Unixソケットプログラミング/通信の全体像

通信の全体像

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   サーバー側        クライアント側   
ソケットの起動と初期化        socket() socket()
ソケットにアドレス登録 bind
クライアントからの通信待ち listen
クライアントがサーバに接続 ↓ ------------------------- connect
受付可能の状態でサーバ待機 accept -------------------------
データ送受信 write() / read() -------------- write() / read()
データ送受信停止と通信切断 close() close()


骨格となるコード

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ソケットを作るだけのプログラム
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <sys/socket.h>

int main() {
    int socket_descriptor = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);

    if (socket_descriptor < 0) {
        perror("Socket creation failed");
        return 1;
    } else {
        printf("Socket created successfully\n");
    }

    close(socket_descriptor);

    return 0;
}

このコードは、ソケットを作成し、エラーハンドリングを行いながらその結果を表示する簡単なCプログラムです。

以下はコードの詳細な解説です:

ヘッダーファイルのインクルード
  1. include <stdio.h>: 標準入出力関連の関数やデータ型を使用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
  2. include <stdlib.h>: 標準ライブラリ関連の関数やデータ型を使用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
  3. include <sys/socket.h>: ソケット関連の関数やデータ型を使用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
ソケットディスクリプタの宣言と初期化
int socket_descriptor = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);
ソケットディスクリプタを整数型の変数 socket_descriptor として宣言し、socket 関数を呼び出して新しいソケットを作成します。AF_INET はIPv4のアドレスファミリを指定し、SOCK_STREAM はTCPソケットを指定します。最後の引数 0 は通常使用されません。
エラーチェック
if (socket_descriptor < 0) { ... }
socket 関数がエラーを返すと、socket_descriptor は負の値となります。この条件文は、ソケットの作成に失敗した場合の処理を行います。
エラーハンドリング
perror("Socket creation failed");
perror 関数を使用してエラーメッセージを表示します。これにより、ソケットの作成に失敗した場合にエラーメッセージが表示されます。
成功時の処理
printf("Socket created successfully\n");
ソケットの作成が成功した場合、成功メッセージが表示されます。
ソケットディスクリプタのクローズ
close(socket_descriptor);
ソケットディスクリプタをクリーンアップするために close 関数を使用します。これにより、不要なリソースの解放が行われます。
プログラムの終了
return 0;
プログラムが正常に終了したことを示すために、0を返して終了します。

このプログラムは、ソケットの作成に成功したかどうかを確認し、エラーが発生した場合にエラーメッセージを表示するシンプルな例です。ソケットの作成後、適切にクローズすることにより、リソースリークを防ぎます。

よくある典型的な入門的プログラム例

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クライアント側
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
#include <unistd.h>
#include <arpa/inet.h>

int main() {
    int client_socket;
    struct sockaddr_in server_addr;
    char buffer[32];
    int data_received;

    // ソケットの作成
    client_socket = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);
    if (client_socket == -1) {
        perror("ソケットの作成に失敗しました");
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    // 接続先サーバーの設定
    server_addr.sin_family = AF_INET;
    server_addr.sin_port = htons(11111); // サーバーのポート番号(例: 11111)
    server_addr.sin_addr.s_addr = inet_addr("127.0.0.1"); // サーバーのIPアドレス

    // サーバーに接続
    if (connect(client_socket, (struct sockaddr *)&server_addr, sizeof(server_addr)) == -1) {
        perror("サーバーへの接続に失敗しました");
        close(client_socket);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    // サーバーからデータを受信
    memset(buffer, 0, sizeof(buffer));
    data_received = read(client_socket, buffer, sizeof(buffer));

    if (data_received == -1) {
        perror("データの受信に失敗しました");
    } else {
        printf("受信したデータ: %s\n", buffer);
    }

    // ソケットの終了
    close(client_socket);

    return 0;
}

このCプログラムは、ソケットを使用してリモートサーバーに接続し、データを受信する基本的なクライアントプログラムです。

以下はプログラムの主要な要点についての解説です:

必要なヘッダーファイルのインクルード
stdio.h, stdlib.h, string.h: 標準入出力やメモリ操作関連の関数を利用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
sys/types.h, sys/socket.h, netinet/in.h: ソケット関連の関数やデータ型を使用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
unistd.h: クローズ関数を使用するためにヘッダーファイルをインクルードします。
arpa/inet.h: インターネットアドレス変換関連の関数を使用するためにヘッダーファイルをインクルードします。
変数の宣言
int client_socket: クライアントのソケットディスクリプタを格納する変数。
struct sockaddr_in server_addr: サーバーへの接続情報を格納する構造体。
char buffer[32]: 受信したデータを格納するためのバッファ。
int data_received: 受信したデータのバイト数を格納する変数。
ソケットの作成
client_socket = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);: socket 関数を使用してクライアント用のソケットを作成します。エラーが発生した場合、perror 関数を使用してエラーメッセージを表示し、プログラムを終了します。
サーバーへの接続設定
server_addr.sin_family: アドレスファミリをIPv4 (AF_INET) に設定します。
server_addr.sin_port: 接続するサーバーのポート番号を指定します(例: 11111)。
server_addr.sin_addr.s_addr: サーバーのIPアドレスを指定します(例: 127.0.0.1)。
サーバーへの接続
connect(client_socket, (struct sockaddr *)&server_addr, sizeof(server_addr)): connect 関数を使用してサーバーに接続します。接続に失敗した場合、エラーメッセージを表示し、ソケットをクローズしてプログラムを終了します。
サーバーからデータの受信
read(client_socket, buffer, sizeof(buffer)): read 関数を使用してサーバーからデータを受信します。エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示します。正常にデータを受信した場合は、その内容を表示します。
ソケットのクローズ
close(client_socket): ソケットをクリーンアップするために close 関数を使用します。
プログラムの終了
return 0;: プログラムが正常に終了したことを示すために、0を返して終了します。

このプログラムは、クライアントがサーバーに接続し、データを受信する基本的なソケット通信の例を提供しています。エラーハンドリングが含まれており、エラー時には適切なエラーメッセージが表示されます。


サーバ側
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
#include <unistd.h>
#include <arpa/inet.h>

int main() {
    int server_socket; // サーバーソケットのディスクリプタ
    int client_socket; // クライアントソケットのディスクリプタ
    struct sockaddr_in server_addr;
    struct sockaddr_in client_addr;
    socklen_t client_addr_len = sizeof(client_addr);

    // ソケットの作成
    server_socket = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);
    if (server_socket == -1) {
        perror("ソケットの作成に失敗しました");
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    // ソケット構造体の設定
    server_addr.sin_family = AF_INET;
    server_addr.sin_port = htons(11111); // サーバーのポート番号(例: 11111)
    server_addr.sin_addr.s_addr = INADDR_ANY;

    // ソケットのバインド
    if (bind(server_socket, (struct sockaddr *)&server_addr, sizeof(server_addr)) == -1) {
        perror("バインドに失敗しました");
        close(server_socket);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    // TCPクライアントからの接続要求を許可
    if (listen(server_socket, 5) == -1) {
        perror("リッスンに失敗しました");
        close(server_socket);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    printf("リッスンしました\n");

    // TCPクライアントからの接続要求の待機
    client_socket = accept(server_socket, (struct sockaddr *)&client_addr, &client_addr_len);
    if (client_socket == -1) {
        perror("接続要求の待機に失敗しました");
        close(server_socket);
        exit(EXIT_FAILURE);
    }

    printf("接続が確立されました\n");

    // 送信
    const char *message = "test";
    if (write(client_socket, message, strlen(message)) == -1) {
        perror("データの送信に失敗しました");
    } else {
        printf("データを送信しました\n");
    }

    // クライアントソケットの終了
    close(client_socket);

    // サーバーソケットの終了
    close(server_socket);

    return 0;
}

このCプログラムは、ソケットを使用して簡単なサーバーアプリケーションを実装しています。以下はコードの詳細な解説です:

  1. 必要なヘッダーファイルのインクルード:
    • stdio.h, stdlib.h, string.h: 標準入出力やメモリ操作関連の関数を利用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
    • sys/types.h, sys/socket.h, netinet/in.h: ソケット関連の関数やデータ型を使用するためのヘッダーファイルをインクルードします。
    • unistd.h: クローズ関数を使用するためにヘッダーファイルをインクルードします。
    • arpa/inet.h: インターネットアドレス変換関連の関数を使用するためにヘッダーファイルをインクルードします。
  2. 変数の宣言:
    • int server_socket: サーバーソケットのディスクリプタ。
    • int client_socket: クライアントソケットのディスクリプタ。
    • struct sockaddr_in server_addr: サーバーソケットのアドレス情報を格納する構造体。
    • struct sockaddr_in client_addr: クライアントソケットのアドレス情報を格納する構造体。
    • socklen_t client_addr_len: クライアントアドレス構造体のサイズを格納する変数。
  3. サーバーソケットの作成:
    • server_socket = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);: socket 関数を使用してサーバーソケットを作成します。エラーが発生した場合、perror 関数を使用してエラーメッセージを表示し、プログラムを終了します。
  4. サーバーソケットの設定:
    • server_addr.sin_family: アドレスファミリをIPv4 (AF_INET) に設定します。
    • server_addr.sin_port: サーバーのポート番号を指定します(例: 11111)。
    • server_addr.sin_addr.s_addr: サーバーのIPアドレスを INADDR_ANY で設定し、すべてのネットワークインターフェースで接続を受け付けるようにします。
  5. サーバーソケットのバインド:
    • bind(server_socket, (struct sockaddr *)&server_addr, sizeof(server_addr)): bind 関数を使用してサーバーソケットを指定のアドレスにバインドします。エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示し、サーバーソケットをクローズしてプログラムを終了します。
  6. リッスン:
    • listen(server_socket, 5): サーバーソケットをリッスン状態にし、最大5つの接続要求をキューに保持します。エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示し、サーバーソケットをクローズしてプログラムを終了します。
  7. 接続要求の待機:
    • client_socket = accept(server_socket, (struct sockaddr *)&client_addr, &client_addr_len): accept 関数を使用してクライアントからの接続要求を待機します。エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示し、サーバーソケットをクローズしてプログラムを終了します。
  8. データの送信:
    • write(client_socket, message, strlen(message)): クライアントにデータを送信します。エラーが発生した場合、エラーメッセージを表示します。データが正常に送信された場合、成功メッセージが表示されます。
  9. クライアントソケットとサーバーソケットのクローズ:
    • close(client_socket): クライアントソケットをクローズします。
    • close(server_socket): サーバーソケットをクローズします。
  10. プログラムの終了:
    • return 0;: プログラムが正常に