TeX/BibTeX
< TeX
BibTeXは、主に学術文献の参照を管理し、LaTeXドキュメントで自動的に引用リストを生成するために使用されるツールとファイル形式です。特に学術論文や本の執筆において、効率的に文献管理を行いたいときに役立ちます。
特徴
編集- 文献データベース管理
- BibTeXファイル (
.bib
) に、文献の情報(著者名、タイトル、出版年、ジャーナル名、出版社など)を記述します。 - このデータベースをLaTeXドキュメントにリンクすることで、文中で引用を簡単に行うことができます。
- BibTeXファイル (
- 自動引用と文献リストの生成
- BibTeXでは引用スタイル(例: APA、IEEE、ACMなど)を指定でき、スタイルに基づいて文献リストを自動生成します。
- フォーマットの調整はBibTeXスタイルファイル(
.bst
)を変更することで可能です。
- 拡張性
- BibTeXはシンプルな構造で、さまざまなツール(Zotero、Mendeley、EndNoteなど)と連携できます。
.bib
ファイルを生成したり、インポートしたりする機能が広く提供されています。
BibTeXの構造
編集典型的なBibTeXエントリは次のような形式です:
@article{key, author = {First Author and Second Author}, title = {Title of the Article}, journal = {Journal Name}, year = {2025}, volume = {12}, number = {3}, pages = {45--67}, doi = {10.1234/example}, }
- エントリタイプ:
@article
(文献の種類を指定します。例:article
、book
、inproceedings
など) - キー:
key
は、この文献を参照する際の識別子です。 - フィールド:
author
、title
、year
などのフィールドに文献情報を記述します。
使用方法
編集- BibTeXファイルを作成
- 文献情報を記述した
.bib
ファイルを作成します。
- 文献情報を記述した
- LaTeXドキュメントで引用
.bib
ファイルをLaTeXで読み込むために、以下のコマンドを使用します:
\bibliography{filename} % filename.bib \bibliographystyle{style} % style.bst
- 文中で文献を引用
- 文中で
\cite{key}
を使って文献を引用します:
As mentioned in \cite{key}, ...
- 文中で
- コンパイル
- BibTeXを使ったコンパイルの手順:
latex
コマンドでLaTeXファイルをコンパイルbibtex
コマンドで.bib
ファイルを処理- 再び
latex
を2回実行して文献リストを生成
- BibTeXを使ったコンパイルの手順:
エントリタイプの例
編集以下は代表的なBibTeXエントリタイプです:
エントリタイプ 説明 @article
学術誌や雑誌の記事 @book
書籍全体 @inbook
書籍内の章やセクション @inproceedings
会議録やシンポジウムの論文 @techreport
技術報告書 @misc
その他(ブログ、ウェブページなど) @phdthesis
博士論文 @mastersthesis
修士論文
利点
編集- 引用スタイルの変更が簡単。
- 複数の文書間で同じ文献データベースを使い回せる。
- 手動で文献リストをフォーマットする必要がない。
欠点
編集- LaTeX環境に慣れていないと最初は難しく感じる。
- 複雑なスタイル変更は
.bst
ファイルの編集が必要になる。
関連ツール
編集- BibTeX管理ツール
- Zotero、Mendeley、JabRefなどでBibTeXファイルを管理可能。
- 代替ツール
- BibLaTeX: BibTeXの拡張版で、より柔軟なスタイル管理が可能。