Wikijunior:人間の体/脳
脳(のう)は、私(わたし)たちの頭(あたま)の中(なか)にある器官(きかん)で、私(わたし)たちの自分(じぶん)、考(かんが)え、感情(かんじょう)、性格(せいかく)、意識(いしき)を司(つかさど)っています。これは、脳(のう)の活動(かつどう)を示(しめ)す実験(じっけん)から結論(けつろん)づけられています。しかし、脳(のう)がどのように細部(さいぶ)で働(はたら)くのかは、今(いま)でも大(おお)きな謎(なぞ)です。
脳(のう)はどのように見(み)えるのか?
編集脳(のう)は頭蓋骨(ずがいこつ)の中(なか)を満(み)たしており、いくつかの葉(よう)と呼(よ)ばれる丸(まる)い部分(ぶぶん)で構成(こうせい)されています。脳(のう)の外側(そとがわ)には灰白質(かいはくしつ)と呼(よ)ばれる部分(ぶぶん)があり、内側(うちがわ)には白質(はくしつ)があり、断面図(だんめんず)で確認(かくにん)できます。
脳(のう)は主(おも)にニューロン(電気信号(でんきしんごう)を伝達(でんたつ)できる細胞(さいぼう))と、それを支(ささ)えるグリア細胞(さいぼう)で構成(こうせい)されています。他(ほか)の多(おお)くの器官(きかん)と同様(どうよう)に、血管(けっかん)や免疫細胞(めんえきさいぼう)もあります。ニューロンは、主(おも)な体(からだ)と多数(たすう)の枝(えだ)を持(も)っています。
樹状突起(じゅじょうとっき)はニューロンの枝(えだ)の一部(いちぶ)で、信号(しんごう)を受(う)け取り、軸索(じくさく)が他(ほか)のニューロンへ電気信号(でんきしんごう)を伝(つた)えます。ニューロンの主(おも)な体(からだ)は樹状突起(じゅじょうとっき)や軸索(じくさく)よりも暗(くら)く見(み)えるため、灰白質(かいはくしつ)の色(いろ)となります。軸索(じくさく)は脂肪(しぼう)質(しつ)でできたミエリン鞘(しょう)に覆(おお)われており、それが白質(はくしつ)を形成(けいせい)します。
脳(のう)の部位(ぶい)ごとの解説(かいせつ)
編集脳(のう)は、いくつかの部位(ぶい)に分(わ)けられており、それぞれが異(こと)なる役割(やくわり)を持(も)っています。ここでは、主要(しゅよう)な脳(のう)の部位(ぶい)を解説(かいせつ)します。
大脳(だいのう)
編集大脳(だいのう)は、脳(のう)の中(なか)でもっとも大(おお)きな部分(ぶぶん)で、私(わたし)たちの意識的(いしきてき)な活動(かつどう)を司(つかさど)ります。大脳(だいのう)は左右(さゆう)に分(わ)かれており、それぞれが異(こと)なる機能(きのう)を担(にな)っています。
- 前頭葉(ぜんとうよう): 思考(しこう)、計画(けいかく)、意思決定(いしけってい)、感情(かんじょう)の制御(せいぎょ)に関(かん)わります。前頭葉(ぜんとうよう)は、私(わたし)たちが行動(こうどう)を起(お)こすときに使(つか)われる場所(ばしょ)です。
- 頭頂葉(とうちょうよう): 体(からだ)の感覚(かんかく)や位置(いち)を把握(はあく)し、物体(ぶったい)に触(ふ)れたときの感覚(かんかく)を処理(しょり)します。
- 側頭葉(そくとうよう): 聴覚(ちょうかく)や言語(げんご)の理解(りかい)に関(かん)わり、記憶(きおく)の保存(ほぞん)にも重要(じゅうよう)です。
- 後頭葉(こうとうよう): 視覚情報(しかくじょうほう)を処理(しょり)し、私(わたし)たちが見(み)るものを理解(りかい)するのに必要(ひつよう)です。
間脳(かんのう)
編集間脳(かんのう)は、脳(のう)の中心(ちゅうしん)に位置(いち)する部分(ぶぶん)で、いくつかの重要(じゅうよう)な機能(きのう)を持(も)っています。間脳(かんのう)は主(おも)に、視床(ししょう)と視床下部(ししょうかぶ)の2つの部分(ぶぶん)から構成(こうせい)されており、体(からだ)の様々(さまざま)な調整(ちょうせい)を行(おこな)います。
間脳(かんのう)は、感覚情報(かんかくじょうほう)の処理(しょり)やホルモンの分泌(ぶんぴつ)に関与(かんよ)し、体温(たいおん)、食欲(しょくよく)、睡眠(すいみん)、感情(かんじょう)の調整(ちょうせい)を行います。たとえば、視床(ししょう)は、目(め)や耳(みみ)からの情報(じょうほう)を受(う)け取り、脳(のう)に伝(つた)えます。一方(いっぽう)、視床下部(ししょうかぶ)は、体(からだ)の内部(ないぶ)のバランスを保(たも)つために、ホルモンを分泌(ぶんぴつ)し、他(ほか)の器官(きかん)に指示(しじ)を出(だ)します。
小脳(しょうのう)
編集小脳(しょうのう)は大脳(だいのう)の下(した)に位置(いち)し、運動(うんどう)の調整(ちょうせい)やバランスを保(たも)つ役割(やくわり)を果(は)たします。小脳(しょうのう)が正(ただ)しく働(はたら)くことで、私(わたし)たちはスムーズに体(からだ)を動(うご)かすことができるのです。
海馬(かいば)
編集海馬(かいば)は、記憶(きおく)を司(つかさど)る重要(じゅうよう)な部分(ぶぶん)です。新(あたら)しいことを学(まな)んだり、長期記憶(ちょうききおく)を形成(けいせい)したりするために海馬(かいば)が活躍(かつやく)します。この部分(ぶぶん)がうまく働(はたら)かないと、物忘(ものわす)れが激(はげ)しくなることがあります。
扁桃体(へんとうたい)
編集扁桃体(へんとうたい)は、感情(かんじょう)の処理(しょり)や恐怖(きょうふ)などの感情(かんじょう)反応(はんのう)に関(かん)わります。特(とく)に危険(きけん)を感知(かんち)したときに働(はたら)き、素早(すばや)く反応(はんのう)するための準備(じゅんび)をします。
脳(のう)は非常(ひじょう)に複雑(ふくざつ)で、それぞれの部位(ぶい)が協力(きょうりょく)し合(あ)って、私(わたし)たちの体(からだ)を制御(せいぎょ)し、考(かんが)えたり感情(かんじょう)を抱(いだ)いたりすることができるようになっています。
脳幹(のうかん)
編集脳幹(のうかん)は、脳(のう)の根元(ねもと)にある部分(ぶぶん)で、生命維持(せいめいいじ)に不可欠(ふかけつ)な機能(きのう)を司(つかさど)ります。ここでは、呼吸(こきゅう)、心拍(しんぱく)、血圧(けつあつ)などが制御(せいぎょ)されています。脳幹(のうかん)が損傷(そんしょう)すると、これらの基本的(きほんてき)な体(からだ)の機能(きのう)に影響(えいきょう)が出(で)ることがあります。
視床下部(ししょうかぶ)
編集視床下部(ししょうかぶ)は、脳(のう)の一部(いちぶ)で、体(からだ)のさまざまな機能(きのう)をコントロールする重要(じゅうよう)な役割(やくわり)を持(も)っています。視床下部(ししょうかぶ)は、体温(たいおん)や食欲(しょくよく)、睡眠(すいみん)、感情(かんじょう)の調整(ちょうせい)を行(おこな)います。さらに、下垂体(かすいたい)を通(とお)して、ホルモンの分泌(ぶんぴつ)を指示(しじ)し、体内(たいない)のバランスを保(たも)つのに大(おお)きな役割(やくわり)を果(は)たしています。
視床下部(ししょうかぶ)は、月経周期(げっけいしゅうき)にも関与(かんよ)しており、ホルモンの分泌(ぶんぴつ)を通(とお)じて、下垂体(かすいたい)に信号(しんごう)を送(おく)り、卵巣(らんそう)の働(はたら)きを調整(ちょうせい)します。このプロセスによって、排卵(はいらん)や月経(げっけい)周期(しゅうき)が正常(せいじょう)に保(たも)たれるようにしています。
下垂体(かすいたい)
編集下垂体(かすいたい)は、ホルモンと呼(よ)ばれる化学物質(かがくぶっしつ)を作(つく)り出(だ)し、それを使(つか)って体(からだ)の他(ほか)の部分(ぶぶん)に指示(しじ)を送(おく)ります。
下垂体(かすいたい)は、成長(せいちょう)、体温(たいおん)の調整(ちょうせい)、そして体(からだ)のいろいろな機能(きのう)を管理(かんり)する大事(だいじ)な場所(ばしょ)です。また、他(ほか)の内分泌腺(ないぶんぴつせん)、例えば甲状腺(こうじょうせん)や副腎(ふくじん)などに指示(しじ)を出(だ)し、全身(ぜんしん)の働(はたら)きを調整(ちょうせい)しています。
脳(のう)の働(はたら)きは何(なん)ですか?
編集脳(のう)は、脳神経(のうしんけい)と延髄(えんずい)から信号(しんごう)を受(う)け取(と)ります。これらの信号(しんごう)は脳(のう)で処理(しょり)されます。今(いま)まさに、あなたはこれを読(よ)んでいることを自覚(じかく)しているので、視覚(しかく)的(てき)な入力(にゅうりょく)を意識(いしき)しているということです。
また、音(おと)を聞(き)いたり、感情(かんじょう)を感(かん)じたり、触(さわ)れたり、くすぐられたりします。これらすべてが、入力(にゅうりょく)に対(たい)する意識的(いしきてき)な反応(はんのう)です。もちろん、これらの入力(にゅうりょく)に対(たい)して、気分(きぶん)が変(か)わったり、体勢(たいせい)を変(か)えたり、考(かんが)え方(かた)が変(か)わったりします。体(からだ)の動(うご)きは、脳(のう)が神経(しんけい)と延髄(えんずい)を通(とお)して命令(めいれい)します。したがって、脳神経(のうしんけい)や延髄(えんずい)は、入力(にゅうりょく)を処理(しょり)する線維(せんい)と、出力(しゅつりょく)を処理(しょり)する線維(せんい)を持(も)っています。
呼吸(こきゅう)のように、意識的(いしきてき)に考(かんが)える必要(ひつよう)のない無意識的(むいしきてき)な機能(きのう)も多(おお)くあります。脳(のう)は消化(しょうか)や呼吸(こきゅう)など、他(ほか)の体(からだ)の器官(きかん)やその機能(きのう)を制御(せいぎょ)します。
脳(のう)はどの器官系(きかんけい)とつながっているのか?
編集脳(のう)は神経(しんけい)を通(とお)じて、体(からだ)のほぼすべての器官(きかん)とつながっています。頭(あたま)のてっぺんや足(あし)の先(さき)まで感(かん)じることができ、眉(まゆ)をひそめたり、歩(ある)いたりもできます。胃(い)、胸腺(きょうせん)、脾臓(ひぞう)などの器官(きかん)も脳(のう)とつながっています。これらの器官(きかん)は感(かん)じることはできませんが、それは脳(のう)が無意識的(むいしきてき)に入力(にゅうりょく)と出力(しゅつりょく)を処理(しょり)している一例(いちれい)です。
脳(のう)は体(からだ)の他(ほか)の部分(ぶぶん)とどのように相互作用(そうごさよう)しますか?
編集脳(のう)は長(なが)い神経(しんけい)を通(とお)じて他(ほか)の器官(きかん)とつながっています。電気信号(でんきしんごう)は、つながっている器官(きかん)に反応(はんのう)を引(ひ)き起(お)こし、感覚神経(かんかくしんけい)の末端(まつたん)(樹状突起(じゅじょうとっき)や他(ほか)の特別(とくべつ)な構造(こうぞう))が入力(にゅうりょく)を収集(しゅうしゅう)します。たとえば、筋肉(きんにく)では、電気信号(でんきしんごう)が化学信号(かがくしんごう)に変換(へんかん)され、滑走(かっそう)フィラメント仮説(かせつ)により筋収縮(きんしゅうしゅく)を引(ひ)き起(お)こします。
脳(のう)を健康(けんこう)に保(たも)つにはどうすればよいですか?
編集脳(のう)を健康(けんこう)に保(たも)つためには、十分(じゅうぶん)な栄養(えいよう)、適度(てきど)な運動(うんどう)、良質(りょうしつ)な睡眠(すいみん)、そしてストレス管理(かんり)が必要(ひつよう)です。また、脳(のう)を活性化(かっせいか)させるために、パズルや知識(ちしき)の探求(たんきゅう)などの活動(かつどう)も推奨(すいしょう)されています。
まとめ
編集脳(のう)は、私(わたし)たちの思考(しこう)、感情(かんじょう)、行動(こうどう)を司(つかさど)る極(きわ)めて複雑(ふくざつ)な器官(きかん)です。脳(のう)は神経系(しんけいけい)を通(とお)じて体(からだ)の他(ほか)の部分(ぶぶん)と連携(れんけい)し、感覚(かんかく)や運動(うんどう)、無意識的(むいしきてき)な機能(きのう)を制御(せいぎょ)します。脳(のう)を健康(けんこう)に保(たも)つためには、適度(てきど)な栄養(えいよう)や運動(うんどう)、良質(りょうしつ)な睡眠(すいみん)、ストレス管理(かんり)などが重要(じゅうよう)です。また、脳(のう)を活性化(かっせいか)させるための知的活動(ちてきかつどう)も効果的(こうかてき)です。
脳(のう)の仕組(しく)みや働(はたら)きについては、まだ多(おお)くの謎(なぞ)が残(のこ)されていますが、これからの研究(けんきゅう)によって新(あたら)しい発見(はっけん)が期待(きたい)されています。