オートマトン/第一類/数学的準備/記号列

入力記号と入力記号列 編集

オートマトンに各時点で与える入力は,抽象的に   あるいは   の記号で表し,これらを入力記号(input symbol) と呼ぶ。 個々のオートマトンでは,それが扱うことのできる入力記号を,あらかじめ定めておいた有限種類のものに限定し,それを入力記号の有限集合   等として明示することとする.

刻々と入力される入力記号をつなぎ合わせてできる系列,例えば   などを入力記号列 (input string),あるいは入力系列 (input sequence) と呼ぶ. 出力についても同様の扱いとする.

入力記号列・出力記号列をあわせて,記号列と呼ぶ.


記号列の長さ・空記号列 編集

あらためて記号列の定義を形式的に定める.

  中の記号を重複を許して有限個数並べて得られる   を,   上の記号列 (string over  ) あるいは系列 (sequence over  ) という. この記号列の長さ (length) は,  を構成している記号の数   であると定義し,  で表す.

特に長さが   の記号列を空記号列 (empty stginr) または 空系列 (empty sequence) と呼び,  で表す.  集合の項で述べた空集合   とは異なる概念であることに注意しておこう.

例えば,   上の記号列であり,  である.


連接 編集

記号列   に対して   と表したとき,記法     の連接 (concatenation) と呼ばれる演算結果を表す. 連接   は,   のとき   である.


接頭辞・接尾辞・部分記号列 編集

記号列   において,   の接頭辞 (prefix),    の接尾辞 (suffix) という.

また   はおのおの   の部分記号列 (substring) であるという.

ここに   は空記号列   であってよく,例えば   である. 特に   であるとき,   の真の(proper) 接頭辞である,等という.


スター閉抱 編集

  において,  すなわち   は同じ記号    個ならべられたものであるとき,  と表す場合もある.

空記号   を含めて   上で作りうるあらゆる記号列の全体からなる無限集合を   と表し,これを   のスター閉抱 (star closure) と呼ぶ.

例えば   であるとき,   である.

また   であるとき,   である.