Svelteは、JavaScriptフレームワークの一種で、リアクティブなUIを構築するためのものです。以下は、Svelteフレームワークの基本的なチュートリアルです。

Svelteとは

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Svelte(スヴェルト)は、リアクティブなWebアプリケーションを構築するための革新的なJavaScriptフレームワークです。他のフレームワークが実行時にブラウザで動作するJavaScriptコードを生成するのに対し、Svelteはコンパイル時に最適化されたバイナリコードを生成することが大きな特徴です。このアプローチにより、実行時のオーバーヘッドが削減され、軽量で高速なWebアプリケーションの構築が実現します。

Svelteの主な特徴と利点は以下のとおりです:

リアクティビティの組み込み
Svelteは、データの変更に応じて自動的にUIを更新するリアクティブな仕組みを提供します。変数の変更が即座にDOMに反映されるため、手動でDOMを操作する必要がなくなります。
コンパイル時の最適化
Svelteコンポーネントは、ビルド時に最適化されたJavaScriptコードに変換され、ブラウザにダウンロードされます。これにより、冗長な処理が削減され、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
単一ファイルコンポーネント
Svelteでは、HTML、CSS、およびJavaScriptが1つのコンポーネントファイルに統合されています。これにより、関連するコードが一箇所にまとまり、開発者がコードを理解しやすくなります。
シンプルな文法
Svelteは簡潔でわかりやすい文法を提供し、他のフレームワークと比較して学習コストが低いとされています。
成熟したエコシステム
Svelteには多くのプラグインやアドオンが存在し、開発プロセスをサポートします。これにより、より効率的な開発が可能になります。
仮想DOMを用いない実装
Svelteの最も重要な特徴の一つは、仮想DOMを使用せず、コンパイル時に直接DOM操作のコードを生成する点です。これにより、実行時のオーバーヘッドが排除され、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。Svelteは、データの変更があるときに必要な部分だけを直接更新するため、仮想DOMの差分計算が不要になり、処理が迅速になります。このアプローチは、特にパフォーマンスが重視されるアプリケーションにおいて大きなメリットをもたらします。

Svelteは、Vue.jsReact.jsなどの他のフレームワークとは異なるアプローチを取り、独自の利点を提供しています。デベロッパーが柔軟で効率的にリアクティブなWebアプリケーションを構築するために広く利用されています。

基本手順

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  1. Svelteのインストール
    まず、Svelteを使用するにはNode.jsが必要です。Node.jsをインストールした後、次のコマンドを実行してSvelteをグローバルにインストールします。
    npx degit sveltejs/template svelte-app
    cd svelte-app
    npm install
    
  2. プロジェクトのセットアップ
    プロジェクトのセットアップが完了したら、以下のコマンドでローカルサーバーを起動します。
    npm run dev
    
    デフォルトでは、http://localhost:8080 でアプリが起動します。
  3. Svelteコンポーネントの作成
    Svelteでは、.svelte 拡張子のファイルがコンポーネントを表します。例えば、App.svelte ファイルを作成し、以下のようなコードを追加します。
    App.svelte
    <script>
      let name = 'World';
    </script>
    
    <main>
      <h1>Hello {name}!</h1>
      <input bind:value={name} placeholder="Enter your name" />
    </main>
    
    <style>
      main {
        text-align: center;
        margin: 1em;
      }
    
      input {
        padding: 0.5em;
        margin: 0.5em;
      }
    </style>
    
  4. コンポーネントの使用
    src/main.js ファイルを開いて、以下のように変更します。
    src/main.js
    import App from './App.svelte';
    
    const app = new App({
      target: document.body,
      props: {
        name: 'Svelte',
      },
    });
    
    export default app;
    
  5. ビルドとデプロイ
    Svelteアプリケーションをビルドし、本番環境にデプロイするには、以下のコマンドを使用します。
    npm run build
    
    ビルドが成功すると、public フォルダ内に生成されたファイルが作成されます。これを適切なホスティングサービスにデプロイしてください。

ディレクトリツリー

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Svelteアプリケーションのディレクトリ構造は以下のようになります。この例は、Svelteのデフォルトテンプレートに基づいています。

svelte-app/
├── node_modules/
├── public/
│   ├── favicon.png
│   ├── global.css
│   └── index.html
├── src/
│   ├── components/
│   │   └── App.svelte
│   ├── App.svelte
│   ├── main.js
│   └── routes.js
├── .gitignore
├── package-lock.json
├── package.json
├── rollup.config.js
└── README.md

各ディレクトリおよびファイルの簡単な説明:

node_modules
Node.jsパッケージの依存関係が格納されるディレクトリ。
public
静的なファイルやビルドされたアプリケーションが配置されるディレクトリ。
favicon.png
アプリケーションのアイコンファイル。
global.css
グローバルなCSSスタイルが格納されるファイル。
index.html
アプリケーションのエントリーポイントとなるHTMLファイル。
src
ソースコードが格納されるディレクトリ。
components
Svelteコンポーネントが格納されるサブディレクトリ。
App.svelte
ルートコンポーネントとしての役割を果たすSvelteファイル。
main.js
アプリケーションのエントリーポイントで、Svelteアプリケーションを初期化してレンダリングします。
routes.js
アプリケーションのルーティングに関する定義が含まれるファイル。
.gitignore
Gitの無視設定が記述されたファイル。
package-lock.json
npmのパッケージの正確なバージョン情報が格納されるファイル。
package.json
プロジェクトのメタ情報や依存関係が記述されたファイル。
rollup.config.js
ビルドツールであるRollupの設定ファイル。
README.md
プロジェクトに関する説明やドキュメンテーションが記述されたファイル。

このディレクトリ構造は一般的なSvelteプロジェクトのものであり、プロジェクトのニーズに応じて調整が可能です。

TypeScriptを使う

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SvelteはTypeScript(TS)と統合された開発をサポートしています。Svelte 3以降、TypeScriptが公式にサポートされ、SvelteアプリケーションをTypeScriptで記述することが可能になりました。

以下は、SvelteとTypeScriptを組み合わせて使用する基本的な手順です。

  1. プロジェクトの作成
    Svelteプロジェクトを作成するには、公式のテンプレートを使用します。次のコマンドでテンプレートをクローンします。
    npx degit sveltejs/template svelte-app
    cd svelte-app
    
  2. TypeScriptの設定
    TypeScriptを導入するために、以下のコマンドを実行します。
    npm install --save-dev typescript
    
  3. TypeScriptの設定ファイル
    プロジェクトルートにtsconfig.jsonファイルを作成し、以下の設定を追加します。
    tsconfig.json
    {
      "compilerOptions": {
        "target": "es2017",
        "module": "esnext",
        "moduleResolution": "node",
        "strict": true,
        "jsx": "preserve",
        "esModuleInterop": true
      },
      "include": ["src/**/*"],
      "exclude": ["node_modules", "**/*.spec.ts"]
    }
    
  4. SvelteコンポーネントをTypeScriptにする
    Svelteコンポーネントファイルを.svelte 拡張子に加えて、スクリプト部分にTypeScriptコードを書くことができます。
    App.svelte
    <script lang="ts">
      let name: string = 'World';
    </script>
    
    <main>
      <h1>Hello {name}!</h1>
      <input bind:value={name} placeholder="Enter your name" />
    </main>
    
    <style>
      main {
        text-align: center;
        margin: 1em;
      }
    
      input {
        padding: 0.5em;
        margin: 0.5em;
      }
    </style>
    
  5. ビルドと実行
    TypeScriptの設定を行った後、以下のコマンドでアプリケーションをビルドし、実行します。
    npm run dev
    

TypeScriptを使用することで、型安全性を高め、開発の生産性を向上させることができます。

参考文献

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このチュートリアルでは、Svelteの基本的な使用方法とTypeScriptの統合を説明しました。Svelteを利用してリアクティブなWebアプリケーションを構築する際の参考にしてください。