フォボス
フォボスは、火星の衛星の一つであり、火星に最も近い位置にある。火星からの距離は約9,378kmで、火星の赤道上空を約7時間39分で一周する。フォボスは、火星の衛星の中でより大きい方で、もう一つの衛星であるダイモスと共に1877年にアサフ・ホールによって発見された。
- 直径...約22.4km
- 質量...約1.07×1016kg
- 公転周期...約7時間39分
表面と構造
編集表面
編集フォボスの表面は、無数のクレーターで覆われており、その中でも最大のものはスティックニー・クレーターと呼ばれる。このクレーターは直径が約9.5kmあり、フォボスの直径の半分以上を占める巨大なものとなっている。
表面は非常に暗く、アルベド(反射率)は0.071と低いため、太陽光をあまり反射しない。このため、フォボスは地球からは肉眼で見えることはない。
構造
編集フォボスは、小惑星や彗星のような岩石と氷の混合物で構成されていると考えられており、内部はかなり多孔質である可能性が高い。
フォボスの特徴的な点として、その軌道が徐々に火星に向かって縮小していることが挙げられる。数千万年後には、フォボスは火星に衝突するか、潮汐力によって崩壊し、火星の環となると予測されている。
温度
編集フォボスの表面温度は、昼間で最大27℃、夜間では-112℃に達する。火星の影に入ると急速に冷却されるため、温度変化が激しい。
探査
編集フォボスは、複数の探査機によって観測されてきた。特にソ連のフォボス計画や、アメリカのマーズ・グローバル・サーベイヤー、マーズ・エクスプレスによって詳細な画像やデータが取得されている。
近年では、探査機による着陸やサンプルリターンミッションの計画も進められており、フォボスの表面や内部の探査が期待されている。
火星からの観測
編集フォボスはその軌道が火星の表面に近く、火星から見ると非常に大きく見える。しかし、フォボスの直径は小さいため、火星から見たときに部分日食を引き起こすことがある。このような現象は、フォボスの軌道と大きさの組み合わせによって生じる。