勉強を始める時期

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中学受験、特に私立中学校を志望しているのであれば、4年生頃から受験勉強を始めるべきです。なぜなら、私立中学校の受験では、ふつうの小学校の教科書では習わないことが多く出るためです。特に、算数は小学校の内容では習わないような計算・公式・考え方が必要なことが多く、4年生頃から受験勉強を始めないと間に合わないことが多いです。

国立大学付属中学や公立中等学校の入試では、小学校で習わないことはほとんど出ません。しかし、作文や思考力を問う問題が多く、学校で出されるテストとは全く違うので、やはり5年生くらいから準備を進めないと、合格するのは難しいでしょう。

保護者の方へ

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中学受験は保護者の理解と協力も大切な要因です。特にこの章は2020年現在、30代後半 - 40代前半の保護者の方にあてはまるお話です。

中学受験は難しい

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ここは特に、中学受験の経験がある保護者を対象にしています。

2020年現在、30代後半から40代前半の方が中学受験をしていた1980年代後半から1990年代前半に比べて中学受験の難易度ははるかに上昇しています。当時は小学校の授業内容も多く、現在では発展的内容や削除されている内容(中学受験につながる内容も含む)が普通に学校の教科書にのっていました。また、今ほど中学受験は活発ではなく、受験生の割合もそう多くはありませんでした。そのため、学校の成績が良い場合、中堅の中学校であれば5~6年生くらいに学校の勉強に塾でいくらか+αの勉強をするだけで合格できました。

しかし、現在は小学校の内容が2 - 30年前に比べて大幅に削減されている一方で(要出典。脱ゆとり教育で教科書は厚くなっていると聞くが?)試験範囲の内容はほとんど減っていないこと、中学受験そのものの人気が高く倍率が非常に高いこと、塾と学校との対策のいたちごっこが続いた結果、問題そのものの難易度が急上昇し、難関校では高校・大学受験問題を小学生向けに「翻訳」したものや非常に技巧的な考え方や計算が必要な問題が増えたことから、中堅校ですら小4くらいから準備をしないと合格は難しいです。

また、昔は市販の問題集や家庭学習用の教材を使って自宅学習するだけでも中堅校ならば合格することも可能でしたが、現在は上記の理由からよほどのサポートがない限り難しいです。受験をするのであれば、基本的に塾や家庭教師をお願いすることを想定しておきましょう。

決して、比較的易しかった頃の中学受験のイメージでお子さんに接しないでください。

模擬試験の結果に一喜一憂しすぎない

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模擬試験はお子さんの力を知るのに大切な試験です。しかし、その結果に振り回され過ぎないようにしましょう。特に受験勉強を始めたばかりのときの模擬試験では「小学校のテストではいつも100点を取っているのに、模擬試験では平均点にも届かなかった」ということは全く珍しくありません。試験の難しさが小学校のものとは比べ物にならない上、早くから塾などに通っている子どもとの差もあるからです。

ですから、模擬試験の結果がよくないものであったとしても、あまりガッカリせず、お子さんを励ましてください。

偏差値

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偏差値(へんさち)というのは、ごくごく簡単に言ってしまえば、「50」を平均として、平均からどれだけ上か(または下か)を数字にしたものです。中学受験では普通、学校の成績も中の上より上の成績の子どもが多いです。そのため、「偏差値50」といっても、「小学校の成績が良い子どもたちの中の平均」に近く、「偏差値50だから簡単」ということでは決してありません。ほとんどの中学生が受験する高校入試の「偏差値50」と小学校の成績上位層が多い中学受験の「偏差値50」は全く別物なのです。

特に地方の上位公立高校から大学に進学し、かつ中学受験を経験していない保護者の方は「偏差値50=ごく普通のパッとしない生徒」のイメージを持つ場合もあり、なおさら「子どもが偏差値50にも届かない」ことにショックを受ける場合があります。しかし、上記の理由から、中学受験の「偏差値50」は「上の中」だということを忘れないでください。

また、中学受験は学校ごとの問題のクセがあるため、お子さんの得意・不得意分野によっては必ずしも偏差値通りの結果になるわけではありません。ですから、あまり模擬試験の偏差値ばかりをアテにして、受験校を決めるようなことはないようにしましょう。

もちろん、模擬試験の結果はお子さんの学習到達度を知る重要な指標です。偏差値ばかりをアテにしすぎるものよくありませんが、全く無視していいものでもありません。偏差値とは「適当な距離」を保つようにしましょう。


中学の予習をすべきか、否か

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ネットの塾からの報告によると、方程式など中学範囲は、裏では知っている子が多いのが現実です[1]

知ったかぶりして、「方程式を知らないでも中学受験に合格する子が多い」とか言う人は中受界隈にも多いですが、しかし上記のように塾からの報告に反しています。(反論があるなら、出典を出してください。)

そもそも、図書館などで子供向けの図鑑や百科事典などを見れば、中学の範囲の内容を教育しています。場合によっては高校の範囲も書いてあります(たとえば、かなり古い事典ですが、1980年代に出た、玉川大学出版の児童百科大辞典など)。

ただし、一方で予習が難しいのも事実です。だからこそ、それぞれの教科を専門とする教師が、中学校で教えているわけです。とりあえず、予習をするにしても、軽く中学参考書に目を通しておく程度で、十分でしょう。

また、予習をするなら、けっして親が口頭で教えるのではなく、市販の参考書や教材などをもちいて段階的に教える必要があります。

方程式を教える前に、正負の数を教える必要があったり、けっこう方程式の教育は事前準備が必要であり、難しいのです。

例として数学をあげましたが。他の教科でも同様です。

つまり、もし予習をするなら、「中受の問題練習を通して」ではなく、「親が口頭で」でもなく、直接的に中学生むけの参考書を使うのが安全でしょう。

さて、あまり予習しすぎても、入学後の授業が二度手間になってしまうので、無駄になってしまいます。

また、特に理科は、実験の問題もあるので、予習がとても難しい。中学の理科での化学の分野では、酸やアルカリなどの危険物も使うので、予習は困難です。(危険なので、理科の化学の分野は、家庭では絶対に実験しないでください。)

ほか、「小学校くらいの子供のうちは、読書習慣が大事」とかよく教育されるように、小学参考書しか読まない勉強は、基本的には想定していません。常識的に、理科や社会科などは図書室で借りられるような本みたいなのでも良いから、もっと中受対策以外にも年齢にあった勉強をしてほしい、というのが、多くの教育者の建前です。

本を借りるのが面倒だし、買うとお金が掛かるというなら、だからそのための参考書です。正直、図書室の、古い理科の本にある内容は、今では小学校の参考書、中学生むけの参考書に、普通に書かれている事だったりします。例外として、「植物図鑑」とか「昆虫図鑑」とかそういうのではない限りは。


下記の意見は、ある編集者個人の意見です。

方程式などを教えない

受験算数では、小学校でも中学受験でも原則教えませんが、方程式を使うほうが楽に解ける問題があります。また、「方程式を使うと減点」という学校はほとんど見られません。ですから、「方程式の方が楽だ」「どうせ中学では方程式で解くのだから」などとお考えになるかもしれませんが、[ウィキブックスの1編集者の見解または意見に過ぎません]なるべく教えないでください。なぜなら、まず、塾で方程式を使わない解き方(特殊算)を習ったのに、突然方程式を使う解き方を教えられると、子供が混乱してしまう原因になります。中学受験の問題には、方程式より特殊算の方が楽に解けることがよくあります(方程式のみで対応できる問題自体も減っています)。また、一から方程式を教えようとすると、方程式を教える前に、正負の数、文字式の計算、等式の性質(すべて中1内容)などを教えなければならず、子供の負担も増えます。連立方程式やそのほかの内容(三平方の定理など)も同じです。[ウィキブックスの1編集者の見解または意見に過ぎません]ただし、文章題の解き方が全く理解できない場合などに、支障が出ないなら教えてもよいでしょう。

小学校ごとの教科書の違いについて

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私立受験・国公立受験とも、地域・小学校ごとに授業で用いる教科書の出版社がちがっていますが、しかし中学側は特定の教科書会社にあわせては入試問題を出題してはくれません。なので受験生である小学生側の勉強は、小学校の宿題だけではなく(宿題は当然するべき)、さらに参考書などで、自校以外の一般の小学校の授業範囲の内容も勉強しておく必要もあります。

なお、小学校の社会科の資料集や地域副読本は、都道府県によって内容が違っているのが普通なので、他地域の受験では参考になりません。したがって参考書を購入するのが良いでしょう。

たとえ国公立受験の場合でも、いきなり6年生になってから受験勉強をするするのは、むずかしいでしょう。なので、5年生くらいまでには受験勉強を始めておく必要があります。

小学校の授業や教科書で習うことは、当然、出題範囲(はんい)なので(「出題しにくい」「簡単すぎる」などの理由で範囲外のこともありますが)、授業をしっかり聞いて予習復習して勉強しておく必要があります。教科書に書いてないことでも、小学校の先生が授業中に教えた内容のいくつかは、じつは他社の教科書には書いてあったり(発展内容・コラムにされていたり)、あるいは参考書や資料集を見ると書いてあったり、あるいは教科書会社の出版している教員向けの指導マニュアルには書かれてる内容だったりします。なので、小学校の先生の授業中の話も、きちんと聞いておく必要があります。

中学校のがわの先生も、学校ごとに教科書がちがうのは分かっていますし、多くの小学生にとっては、はじめての受験だから、なれなくて難しいということも、わかっています。しかし、中学校からすれば、だからといって特定の教科書にあわせて中学入試を出すわけにはいきません。もし、そうすると、ほかの教科書を使ってる小学校の受験生には不利になってしまうからです。

なお、高校入試や大学入試でも同様に、特定の教科書会社には入試を合わせてくれません。なので参考書なども勉強する必要があります。


全体的な勉強法

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下記は主に、受験用の対策のための勉強です。下記とは別に、各自で興味ある分野も勉強していく必要があります。

聞いているだけでは解けるようにならない。

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  • 書き取りしたり、計算したり、考えることが必要。

問題をとけるようにするには、計算したり、考えたりすることが必要なのです。聞いているだけでは、とけるようになりません。とくに、算数では、そうです。

だから、たとえば(じゅく)などの上級クラスに行って、解きかたの分からない問題の解きかたをガマンして聞いていても、それだけでは、ほとんど解けるようにはなりません。 塾などの上級クラスに通う人の場合で、「受験問題で計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない」ことが多い子の場合、塾の先生にたのんで、より基本的なクラスに変えてもらったほうが、むしろ学力がアップする場合もあるでしょう。そのような基本クラスなどでも、受験をしない普通の小学生なら勉強していない時間に、中学受験生は塾で勉強しているわけですから、基本的なクラスでも、じゅうぶんに学力のアップが期待できます。

また、たとえば都会にあるレベルの高い進学塾などで大人数(30人~数百人)での教育を受けるよりも、数人~十数人ていどの少人数の地元の塾などで指導をうけつつ勉強したほうがよい場合もあります。参考書を見れば受験問題のときかたは書いてあるわけですから、遠くの都会の塾に通うくらいなら、地元の徒歩や自転車でいける塾で勉強しておいて、あまった時間やお金を勉強に使ったほうがいいかもしれません。

受験用テキストについて

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中学受験のテキストで最もオーソドックスなのは、『中学受験新演習』と四谷大塚の『予習シリーズ』の2冊です(ほかにもいろいろあります)。多くの塾では『中学受験新演習』が使われています。一方、四谷大塚とその系列校では『予習シリーズ』が使われています。どちらもレベルや内容に大差はありませんが、『予習シリーズ』は四谷大塚に通っていなくても注文すればだれでも買える一方、『中学受験新演習』は原則として塾が保護者に代わって買うというしくみになっています。そのため、『中学受験新演習』は個人で買うことができません。

よって、中学受験の勉強を塾に通わずに(家庭教師や親のみで)するのなら、『予習シリーズ』を買うのがベストです。『予習シリーズ』に慣れておけば、後で塾に通うことになって『中学受験新演習』を使うことになってもそれほど違和感なく進められるでしょう。個別指導系の塾ならそのままテキストとしても使えます。書店で市販されているものはメインのテキストにするのではなく、参考書・問題集がわりにした方がよいでしょう。

参考書と問題集を使う

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図鑑や事典などは、ふだんの勉強にはなりません。それら図鑑なども読んでおいたほうが良いですが、まずは参考書が必要です。多くの範囲を勉強しなければならないので、図鑑などでカバーしようとすると、とても多くの図鑑が必要になって、読みきれませんし、お金も多くかかってしまいますし、部屋が大量の分厚い本で埋まってしまいます。

また、図鑑や事典には、練習問題が、のっていません。

ただし、時間とお金の余裕があれば、図鑑なども何冊か読んでみてください。図鑑などで紹介される知識は、直接は入試に出題されませんが、その知識を利用して解ける問題が出題されることはざらにあります。

4教科をバランスよく勉強する

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けっして「算数だけしか勉強しない」など、1教科だけを勉強しないでください。 きちんと4教科(国語・算数・理科・社会)+α(この4教科以外の受験科目がある場合)を勉強してください。

しかし、国語はどこの中学校でも差がつかないほか、理科社会は多くの中学校で満点が算数国語より少ないですし、算数一科目の学校もあり、算数で差がつくというデータもありますので算数を多めに回さないと合格は難しいかもしれません。

小学校でならうていどの算数は、きちんと計算できるように練習する必要もありますし、もしも苦手なら、時間をかけてでも練習するべきです。

けっして、受験の苦手教科を得意にかえようとして、あまりにもほかの教科の勉強時間をへらしすぎないないほうが、よいでしょう。 苦手科目は勉強したほうがいいですが、テスト直前や入試直前は得意科目を解き、自信をもって臨んだほうがいいです

将来的な中学受験を目指すのであれば、低学年より難易度高めの算数の問題集を解き、算数の理解力や基礎知識を高めておくのも受験対策としては有効です。

けっして受験範囲だけの勉強をしない

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どの教科でも、けっして、受験範囲だけの勉強をしないでください(かといって、しすぎるのもダメです)。受験先の中学校の側とすれば、勉強そのものに興味のある子供を、入試で取りたいのです。また、このようなことに限らず、受験以外の知識・教養を身につけるのも大切です。ただし、事典などに深入りしないようにしてください。ふだんの学習の中心は参考書と問題集で行いましょう。

理科

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とくに理科は、図鑑なども、なるべく読むべき教科です。たとえば子供向けの事典や図鑑(ずかん)とか資料集などを見るのは大事です。それから興味や知識が深まりますし、意外と参考書の内容に入っていたりします。

このとき、本に実験が書いてあるからといって、無理して実験しないことです。学校で習わないことには、それなりの理由もあります。実験がむずかしかったりするなどの理由があったりして、なので学校では習わないという場合もあります。また、したところで、事実の確認をするだけですから、受験勉強ではあまり必要ありません。

さて、本屋に行っても、小学生むけの事典・図鑑などの本も少ないです。図書館では貸し出し期間があり、また、貸出禁止になっていることがあるので、あまり受験勉強には向きません。参考書を何冊か組み合わせて代用するとか、中学生むけの参考書で代用するとか、通信販売を利用して図鑑や事典などを購入するなど、必要かもしれません。学研などから出ている「教科事典」という各教科ごとの事典もあるので、その教科事典の小学生用の本を購入するなどの策もあります。

事典や図鑑は、べつにシリーズすべては買わなくても良いですから、なにか一冊ぐらいは買っておければ、勉強にも良いでしょう。ただし、図鑑のシリーズ全部を買っても、おそらく時間が足りなくて読みきれません。

国語

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国語にしても、児童文学とか、近代文学とか、なにかを数冊ぐらいは読んだほうが良いでしょう。課題図書とか推薦図書などで、すすめられている本も、できれば、数冊かは読んでおきましょう。もしテスト本番で自分が読んだことのある本の一説があっても、油断はしないでください。本を一冊読んでも、覚えていられる内容は本全体の一割だけです。ですから、一部でいいのでなるべく内容を意識して集中して読むようにしましょう。

言葉の知識においては、日常で使うしかありません。国語はあまり時間をかけないほうがいいので、日常で使うのはかなり効率がいいです。書いたりみたりしていた時間を読書や、記述練習に使ったりすることができます。

偉人伝(いじんでん)

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偉人伝とか伝記とかも、できれば、すこしは読んだほうがよいです。このとき、たとえば源頼朝(みなもとのよりとも)徳川家康(とくがわいえやす)伊能忠敬(いのう ただたか)とかの歴史人物を中心に偉人伝を読むと、勉強にも便利です。

直接的には、中学入試では偉人伝は問われません。ただし社会科や国語では、有名どころの偉人については知っている上での問題が出される場合もあるでしょう。なぜなら、どこの本屋や図書館などでも偉人伝はあるでしょうし、どこの書店でも偉人伝はあるでしょう。だから読書の習慣のない受験生を落とすのに、偉人についての知識をみるのは最適だからです。

野口英世とかファーブル昆虫記とかナイチンゲールとかも、読書に良いかもしれません。

エジソンなどの発明家とか、アインシュタインとかキュリー夫人などの物理学者の伝記などは、あとまわしでも、どうにかなります。これら発明や物理学の分野は、入試に出しづらいのです。 また、アメリカ人野球選手のベーブルースとか、マンガ家の手塚治虫とか、現代に近い文化での、偉人(いじん)の伝記は、読まなくても、あまり問題ありません。

算数

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重要科目である

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ほとんどの学校で、合格するかどうかが決まる重要な教科です。少なくとも算数だけでも4年生から学習を始めることを強くすすめます。中学受験に必要な力は計算力とその問題が何を聞いているのかを見ぬく力です。

(なだ)中学・開成(かいせい)中学をはじめとした非常に難しい中学校入試の算数でも、さいしょは計算問題の場合があります。見るだけでイヤになりそうな式が出るかもしれませんが、正確にすばやく計算していく必要があります。これはすぐに力の付くものではありません。毎日の地道な計算練習が問われるところです。そろばんなどをしている人は算数が強いです。

もう一つ大切なことは「この問題は何を聞いているのか」を考えることです。中学入試の算数は文章題が中心です。とくに難しい中学校では最初の計算問題や文章題が5問くらい出たあと、とても難しい文章題が4・5問だけということもよくあります(「最初の問題」もないこともあります)。このような文章題では、ただぼんやりと問題を見ても何を聞いているのかさえわからないでしょう。中学受験ではいろいろな公式や計算方法が組み合わさっているからです。色々な計算方法の中で、何を使えばいいのか、どうしてそうなるのかをしっかりと考えながら学習していくことで、「この問題は何を聞いているのか」を見ぬく力もついてきます。

中学入試の算数は考え方を重視しています。そのため、文章題には途中式を書かせるスペースもあることがあります。その場合、途中式がちゃんと書かれていないと、たとえ答えがあっていたとしても、大きく減点されることもあります。反対に、答えまでたどり着かなかったとしても、途中式がしっかりと書かれていれば、部分点をくれることもあります(もちろん、答えしか採点されない場合も多いです)。ですから、中学受験を考えているのでしたら、算数は途中式をちゃんと書くクセをつけましょう。問題集には式と答えだけを書くスペースしかないこともありますが、学習するときには、ノートに最初の式・計算の過程・答えの3つを書く習慣を身につけるように心がけましょう。

勉強の仕方そのものが、分からない場合

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算数の勉強の仕方そのものが、分からない場合もあると思います。とくに、複雑な文章題や、図形の複雑な問題などだと、勉強方法そのものが分かりづらいでしょう。計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない場合もあります。まして受験問題ですので、とくにムズかしい問題が出てくるわけです。

算数の勉強をするなら、とりあえずでいいので解いてください。ただ、中学受験の参考書は解説が分かりにくい場合が多いので、塾の先生などにわからない場合は聞いてみてください。問題によりますが、解けるまで頑張って解いてみてください。一つの問題がわかるといろんな問題ができるようになります。難しい問題ほど基礎が大事です。


計算ドリル

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やたらと計算ドリルばかりを行うことは、あまりオススメできません。なぜならドリルだけでは、文章題などには、あまり対応できません。 すでに計算問題ができる人なら、わざわざ計算ドリルを何十回もくりかえす必要は、ありません。

「計算ドリル」は、まだ計算の苦手な子供が、苦手を得意にかえるために練習するためのものです。

もちろん、基本的な計算を身につけることは必要です。しかし、先ほども述べたように、文章題などが入試で重視されます。また、小学校では一通り、基本的な四則演算(+-×÷)を全員が習うはずなので、計算問題では、あまり得点に差が付きません。 小学校よりも、もうちょっとだけムズかしい計算問題を、もうちょっとだけ多めにやっておけば、計算ドリルは、じゅうぶんです。

やたらと計算量の多い5 - 10ケタどうしの掛け算とか割り算とかを何百問も大量に練習するくらいなら、それよりも基礎的な文章題をより多く練習したり、国語・理科・社会など他の教科を勉強したほうが、よいでしょう。

文章題の勉強

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絶対に解き方を覚えないでください。「なぜ、そう解くのだろう?」ということを、5分~10分くらいでよいので、きちんと考えたり、図に描いたりして、たしかめたりしてみてください。「この解き方は、ほんとうに正しいのだろうか? ほかの例で、たしかめてみよう」などと考えて、かんたんな例を自分で考えてみて計算して確かめてください。

たとえば「つるかめ算」を初めて勉強するとき、かんたんな例を考えるなら、まずツルが1匹でカメが4匹とかの場合を考えたり、あるいはツルが3匹でカメが1匹の場合とかを考えてみて、さいしょは実際に図を書いてみて、たしかめたりすると、よいかもしれません。

ただし、基本的な文章題については、5年生を終えるころぐらいまでには、解き方を、おぼえてください。小学生の段階では、おぼえることは、わるくはありません。ただ、受験問題ともなると、おぼえようとしても、おぼえられないような、ムズかしい問題が出てきます。なので、受験問題は、なるべく考えるようにして、解いたほうが良いでしょう。

受験算数の勉強の理由

受験問題の算数は、勉強の理由も、分かりづらいです。学校で習う問題は、わりと実社会や実生活でも応用しやすく、勉強理由が分かりやすい問題です。しかし受験問題は、かならずしも、そうではありません。とくに算数は、理科や社会科のような実物がある学問とはちがうので、具体的な実用が考えづらいのです。

正直な話、実社会では応用しづらい問題も、受験算数にはあります。たとえば図形の問題なら、べつに計算しなくても、実際に作図をしてしまえば、近似値が、もとまってしまいます。公式などを使えば正確な数値も求まりますが、そもそも、なぜ、正確な数値を求める必要があるのか、その問題だけでは理由が分かりません。

図形をわざわざ式で計算する理由を、かんがえてみました。

たとえば、点がうごいたり、あるいは線がうごいたりする図形などなどでは、実社会で必要な答えを求めたい場合、計算する必要があります。身の回りにも、うごいているもの。うごかせるものは、たくさんあります。そもそも地球が、うごいています。

文章題などでも、人が動いたりする場合、計算をしないと、答えが、もとまりません。

うごいてる物を作図したり実験したりしようとすると、とても大変です。動く物の作図に、紙が何十枚も必要になったりするかもしれません。書く人の手間も、大変です。実験には、お金がすごく使われたりします。

「じゃあ、最初から、そういう実用的な動きを計算で解く問題を出せばいいじゃん」とか思いがちですが、しかし、そういう高度な実用問題は、とてもムズかしくて、小学生には、できません。ですから、受験算数では、やや実用性は下がりますが、かんたんにした問題が出るのでしょう。

国語

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読書と国語

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たくさん本を読んでも、中学受験にかぎらず国語の力がのびるとはかぎりません。

もちろん、たくさん本を読むことそのものは悪いことではありません。いろいろなことに興味を持つきっかけにもなりますし、読解力もつきますので、読書そのものは中学受験のあいた時間にしておきたいところです。中学受験では次のことが問われていることも忘れてはなりません。

  1. 辞書にのっているような言葉の意味やその使い方をちゃんと知っているか。
  2. 前後の文脈をきちんと読めているか。
  3. 文章全体で何が言いたいのか。

これらの力をつけるには、やはり、ふだんの読書量がとても重要です。長い文章に親しんでいないと、これらはなかなか身に付きません。

また、適性検査では、私立中学の受験とは違った意味ではばひろい知識が必要になることもありますから、地球環境問題などのように今、世界で何が起きているのかを知るための読書は特に重要です。

しかし、さいしょに述べたように、いくら本を読んでも国語の力がのびないことはまったく珍しいことではありません。特に私立中学の国語では、そのようなことになやむ児童や保護者も多いです。受験の国語には何が必要なのでしょうか。以下で、かんたんに説明します。

国語では書かれていることだけを、もとにして、解く

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第一に、中学受験の国語では本文に書かれていることだけをもとにするのが原則です。いくら、「こんなことが考えられる」と思っても、本文に書かれていないことであれば、それは「受験において正しい答え」とはなりません。

ただし、書かれていることを自由に読んでいいということではありません。特に物語文では、自分がどう思ったのかを聞いてはいません。読書量は多いのに、国語の成績がいまいちという人は、「本文を読んで、自分はこう思った」ということをもとにしがちです。しかし、それは次に述べる「国語のルール」にのっとっていなければ不正解になる可能性が高いです。

「国語のルール」を知る

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まず、例を考えてみましょう。次の問題を考えてみてください。

「花子は目をうるませた」のはなぜか。もっとも適当なものを選びなさい。
  1. 花子は花粉症だったから。
  2. 花子はあくびをしていたから。
  3. 花子は悲しかったから。

これで、すぐに3を選んだ方は一応、受験国語のルールが身についている(または身につきつつある)かもしれません。「花子は目をうるませた」としか書いていないのですから、別に1でも2でも間違いではありません。ですから、この問いには本来、答えがありません。しかし、受験国語のルールにしたがえば、3以外に答えはありません。[2]

実は、国語の読解問題にはルールがあります。そして、これは学校の授業でも、高校・大学受験の国語でも大きく変わりません。では、国語のルールとはなんでしょうか。それは、「こういう場合には、多くの人がこういう気持ちになるのだろう」という世間の常識にのっとったものが答えになるということです。そして、受験の小説に出てくる親や先生や大人は、ふつう「良い親」「良い先生」「良い大人」です。主人公もふつう「良い子」です。これも、世間で「良い」と思われるような親・先生・大人でなければなりません。先ほどの例で言うと、「目をうるませたのだから、泣きそうなんだな。悲しいことがあったのかな」と気持ちを察するのが、中学受験における「よい考え方」なのです。

国語の問題に出てくる「気持ち」を問う問題もこういう視点から考えていく必要があります。そして、それにはいくつかのパターンがあります。いくつか例を挙げます。

  • 目をうるませた → 悲しい
  • 顔が真っ赤になった → 恥ずかしい、怒っている
  • 口元がほころんだ → うれしい

このような、パターンをつかむことがまず、受験の国語では必要なのです。

傍注
  1. ^ コバショー『茂木健一郎氏「中学受験を擁護する人は思考が狭い」「今すぐにでも廃止すべきだ」』 2023/08/24 , 8:40
  2. ^ これは極端な例ですが、これと同じような問題は本当に出ています。興味があれば、『中学入試国語のルール』(石原千秋著 講談社)の「第六講 答えを一つに決めるには」(pp.95-108)を読んでみるといいでしょう。実際の問題文ものっています。

中学入試では、独創的(どくそうてき)な読み方をしては、間違いなのです。学校の先生すらも思いつかないような深い読みかたをして、その答案を解答用紙に書いたところで、答えあわせをしてる中学の先生が思いつかないので、たんなる「間違った答案」だと見なされてしまう場合が高いのです。中学校の先生たちは、短い時間で、多くの受験生の答案を、見なければなりません。一人ひとりの読みかたを、いちいち調べている時間がありません。だから、かわりに、パターンにそった答案が書けるかどうかで、読解力を調べるのです。

本来、物語や小説などの読みかたには、多くの読みかたがあります。だから小学校での国語の授業では、たとえば、ある生徒が、ほかの多くの生徒たちとは違った、独創的な読み方をする場合もあります。先生すらも思いつかなかったような読みかたが、でてくる場合だって、あります。もし、その独創的な読みかたが、すごく深く考えてあって「立派な読みかた」だと小学校の先生が思った場合には、小学校の先生が、独創的な読みかたをした生徒をほめてくれる場合もあります。

しかし、さきほども言ったように、中学入試では独創的な読み方をしてはダメなのです。

かりに、こういうパターンで考えず、「『目をうるませたから』といって、悲しいとは限らないぞ。たとえば、目にゴミが入ったのかもしれない。」などと例外的な場合も考えておくのは、たしかに、そういう場合もありえるから、本来は注意ぶかいから立派(りっぱ)なことなのですが、しかし、言葉とは、なるべく少ない文字数で、多くの情報を相手に伝えなければならないのです。だから、このようなパターン(「目をうるませた→悲しい」など)が、すくない言葉で意図を伝えるため、どうしても必要になるのです。特に、物語の場合、作者は、読者に物語の世界に入り込んでほしいわけですから、ほとんどの表現では、パターンにそった表現法を用いているでしょう。私たちも、ふだんの会話では、パターンにそった表現を、たくさん、使っています。また、ふだんの会話では、パターンにそった表現をしないと、誤解や勘違(かんちが)いの原因にも、なってしまいかねません。だから、パターンにそった表現が、必要なのです。

なお、一般に物語づくりの手法として、作品内でパターンから外れた事を多くし過ぎると読者・観客が理解できないので、適度にパターン通りのものを混ぜておく、という手法があります。近年は、LGBTとか「偏見の解消」とかでパターン的なものの見方を否定する場合もありますが(たとえば男の子なのに髪の毛が長いとか)、その場合は、別のところがパターンどおりになっているのが、物語づくりでよくある手法です。


そして、パターンがあるのは、なにも一文の表現だけでなく、文章全体の物語にすら、パターンがある場合すら、ありえます。そして入試国語の物語文では、こういうパターンにそった物語が出る場合が多いのです。かといって完全にパターンどおりの物語だと、読解力を問う入試問題にはなりませんから、ほんのすこしだけ、パターンから外れた問題が出るのです。

中学入試での国語の問題には、正解がなければなりません。そして、その正解とは、もし中学校の国語の先生ならば、ほとんどの先生が「これが正解だ」と思うような正解があるわけですから、だから中学入試の国語にはパターンができるわけです。

どういうパターンがあるかは、じっさいに中学入試の過去問などで問題練習をしないと、身につきません。

さて、物語にパターンがあるわけですから、問題の正解にもパターンがあるわけです。

つまり、国語は、いわゆる暗記科目でもあります。たとえば社会科とかで語句をおぼえたりするのと同じように、国語でも、語句や物語などの読みかたのパターンを身につけないといけません。物語のパターンを身につけるには、単に過去問に紹介された作品を読むだけでなく、じっさいに問題も読んで、そして解答も読んでください。もし入試直前などで問題練習の時間が足りない場合は、解答だけを読むのでも、効果があるでしょう。とはいえ、入試直前などでないなら、きちんと問題を解いて練習してください。問題は解くだけではダメであり、問題を解きおわった後には解答と見くらべてください。

説明文・評論文の解き方

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ある物事を説明したものを説明文といいます。これに近いものとして、ある物事について筆者の意見を述べたものがあり、それを評論文(ひょうろんぶん)とか論説文(ろんぜつぶん)と言います。ここでは、それらの読み方について説明します。

まず、入試の国語では、私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章がよく出されます。一つ、例をあげましょう。環境問題は重大な問題だということはみなさん、学校で習っているはずですからよくおわかりでしょう。しかし、入試の国語ではそこから、もう一歩踏み込んだものを扱うことがあります。「なぜ自然環境を大切にしないといけないのか」「人間はよくばりだから自然を破壊したと言っていいのか」などのような文章が出されます。

そして、特に評論では何か二つ以上のものを比べる(対比する)ことがとても大切です。「日本人はお金持ちだ」といってもそれだけでは、自分でそう思っているだけです。日本の平均所得(お給料の平均)と外国の平均所得とを比べて、はじめて説得力のある文章になります。ですから、何かを主張するときには2つ以上のものを比べることが多いのです(これは作文を書くときにも知っておくといいでしょう)。

そのとき、評論文では反対の意味を持つ(とされる)ものがキーワードになっていることが多いです。たとえば、「個人と社会」「人間と自然」「伝統と変化」などがあります。そして、筆者はどの立場なのかを見極めなければなりません。

評論文・説明文も小説と同じように、世間の常識も解くときにカギになります。極端な例を挙げると、「自然環境を破壊してでも社会を発展させることは大切だ」「貧富の差が大きくなるのは当然だ」という問題が出ることも、それが答えになることもほとんどありません(ただし、本文中に根拠(こんきょ)がないので正しいとは限らない」ということがあります)。それは、「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」があるからです。私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章も、別に私たちの常識を完全に否定するとはかぎりません。「ふつうだ」と思っていることにあえて疑問を投げかけることで、それがどうして当たり前なのかを確認することもあるのです。

説明文という分野では、ものごとの常識的な分析(ぶんせき)で、問題を解くのです。中学高校の先生からすれば、こういう常識的な分析の方法ができない生徒だと、中学や高校の社会科などの科目の教育で、教えるのに手間がかかります。だから、常識的な分析の仕方ができるかどうかを、テストで見るのです。

国語の分析力で必要なのは、分析の広さや早さであって、けっして分析の深さではありません。ごく一部の人たちだけしか思いつかないような、深い分析は、国語では必要とされません。たとえば社会問題について書かれた評論文でも、受験生に求められる分析の深さは、文章に書かれている説明のほかには、せいぜい小学中学の社会科で用いるぐらいの分析です。

このように、評論文や説明文では、社会科などで使う分析の方法についても、知っていないといけません。さきほど言った「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」「道徳」も、社会科などで教えられる常識でもあります。だから社会科の参考書で勉強するときに、用語などを覚えるだけでなく、社会の「常識」「道徳」もおぼえておきましょう。

中学の社会科や社会常識に対してすらも疑問を投げるような独創的な分析は、中学入試の国語では必要ないのです。 「学校」という集団も、社会の一部です。だから、社会科で「常識的」「道徳的」とされるような考えかたが、中学でも「よい考えかた」だとされますし、国語でも「よい考えかた」だとされるでしょう。

高校入試や大学入試の入試国語の説明文・評論文でも、同じようなことがいえます。

理科

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参考書と問題集が必要です。 学校教科書だと、中学受験でおぼえるべきことが教科書に書いていないことがあるので、参考書を買って勉強してください。

用語などのほかに、記号などを覚えたりする勉強も必要です。たとえば電気の問題なら、どんなに直列や並列の仕組みを理解していても、そもそも回路記号をおぼえていないと、回路記号が使われた問題なら解けないでしょう。 だから参考書などを読み返して、おぼえるべき記号は、きちんと、おぼえてください。

図鑑(ずかん)など

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もし、図鑑なども勉強するなら、昆虫図鑑とか、植物図鑑とか、惑星の図鑑など、やや生物学・地学寄りの図鑑が良いでしょう。

いっぽう、自動車の仕組みとか、ダムの仕組みとか、通信機・コンピューターの発達の歴史などを勉強しても、まったく入試に出ませんし、そもそも中学・高校の理科の先生が、そこまで知りません。このようなものを、中学・高校の理科では、ふつうあつかいません。

社会

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きほんとなる小学校の教科書にのっているようなこと(たとえば都道府県の県庁所在地名、代表的な地図記号など)は、きちんと覚える必要はあります。

しかし、それ以外のことの暗記は5年終わりまでは、そこそこにしておいて、ふだんの勉強では、どんどんと参考書で先に進んでいくのが良いと思います。 たとえば歴史分野は小学校では6年からですが、たとえ5年生や4年生とかであっても、自分で歴史の学習マンガを読むなり何なりして、どんどんと読み進めていってください。

歴史については、参考書をいきなり読んでも、あまり理解できないでしょう。歴史マンガや(学習向けのものにしましょう)、子どもむけの偉人伝(いじんでん)などをあつめた本などが、書店の児童書コーナーなどにありますから、それを読むと良いでしょう。小学生むけの歴史の参考書を読むのはそのあとがよいと思います。

ほかの分野(特に地理)参考書をどんどんと読みすすめて、勉強していない分野をなくしてください。学年にとらわれず、勉強してください。4年生でも、高学年用(5年・6年用)の参考書で勉強しはじめても良いでしょう。教科書で習ったようなことがマスターできたら、中学受験用テキストに進みましょう。

作文で社会問題を求められる場合への対策(たいさく)として、本屋に行けば、中学受験むけの時事の解説書があるので、まずはそれを読むのが良いでしょう。国語の説明文や評論文などでも、近年の社会問題などについての文章が出る場合もありえます。

しかし、ニュースなどの時事問題よりもまずは教科書にのっている出来事をしっかり覚えることが大切です。そして、参考書で知識をおぎなったり、練習問題を解いていったりします。この積み重ねが社会の勉強の基本です。

地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えよう

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中学受験では、漢字指定や「隠れ漢字指定」(「漢字指定」とは書いていないが、漢字で書かないと不正解または減点)が非常に多いです。ですから、地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えましょう(理科など他教科も一緒です)。ただし、「ひらがな指定」などには注意してください。学校の説明会で、「漢字でないと減点」「ひらがな可」など、漢字、ひらがなについて指定されるはずですので、事前に確認しておきましょう。

戦国時代などの特定分野に深入りしない

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特に戦国時代はゲームやマンガになっているため、それらを通じて興味を持った方も多いでしょう。しかし、そういったものだけに深入りしすぎない方がいいです。

織田信長や徳川家康などの戦国時代にはとても多い数の武将(数百人)がいます。しかし、それらすべての人物を勉強していては、時間のむだです。

せいぜい、教科書や参考書で書かれているような有名な戦国大名について、その名前と業績を知っていれば、じゅうぶんです。それ以外は、入試にでません。たとえば信長の弟(信行(のぶゆき))や父親の信秀(のぶひで)は、入試にほとんど出ません。偉人伝などでも、織田信長とか豊臣秀吉とか徳川家康などは、タイトルに取り上げられるでしょうから、興味があれば、どれかを読んでみても、よいでしょう。

そもそも、歴史は、古い時代から現代までの流れをつかむのが大切なことです。他の時代も勉強しなければ、戦国時代のこともよく理解できないのです。

しかも、歴史ですら、社会科の一分野にすぎません。歴史のほかにも、地理分野や公民分野もあります。

小学校の範囲外の話題も出てくる

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社会科にかぎったことではないですが、小学校の教科書には書かれていないような話題も出ます。中学受験の地理や日本史の問題では、中学校の教科書に出てくるような話題も出ます。

しかし、中学受験の社会科の歴史の問題の元ネタは、偉人伝(いじんでん)や学習マンガ、小中学生向けの日本史の解説書です。

たとえば、中学校の社会科の歴史分野で習う人物や出来事のうち、小学生むけの偉人伝とか学習マンガにも、よく出てくるような人や出来事が、中学受験にも出やすい、という事です。

いっぽう、中学受験の地理や公民の分野の中学レベルの問題については、参考書を読んで勉強するしか、ありません。


では、歴史の勉強の方法について、提案します。

具体的にいうと「武田信玄」とか、小学校では教科書には出てきませんが、しかし中学受験では出てくる場合があります。なぜなら偉人伝や学習マンガにも良く出てくるし、長篠の戦いで武田氏について習うはずですし、高校の日本史の教科書で武田信玄など有名な戦国大名を習うから、当然、中学受験に出る可能性もある、ということです。

逆にいうと、学習マンガとかに出てくる人物であっても、中学校や高校の教科書に出てこない人物は、中学受験にも出てこない場合が多いでしょう。たとえば、忍者といわれている服部半蔵(はっとりはんぞう)は、中学の教科書にも高校の教科書にも出てこないので、中学受験にも服部半蔵は出てこないでしょう。

さて、中学受験に出る中学範囲の歴史知識は、本来なら、中学生を相手にして時間をかけて教育することですから、小学生がいきなり参考書でそれらの知識を暗記しようと思っても、効率は悪いです。

ですから、偉人伝とか学習マンガとか小中学生向けの日本史の解説書をある程度、読んでおきましょう。


中学受験で小学生に出題できる人物には、限りがあります。たとえば、小学生は、法学や経済学を知らないので、明治~昭和時代での、それらの学問の お雇い外国人 の名前(たとえばフランス人の法学者のボアソナードなど)は、中学受験には出てきません。

いっぽう、「大森貝塚を発見した人 = モース」「明治時代に日本でさいしょに近代的な郵便制度をつくった人 = 前島密(まえじまひそか)」などのように、小学生でも内容を理解できる人物が、入試に出てくるわけです。

そして、中学受験むけの社会科参考書の歴史の分野のページでは、このような、小学生でも業績を理解しやすい人物が、紹介されているわけです。

なので、歴史の暗記は、中学受験むけの参考書に出てくるような話題だけを、当面は暗記できればいいのです。

余談ですが、裏を返すと、中学受験で得られる社会科や国語の教養は上記のように片寄りが大きいので、もし社会科の教養のある大人になりたい場合は、中学合格後に、高校や大学受験あたりで再び大学受験レベルの勉強をしなおす必要があります。


時事問題(社会)

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偏差値の高い中学では時事問題で差がつくことが多いです。なぜなら、そのレベルになると普通に知識を問うような問題では満点を連発するような子どもが多く、社会の点数で差がつかなくなることが珍しくないからです。ただし、時事問題のテキストは10月末ごろから書店に並びます。ですから、時事問題対策はそれ以降でかまいません。裏を返せば、6年生の10月ごろまでは時事問題の練習は必要ありません。むしろ、それまでは習ったことの復習と定着のための練習に力を入れるべきです。

さて、時事問題には大まかに分けて2つの傾向があります。

  1. その年の出来事やニュースによく出た人物の名前を書かせるもの。
  2. その年の出来事と社会で習ったものとを組み合わせたもの。

1の場合、普通の社会の勉強と同じ仕方で覚えていきましょう。例えば、今年(2020年)だと「新型コロナウイルス」「イギリスのEU離脱」などについて書いて覚えていくといいでしょう。

2の場合は「社会」のいろいろな力が試されます。例えば(書きかけです)といったぐあいです。この場合は、できごとを覚えておくことも必要ですが、これまで積み重ねてきたものが最も重要です。最終的には、今年の出来事がどういうものなのかを、これまで習った知識を使って説明できることを目指したいものです。

塾や家庭教師の先生と一緒に過去問を見て、時事問題がどれだけ出ているのか・どんな内容なのかをちゃんと確かめておきましょう。その上で対策を行うようにしてください。


捨て問(地雷問題)

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「捨て問」とよばれる問題が1、2問出る学校もあります(「地雷(じらい)問題」ということもあります)。これは、高校内容などを元にしたり、計算量が膨大(ぼうだい)だったりと、小学生には解けない、または解きにくいような問題のことです。例を挙げましょう。

問 日清戦争の後、清で日本の明治維新を手本にした改革を行おうとしたのは誰ですか。次の中から選びなさい。
  1. 李鴻章(りこうしょう)
  2. 西太后(せいたいこう)
  3. 康有為(こうゆうい)
  4. 章炳麟(しょうへいりん)

こんな問題解けるわけがないですよね(ちなみに答えは3です)。なぜ、こんな問題が出るのかというと、時事問題のところでも説明したように、高レベルの学校の受験では高得点をとる子どもだらけになる場合があります。それを食い止めるためにわざとこういう問題を出す学校があるのです。歴史分野以外の社会や社会以外にも「捨て問」が出されることがあります。

捨て問に対処する方法はありません。こういう問題を出す学校の入試の場合、全然習った記憶のないものが出ても「地雷だからみんな解けない」と割り切って、先に進みましょう。また、塾でやる過去問の中に地雷問題があった場合、先生が教えてくれるはずです。ただし、入試本番で見かけたら、選択式の問題であれば、なるべくどれかをカンで選んでおきましょう。確率は低いですが、当たる可能性があります。

例外はあります。〈年表・グラフ〉を参考にして答えなさい。例えば問題に「1980年に○○」と書いてたら,1980年に着目しないといけません。資料を有効活用した,勉強方法も必要です。本屋で過去問を探し,学校で覚えた用語はハヤメに復習したり、教科書にある記述は覚えた方がいい。方向や出来事は確認しよう。 過去問:これは教科書に記載されてない可能性があります→ひとつの例として押さえる

適性検査

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国立大学付属中学校と公立中等学校では私立中学のようにそれぞれの科目ごとに分かれた試験ではなく、「適性検査」として、国算理社すべてをまとめた問題が出されます(ただしこの4教科とはかぎりません)。

特に、世の中の動き(時事問題と言います)の知識やグラフ・表を読む力、計算力や発想力が問われます。

時事問題

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中学受験、とくに公立の中高一貫校では、時事問題が出題され、与えられた資料を分析して、違いや共通点を説明することが求められます。私立中学校でも出題されることがあります。このようなトレーニングには、受験に定評のある出版社から出されたニュース解説集、時事解説集などを読むことが必要かもしれません。

出版社によっては、受験に定評のない出版社が、中学受験をしない子供向けに出している子供向けのニュース解説書もあるので、それとは混同しないようにしましょう。

たとえ「中学受験対策」をうたっているニュース解説書でも、出版社に受験対策の実績が無い場合は、ほかの出版社の本にしたほうが良いでしょう。

さて、時事問題などの対策として、よくある勉強法として、「新聞を読め」とか「ニュース番組を見ろ」という勉強法を(かか)げる人もいます。しかし、これまでニュースや新聞にあまりふれていないのに、いきなりこれらに手を出してもあまり効果はないでしょう。

理由1: その理由は新聞もテレビ番組(これらをマスメディアといいます)も、そもそも小学生の勉強用には作られていないからです。
それに記事や報道が正確とは限りません。記事が誤報(ごほう)の場合だってあります。ましてや、本当かウソか わからないもの(週刊誌やゴシップ誌・スキャンダル誌とよばれる雑誌)から社会を勉強するというのは良いものではありません(しかも、このようなものには芸能ニュースなど、中学受験にはほとんど関係ない内容が多いです)。
理由2: また、テレビのニュース番組なども、視聴者(しちょうしゃ)が好んでみるようなものが多くえらばれます(このようによく見られる=売れるものばかりをあつかうことを商業主義といいます)。ですから、ニュースや新聞の利用は小学生にすぐにすすめられる勉強法ではないでしょう。

新聞記事の内容の理解や、ニュース番組の理解は、社会科や国語の学習成果であって、学習手法ではないのです。

マスメディアを利用するときに大切なことは、ただ1つだけの情報をうのみにするのではなく、他の情報などと照らし合わせて、情報が本当に正しいのかどうか、別の見方はできないのかを考えることです。

例えば、A新聞では大きくとりあげられていることが、B新聞ではほとんど書かれていないことも多いです。ある政策にA新聞は賛成し、B新聞は反対の場合、それぞれの新聞社が自社の意見につごうの悪い情報については新聞では紹介しないで、自社につごうのいい情報だけを新聞記事で取り上げる場合もあります。

作文

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国立大学付属中学校や公立中等学校(一部の私立中学校でも)では400 - 600字の作文が出題されます。 45分というかぎられた時間に400字以上の作文を書かなければなりません。また、テーマは自由ということはほとんどなく、課題文をもとに自分の感想や意見を体験を交えて書くことがほとんどです。そのため、文章を書くスピードも大切ですが、課題文をしっかりと読む力も必要です。

英語

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私立中などで、英語を入試に出す場合もあります。

まだ英語を出す中学校が少ないので(英語教育改革により、最近どんどん増えています)、傾向は固まっていないでしょう。受験生は、バランスよく勉強するのが、安全で近道だと思います。

単語の書き取り、聞き取り、会話とか、かんたんな英文の読みなどを、バランスよく勉強するのが、安全だと思います。市販の教材などを使うのも良いでしょう。最近なら、英語の音声教材なども、安い値段で売っているはずです。

けっして「聞き取りばかりしか練習しない」とか、「会話ばかりしか練習しない」とかは、やめたほうが安全だと思います。 いくら「語学では聞き取りが大切」だからと世間では言っても、まったく書き取り練習をしないのは、やめたほうが良いでしょう。

問題文やテストの説明まで英語で書かれていることもあります。問題文も理解できるようにしておきましょう。

また、英検®などを取得しておくと、優待が受けられることがあります。(5 - 2級程度)(※場合によっては、普通のコースと違う「英語特進コース」などに進むことになることがあります。)入試要項などを見て、必要に応じて取得しましょう。

実技科目(図工・音楽・家庭科・体育)

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国立中などで、実技科目を入試に出す場合があります(ただし、家庭科がないことがあります)。

まずは、どの教科でも、小学校の教科書を見返しましょう。

図工

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図工では、色や形の知識、デッサン、美術史などが出題されます。

  • デッサン

音楽

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ピアノ・作曲などの練習をしましょう。絶対音感は、あれば有利ですが、なくてもほとんど問題ありません。4小節くらいの作曲が出題されることがあります。

家庭科

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体育

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小学校について

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小学校のことをいい加減にしない

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いくら中学受験の勉強をするとはいえ、絶対に小学校のことをいい加減にしないでください。きちんと小学校の宿題をする、授業を真面目に受けるなど、当たり前のことは当たり前にしてください。受験勉強もしつつ、小学校でよい思い出をつくってください[ウィキブックスの1編集者の見解または意見に過ぎません]

中学受験の考えを小学校に持ち込まない

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また、塾や参考書で習ったことを、そのまま小学校で使わないでください。もしほぼ同じ問題が出たとしても、小学校では小学校の解き方があるはずなので、必ずそれに従ってください。小学校で中学受験の解き方をするのは、小学校側にとっては望ましくないことです。また、理科や社会などでは、用語の記述が小学校の教科書と中学受験参考書で異なることがあります。小学校のテストでは、当然、小学校の教科書の通りに答えましょう(実際に、間違っていなかったとしても、教科書に沿った答えではないので不正解とされることもあります)。ですから、参考書による勉強も大切ですが、小学校の授業をしっかり受け、教科書もしっかり目を通しましょう。


教材えらび

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参考書のレベル

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参考書や塾などで、何かの勉強に取り組んでみて、同年齢の子と比べて、あまりにも、我慢(がまん)が要求される課題の場合、レベルがあってません。そして残念な事に、ガマンの割には、大して学力が身に付きません。

参考書の読書なら、ある1ページを読んでみて「あ~、なるほど~」と納得できるようでないなら、レベルが合ってない。小中では、そういう興味をひきやすい話題が多めのはずなので、読んでもそういう納得で興味がわくようになってない参考書の場合は、レベルが合ってないので、別の本に移るほうが良い。

参考書えらびは、けっして単に、「参考書の内容が分かる」でも駄目です。

基本的に参考書は、新しい事を勉強するために読みます。(受験の半年前などは例外だが、省略する。)

このため、参考書を読んでみて、「新しい知識が増えて、しかも納得できる」ような本を選ぶ必要があります。そうでないならレベルが合ってない。


塾えらびも同じです。知識の獲得と、納得の多い塾を選びましょう。場合によっては、塾を途中で、別の塾に移る必要もあります。その場合も、元いた塾にも、礼儀ただしく接しましょう。

べつに、塾や子供のどちらかが悪いとか言うワケではなく、単に、組み合わせや、タイミングの問題です。そのタイミングでは、その組み合わせは、合ってなかった、というだけです。

算数ばかり、しすぎない

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たとえば、「算数の参考書を読んでみたが、計算が面倒になって半分読んだところでヤメた」となるくらいなら、計算問題なんて一つも解かなくて良いので、国語・理科・社会科・英語の参考書4冊の全部を1冊まるごと読んだほうがマシです。さらに、1つの出版社だけでなく複数の出版社の参考書(国語、理科、社会、英語)を読み比べる事が出来れば、申し分ない。他社本との読み比べまで行ければ、下手すれば、世間の(教育関係者でない)大人よりも物知りな場合もあります。

単純な計算ですが、算数がどんなに得意でも、入試では1教科ぶんの100点満点どまりです。理科と社会科は50点満点の場合もありますが、それでも国語(100点)・理社(50 + 50 点)・英語(100点)の合計は 300点 満点です。国英・理社の3教科のほうが、算数よりも得点の配分が大きいのです。

別に算数・数学を捨ててるわけでもなく、最低限の計算練習は、脱ゆとり教育の現代(2020年代に執筆)なら小学校でヤルはずなので、なので、あまり算数に深入りしなくても平気です。


さらにこうすれば、余った時間で、中学校の参考書も、いくつか読めます。時代はプロジェクト型学習やアクテゥブ・ラーニングなどの方向に変わっていますので、好きな科目だけでも良いので、さっさと中高の範囲に進みましょう。

例外として、「小学生で、数学の整数論の定理を発見した」(実在します)みたいな神童なら、数学の研究を続けるのも良いでしょう。

しかし、べつにそうでないなら、面倒な計算練習には時間をかけずに、理社の知識を増やすのも手です。こっちのほうが中高の探求学習にも使いやすく、一石二鳥です。

ドリルばかりを、しすぎない

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けっして、漢字ドリルや計算ドリルばかりをしすぎないように注意しましょう。ドリルばかりをしすぎて、参考書の読み込みが不足している状態は、おそらく入試にも通用しません。

20世紀の昭和や平成初期の時代、小学生むけの参考書の種類が少なかったので、大人の中にも、この勉強法を引きずっている大人がいます。こうならないように注意が必要です。


ドリルみたいな復習は、夏期講習みたいな時期に定期的にやれば良いのであって、それ以外の時期は、新規の分野の学習に専念しましょう。中学・高校の進学塾も、基本的には同じ方針です。

コンピュータの発達により、単純な暗記や、計算などのスピードアップは、社会での必要性が下がっています。このため、計算はせいぜい、普通の中受むけの参考書の文章題が解ければ、多くの子には充分です。


参考書でも良いので本を読んでれば、自然と漢字の読みはできるようになります。

漢字の書き取りに関しては、脱ゆとり教育の現代(2020年代)では、学校で習う最低限の漢字が書ければ、当面は充分です。

せいぜい、小6のときに中1の漢字も書ければ、中受の対策としても十分でしょう。それだって受験までに習得すれば充分です。


算数も、計算ドリルばかりをやって理科や社会科を勉強しないよりも、さっさと理科や社会科を参考書で勉強しましょう。


そもそも計算ドリルは、あれは計算が苦手な子が練習するためのものです。すでに分かっている子は、あまり繰り返す必要はありません。


計算ドリルよりも、普通の参考書にある、普通の問題、文章題などを解きましょう。どのみち、受験問題でも、文章題および図形問題が基本的には多く出ます。

そして、算数ばかりを勉強するのは基本的に避けるべきであり、なるべく理科も勉強しましょう。

理科の知識が無いのに、算数だけ多く練習しても、知識どうしが結びつきません。


化学の勉強は難しいかもしれませんが、物理・生物・地学などは予習が比較的にラクでしょう。

理科の知識が増えれば、自然と算数の興味も増えます。

小学校で習う常識的な算数の計算問題が普通によく出来れば、あとは算数の参考書で高度な問題も練習すれば、残りは理科を勉強したほうが良い。

英語の勉強

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小学生が、英語の勉強をする一番ラクな方法は、中学1年生むけの教材の英単語や英文法などの読み書きを始める事です。これ以外に無い。中学2年くらいのレベルまでなら、中学範囲を予習するしかありません。

もし他にもっと良い勉強法があるなら、とっくに国立の中学校や、私立中学校などが取り入れています。そうではないので、中学1~2年生むけの教材の読み書きが、英語の入門には、最善にて最適です。


英語の歌(ABCの歌とか、10人のインディアンの歌)とかを聞かせるのは、あくまで補助でしかありません。

歌詞をぜんぶ覚えさせるのは、かなりの負担です。間違っています。

インディアンの歌なら、数詞さえ覚えられれば良いのです。

tumbled off (タンブルド・オフ)「落っこちる」なんて、小学生が覚えられるか。英検準1級あたりのレベル。大学生でもキツイ。

「英語の歌を何度も聞けば、覚えられる」なんて思ってる教育者は、インチキです。自身が大して英語の歌を聞いておらず、覚えてない。


ある程度、中学英語を勉強した上でなら、小学時代はあえて小学生むけの英語の練習をするのも構いません。発音練習や、英会話や、英語の歌など、中学校教材では勉強しづらい事もあるので、そういうのを小学生のうちに重点的に練習するのも、人生の良い選択肢のうちの一つでしょう。公立中学の義務教育むけの、ヤル気のない中学生でも勉強できるような手加減した教材よりも、やる気のある小学生むけの教材のほうが、中には高度な教材もあるかもしれませんし。


英文法こそが戦後改革である

間違った俗説(ぞくせつ)で、「日本の英語教育は、文法ばかり教育していて、会話を教えないし、文学も読ませない」とかありますが、色々とマチガイです。

むしろ、戦前の日本の英語教育のダメな点が、文法の軽視です。どういう事かというと、戦前は、欧米技術の輸入のために、英語の文献を和訳さえ出来ればよかったので、英作文や英会話みたいなのを日本は軽視しすぎていたので、そのため現代の英文法の教育なら中学で基本的に教えられている文法事項すら、戦前は教えられていなかった文法事項がチラホラとあったほどなのです。

たとえば、英語での自己紹介の授業とは戦前はしなかったので、人称代名詞(I とか you とか he など)の文法のうち、I とか you とかが文法としては、あまり詳しく教えられおらず、単に基本単語のひとつとしての扱いでしかなかった(Iは「私」と訳す、Youは「あなた」として訳す、的な単語としての知識どまりで終わってた)、という欠点すらも存在していたほどです。

つまり、「英会話で自分のことを言いたい場合は、Iを使う」という事すら教育されていなかった。なぜなら、そもそも英会話が無いから、・・・といったのが戦前の状況です。

なので、戦後の教育改革として(なお、終戦は昭和20年)、英会話や英作文などのコミュニケーションでも役立つようにと、英文法の教育が改革されていった、・・・という歴史があるほどなのです。


つまり、「一人称」(いちにんしょう)という概念が、戦前の英文法教育では存在しなかった、というわけです。「一人称」や「二人称」(ににんしょう)といった文法用語にこそ、じつは背景に、実は戦後の教育改革によるコミュニケーション重視があります。

昭和35年代以降の教育は戦前とは異なり、戦前の英語教育の駄目な点を反省して、新しく作り替えられた教育体系です。


現代の英文法の教育こそが、戦後の英語教育の改革の象徴です。

中学レベルの文法すら学ばずに、単語ばかり覚える事を主張する人こそ、戦前のダメな英語教育と同じ失敗を続けています。

学問は持続力も必要

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たとえば、小学2年生の時点でもし、小学4年の算数ができれば、その子は、その時点では「頭がいい」という評価です。

しかし、もしそのまま小学5年生になっても、小学4年制の算数までしか出来なければ、その子は「頭が悪い」という評価です。

この事に気を付けてください。


よって、勉強をするなら、基本的に、持続力が求められます。たとえば、小4のときだけ1年間塾に週2で通って あとの学年では塾に通わないよりも、夏期講習だけでも良いので小4・小5・小6の毎年通うほうが、効果が高いのです。

小4で四谷大塚に通って、あとは何もしないよりも、小4・小5・小6で地元の中受塾に週1でも通うほうがマシです。


また、基本、家庭では、勉強する科目は、自発的に続けられる科目を中心に勉強するのが良いでしょう。

たとえば英語が好きなら、他教科は人並みで良いので、英語ばかりを勉強する、といった感じです。「好きこそ物の上手なれ」です。

「英文法が好きなら、受験の事はあまり考えず、英文法ばかりを勉強する」、「プログラミングが好きなら、受験の事はあまり考えず、プログラミングの練習をどんどん進める」、といった感じです。


野球をするのが好きとか、ピアノをするのが好きとかあるなら、とりあえず、小学校の段階では続けるのが良いでしょう(受験直前は時間を減らすとか必要かもしれませんが)。

ピアノをするのではなくピアノ曲を聞くのが好きとかでも、まあ、小学校レベルでは興味が多いほうが国数英理社の5教科の勉強もしやすいでしょう。


何年も先の話ですが、大人になって就職して定年の65歳だとか70歳まで、なにがしかの勉強を続ける事になるのです。

子供時代の勉強は、プログラミングに例えるなら、今後の50年間や60年間、(物理的に破壊されない限り、)壊れないソフトウェアやシステムを、小中高の12年間をかけて制作するようなものです。小さな不具合はあっても修理をして使い続けられるソフトウェアやシステムを制作するようなものです。

そういう、とても難しい事が要求されています。

部活の少ない小学生のうちに先取り学習を

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最終的に、難関大学の一般入試を突破できる程度の学力に、高校3年生にまでに到達したいなら、小6の終わりまでに中1の範囲を、とりあえず先取り学習などで、いくつかの教科で、ほぼ終わらせる必要があります。

なぜかというと、中学校に入ると、部活で時間を多く取られるからです。特に公立中学が、部活が多めです。

小学校のほうが部活の時間が少ないので、小学生のうちに、英語などで中1の範囲に入ったり、可能なら中2の範囲に入ると良いでしょう。


時間の掛かる、書き取り練習などを、この小学校のうちに行っていくと良いでしょう。参考書の読み込みなどは、通読でインプットするくらいでも良いでしょう。

小学生の場合、部活がほぼ無いので、この方法を使えば、もし小5あたりから予習を開始すれば、うまくすれば中3くらいの範囲にまで入れるでしょう。そこまで入る必要は別に無いですが、入れるなら、入っても損はありません。