LLDは、LLVMプロジェクトの一部であり、LLVMのための高速かつ柔軟なリンカです。LLDは、さまざまなプラットフォームに対応したリンカとして設計されており、主にELF(UNIX)、Mach-O(macOS)、PE(Windows)形式のオブジェクトファイルを扱うことができます。

概要

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LLDは、LLVMツールチェーンの一環として動作し、他のLLVMコンポーネント(例:Clang)と連携して、効率的なバイナリ生成を支援します。LLDの主な目的は、従来のリンカよりも高速に、かつ小さなメモリフットプリントでオブジェクトファイルを結合し、実行可能なバイナリを生成することです。

特徴

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  • 高速なリンキング
    • LLDは、他のリンカと比較して非常に高速に動作することを目指しており、大規模なプロジェクトのビルド時間を短縮します。
  • 多様なフォーマットのサポート
    • ELF、Mach-O、PEなど、さまざまなオブジェクトファイルフォーマットに対応しており、異なるプラットフォームでの利用が可能です。
  • 柔軟なスクリプトサポート
    • LLDは、リンキングプロセスをカスタマイズできるスクリプトをサポートしており、開発者は特定の要件に合わせたリンキングを実現できます。
  • オープンソース
    • LLDはオープンソースプロジェクトであり、LLVMライセンスのもとで利用可能です。これにより、コミュニティの協力によって継続的に改善されています。

使用方法

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LLDは、通常のコマンドラインツールとして使用され、以下のように呼び出すことができます。

ld.lld [オプション] [オブジェクトファイル]

主なコマンドラインオプションの例は以下の通りです。

  • `-o <出力ファイル名>`: 出力ファイルの名前を指定します。
  • `-L <ライブラリパス>`: ライブラリの検索パスを追加します。
  • `-l <ライブラリ名>`: リンクするライブラリを指定します。
  • `--entry=<エントリポイント>`: プログラムのエントリポイントを指定します。

以下は、簡単な実行可能ファイルを生成するためのLLDの使用例です。

ld.lld -o hello hello.o

ここでは、`hello.o`というオブジェクトファイルをリンキングして、`hello`という実行可能ファイルを生成します。

パフォーマンス

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LLDは、特に大規模なプロジェクトにおいて、従来のリンカに比べて優れたパフォーマンスを発揮します。LLDの設計は、メモリの使用量を最小限に抑えつつ、効率的なアルゴリズムを採用しているため、リンキングプロセスが迅速に行われます。

開発とサポート

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LLDはLLVMプロジェクトの一部として、継続的に開発・改善が行われています。開発者は、LLVMの公式リポジトリを通じて、LLDのソースコードを取得したり、問題を報告したりできます。コミュニティの貢献によって、LLDは今後も進化し続けるでしょう。

参考リンク

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