショウジョウバエは、真菌(「しんきん」、いわゆるカビ、キノコなど)に容易に感染される事も明らかになった。
その後、ハエや無脊椎動物だけでなく、人間も含む脊椎動物にもトル様受容体が存在する事が分かり、免疫学の理論が大きく書き変わる事となった。ヒトにもマウスにも魚にも、トル様受容体は存在する。
これとは別に、「C型レクチン」というカルシウム依存性のタンパク質が見つかっており、ヒトから無セキツイ動物を含む多細胞生物全般からC型レクチンが見つかっており、このC型レクチンが(生物個体にとっての)異物(病原体など)を認識する事が分かっている。

なお、「RIG-I様レセプター」(リグアイようレセプター)という受容体が、専門書ではよくトル様レセプターと一緒に語られるが、しかし無セキツイ動物からはRIG-I様レセプターは発見されていない[1][2]。このようなことから、RIG-I様レセプターは進化の歴史において、獲得免疫の進化とともにRIG-I様レセプターが備わっていったと思われている。


備考や注意喚起など

(※ 備考、暗記は不要: )これ以外にも、免疫の機構について一説には、上記とは別の第三・第四の弱めの免疫の機構のある可能性を主張する学説もあるが、まだ未解明のことが多く、不明点も多い。

一説では、リンパ球による抗原抗体反応のほかにも、マクロファージなどの食細胞や樹状細胞などが弱めだが獲得免疫のような能力を獲得(?)する現象が起きる可能性もあるという学説があるが、未解明であり、正しいか間違ってるかも不明瞭であろう。(※ 学説は、正しいとは限らない。世界的な学会論文誌に掲載されてるからといって真実とは限らない。大学教科書に書いてあっても、真実とは限らない。)


(※ 注意喚起: ) ネットには免疫についてのデマが各所にあり(2020年現在)、「大学の医学教育では第三の免疫機構が常識」(×)みたいなデマがあるので、気をつけよ。念のため専門書の医学書で確認し、医学書院『標準免疫学 第3版』(2016年2月1日 第3版 第2刷)で確認したが、人体レベルでの免疫の機構は今のところ大学医学部の教育でも「自然免疫」と「獲得免疫」の2通りだけである。

なお「集団免疫」という医学用語があるが、これはある国や共同体などの住民たちの予防接種などによる獲得免疫によって、感染拡大の速度が遅くなるという統計の知られている事などを言っている。なので、「集団免疫」はべつに「獲得免疫」を否定するのものではない。

解明されている事実としては、マクロファージや樹状細胞などがMHC分子によってリンパ球のT細胞にどう情報伝達するかなども解明されてきているが(MHCは高校でも習う)、けっして、これは獲得免疫を否定する結果ではない。(おそらく、デマの何割かは、これを混同している。なぜなら世間には、高校教科書レベルの基礎知識もないのに先端医療を評論したがる人も多いのである。)


とりあえず確実な事として、高校の教科書でも習う、「リンパ球に獲得免疫の能力がある」という事は確実なので、高校生はまず、確実な定説から勉強しよう。

(以上、備考)

自然免疫

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自然免疫は、好中球(neutrophil)、マクロファージ(単球)、樹状細胞(dendritic cell)、リンパ球といった白血球(leukocyte)が、病原体などの異物を食べる現象である食作用(Phagocytosis)で行われる。食べられた異物は、分解されて排除される。

  • 好中球

好中球は自然免疫で、異物を食べて、除去する。攻撃した相手とともに死んでしまう細胞である。そのため寿命は短い。 ケガをしたときに傷口にできる膿は、好中球が死んだものである。

  • マクロファージ

自然免疫で異物を食べる。あとで説明する獲得免疫に、異物の情報をつたえる。

(※ 範囲外: )セキツイ動物だけでなく、昆虫などの無セキツイ動物からも、マクロファージのような食細胞は見つかっている。ただし、獲得免疫に情報を伝えるかどうかは別である。また、1892年、ロシアの微生物学者ミチニコフによる、ミジンコやナマコ(幼生)の研究からマクロファージが発見された。ミジンコもナマコも、無セキツイ動物。ミジンコは甲殻類であるが、無セキツイ動物。


近年、マクロファージや好中球などは、ある程度は異物の種類を認識している事が分かった。マクロファージや好中球や好中球などの細胞膜表面にはトル様受容体(TLR)という受容体がある。

(※ 範囲外: ) よって、抗体を持たない無セキツイ動物でも、ある程度は異物を認識できる事が解明された。
(※ チャート式 生物でトル様受容体を扱っています。)
(※ 検定教科書では、第一学習社の教科書などで扱っています。)

トル様受容体には、いくつかの種類があり、反応できる異物の種類が、トル受容体の種類ごとに、ある程度、(反応できる異物の種類が)限られている。

あるトル様受容体(TLR9)は、ウイルスのDNAやRNAを認識する。また他のあるトル様受容体(TLR2)は、細胞膜や細胞壁の成分を認識する。

(※ 読者への注意: TLR9などの具体的な番号は覚えなくてよい。ウィキブックス編集者が査読しやすいように補記してあるだけである。)

べん毛タンパク質を認識するトル様受容体(TLR5)もある。


※ このように、トル様受容体の種類がいろいろとあることにより、白血球は異物の種類を、ある程度は認識できているという仕組みであると考えられている。


免疫以外の生体防御

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  • 血液凝固

出血したときは、血小板などの働きによってフィブリン(fibrin)と呼ばれる繊維状のタンパク質が合成され、 フィブリンが血球と絡み合って血餅(けっぺい, clot)となり止血する。


  • 体液などの酸性

だ液(saliva)は弱酸性、胃液は強酸性などのように、外界と接する体液は、中性ではない体液によって、雑菌の繁殖を防いでいる。

また、ヒトの場合、皮膚は弱酸性である(※ 2016年センター『生物基礎』に出た)。これら酸性の環境によって、雑菌の繁殖を防いでいると思われる。

獲得免疫

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獲得免疫には、後述する「体液性免疫」(たいえきせい めんえき、humoral immunity)と「細胞性免疫」(さいぼうせい めんえき、cell-mediated immunity)がある。

体液性免疫
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免疫グロブリンの構造

免疫グロブリンは、血液などの体液中に含まれている。

体液性免疫は、リンパ球の一部であるB細胞が、免疫グロブリンといわれる抗体(こうたい、antibody)を作り、(体液性免疫を)行う。抗体は免疫グロブリン(immunoglobulin、Igと略記)というタンパク質で構成されている。

※ T細胞もB細胞も、リンパ球の一種である。(※ 高校では習わない言い回しだが、文脈によっては「Tリンパ球」や「Bリンパ球」という場合もある。好中球や好酸球などとT細胞やB細胞との関連を語る際、「Tリンパ球」「Bリンパ球」などという場合もある。)

いっぽう、病原体などの異物に対して抗体が作られた時、その異物を抗原(こうげん、antigen)と呼ぶ。 抗原と抗体が反応することを抗原抗体反応(antigen-antibody reaction)と呼ぶ。

病原体などの抗原は、抗体と結合することで、毒性が低下し、また凝集するので、(リンパ球以外の)白血球による食作用を受けやすくなる。

※ なお、この文でいう「食作用」とは要するに、リンパ球以外の白血球が、細菌などを食べてしまうこと。抗体の結合した細菌などを、「白血球が食べる」的な意味。

(※ ほぼ範囲外: ) T細胞やB細胞といった「リンパ球」も分類上は白血球である。(※ 啓林館の教科書『生物基礎』(平成26年度用、128ページ)で、T細胞やB細胞が白血球に分類される事を紹介だけしている。
東京書籍『生物基礎』(平成23年検定版、112ページ)では、図中でのみの説明で、T細胞やB細胞が白血球に分類される事と、白血球はもともと骨髄の「造血幹細胞」から成ることを紹介している。
T細胞やB細胞が「リンパ球」である事を紹介している教科書は多いが、しかし、そのリンパ球は白血球に分類される事を説明している教科書が少ない。)
(※ 以下、範囲外: 啓林の教科書にも説明なし)T細胞やB細胞がなぜ白血球であるかというと、好中球や好酸素球など同様に前駆細胞が同じだからである。T細胞は胸腺で成熟するが、胸腺に集まる前のT細胞の前駆細胞をたどっていくと、好中球や好酸球などと同様の造血幹細胞(ぞうけつ かんさいぼう)に行き着く[3]。なお、赤血球も白血球も骨髄(こつずい)で作られるので、つまりT細胞やB細胞の前駆物質も、好中球や好素球などの先駆物質も、おおもとは骨髄で作られる、という事を読者には意識してもらいたい。なお、「骨髄」(こつずい)とは、骨の内部にある造血細胞のこと。(よくある間違いで、脊椎(セキツイ)と混同されるが、異なるので、混同しないように。)
(※ 範囲外: ) 本文に「抗体と結合することで、」「白血球による食作用を受けやすくなる。」とあるが、ここでいう、抗体との結合で食作用する「白血球」とは、好中球や好酸球や好塩基球のこと。好中球や好酸球や好塩基球の3つとも全部に抗体の結合した病原体を食作用する性質がある。[4]


免疫グロブリンによる免疫は、体液中の抗体による免疫なので、体液性免疫という。

  • 免疫グロブリンの構造と機能

免疫グロブリンはY字型をしたタンパク質である。 免疫グロブリンの構造は、H鎖とL鎖といわれる2種類のポリペプチドが2個ずつ結合した構造になっている。図のように、免疫グロブリンは、合計4本のポリペプチドから構成されている。

H鎖とL鎖の先端部には可変部(かへんぶ、variable region)という抗体ごとに(免疫グロブリンの可変部の)アミノ酸配列の変わる部分があり、この部分(可変部)が特定の抗原と結合する。そして免疫グロブリンの可変部が抗原と結合することにより、免疫機能は抗原を認識して、一連の免疫反応をする。可変部の配列によって、認識する抗原の構造が異なる。

1種類の抗原に対応する抗体は1種類だけであるが、しかし上述のように可変部が変わりうるので、多種多様な抗原に対応できる仕組みになっている。

免疫グロブリンの構造において、可変部以外のほかの部分は定常部(ていじょうぶ、constant region)という。 また、H鎖同士、H鎖とL鎖はジスルフィド(S-S)結合でつながっている。


  • 体液性免疫の仕組み

そもそも免疫グロブリンはB細胞で産生される。免疫グロブリンの可変部の遺伝子も、元はと言えばB細胞の遺伝子が断片的に選択されて組み合わさったものである。このような遺伝子配列の組み合わせによって、配列のパターンが膨大に増えて何百万とおりにもなるので、このような仕組みによって多種多様な病原体(抗原)に対応している。

より細かく言うと、下記のような順序で、産生される。

樹状細胞などの食作用によって分解された断片が、抗原として提示される(抗原提示)。そして、その抗原が、ヘルパーT細胞(ヘルパーティーさいぼう、helper T cell)によって認識される。

抗原を認識したヘルパーT細胞は活性化し、B細胞(ビーさいぼう)の増殖を促進する。 増殖したB細胞が、抗体産生細胞(こうたい さんせいさいぼう)へと分化する。

そして抗体産生細胞が、抗体として免疫グロブリンを産生する。

この抗体が、抗原と特異的に結合する(抗原抗体反応)。

抗原抗体反応によって、抗体と結合された抗原は毒性が弱まり、またマクロファージによって認識されやすくなり、マクロファージの食作用によって抗原が分解されるようになる。

  • 利根川進(とねがわ すすむ)の業績

ヒトの遺伝子は数万種類であるといわれているが(※ 参考文献: 東京書籍の教科書、平成24検定版)、しかし抗体の種類はそれを膨大に上回り、抗体は数百万種類ていどにも対応する。

その仕組みは、B細胞の遺伝子から、選択的に抗体の遺伝子が選ばれるという仕組みになっている。この辺の抗体の種類の計算の仕組みは、1970年代ごろに日本人の生物学者の利根川進などによって研究されており、1987年には利根川進(とねがわ すすむ)はこの業績でノーベル医学・生理学賞を受賞した。


  • その他
(※ 範囲外:) 無セキツイ動物には抗体が無いが、しかしリンパのような組織が、タコや昆虫などからは見つかっている。[5]
なお、タコやイカは無セキツイ動物に分類される。


(※ 範囲外: )これらB細胞やT細胞が実際に病原体を攻撃している事の証拠のひとつとしては、ヒトの遺伝病におけるB細胞欠損症の患者が容易に細菌感染をすること[6]、および、T細胞欠損症の患者が容易にウイルス感染・真菌感染・原虫感染をする事[7][8]などからも分かる。
参考: ABO式血液型
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(※ 東京書籍、啓林館、第一学習社などの検定教科書に記載あり。)

輸血は、血液型が同じ型どうしで輸血するの通常である。

赤血球表面に、抗原にあたる凝集原(ぎょうしゅうげん)AまたはBがある。なお、凝集原の正体は糖鎖である。

血清中に、抗体にあたる凝集素のαまたはβがある。この抗体は、病気の有無に関わらず、生まれつき持っている抗体である。

凝集原と凝集素との組み合わせによって、4つの型に分類される。

ABO式血液型の凝集原と凝集素
  凝集原(抗原) 凝集素(抗体)
A型  A  β
B型  B  α  
AB型   AB  なし
O型    なし  α、β

Aとαが共存すると凝集する。 Bとβが共存すると凝集する。

たとえばA型の血をB型のヒトに輸血すると、赤血球が凝集してしまうので、輸血するのは危険である。

A型の糖鎖は、H型糖鎖という糖鎖の末端にNアセチルガラクトースアミン(GalNa)が結合している。 B型は、H型糖鎖という糖鎖の末端にガラクトース(Gal)が結合している。 AB型は、この両方の糖鎖が細胞膜にある。O型の糖鎖はH型糖鎖そのものだけである。

(※ 余談 :) 輸血用の血液は、赤血球や血小板など、成分別に分けられ、輸血の際には必要な成分のみ輸血する。(※ 第一学習社の『新生物基礎』で紹介)
細胞性免疫
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抗原提示されたヘルパーT細胞は、キラーT細胞(killer T cell)とよばれるT細胞を増殖させる。 キラーT細胞は、ウイルスに感染された自己の細胞を攻撃するが、移植細胞や がん細胞 も攻撃することもある。

細胞性免疫は、キラーT細胞が、抗原を直接攻撃して行う。

臓器移植や皮膚移植などで別の個体の臓器や皮膚などを移植すると、たとえ同種の個体からの移植でも、普通、定着しないで脱落する。これを拒絶反応という。これは細胞性免疫によって異物として移植臓器が認識され、キラーT細胞によって攻撃されたためである。

細胞膜の表面には、MHC主要組織適合性複合体、Major Histocompatibility Complex)というタンパク質がある。臓器移植で拒絶反応が起きる場合は、MHCが異なる場合であり、キラーT細胞が移植臓器を攻撃しているのである。

※ 説明の簡単化のため、ヒトのMHCを想定して解説する。

MHCは個人ごとに異なるので、普通、他人とは一致しない。

T細胞は、相手方細胞の表面にあるMHCを認識している。つまりMHCの違いによって、ヘルパーT細胞が自己と非自己を認識する。そしてヘルパーT細胞が非自己の物質が侵入したことを感知して、キラーT細胞を活性化させる。

(※ 範囲外: ) T細胞は原則的にセキツイ動物にしかないが、MHCもまたセキツイ動物にしかない[9]


なお、ヒトでは、ヒトの白血球の細胞表面にあるヒト白血球型抗原HLA、Human Leukocyte Antigen)がMHCとして機能する。血縁関係の無い他人どうしで、HLAが一致する確率は、ほとんど無い。同じ親から生まれた兄弟間で、HLAの一致は4分の1の確率である。移植手術の際、これらの免疫を抑制する必要があり、免疫抑制のために、あるカビから精製した「シクロスポリン」(ciclosporin)という名前の薬剤が、よく免疫抑制剤(めんえきよくせいざい)として使われる。(※ シクロスポリンはいちおう、高校の教科書で紹介されている。)[10] [11]

(※ 範囲外: )シクロスポリンと名前の似ている物質で、抗生物質の「セファロスポリン」があるので、混同しないように。
(※ 範囲外: )妊娠歴のある女性や輸血を受けた経歴のある人には、免疫抑制剤が効かなくなる場合がある[12]。※ 高校教育的には、高校でこういう例外的な専門知識まで教えるわけにはいかないので、現在の高校理科ではあまり免疫抑制剤について教えてないことにも、それなりの理由がある。

臓器移植など移植手術での拒絶反応が起きる際の理由も、MHC(ヒトの場合はHLA)が異なって、T細胞が移植片を非自己と認識するからである(※ 参考文献: 第一学習社『高等学校生物』、24年検定版、26年発行、58ページ)、と考えられている。

(※ 当カッコ内は範囲外: シクロスポリンはカルシニューリン阻害剤に分類されるのだが、細胞内におけるカルシウムによる情報伝達を阻害する事により、結果的にシクロスポリンは、免疫を抑制する。)

なおシクロスポリンは、T細胞によるサイトカイン(※ この「サイトカイン」とは細胞性免疫の情報伝達に関わる物質の一種であり、キラーT細胞などの他の免疫細胞を活性化させる役割を持っている)の産生を阻害することにより、細胞性免疫の作用を抑制している。(※ サイトカインは高校の範囲内)

※ 「サイトカイニン」(植物ホルモンの一種)と「サイトカイン」は全く異なる別物質である。
※ 検定教科箇所では、MHCの和訳を「主要組織適合性複合体」というかわりに「主要組織適合抗原」などという場合もある。大学の教科書でも、教科書出版社によって、どちらの表現を用いているかが異なっており、統一されていない。たとえば東京化学同人『免疫学の基礎』では「主要組織適合抗原系」という表現を用いている。羊土社『理系総合のための生命科学』では、「主要組織適合性複合体」を用いている。
※ 余談だが、ヒトのHLA遺伝子の場所は解明されており、第6染色体に6対の領域(つまり12か所の領域)があることが分かっている。高校教科書でも図表などで紹介されている(※ 数年出版や第一学習者の教科書など)。(※ 入試にはまず出ないだろうから、暗記しないくて良いだろう。)
いきなり「HLA遺伝子」と言う用語を使ったが、もちろん意味は、HLAを発現する遺伝子のことである。HLA遺伝子の対立遺伝子の数はけっこう多く、そのため、血縁者ではない他人どうしでは、まず一致しないのが通常である(※ 参考文献: 数研出版の教科書)、と考えられている。いっぽう、一卵性双生児では、HLAは一致する(※ 啓林館の教科書)、と考えられている。
(※ 範囲外 :) 医学的な背景として、一卵性双生児では、移植手術の拒絶反応が起きづらいことが、実験的事実であるとして、知られている。
また、医学書などでは、このような一卵性双生児の拒絶反応の起きづらい理由として、MHCが一致しているからだ、と結論づけている(※ 専門書による確認: 『標準免疫学』(医学書院、第3版、42ページ、ページ左段) に、MHCが同じ一卵性双生児では移植の拒絶反応が起きないという主旨の記述あり。)
高校教科書の啓林館の教科書が、一卵性双生児にこだわるのは、こういう医学的な背景があるためだろう。
なお、移植手術の歴史は以外と新しく、1950年代に人類初の、ヒトの移植手術が行われている。いっぽう、MHCの発見は、1940年代にマウスのMHC(マウスの場合はH-2抗原という)が発見されていた。


MHCあれこれ(※ 範囲外)

※ MHCの話題のコラムが2つありますが、長いので分割したからです。

※ 余談: (※ 覚えなくていい。一部の教科書にある発展的な記述。)
MHCが糖タンパク質であることが分かっている(※ 数研出版の教科書で紹介)。

MHCの主な働きとして、移植などにおける自他の区別のほかにも、もう一つ別の働きがあり、それはT細胞に抗原ペプチドを情報伝達する役割がある。

(※ 検定教科書にあまり無い話題)B細胞は、単独で抗原と結合する事ができる。一方、T細胞は単独では結合できない(というのが定説である)[13]

MHCをもつ一般の細胞は、病原体や非自己の有機物が入ってきたとき、それを分解して得られたタンパク質をMHCの上に乗せる。MHCに非自己のタンパク質が乗ったとき、T細胞側の受容体が、MHC と MHCの乗ったタンパク質 を抗原として認識する。

T細胞は、MHCによって、病原菌などの抗原を分解したペプチド(小分子のタンパク質)分子がMHC分子の溝にハマって細胞外に露出しており、T細胞はそうしてMHCに提示された「抗原ペプチド」を認識する仕組みにより、T細胞が抗原を認識する事が分かっている。


さて、MHCには主に2種類あり、クラスIとクラスIIに分類される(※ 数研出版の教科書で図中でのみ紹介)。

(※ 出版社名不明: )MHCクラスIは主にキラーT細胞によって認識される。MHCクラスIIは、主にヘルパーT細胞によって認識される。

MHCクラスIは、ほとんどすべての有核細胞に存在する。

いっぽう、KHCクラスIIは、マクロファージ や 樹状細胞 や B細胞 や 胸腺上皮細胞 などに存在している。どうやらMHCクラスIIは、主に抗原提示細胞に存在していると思われている(と、どこかの検定教科書が言っているらしい)。

(※ 範囲外 :)なお、なぜ、このようにMHCによる免疫の機構がクラスIとクラスIIに分かれているかというと、一説だが、たとえばマクロファージなどの食細胞は病原体も食べて病原体を分解してペプチド化してT細胞にペプチド断片を提示するのだが、もし(背理法の論法だが)ナイーブT細胞がマクロファージの食べた病原体の残骸をみてマクロファージを「こいつは病原体に感染した細胞だな。なので殺そう。」と誤って認識してしまいナイーブT細胞がキラーT細胞に変化してしまうと、(現実には起きないが、背理法的に)マクロファージがどんどん殺されてしまい、自然免疫を成さなくなって不合理だから・・・、なので不合理を避けるために、マクロファージなど食細胞はナイーブT細胞を活性化しづらい仕組みになっているのだろう、・・・というような感じの仮説もある[14]。そのための仕組みとして、食細胞などはMHCのクラスが他の一般細胞のMHCとは別クラスになっているという学説である。ただし、樹状細胞にはMHCクラスIIのほかにMHCクラスIもあるので、キラーT細胞は樹状細胞も殺すことが分かっている。一見すると樹状細胞が殺されるには不合理のように見えるが、炎症を抑えるメカニズムだろうという学説がある。
B細胞のMHCが(マクロファージと同様に)クラスIIなのも、おそらく上述のマクロファージや樹状細胞の理屈と関係があるのだろう、・・・という学説がある。
(※ 小まとめ. )つまり、ほとんどすべての有核細胞は、キラーT細胞が、その細胞を(おそらくだが目的としては、キラーTが攻撃すべきかどうかの判定のために)認識することが、MHCクラスI分子によって可能であることになるだろう。

発達中のT細胞は胸腺で発達するが、胸腺皮質上皮細胞にはもMHCがあるのだが、なんと胸腺皮質上皮細胞のMHCクラスIと反応するT細胞はキラーT細胞になり、胸腺上皮のMHCクラスIIと反応するT細胞がヘルパーT細胞になる[15][16]という事まで、現在では解明されている。

上述のように、T細胞には、MHCを認識する受容体がある。なお、T細胞には、さらに多くの種類の受容体があり、MHCを認識する受容体以外にも、異なる機能をもった受容体が、いくつもある。

T細胞に存在する、抗原を認識する受容体のことをT細胞受容体(TCR)という。(※ いちおう、東京書籍と第一学習社の高校教科書にTCRの紹介があるが、他社の教科書には見られない。

MHCの先端には、体内に侵入してきた病原体など有機の異物のタンパク質を分解した断片が、くっつけられ、提示される仕組みであり、(※ 第一学習社の教科書で紹介)「ペプチドMHC分子複合体」という。(ここでいう「ペプチド」とは、(タンパク質を構成している単位物質である)アミノ酸からなる化合物というような意味かと。)※ 東京書籍『生物』(専門生物)でも、用語は無いが、同等の機構を本文で紹介。
(※ 範囲外: )「MHC」の用語の意味が20世紀の21世紀で若干変わり、MHCとは昔は(拒絶反応などに関わる)遺伝子のことだったので、(拒絶反応などに関わる)タンパク質のことを言う場合には、区別して(タンパク質のほうを)「MHC分子」というようになった。


この「ペプチドMHC分子複合体」によって、MHCからT細胞に情報を送る仕組みである(クラス1もクラス2も、ヘルパーTかキラーTかの違いはあるが、送る先はともにT細胞である)。そして、有機の異物が侵入してない場合にも、MHCの先端には自己のタンパク質を分解した断片(いわゆる「自己ペプチド」)がくっつけられており、提示されている。自己タンパク質断片の提示される場合では、T細胞は提示された細胞を自己と認識するので、その場合にはT細胞は活性化されないという仕組みである。


その他

輸血のための血液を集める際、実は放射線を輸血バッグに照射してで輸血のT細胞などを殺している[17]


「T細胞受容体」
(※ ほぼ範囲外)
※ じつは「T細胞受容体」「TCR」の意味が、まだ専門家どうしにも統一していないようだ。現状、大きく分けて2種類の意味がある。
・意味1: 文字通り、T細胞にある、抗原を認識するための受容体の総称。・・・という意味
・意味2: MHCを認識する種類の受容体。・・・という意味

高校の検定教科書(東書、第一)では、主に「MHCを認識する種類の受容体。」の意味で使われている。

※ 高校卒業以降の生物学の勉強のさいは、どちらの意味なのか、文脈から判断すること。大学レベルの教科書などを見ると、たとえば書籍の最初のほうではMHCを認識するタンパク質の意味として「TCR」を使っていたのに、書籍中の後半部で、T細胞の受容体の総称としての意味に「TCR」が変わっていたりする場合もある。(このように、意味が不統一なので、おそらく、あまり入試にTCRは出ないだろう。もし出るとしても、ここは暗記の必要は無いだろう。)


  • ツベルクリン反応

結核菌のタンパク質を投与して、結核菌に対しての免疫記憶があるかどうかを検査するのがツベルクリン反応検査である。 結核菌への免疫があれば、炎症が起こり、赤く腫れる。この反応は細胞性免疫であり、ヘルパーT細胞やマクロファージの働きによるものである。

ツベルクリン反応をされて、赤く腫れる場合が陽性である。いっぽう、赤く腫れない場合が陰性である。

陰性のヒトは免疫が無いので、結核に感染する可能性があり、そのため免疫を獲得させるために弱毒化した結核菌が投与される。

BCGとは、この弱毒化した結核菌のことである。(つまり、結核のワクチンが、BCGワクチンである。なお「ツベルクリン」とは、ワクチンではなく、(「ツベルクリン」とは)結核診断のための(結核由来タンパク質を注射するなどの)検査方法[18]のことである。)


  • インターロイキン (※ 実教出版『生物基礎』(平成24年検定版、147ページ)にインターロイキンの説明をするコラムあり。数研出版と啓林館の専門生物(生物II)にも、記述あり。)

免疫細胞では、インターロイキン(interleukin)というタンパク質が、主に情報伝達物質として働いている。インターロイキンには、多くの種類がある。

インターロイキンのうち、いくつかの種類のものについては、ヘルパーT細胞からインターロイキンが放出されており、免疫に関する情報伝達をしている。

体液性免疫では、ヘルパーT細胞から(ある種類の)インターロイキンが放出されて、B細胞に情報が伝わっている。こうしてB細胞は抗体産生細胞に変化する。

(※ 範囲外: )マウス実験により、X線照射でリンパ球を不活化することで免疫系を破壊したマウスに、外部からB細胞のみマウスに移植のグループ、T細胞のみ移植のグループ、B細胞とT細胞を移植のグループとの比較実験を行った結果、B細胞のみを移植してもマウスは抗体は産生されず、T細胞のみの移植でも抗体は産生されず、B細胞とT細胞の両方を移植しないとマウスに抗体が産生されない事が、実験的にも確認されている[19]。このように、B細胞の機能の発言には、T細胞も必要である。


細胞性免疫では、ヘルパーT細胞が(ある種類の)インターロイキンを放出し、キラーT細胞やマクロファージなどに情報が伝わる。


なお、名前の似ている「インターフェロン」という物質があるが、これはウイルスに感染した細胞から放出され、周囲の未感染細胞にウイルスの増殖を抑える物質を作らせる。(※ チャート式生物(平成26年版)の範囲。)


  • 樹状細胞などの抗原提示について
MHCとT細胞受容体

マクロファージや樹状細胞も、病原体などを分解して、そのタンパク質断片を(マクロファージや樹状細胞の)細胞表面で抗原提示をして、ヘルパーT細胞を活性化する、・・・と考えられている。(※ 検定教科書では、MHCかどうかは、触れられてない。)

(※ まだ新しい分野でもあり、未解明のことも多く、高校生は、この分野には、あまり深入りしないほうが安全だろう。)

免疫記憶
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T細胞やB細胞の一部は攻撃に参加せず、記憶細胞として残り、抗原の記憶を維持する。そのため、もし同じ抗原が侵入しても、1回目の免疫反応よりも、すばやく認識でき、すばやくT細胞やB細胞などを増殖・分化できる。 このため、すぐに、より強い、免疫が発揮できる。

これを免疫記憶(immunological memory)と呼ぶ。

一度かかった感染病には、再びは、かかりにくくなる。 これはリンパ球の一部が免疫記憶として病原体の情報を記憶しているためである。

免疫記憶は予防接種としても利用されている。

免疫寛容
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免疫は、個体が未熟なときから存在する。成熟の課程で、リンパ球(T細胞)は、いったん多くの種類が作られ、あらゆる抗原に対応するので、自己の細胞も抗原と認識してしまうリンパ球もできる。いったん自分自身に免疫が働かないように、しかし、自己と反応したリンパ球は死んでいくので、個体の成熟の課程で、自己を排除しようとする不適切なリンパ球は取り除かれる。そして最終的に、自己とは反応しないリンパ球のみが、生き残る。

こうして、成熟の課程で、自己に対しての免疫が抑制される仕組みを免疫寛容(めんえき かんよう)という。

免疫寛容について、下記のことが分かっている。


まず、そもそも、T細胞もB細胞も、おおもとの原料となる細胞は、骨髄でつくられる。つまりリンパ球はすべて骨髄で作られる(※ 2015年センター試験の専門『生物』本試験でこういう問い方をしている)。

骨髄で作られた未成熟T細胞は、血流にのって胸腺まで運ばれ、胸腺でT細胞として分化・増殖する。

膨大なT細胞が作られる際、いったん、あらゆる抗原に対応できるようにT細胞がつくられるので、作られたT細胞のなかには自己の細胞を抗原として認識してしまうものも存在している。

しかし、分化・成熟の過程で、自己を攻撃してしまうT細胞があれば、その(自己を攻撃する)T細胞は胸腺で取り除かれる。

このようにして、免疫寛容が達成される。

このように、T細胞は胸腺に由来する。いっぽう、B細胞は胸腺には由来していない、と考えられている(※ B細胞の由来については検定教科書には明記されてないが、センター試験がこの見解。2016年生物基礎の追試験)。

免疫の利用

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予防接種
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殺しておいた病原体、あるいは無毒化や弱毒化させておいた病原体などをワクチンという。このワクチンを、人間に接種すると、もとの病気に対しての抗体と免疫記憶を作らせることができるので、病気の予防になる。こうしてワクチンを接種して病気を予防することを予防接種という。

ワクチン療法の元祖は、18世紀なかばの医師ジェンナーによる、牛痘(ぎゅうとう)を利用した、天然痘(てんねんとう)の予防である。

天然痘は、死亡率が高く、ある世紀では、ヨーロッパ全土で100年間あたり6000万人もの人が死亡したとも言われている。天然痘はウイルスであることが、現在では知られている。

牛痘は牛に感染するが、人間にも感染する。人間に感染した場合、天然痘よりも症状は比較的軽い。 当事のヨーロッパで牛痘に感染した人は、天然痘には感染しにくい事が知られており、また牛痘に感染した人は天然痘に感染しても症状が軽い事が知られていた。このような話をジェンナーも聞いたようであり、牛の乳搾りをしていた農夫の女から聞いたらしい。

ジェンナーは、牛痘に感染した牛の膿を人間に接種することで、天然痘を予防する方法を開発した。

さらに19世紀末にパスツールがワクチンの手法を改良し、天然痘のワクチンを改良するとともに、狂犬病のワクチンなどを開発していった。 狂犬病はウイルスである。

現在では、天然痘のDNAおよび牛痘のDNAの解析がされており、天然痘と牛痘とは塩基配列が似ていることが分かっている。

1980年、世界保健機関(WHO)は、天然痘の根絶宣言を出した。


現在ではインフルエンザの予防にもワクチンが用いられている。インフルエンザには多くの型があり、年によって、流行している型がさまざまである。流行している型とは他の型のワクチンを接種しても、効果が無いのが普通である。

インフルエンザの感染は、鳥やブタやウマなどにも感染するのであり、けっしてヒトだけに感染するのではない。

インフルエンザはウイルスであり、細菌ではない。

インフルエンザのワクチンは、ニワトリの卵(鶏卵)の中で、インフルエンザウイルスを培養させた後、これを薬品処理して無毒化したものをワクチンとしている。このように薬品などで病原体を殺してあるワクチンを不活化ワクチンという。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンである。いっぽう、結核の予防に用いられるBCGワクチンは、生きた弱毒結核菌である。BCGのように生きたワクチンを生ワクチンという。

1918年に世界的に流行したスペイン風邪も、インフルエンザである。

インフルエンザは変異しやすく、ブタなどに感染したインフルエンザが変異して、人間にも感染するようになる場合もある。

血清療法
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ウマやウサギなどの動物に、弱毒化した病原体や、弱毒化した毒素などを投与し、その抗体を作らせる。その動物の血液の中には、抗体が多量に含まれることになる。

血液を採取し、そして血球やフィブリンなどを分離し、血清を回収すると、その血清の中に抗体が含まれている。

マムシやハブなどの毒ヘビにかまれた場合の治療として、これらのヘビ毒に対応した血清の注射が用いられている。このように血清をもちいた治療法を血清療法(けっせいりょうほう)という。血清療法は、免疫記憶は作らないので、予防には役立たない。予防ではなく治療のために血清療法を行う。

ヘビ毒以外には、破傷風(はしょうふう)やジフテリアなどの治療にも血清が用いられる。

血清療法は、1890年ごろ、北里柴三郎が開発した。

白血病と骨髄移植
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(未記述)

病気と免疫

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アレルギー
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抗原抗体反応が過剰に起こることをアレルギー(allergy)と呼ぶ。スギ花粉などが原因で起きる花粉症もアレルギーの一つである。

アレルギーを引き起こす抗原をアレルゲン(allergen)と呼ぶ。

アレルギーのよって、じんましんが起きるきともある。

ヒトによっては卵やソバやピーナッツなどの食品もアレルゲンになりうる。、

ダニやホコリなどもアレルゲンになりうる。


抗原抗体反応によって、呼吸困難や血圧低下などの強い症状が起きる場合もあり、または全身に炎症などの症状が現れたりする場合もあり、このような現象をアナフィラキシーという。

(つまり、アレルギー反応によって、呼吸困難や血圧低下などの強い症状が起きる場合や、または全身に炎症などの症状が現れたりする場合もあり、このような現象をアナフィラキシーという。)

ハチ毒で、まれにアナフィラキシーが起きる場合がある。ペニシリンなどの薬剤でもアナフィラキシーが起きる場合がある。

※ 「アナフィラキシー・ショック」(anaphylactic shock)と書いても、正しい。(※ 東京書籍の検定教科書『生物基礎』平成23年検定版、124ページでは「アナフィラキシーショック」の用語で紹介している。)


また、医学用語でも「アナフィラキシーショック」は使われる。(※ 参考文献: 医学書院『標準生理学 第8版』、657ページ、監修: 小澤 瀞司/福田 康一郎、発行:2015年8月1日。 『標準生理学』にて「アナフィラキシーショック」の用語を利用している。)

※ 「アナフィラキシー」の結果が、血圧低下なのか、それとも炎症なのかの説明が、検定教科書でもハッキリしていない。東京書籍の教科書では、全身の炎症を「アナフィラキシーショック」の症状として説明している。だが実教出版では、血圧低下や呼吸困難を、「アナフィラキシー」の結果としているし、「アナフィラキシーショック」とはアナフィラキシーの重症化した症状だと(実教出版は)説明している。


※ 「ショック」という用語が医学用語で意味をもつが、高校理科の範囲外なので、あまり「アナフィラキシーショック」の用語には深入りしなくていい。「アナフィラキシー」で覚えておけば、大学入試対策では、じゅうぶんだろう。
医学などでも、語尾に「ショック」のついてない「アナフィラキシー」という表現もよく使われるので、高校生は「アナフィラキシー」、「アナフィラキシーショック」の両方の言い回しとも覚えておこう。

エイズ後天性免疫不全症候群AIDS)の原因であるHIVヒト免疫不全ウイルス)というウイルスは、ヘルパーT細胞に感染して、ヘルパーT細胞を破壊する。ヘルパーT細胞は免疫をつかさどる細胞である。そのため、エイズ患者の免疫機能が壊れ、さまざまな病原体に感染しやすくなってしまう。エイズ患者ではヘルパーT細胞が壊れているため、B細胞が抗体をつくることが出来ない。

ふつうのヒトでは発病しない弱毒の病原体でも、エイズ患者では免疫機能が無いため発症することもあり、このことを日和見感染(ひよりみ かんせん、opportunistic infection)という。

HIVとは Human Immunodeficiency Virus の略。 AIDSとは Acquired Immune Deficiency Syndrome の略。

HIVの遺伝子は変化をしやすく、そのため抗体を作成しても、遺伝子が変化しているので効果が無く、ワクチンが効かない。開発されているエイズ治療薬は、ウイルスの増加を抑えるだけである。

よって、予防が大事である。

自己免疫疾患
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自己の組織や器官に対して、免疫が働いてしまい、その結果、病気が起きることを自己免疫疾患という。

関節リウマチ(rheumatoid arthritis)、重症筋無力症(myasthenia gravis)は自己免疫疾患である。I型糖尿病も自己免疫疾患である。

(※ ほぼ範囲外?)甲状腺ホルモンの分泌過剰の病気であるバセドウ病(Basedow's Disease)の原因は、おそらく自己免疫疾患という説が有力である。書籍によってはバセドウ病は自己免疫疾患だと断定している。
自己免疫疾患で、自己の甲状腺刺激ホルモンに対して抗体が作られてしまい、その抗体が甲状腺刺激ホルモンと似た作用を示し、抗体が甲状腺の受容体と結合して甲状腺ホルモンが過剰に分泌される、という仕組みがバセドウ病の原因として有力である。
バセドウ病の症状では、眼球が突出するという症状がある。

その他

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ヒトの汗や鼻水や涙にはリゾチームという酵素があり、リゾチームは細菌の細胞壁を破壊する。[20]

※ セキツイ動物だけでなく、昆虫の体液からもリゾチームは発見されている[21]。どうやら、動物全般に共通的に存在する自然免疫機構のひとつのようである。
(※ 範囲外) 「T細胞」と「B細胞」の名前の由来
※ 啓発林館の生物基礎など。

「T細胞」のTの語源は胸腺(Thymus)である。

「B細胞」の語源は、ニワトリなど鳥類にあるファブリキウス嚢(Bursa of Fabricus)である。研究の当初、まずニワトリのファブリキウス嚢が、ニワトリでは抗体産生に必要なことがわかった。また、ファブリキウス嚢を失ったニワトリは、抗体産生をしないことも分かった。

のちに、哺乳類では骨髄(Bone Marrow)でB細胞がつくられることが分かったが、偶然、Boneも頭文字がBであったので、名前を変える必要は無かったので、現代でもそのままB細胞と呼ばれている。

なお、動物実験で、ニワトリの(ファブリキウス嚢ではなく)胸腺を摘出した場合、この胸腺なしニワトリに(他の個体の皮膚を)皮膚移植をすれば他の個体の皮膚が定着する。

あるいは遺伝的に胸腺の無いヌードマウスなど、胸腺の無い個体の場合、拒絶反応が起きない。(第一学習社の「生物基礎」教科書で、遺伝的に胸腺の無いヌードマウスの皮膚移植を紹介。)


ナチュラルキラー細胞(※ 範囲外:)
(※ 教科書にあまり無い話題: )
※ 実教出版の『生物基礎』(平成24年検定版、145ページ)に、「NK細胞」と名前だけ紹介されている。
※ 東京書籍『生物基礎』(平成23年検定済み)で、「ナチュラルキラー細胞」と紹介。
チャート式にも、いちおう名前だけ紹介されている。
※ 第一学習社『新生物基礎』で図表で紹介されている。

T細胞やB細胞とは別に、さらに「ナチュラルキラー細胞」(NK細胞)というのがリンパ球に含まれており、1970年代にナチュラルキラー細胞が発見されたが、まだよく解明されていない。

キラーT細胞などとの違いとしては、(ナチュラルキラー細胞でない単なる)T細胞なら別の免疫細胞によって抗原提示されてからT細胞が攻撃する。

(※ 実教および東京書籍の教科書にある記述)移植手術の際に、もし、家族でも何でもない他人の皮膚を移植すると脱落する拒絶反応が起きるのも、T細胞のほかNK細胞が移植片を攻撃するからである(という実教出版および東京書籍の見解)。

一方でナチュラルキラー細胞は、どうやら、なんの抗原提示を受けなくても、病原体感染細胞やガン細胞などを(ナチュラルキラー細胞が)攻撃するように観察されているので、「生まれつきの殺し屋」みたいな意味で、このような名前がついている。

※ 実教出版の教科書でも、T細胞の指示を受けずにNK細胞がガン細胞を攻撃することを説明している。(実教出版『生物基礎』(平成24年検定版、145ページ))

このためか分類上では、ナチュラルキラー細胞は自然免疫の細胞であると分類されている[22]。だが、論文などでは、ナチュラルキラー細胞が場合によっては獲得免疫に似た免疫記憶の性質を持つ場合もあるとも報告されており[23]、まだ未解明であり、よく分かってない。

(※ なお、現在では、ナチュラルキラー細胞の働きを抑制する受容体なども相手先の体内の細胞側に発見されており(抑制性NKレセプター[24])、NK細胞が本当に生まれつきナチュラルに殺す細胞かどうかは、検討の余地がある。)

とりあえず確実なこととして、T細胞やB細胞のほかに、ナチュラルキラー細胞というの発見されているのは事実である。

ナチュラルキラー細胞は、おそらくアポトーシスとも関連があるだろうとも見られている[25]

この他、キラーT細胞もアポトーシスに関連しているとされる[26]


なお、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)というものも、発見されている。

NKT細胞とT細胞の違いとして、(一般の)T細胞やB細胞は糖タンパク質を抗原として認識するが、一方でナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)は糖脂質を抗原として認識する[27]という、抗原の違いがあり、興味をもたれている[28]

NK細胞

(NKTでなく)ナチュラルキラ-細胞(NK細胞)は、MHCクラスI分子を持たない細胞(ミッシングセルフ細胞)を攻撃することが知られている。(どうやら、ガン細胞や病原体感染細胞などの異常細胞を攻撃するための仕組みであろう、と考えられている。)

実際、遺伝子操作されたマウスなどの動物実験などにより、ナチュラルキラー細胞を欠損したマウスでは、ガン発生率が確実に上昇している事が確認されている[29]

また、試験管内の実験でも、NK細胞がガン細胞を殺傷する事が確認されている[30]

NK細胞の抑制性レセプターとは、このMHCクラスI分子と、NK細胞との結合部分のことであろう、と考えられている。


NKT細胞

動物実験によると、NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)を欠損したマウスは、病原体を除いた特殊環境(SPF環境)で飼育しないかぎり、乳幼児期にすべて死に絶えてしまう[31]

NK細胞はガンを殺傷するが、NKT細胞もガンを殺傷することが動物実験により分かっている。ある動物実験(マウス実験)では、化学発がん性物質メチルコナントレンをマウスに注射して人為的にマウスをガン化させようとする実験を試したところ、NKT欠損マウスは、NKTのあるマウよりも3~5倍も発ガン率が高かったという報告がある[32]


セットポイント
※ 第一学習社の『新生物基礎』教科書で、セットポイントという用語を使わずに、風邪の際の発熱の仕組みを説明。
概略であるので、あの人体図は無い。「視床下部」などの用語で説明する。
※ 調査中 ※


「MHC分子」や「MHC遺伝子」などの用語
MHCとT細胞受容体

検定教科書には、あまり無い用語なのだが、入試過去問などでMHCについて、「MHC分子」および「MHC遺伝子」という用語がある。(※ 旺文社の標準問題精講あたりで発見。実は実教出版の検定教科書『生物基礎』に「MHC分子」だけ用語がある。)

この用語はどういう意味かと言うと、「MHC分子」とは、MHCの機能の受容体などに相当する、細胞膜表面のタンパク質のことである。

検定教科書や参考書のイラストなどで、細胞膜の表面にある受容体のようなものによく(※ 正確には、受容体ではなく、MHCの結合相手のT細胞受容体に結合する「リガンド」(※ 大学生物学の用語なので暗記は不要)だが)、単に「MHC」と明記してあるが、「MHC分子」とはその受容体っぽいものの事である。つまり、教科書イラストにある「MHC」が「MHC分子」の事である。

数研出版『生物基礎』の教科書では、「MHC抗原」と言ってる部分が、実教出版のいう「MHC分子」のことである。なお、東京書籍『生物』(専門生物)では、「MHCタンパク質」と言ってる部分でもある。

つまり、公式っぽくイコール記号で表せば

MHC抗原 = MHC分子 = MHCタンパク質

となる。

「分子」と言っても、けっして化学のH2O分子とかCO2分子のような意味ではない。

なお、第一学習社(教科書会社のひとつ)の専門『生物』の検定教科書では、単に「MHC」の3文字だけでMHC分子の事として言っているので、高校教育用語としては「MHC」だけでMHC分子の事を呼んでも正しい(でないと、教科書検定に、第一学習社の教科書が通らない)。


いっぽう、「MHC遺伝子」とは、MHC分子を作らせる遺伝子のこと。


歴史的には、「MHC」は用語の意味が微妙に変わっていき、もともとの「MHC」の意味は今で言う「MHC遺伝子」の意味だったのだが、しかし、次第に研究が進んだり普及するうちに、「MHC」だけだと読み手に混乱を起こすので、日本では意味に応じて「MHC分子」または「MHC遺伝子」などと使い分けるようになっている。

細胞膜のMHCのタンパク質部分の呼び名は英語が MHC molecule という言い方が主流なので、それを直訳すると「MHC分子」になるのだが(大学教科書でも「MHC分子」と表現している教材が多い)、しかしハッキリ言って、「分子」という表現は(少なくとも日本では、)やや誤解を招きやすい。(だから日本の高校教科書では、「MHC抗原」とか「MHCタンパク質」とか、いくつかの出版社がそういう言い方にしているのだろう。

なお、グーグル検索すると、 MHC antigen (直訳すると MHC 抗原)という表現も少々、出てくる。


さて、専門書だと、遺伝子のほうを単に「MHC」でゴリ押ししている書籍もあるが、しかし高校生むけの教材なら、遺伝子のほうを表すなら「MHC遺伝子」と説明するほうが合理的だろう。(だから旺文社の参考書でも「MHC遺伝子」表記になっているわけだ。)

(※ 参考:) RNA干渉

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近年、分子生物学の分野で「RNA干渉」という現象が知られており、一説ではそれが免疫と関連あるのでは?という仮説も提唱されている。

※ 「RNA干渉」自体は高校でも習う。
※ RNA干渉と免疫との関係説は、大学の範囲。大学でも、免疫学の専門書を読んでも習わない場合がある(たとえば医学免疫学の専門書には書かれてない)。
※ RNA干渉および、それと免疫の関係について、wikibooksでは『高等学校生物/生物II/遺伝情報の発現#発展:_RNA干渉』に解説がある。

参考文献など

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  1. ^ 『マンガでわかる免疫学』76ページ
  2. ^ 河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、170ページ
  3. ^ 大地陸男『生理学テキスト』、文光堂、2017年8月9日 第8版 第2刷 発行、235ページ
  4. ^ 小澤 瀞司/福田 康一郎 監修、医学書院『標準生理学 第8版』、2015年8月1日 第8版 第2刷発行、527ページ
  5. ^ 『比較免疫生物学の最近の展開』小野寺節, 423ページ
  6. ^ JEFFREY K.ACTOR 著、『免疫学・微生物学』東京化学同人、大沢利昭・今井康之 訳、2010年3月15日 第1版 発行、68ページ
  7. ^ JEFFREY K.ACTOR 著、『免疫学・微生物学』東京化学同人、大沢利昭・今井康之 訳、2010年3月15日 第1版 発行、68ページ
  8. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、2016年2月1日 第3版 第2刷、397ページ
  9. ^ 河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、170ページ
  10. ^ 浅島誠『生物基礎』東京書籍、平成26年2月発行、P.121
  11. ^ 吉田邦久『チャート式シリーズ要点と演習 新生物IB・II』東京書籍、P.121
  12. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、301ページ
  13. ^ 熊ノ郷淳ほか『免疫学コア講義』、南山堂、2019年3月25日 4版 2刷、63ページ
  14. ^ 河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、45ページ
  15. ^ 河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、103ページ
  16. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、163ページ
  17. ^ 河本宏『もっとよくわかる! 免疫学』、2018年5月30日 第8刷、198ページ
  18. ^ 岡崎勲ほか著『標準公衆衛生・社会医学 第2版』、医学書院、2009年3月1日 第2版 第1刷、187ページ
  19. ^ 小山次郎・大沢利昭 著『免疫学の基礎 第4版』、東京化学同人、2013年8月1日 第5刷、113ページ
  20. ^ 『生物基礎』東京書籍、p.114
  21. ^ 岩花秀典「昆虫の病原微生物に対する防御反応」582ページ
  22. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、202ページ
  23. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、218ページ
  24. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、22ページ
  25. ^ JEFFREY K.ACTOR 著、『免疫学・微生物学』東京化学同人、大沢利昭・今井康之 訳、2010年3月15日 第1版 発行、11ページ
  26. ^ JEFFREY K.ACTOR 著、『免疫学・微生物学』東京化学同人、大沢利昭・今井康之 訳、2010年3月15日 第1版 発行、31ページ
  27. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、22ページ
  28. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、22ページ
  29. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、215ページ
  30. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、215ページ
  31. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、226ページ
  32. ^ 宮坂昌之ほか『標準免疫学』、医学書院、第3版、235ページ