中学受験ガイド
ここでは中学受験について、大まかな解説や、入試前後の過ごし方の説明をします。 小学生のみなさんは、お父さん・お母さんたち保護者のかた、学校や塾の先生と読まれることをおすすめします。
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このページ (中学受験ガイド) では、中学受験ガイドについて説明します。なお、独自研究や中立性を欠いた文章を含んでいる場合があります。独自研究の中には多くの場で共有されている意見もあれば、少数の意見もありますのでご注意ください。 |
学校の種類について編集
中学受験が行われる中学校には基本的に次の3つがあります。
- 私立中学校
- 国立大学付属中学校
- 公立中等教育学校
これから説明しますが、それぞれ、受験内容や進路についての違いがとても大きいので、よく考えてどこを受けるのかを決めてください。
私立中学校編集
都道府県・市区町村・国以外の人や団体が作った学校です。
私立中学校は、進路のありかたで2種類に分けることができます。
- 私立大学付属中学校
- 中高一貫校(大学はない)
なお、高校もない私立中学校もありますが、そうした学校はとても少ないこと、そもそも中学受験がない(小中一貫校)ことがあるため、ここでは省略します。
私立大学付属中学校編集
私立大学付属中学校の多くは、中高・大学まで一貫していることが多いです。つまり、その中学校に入れば、それから先の高校受験・大学受験はなく、そのまま高校から大学まで行けるところが多い(内部進学といいます)のが特徴です。これ以降の受験がないため、のびのびと過ごすことができます。ただし、大学に進学するときにはそれまでの成績がしっかりチェックされたり、学部にふりわけるための試験が高校3年の冬に行われることもあります。そのため、成績やテストの結果次第では希望する学部にいけない場合もありえます。特に医学部には、普段の成績が上位でなければ進学できず、その中からさらに試験に合格した人だけを進学させる[1](不合格者は別の学部に進学する)こともあるため、普通の中学・高校と同様(あるいはそれ以上)に6年間みっちりと勉強する必要があります。
また、大学付属高校に限ったことではありませんが、あまりにも成績が悪いと転校をすすめられたり、退学させられたり、内部進学が認められなかったりすることもありますから、気を抜きすぎるのは禁物です。
なお、一部の大学付属中高では、内部進学者よりも外部進学者の方が多いところもあります[2]。他の大学に行く生徒が多いところはあとで紹介する中高一貫校の雰囲気に近いです。ですから、大学までストレートに行くつもりなのか、それとも大学は別のところにするつもりなのかをよく考えておきましょう。
大学のない中高一貫校編集
大学のない私立の中高一貫校の多くは早くから大学受験を目指した教育が行われます。そのため、授業のスピードがとても速いです。中学3年の頃には高校内容に入り、高校2年生時で中高6年間の内容を終わらせてしまうこともよくあります(高校3年生時に大学受験のサポートをするため)。
教科書も、公立の中学校の教科書とは違う別の教科書を使うことがあります。特に数学・英語・理科は中高一貫校専用の教科書を使うことが多く(学校独自の教科書や教材を使うこともあります。また、ベースは教科書だが(または教科書も使用せず)独自のカリキュラムで進めることもあります)、[3]、一般の中学校教科書には載っていない内容や発展内容を普通に学習することもしばしばです。なお、検定教科書(公立中学校の教科書)は無償で支給されますが、このような教科書は基本有償になっており、入学時、購入することになります。
その他の特徴編集
宗教編集
私立中学校には宗教系のものもあります。主に、キリスト教(カトリック/プロテスタント)、仏教です。これらの学校では宗教の授業(宗教の考え方をもとに自分をみがく)があるところもあります(道徳の授業がなく、代わりに宗教の授業があることがよくあります)。また、学校行事にも宗教行事が含まれていることがあります(普通の行事にも宗教がからむことがあります)。しかし、たとえば、キリスト教の学校に「キリスト教徒にならなければ(洗礼を受けなければ)ならない」「神社で参拝してはならない」などという決まりがあることは、まずありません。そのため、ほとんどの宗教系私立学校は普通の学校と同じ感覚で入れます。ただし、その学校に入る以上、宗教教育を拒否できませんから、宗教上の事情がある方はよく考えてください。
ただし、ごく一部ですが、その学校に入る場合にはその宗教に入ることが求められる学校もあります。理由は、そのような学校は宗教・宗派の指導者を若いうちから育てることを目的としているからです。こうした学校はちゃんと学校説明会のときに説明されますし、パンフレットなどにも書いています。また、校名で分かるところもありますのでよく確認しましょう。
その他のメリット編集
- 公立学校より荒れにくい
- 6年間という長い時間で、のびのびと将来の進路を決められる
- それぞれの学校にはっきりとした「建学の精神(教育理念)」がある
- 一生ものの知識を身に付けられる
- OB(卒業生)との交流ができる
[受験前]
- 勉強量が受験しない人と比べて圧倒的に増える
- 友達と遊べなくなる
- 経済的負担が大きい
- ますます勉強嫌いになる可能性がある
[受験後]
- 授業がハイレベルであるゆえ、ついていけなくなると復帰しにくい
- 実技科目の授業が少ない
- 難関大学受験が前提なので、本当に行きたい大学に行けない、就職できないなど、自分の歩みたい道を歩みにくくなる
- テストが多い
- 中学3年生ごろ、公立中学校ではふつう、高校受験に熱が入るが、中高一貫校では、それがないので中だるみが起きてしまうことがある
- 通学時間が長くなることがある
- 学費が高い
- クラスメイト(やその保護者)がある程度偏っている
- 公立小学校の友達と
疎遠 になる
国立大学付属中学校編集
国立大学付属中学校は、国立大学の教育学部に付属する中学校です。私立大学付属中学校との大きな違いは、大学に内部進学することはできないということです(ごく一部、例外があります)。例えば、東京大学付属中等教育学校という学校がありますが、そこに入学しても東大に自動的に行くことはできません。また、国立大学付属中学には高校がないことも多く、高校受験も普通にしなければならないことが多いです。
国立大学付属中学校の役割は三つあります[4]。
- 大学が新しい教育方法を研究開発する場と地域のモデル的な学校となること。
- 大学の教育実習生の受け入れ先となること。
- いじめや不登校など、現代的な教育課題に対応する教員養成の在り方に関しての研究に協力すること。
つまり、国立大学付属中学校はより良い教育を行うための研究機関という側面が強く、必ずしも難関高校・大学への進学を目指すための教育をしているわけではありません。しかし、難関高校や大学進学を目指す雰囲気は強く、大抵は上位の進学校なみの進学実績となっています。
受験が少し独特であるのもとくちょうです。あとで紹介しますが、試験は「適性検査」となっていることがふつうです。また、受験生が多い場合には抽選が行われることもあります。
公立中等教育学校編集
都道府県や市が建てた中高一貫教育校です。もともとは公立高校だったところが、中学校も
試験は「適性検査」となっているだけでなく、試験科目も国語・算数・理科・社会の総合的な内容の「適性検査1」、作文の「適性検査2」というパターンが多いです。受験生が多くても抽選は行いませんが、人気が非常に高く、倍率がとても高いです。
ここも授業内容は、大学のない私立の中高一貫校とほぼ同じです。ただし、高校受験生も募集する学校の場合は、一般中学校出身者にあわせるため、進度を普通の中学校なみにしている場合もあります。
注編集
- ^ 例として日本大学医学部があります。
- ^ 有名どころでは国学院大学久我山中学高等学校や久留米大学附設中学校・高等学校。
- ^ 代表的なものが、数学では、数研出版の『体系数学』シリーズ。一般の教科書と、構成がかなり異なります。中堅以上の私立中学の数学教科書はほぼこれが使われています。また、英語では『NEW TREASURE』『PROGRESS IN ENGLISH 21』のどちらかを使うことが多いです。
- ^ 受験マニアックス2018年4月号・国立中学校より。
勉強を始める時期編集
中学受験、特に私立中学校を志望しているのであれば、4年生頃から受験勉強を始めるべきです。なぜなら、私立中学校の受験では、ふつうの小学校の教科書では習わないことが多く出るためです。特に、算数は小学校の内容では習わないような計算・公式・考え方が必要なことが多く、4年生頃から受験勉強を始めないと間に合わないことが多いです。
国立大学付属中学や公立中等学校の入試では、小学校で習わないことはほとんど出ません。しかし、作文や思考力を問う問題が多く、学校で出されるテストとは全く違うので、やはり5年生くらいから準備を進めないと、合格するのは難しいでしょう。
保護者の方へ編集
中学受験は保護者の理解と協力も大切な要因です。特にこの章は2020年現在、30代後半 - 40代前半の保護者の方にあてはまるお話です。
中学受験は難しい編集
ここは特に、中学受験の経験がある保護者を対象にしています。
2020年現在、30代後半から40代前半の方が中学受験をしていた1980年代後半から1990年代前半に比べて中学受験の難易度ははるかに上昇しています。当時は小学校の授業内容も多く、現在では発展的内容や削除されている内容(中学受験につながる内容も含む)が普通に学校の教科書にのっていました。また、今ほど中学受験は活発ではなく、受験生の割合もそう多くはありませんでした。そのため、学校の成績が良い場合、中堅の中学校であれば5~6年生くらいに学校の勉強に塾でいくらか+αの勉強をするだけで合格できました。
しかし、現在は小学校の内容が2 - 30年前に比べて大幅に削減されている一方で試験範囲の内容はほとんど減っていないこと、中学受験そのものの人気が高く倍率が非常に高いこと、塾と学校との対策のいたちごっこが続いた結果、問題そのものの難易度が急上昇し、難関校では高校・大学受験問題を小学生向けに「翻訳」したものや非常に技巧的な考え方や計算が必要な問題が増えたことから、中堅校ですら小4くらいから準備をしないと合格は難しいです。
また、昔は市販の問題集や家庭学習用の教材を使って自宅学習するだけでも中堅校ならば合格することも可能でしたが、現在は上記の理由からよほどのサポートがない限り難しいです。受験をするのであれば、基本的に塾や家庭教師をお願いすることを想定しておきましょう。
決して、比較的易しかった頃の中学受験のイメージでお子さんにあたらないでください。
模擬試験の結果に一喜一憂しすぎない編集
模擬試験はお子さんの力を知るのに大切な試験です。しかし、その結果に振り回され過ぎないようにしましょう。特に受験勉強を始めたばかりのときの模擬試験では「小学校のテストではいつも100点を取っているのに、模擬試験では平均点にも届かなかった」ということは全く珍しくありません。試験の難しさが小学校のものとは比べ物にならない上、早くから塾などに通っている子どもとの差もあるからです。
ですから、模擬試験の結果がよくないものであったとしても、あまりガッカリせず、お子さんを励ましてください。
偏差値編集
特に地方の上位公立高校から大学に進学し、かつ中学受験を経験していない保護者の方は「偏差値50=ごく普通のパッとしない生徒」のイメージを持つ場合もあり、尚更「子どもが偏差値50にも届かない」ことにショックを受ける場合があります。しかし、上記の理由から、中学受験の「偏差値50」は「上の中」だということを忘れないでください。
また、中学受験は学校ごとの問題のクセがあるため、お子さんの得意・不得意分野によっては必ずしも偏差値通りの結果になるわけではありません。ですから、あまり模擬試験の偏差値ばかりをアテにして、受験校を決めるようなことはないようにしましょう。
もちろん、模擬試験の結果はお子さんの学習到達度を知る重要なバロメータです。偏差値ばかりをアテにしすぎるものよくありませんが、全く無視していいものでもありません。偏差値とは「適当な距離」を保つようにしましょう。
方程式などを教えない編集
受験算数では、小学校でも中学受験でも原則教えませんが、方程式を使うほうが楽に解ける問題があります。また、「方程式を使うと減点」という学校はほとんど見られません。ですから、「方程式の方が楽だ」「どうせ中学では方程式で解くのだから」などとお考えになるかもしれませんが、なるべく教えないでください。なぜなら、まず、塾で方程式を使わない解き方(特殊算)を習ったのに、突然方程式を使う解き方を教えられると、子供が混乱してしまう原因になります。中学受験の問題には、方程式より特殊算の方が楽に解けることがよくあります(方程式のみで対応できる問題自体も減っています)。また、一から方程式を教えようとすると、方程式を教える前に、正負の数、文字式の計算、等式の性質(すべて中1内容)などを教えなければならず、子供の負担も増えます。連立方程式やそのほかの内容(三平方の定理など)も同じです。[ウィキブックスの1編集者の見解または意見に過ぎません]ただし、文章題の解き方が全く理解できない場合などに、支障が出ないなら教えてもよいでしょう。
小学校ごとの教科書の違いについて編集
私立受験・国公立受験とも、地域・小学校ごとに授業で用いる教科書の出版社がちがっていますが、しかし中学側は特定の教科書会社にあわせては入試問題を出題してはくれません。なので受験生である小学生側の勉強は、小学校の宿題だけではなく(宿題は当然するべき)、さらに参考書や資料集などで、自校以外の一般の小学校の授業範囲の内容も勉強しておく必要もあります。
たとえ国公立受験の場合でも、いきなり6年生になってから受験勉強をするするのは、むずかしいでしょう。なので、5年生くらいまでには受験勉強を始めておく必要があります。
小学校の授業や教科書で習うことは、当然、出題
中学校のがわの先生も、学校ごとに教科書がちがうのは分かっていますし、多くの小学生にとっては、はじめての受験だから、なれなくて難しいということも、わかっています。しかし、中学校からすれば、だからといって特定の教科書にあわせて中学入試を出すわけにはいきません。もし、そうすると、ほかの教科書を使ってる小学校の受験生には不利になってしまうからです。
なお、高校入試や大学入試でも同様に、特定の教科書会社には入試を合わせてくれません。なので参考書なども勉強する必要があります。
全体的な勉強法編集
聞いているだけでは解けるようにならない。編集
- 書き取りしたり、計算したり、考えることが必要。
問題をとけるようにするには、計算したり、考えたりすることが必要なのです。聞いているだけでは、とけるようになりません。とくに、算数では、そうです。
だから、たとえば
また、たとえば都会にあるレベルの高い進学塾などで大人数(30人~数百人)での教育を受けるよりも、数人~十数人ていどの少人数の地元の塾などで指導をうけつつ勉強したほうがよい場合もあります。参考書を見れば受験問題のときかたは書いてあるわけですから、遠くの都会の塾に通うくらいなら、地元の徒歩や自転車でいける塾で勉強しておいて、あまった時間やお金を勉強に使ったほうがいいかもしれません。
受験用テキストについて編集
中学受験のテキストで最もオーソドックスなのは、『中学受験新演習』と四谷大塚の『予習シリーズ』の2冊です(ほかにもいろいろあります)。多くの塾では『中学受験新演習』が使われています。一方、四谷大塚とその系列校では『予習シリーズ』が使われています。どちらもレベルや内容に大差はありませんが、『予習シリーズ』は四谷大塚に通っていなくても注文すればだれでも買える一方、『中学受験新演習』は原則として塾が保護者に代わって買うというしくみになっています。そのため、『中学受験新演習』は個人で買うことができません。
よって、中学受験の勉強を塾に通わずに(家庭教師や親のみで)するのなら、『予習シリーズ』を買うのがベストです。『予習シリーズ』に慣れておけば、後で塾に通うことになって『中学受験新演習』を使うことになってもそれほど違和感なく進められるでしょう。個別指導系の塾ならそのままテキストとしても使えます。書店で市販されているものはメインのテキストにするのではなく、参考書・問題集がわりにした方がよいでしょう。
参考書と問題集を使う編集
図鑑や事典などは、ふだんの勉強にはなりません。それら図鑑なども読んでおいたほうが良いですが、まずは参考書が必要です。多くの範囲を勉強しなければならないので、図鑑などでカバーしようとすると、とても多くの図鑑が必要になって、読みきれませんし、お金も多くかかってしまいます。
また、図鑑や事典には、練習問題が、のっていません。
ただし、時間とお金の余裕があれば、図鑑なども何冊か読んでみてください。図鑑などで紹介される知識は、直接は入試に出題されませんが、その知識を利用して解ける問題が出題されることはざらにあります。
4教科をバランスよく勉強する編集
けっして「算数だけしか勉強しない」など、1教科だけを勉強しないでください。 きちんと4教科(国語・算数・理科・社会)+α(この4教科以外の受験科目がある場合)を勉強してください。
しかし、国語はどこの中学校でも差がつかないほか、理科社会は多くの中学校で満点が算数国語より少ないですし、算数一科目の学校もあり、算数で差がつくというデータもありますので算数を多めに回さないと合格は難しいかもしれません。
小学校でならうていどの算数は、きちんと計算できるように練習する必要もありますし、もしも苦手なら、時間をかけてでも練習するべきです。
けっして、受験の苦手教科を得意にかえようとして、あまりにもほかの教科の勉強時間をへらしすぎないないほうが、よいでしょう。 苦手科目は勉強したほうがいいですが、テスト直前や入試直前は得意科目を解き、自信をもって臨んだほうがいいです
けっして受験範囲だけの勉強をしない編集
どの教科でも、けっして、受験範囲だけの勉強をしないでください(かといって、しすぎるのもダメです)。受験先の中学校の側とすれば、勉強そのものに興味のある子供を、入試で取りたいのです。また、このようなことに限らず、受験以外の知識・教養を身につけるのも大切です。ただし、事典などに深入りしないようにしてください。ふだんの学習の中心は参考書と問題集で行いましょう。
理科編集
とくに理科は、図鑑なども、なるべく読むべき教科です。たとえば子供向けの事典や
このとき、本に実験が書いてあるからといって、無理して実験しないことです。学校で習わないことには、それなりの理由もあります。実験がむずかしかったりするなどの理由があったりして、なので学校では習わないという場合もあります。また、したところで、事実の確認をするだけですから、受験勉強ではあまり必要ありません。
さて、本屋に行っても、小学生むけの事典・図鑑などの本も少ないです。図書館では貸し出し期間があり、また、貸出禁止になっていることがあるので、あまり受験勉強にはむきません。参考書を何冊か組み合わせて代用するとか、中学生むけの参考書で代用するとか、通信販売を利用して図鑑や事典などを購入するなど、必要かもしれません。学研などから出ている「教科事典」という各教科ごとの事典もあるので、その教科事典の小学生用の本を購入するなどの策もあります。
事典や図鑑は、べつにシリーズすべては買わなくても良いですから、なにか一冊ぐらいは買っておければ、勉強にも良いでしょう。ただし、図鑑のシリーズ全部を買っても、おそらく時間が足りなくて読みきれません。
国語編集
国語にしても、児童文学とか、近代文学とか、なにかを数冊ぐらいは読んだほうが良いでしょう。課題図書とか推薦図書などで、すすめられている本も、できれば、数冊かは読んでおきましょう。もしテスト本番で自分が読んだことのある本の一説があっても、油断はしないでください。本を一冊読んでも、覚えていられる内容は本全体の一割だけです。ですから、1ページでいいのでなるべく内容を意識して集中して読むようにしましょう。
言葉の知識においては、日常で使うしかありません。国語はあまり時間をかけないほうがいいので、日常で使うのはかなり効率がいいです。書いたりみたりしていた時間を読書や、記述練習に使ったりすることができます。
偉人伝 編集
偉人伝とか伝記とかも、できれば、すこしは読んだほうがよいです。このとき、たとえば
直接的には、中学入試では偉人伝は問われません。ただし社会科や国語では、有名どころの偉人については知っている上での問題が出される場合もあるでしょう。なぜなら、どこの本屋や図書館などでも偉人伝はあるでしょうし、どこの書店でも偉人伝はあるでしょう。だから読書の習慣のない受験生を落とすのに、偉人についての知識をみるのは最適だからです。
野口英世とかファーブル昆虫記とかナイチンゲールとかも、読書に良いかもしれません。
エジソンなどの発明家とか、アインシュタインとかキュリー夫人などの物理学者の伝記などは、あとまわしでも、どうにかなります。これら発明や物理学の分野は、入試に出しづらいのです。
また、アメリカ人野球選手のベーブルースとか、マンガ家の手塚治虫とか、現代に近い文化での、
算数編集
重要科目である編集
ほとんどの学校で、合格するかどうかが決まる重要な教科です。少なくとも算数だけでも4年生から学習を始めることを強くすすめます。中学受験に必要な力は計算力とその問題が何を聞いているのかを見ぬく力です。
もう一つ大切なことは「この問題は何を聞いているのか」を考えることです。中学入試の算数は文章題が中心です。とくに難しい中学校では最初の計算問題や文章題が5問くらい出たあと、とても難しい文章題が4・5問だけということもよくあります(「最初の問題」もないこともあります)。このような文章題では、ただぼんやりと問題を見ても何を聞いているのかさえわからないでしょう。中学受験ではいろいろな公式や計算方法が組み合わさっているからです。色々な計算方法の中で、何を使えばいいのか、どうしてそうなるのかをしっかりと考えながら学習していくことで、「この問題は何を聞いているのか」を見ぬく力もついてきます。
中学入試の算数は考え方を重視しています。そのため、文章題には途中式を書かせるスペースもあることがあります。その場合、途中式がちゃんと書かれていないと、たとえ答えがあっていたとしても、大きく減点されることもあります。反対に、答えまでたどり着かなかったとしても、途中式がしっかりと書かれていれば、部分点をくれることもあります(もちろん、答えしか採点されない場合も多いです)。ですから、中学受験を考えているのでしたら、算数は途中式をちゃんと書くクセをつけましょう。問題集には式と答えだけを書くスペースしかないこともありますが、学習するときには、ノートに最初の式・計算の過程・答えの3つを書く習慣を身につけるように心がけましょう。
勉強の仕方そのものが、分からない場合編集
算数の勉強の仕方そのものが、分からない場合もあると思います。とくに、複雑な文章題や、図形の複雑な問題などだと、勉強方法そのものが分かりづらいでしょう。計算しようにも、どこから計算すればいいのかすら、わからない場合もあります。まして受験問題ですので、とくにムズかしい問題が出てくるわけです。
算数の勉強をするなら、とりあえずでいいので解いてください。ただ、中学受験の参考書は解説が分かりにくい場合が多いので、塾の先生などにわからない場合は聞いてみてください。問題によりますが、解けるまで頑張って解いてみてください。一つの問題がわかるといろんな問題ができるようになります。難しい問題ほど基礎が大事です。
計算ドリル編集
やたらと計算ドリルばかりを行うことは、あまりオススメできません。なぜならドリルだけでは、文章題などには、あまり対応できません。 すでに計算問題ができる人なら、わざわざ計算ドリルを何十回もくりかえす必要は、ありません。
「計算ドリル」は、まだ計算の苦手な子供が、苦手を得意にかえるために練習するためのものです。
もちろん、基本的な計算を身につけることは必要です。しかし、先ほども述べたように、文章題などが入試で重視されます。また、小学校では一通り、基本的な四則演算(+-×÷)を全員が習うはずなので、計算問題では、あまり得点に差が付きません。 小学校よりも、もうちょっとだけムズかしい計算問題を、もうちょっとだけ多めにやっておけば、計算ドリルは、じゅうぶんです。
やたらと計算量の多い5 - 10ケタどうしの掛け算とか割り算とかを何百問も大量に練習するくらいなら、それよりも基礎的な文章題をより多く練習したり、国語・理科・社会など他の教科を勉強したほうが、よいでしょう。
文章題の勉強編集
絶対に解き方を覚えないでください。「なぜ、そう解くのだろう?」ということを、5分~10分くらいでよいので、きちんと考えたり、図に描いたりして、たしかめたりしてみてください。「この解き方は、ほんとうに正しいのだろうか? ほかの例で、たしかめてみよう」などと考えて、かんたんな例を自分で考えてみて計算して確かめてください。
たとえば「つるかめ算」を初めて勉強するとき、かんたんな例を考えるなら、まずツルが1匹でカメが4匹とかの場合を考えたり、あるいはツルが3匹でカメが1匹の場合とかを考えてみて、さいしょは実際に図を書いてみて、たしかめたりすると、よいかもしれません。
ただし、基本的な文章題については、5年生を終えるころぐらいまでには、解き方を、おぼえてください。小学生の段階では、おぼえることは、わるくはありません。ただ、受験問題ともなると、おぼえようとしても、おぼえられないような、ムズかしい問題が出てきます。なので、受験問題は、なるべく考えるようにして、解いたほうが良いでしょう。
受験算数の勉強の理由 |
受験問題の算数は、勉強の理由も、分かりづらいです。学校で習う問題は、わりと実社会や実生活でも応用しやすく、勉強理由が分かりやすい問題です。しかし受験問題は、かならずしも、そうではありません。とくに算数は、理科や社会科のような実物がある学問とはちがうので、具体的な実用が考えづらいのです。 正直な話、実社会では応用しづらい問題も、受験算数にはあります。たとえば図形の問題なら、べつに計算しなくても、実際に作図をしてしまえば、近似値が、もとまってしまいます。公式などを使えば正確な数値も求まりますが、そもそも、なぜ、正確な数値を求める必要があるのか、その問題だけでは理由が分かりません。 図形をわざわざ式で計算する理由を、かんがえてみました。 たとえば、点がうごいたり、あるいは線がうごいたりする図形などなどでは、実社会で必要な答えを求めたい場合、計算する必要があります。身の回りにも、うごいているもの。うごかせるものは、たくさんあります。そもそも地球が、うごいています。 文章題などでも、人が動いたりする場合、計算をしないと、答えが、もとまりません。 うごいてる物を作図したり実験したりしようとすると、とても大変です。動く物の作図に、紙が何十枚も必要になったりするかもしれません。書く人の手間も、大変です。実験には、お金がすごく使われたりします。 「じゃあ、最初から、そういう実用的な動きを計算で解く問題を出せばいいじゃん」とか思いがちですが、しかし、そういう高度な実用問題は、とてもムズかしくて、小学生には、できません。ですから、受験算数では、やや実用性は下がりますが、かんたんにした問題が出るのでしょう。 |
国語編集
読書と国語編集
たくさん本を読んでも、中学受験にかぎらず国語の力がのびるとはかぎりません。
もちろん、たくさん本を読むことそのものは悪いことではありません。いろいろなことに興味を持つきっかけにもなりますし、読解力もつきますので、読書そのものは中学受験のあいた時間にしておきたいところです。中学受験では次のことが問われていることも忘れてはなりません。
- 辞書にのっているような言葉の意味やその使い方をちゃんと知っているか。
- 前後の文脈をきちんと読めているか。
- 文章全体で何が言いたいのか。
これらの力をつけるには、やはり、ふだんの読書量がとても重要です。長い文章に親しんでいないと、これらはなかなか身に付きません。
また、適性検査では、私立中学の受験とは違った意味ではばひろい知識が必要になることもありますから、地球環境問題などのように今、世界で何が起きているのかを知るための読書は特に重要です。
しかし、さいしょに述べたように、いくら本を読んでも国語の力がのびないことはまったく珍しいことではありません。特に私立中学の国語では、そのようなことになやむ児童や保護者も多いです。受験の国語には何が必要なのでしょうか。以下で、かんたんに説明します。
国語では書かれていることだけを、もとにして、解く編集
第一に、中学受験の国語では本文に書かれていることだけをもとにするのが原則です。いくら、「こんなことが考えられる」と思っても、本文に書かれていないことであれば、それは「受験において正しい答え」とはなりません。
ただし、書かれていることを自由に読んでいいということではありません。特に物語文では、自分がどう思ったのかを聞いてはいません。読書量は多いのに、国語の成績がいまいちという人は、「本文を読んで、自分はこう思った」ということをもとにしがちです。しかし、それは次に述べる「国語のルール」にのっとっていなければ不正解になる可能性が高いです。
「国語のルール」を知る編集
まず、例を考えてみましょう。次の問題を考えてみてください。
- 「花子は目をうるませた」のはなぜか。もっとも適当なものを選びなさい。
- 花子は花粉症だったから。
- 花子はあくびをしていたから。
- 花子は悲しかったから。
これで、すぐに3を選んだ方は一応、受験国語のルールが身についている(または身につきつつある)かもしれません。「花子は目をうるませた」としか書いていないのですから、別に1でも2でも間違いではありません。ですから、この問いには本来、答えがありません。しかし、受験国語のルールにしたがえば、3以外に答えはありません。[1]
実は、国語の読解問題にはルールがあります。そして、これは学校の授業でも、高校・大学受験の国語でも大きく変わりません。では、国語のルールとはなんでしょうか。それは、「こういう場合には、多くの人がこういう気持ちになるのだろう」という世間の常識にのっとったものが答えになるということです。そして、受験の小説に出てくる親や先生や大人は、ふつう「良い親」「良い先生」「良い大人」です。主人公もふつう「良い子」です。これも、世間で「良い」と思われるような親・先生・大人でなければなりません。先ほどの例で言うと、「目をうるませたのだから、泣きそうなんだな。悲しいことがあったのかな」と気持ちを察するのが、中学受験における「よい考え方」なのです。
国語の問題に出てくる「気持ち」を問う問題もこういう視点から考えていく必要があります。そして、それにはいくつかのパターンがあります。いくつか例を挙げます。
- 目をうるませた→悲しい
- 顔が真っ赤になった→恥ずかしい、怒っている
- 口元がほころんだ→うれしい
このような、パターンをつかむことがまず、受験の国語では必要なのです。
- 傍注
- ^ これは極端な例ですが、これと同じような問題は本当に出ています。興味があれば、『中学入試国語のルール』(石原千秋著 講談社)の「第六講 答えを一つに決めるには」(pp.95-108)を読んでみるといいでしょう。実際の問題文ものっています。
中学入試では、
本来、物語や小説などの読みかたには、多くの読みかたがあります。だから小学校での国語の授業では、たとえば、ある生徒が、ほかの多くの生徒たちとは違った、独創的な読み方をする場合もあります。先生すらも思いつかなかったような読みかたが、でてくる場合だって、あります。もし、その独創的な読みかたが、すごく深く考えてあって「立派な読みかた」だと小学校の先生が思った場合には、小学校の先生が、独創的な読みかたをした生徒をほめてくれる場合もあります。
しかし、さきほども言ったように、中学入試では独創的な読み方をしてはダメなのです。
かりに、こういうパターンで考えず、「『目をうるませたから』といって、悲しいとは限らないぞ。たとえば、目にゴミが入ったのかもしれない。」などと例外的な場合も考えておくのは、たしかに、そういう場合もありえるから、本来は注意ぶかいから
そして、パターンがあるのは、なにも一文の表現だけでなく、文章全体の物語にすら、パターンがある場合すら、ありえます。そして入試国語の物語文では、こういうパターンにそった物語が出る場合が多いのです。かといって完全にパターンどおりの物語だと、読解力を問う入試問題にはなりませんから、ほんのすこしだけ、パターンから外れた問題が出るのです。
中学入試での国語の問題には、正解がなければなりません。そして、その正解とは、もし中学校の国語の先生ならば、ほとんどの先生が「これが正解だ」と思うような正解があるわけですから、だから中学入試の国語にはパターンができるわけです。
どういうパターンがあるかは、じっさいに中学入試の過去問などで問題練習をしないと、身につきません。
さて、物語にパターンがあるわけですから、問題の正解にもパターンがあるわけです。
つまり、国語は、いわゆる暗記科目でもあります。たとえば社会科とかで語句をおぼえたりするのと同じように、国語でも、語句や物語などの読みかたのパターンを身につけないといけません。物語のパターンを身につけるには、単に過去問に紹介された作品を読むだけでなく、じっさいに問題も読んで、そして解答も読んでください。もし入試直前などで問題練習の時間が足りない場合は、解答だけを読むのでも、効果があるでしょう。とはいえ、入試直前などでないなら、きちんと問題を解いて練習してください。問題は解くだけではダメであり、問題を解きおわった後には解答と見くらべてください。
説明文・評論文の解き方編集
ある物事を説明したものを説明文といいます。これに近いものとして、ある物事について筆者の意見を述べたものがあり、それを
まず、入試の国語では、私たちが「ふつうだ」と思っていることに疑問を投げかけるような文章がよく出されます。一つ、例をあげましょう。環境問題は重大な問題だということはみなさん、学校で習っているはずですからよくおわかりでしょう。しかし、入試の国語ではそこから、もう一歩踏み込んだものを扱うことがあります。「なぜ自然環境を大切にしないといけないのか」「人間はよくばりだから自然を破壊したと言っていいのか」などのような文章が出されます。
そして、特に評論では何か二つ以上のものを比べる(対比する)ことがとても大切です。「日本人はお金持ちだ」といってもそれだけでは、自分でそう思っているだけです。日本の平均所得(お給料の平均)と外国の平均所得とを比べて、はじめて説得力のある文章になります。ですから、何かを主張するときには2つ以上のものを比べることが多いのです(これは作文を書くときにも知っておくといいでしょう)。
そのとき、評論文では反対の意味を持つ(とされる)ものがキーワードになっていることが多いです。たとえば、「個人と社会」「人間と自然」「伝統と変化」などがあります。そして、筆者はどの立場なのかを見極めなければなりません。
評論文・説明文も小説と同じように、世間の常識も解くときにカギになります。極端な例を挙げると、「自然環境を破壊してでも社会を発展させることは大切だ」「貧富の差が大きくなるのは当然だ」という問題が出ることも、それが答えになることもほとんどありません(ただし、本文中に
説明文という分野では、ものごとの常識的な
国語の分析力で必要なのは、分析の広さや早さであって、けっして分析の深さではありません。ごく一部の人たちだけしか思いつかないような、深い分析は、国語では必要とされません。たとえば社会問題について書かれた評論文でも、受験生に求められる分析の深さは、文章に書かれている説明のほかには、せいぜい小学中学の社会科で用いるぐらいの分析です。
このように、評論文や説明文では、社会科などで使う分析の方法についても、知っていないといけません。さきほど言った「自然環境と社会の進歩のバランスを取ることが必要」「貧富の差はなるべく、小さい方がいい」という「常識」「道徳」も、社会科などで教えられる常識でもあります。だから社会科の参考書で勉強するときに、用語などを覚えるだけでなく、社会の「常識」「道徳」もおぼえておきましょう。
中学の社会科や社会常識に対してすらも疑問を投げるような独創的な分析は、中学入試の国語では必要ないのです。 「学校」という集団も、社会の一部です。だから、社会科で「常識的」「道徳的」とされるような考えかたが、中学でも「よい考えかた」だとされますし、国語でも「よい考えかた」だとされるでしょう。
高校入試や大学入試の入試国語の説明文・評論文でも、同じようなことがいえます。
理科編集
参考書と問題集が必要です。 学校教科書だと、中学受験でおぼえるべきことが教科書に書いていないことがあるので、参考書を買って勉強してください。
用語などのほかに、記号などを覚えたりする勉強も必要です。たとえば電気の問題なら、どんなに直列や並列の仕組みを理解していても、そもそも回路記号をおぼえていないと、回路記号が使われた問題なら解けないでしょう。 だから参考書などを読み返して、おぼえるべき記号は、きちんと、おぼえてください。
図鑑 など編集
もし、図鑑なども勉強するなら、昆虫図鑑とか、植物図鑑とか、惑星の図鑑など、やや生物学・地学寄りの図鑑が良いでしょう。
いっぽう、自動車の仕組みとか、ダムの仕組みとか、通信機・コンピューターの発達の歴史などを勉強しても、まったく入試に出ませんし、そもそも中学・高校の理科の先生が、そこまで知りません。このようなものを、中学・高校の理科では、ふつうあつかいません。
社会編集
きほんとなる小学校の教科書にのっているようなこと(たとえば都道府県の県庁所在地名、代表的な地図記号など)は、きちんと覚える必要はあります。
しかし、それ以外のことの暗記は5年終わりまでは、そこそこにしておいて、ふだんの勉強では、どんどんと参考書で先に進んでいくのが良いと思います。 たとえば歴史分野は小学校では6年からですが、たとえ5年生や4年生とかであっても、自分で歴史の学習マンガを読むなり何なりして、どんどんと読み進めていってください。
歴史については、参考書をいきなり読んでも、あまり理解できないでしょう。歴史マンガや(学習向けのものにしましょう)、子どもむけの
ほかの分野(特に地理)参考書をどんどんと読みすすめて、勉強していない分野をなくしてください。学年にとらわれず、勉強してください。4年生でも、高学年用(5年・6年用)の参考書で勉強しはじめても良いでしょう。教科書で習ったようなことがマスターできたら、中学受験用テキストに進みましょう。
作文で社会問題を求められる場合への
しかし、ニュースなどの時事問題よりもまずは教科書にのっている出来事をしっかり覚えることが大切です。そして、参考書で知識をおぎなったり、練習問題を解いていったりします。この積み重ねが社会の勉強の基本です。
地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えよう編集
中学受験では、漢字指定や「隠れ漢字指定」(「漢字指定」とは書いていないが、漢字で書かないと不正解または減点)が非常に多いです。ですから、地名・用語・人物はできるだけ漢字で覚えましょう(理科など他教科も一緒です)。ただし、「ひらがな指定」などには注意してください。学校の説明会で、「漢字でないと減点」「ひらがな可」など、漢字、ひらがなについて指定されるはずですので、事前に確認しておきましょう。
戦国時代などの特定分野に深入りしない編集
特に戦国時代はゲームやマンガになっているため、それらを通じて興味を持った方も多いでしょう。しかし、そういったものだけに深入りしすぎない方がいいです。
織田信長や徳川家康などの戦国時代にはとても多い数の武将(数百人)がいます。しかし、それらすべての人物を勉強していては、時間のむだです。
せいぜい、教科書や参考書で書かれているような有名な戦国大名について、その名前と業績を知っていれば、じゅうぶんです。それ以外は、入試にでません。たとえば信長の弟(
そもそも、歴史は、古い時代から現代までの流れをつかむのが大切なことです。他の時代も勉強しなければ、戦国時代のこともよく理解できないのです。
しかも、歴史ですら、社会科の一分野にすぎません。歴史のほかにも、地理分野や公民分野もあります。
小学校の範囲外の話題も出てくる編集
社会科にかぎったことではないですが、小学校の教科書には書かれていないような話題も出ます。中学受験の地理や日本史の問題では、中学校の教科書に出てくるような話題も出ます。
しかし、中学受験の社会科の歴史の問題の元ネタは、
たとえば、中学校の社会科の歴史分野で習う人物や出来事のうち、小学生むけの偉人伝とか学習マンガにも、よく出てくるような人や出来事が、中学受験にも出やすい、という事です。
いっぽう、中学受験の地理や公民の分野の中学レベルの問題については、参考書を読んで勉強するしか、ありません。
では、歴史の勉強の方法について、提案します。
具体的にいうと「武田信玄」とか、小学校では教科書には出てきませんが、しかし中学受験では出てくる場合があります。なぜなら偉人伝や学習マンガにも良く出てくるし、長篠の戦いで武田氏について習うはずですし、高校の日本史の教科書で武田信玄など有名な戦国大名を習うから、当然、中学受験に出る可能性もある、ということです。
逆にいうと、学習マンガとかに出てくる人物であっても、中学校や高校の教科書に出てこない人物は、中学受験にも出てこない場合が多いでしょう。たとえば、忍者といわれている
さて、中学受験に出る中学範囲の歴史知識は、本来なら、中学生を相手にして時間をかけて教育することですから、小学生がいきなり参考書でそれらの知識を暗記しようと思っても、効率は悪いです。
ですから、偉人伝とか学習マンガとか小中学生向けの日本史の解説書をある程度、読んでおきましょう。
中学受験で小学生に出題できる人物には、限りがあります。たとえば、小学生は、法学や経済学を知らないので、明治~昭和時代での、それらの学問の お雇い外国人 の名前(たとえばフランス人の法学者のボアソナードなど)は、中学受験には出てきません。
いっぽう、「大森貝塚を発見した人 = モース」「明治時代に日本でさいしょに近代的な郵便制度をつくった人 =
そして、中学受験むけの社会科参考書の歴史の分野のページでは、このような、小学生でも業績を理解しやすい人物が、紹介されているわけです。
なので、歴史の暗記は、中学受験むけの参考書に出てくるような話題だけを、当面は暗記できればいいのです。
時事問題(社会)編集
偏差値の高い中学では時事問題で差がつくことが多いです。なぜなら、そのレベルになると普通に知識を問うような問題では満点を連発するような子どもが多く、社会の点数で差がつかなくなることが珍しくないからです。ただし、時事問題のテキストは10月末ごろから書店に並びます。ですから、時事問題対策はそれ以降でかまいません。裏を返せば、6年生の10月ごろまでは時事問題の練習は必要ありません。むしろ、それまでは習ったことの復習と定着のための練習に力を入れるべきです。
さて、時事問題には大まかに分けて2つの傾向があります。
- その年の出来事やニュースによく出た人物の名前を書かせるもの。
- その年の出来事と社会で習ったものとを組み合わせたもの。
1の場合、普通の社会の勉強と同じ仕方で覚えていきましょう。例えば、今年(2020年)だと「新型コロナウイルス」「イギリスのEU離脱」などについて書いて覚えていくといいでしょう。
2の場合は「社会」のいろいろな力が試されます。例えば(書きかけです)といったぐあいです。この場合は、できごとを覚えておくことも必要ですが、これまで積み重ねてきたものが最も重要です。最終的には、今年の出来事がどういうものなのかを、これまで習った知識を使って説明できることを目指したいものです。
塾や家庭教師の先生と一緒に過去問を見て、時事問題がどれだけ出ているのか・どんな内容なのかをちゃんと確かめておきましょう。その上で対策を行うようにしてください。
捨て問(地雷問題)編集
「捨て問」とよばれる問題が1、2問出る学校もあります(「
- 問 日清戦争の後、清で日本の明治維新を手本にした改革を行おうとしたのは誰ですか。次の中から選びなさい。
李鴻章 西太后 康有為 章炳麟
こんな問題解けるわけがないですよね(ちなみに答えは3です)。なぜ、こんな問題が出るのかというと、時事問題のところでも説明したように、高レベルの学校の受験では高得点をとる子どもだらけになる場合があります。それを食い止めるためにわざとこういう問題を出す学校があるのです。歴史分野以外の社会や社会以外にも「捨て問」が出されることがあります。
捨て問に対処する方法はありません。こういう問題を出す学校の入試の場合、全然習った記憶のないものが出ても「地雷だからみんな解けない」と割り切って、先に進みましょう。また、塾でやる過去問の中に地雷問題があった場合、先生が教えてくれるはずです。ただし、入試本番で見かけたら、選択式の問題であれば、なるべくどれかをカンで選んでおきましょう。確率は低いですが、当たる可能性があります。
例外はあります。〈年表・グラフ〉を参考にして答えなさい。例えば問題に「1980年に○○」と書いてたら,1980年に着目しないといけません。資料を有効活用した,勉強方法も必要です。本屋で過去問を探し,学校で覚えた用語はハヤメに復習した り,教科書にある記述は覚えた方がいい。方向や出来事は確認しよう。 過去問:これは教科書に記載されてない可能性があります→ひとつの例として押さえる
適性検査編集
国立大学付属中学校と公立中等学校では私立中学のようにそれぞれの科目ごとに分かれた試験ではなく、「適性検査」として、国算理社すべてをまとめた問題が出されます(ただしこの4教科とはかぎりません)。
特に、世の中の動き(時事問題と言います)の知識やグラフ・表を読む力、計算力や発想力が問われます。
時事問題編集
中学受験、とくに公立の中高一貫校では、時事問題が出題され、与えられた資料を分析して、違いや共通点を説明することが求められます。私立中学校でも出題されることがあります。このようなトレーニングには、受験に定評のある出版社から出されたニュース解説集、時事解説集などを読むことが必要かもしれません。
出版社によっては、受験に定評のない出版社が、中学受験をしない子供向けに出している子供向けのニュース解説書もあるので、それとは混同しないようにしましょう。
たとえ「中学受験対策」をうたっているニュース解説書でも、出版社に受験対策の実績が無い場合は、ほかの出版社の本にしたほうが良いでしょう。
さて、時事問題などの対策として、よくある勉強法として、「新聞を読め」とか「ニュース番組を見ろ」という勉強法を
- 理由1: その理由は新聞もテレビ番組(これらをマスメディアといいます)も、そもそも小学生の勉強用には作られていないからです。
- それに記事や報道が正確とは限りません。記事が
誤報 の場合だってあります。ましてや、本当かウソか わからないもの(週刊誌やゴシップ誌・スキャンダル誌とよばれる雑誌)から社会を勉強するというのは良いものではありません(しかも、このようなものには芸能ニュースなど、中学受験にはほとんど関係ない内容が多いです)。
- 理由2: また、テレビのニュース番組なども、
視聴者 が好んでみるようなものが多くえらばれます(このようによく見られる=売れるものばかりをあつかうことを商業主義といいます)。ですから、ニュースや新聞の利用は小学生にすぐにすすめられる勉強法ではないでしょう。
新聞記事の内容の理解や、ニュース番組の理解は、社会科や国語の学習成果であって、学習手法ではないのです。
マスメディアを利用するときに大切なことは、ただ1つだけの情報をうのみにするのではなく、他の情報などと照らし合わせて、情報が本当に正しいのかどうか、別の見方はできないのかを考えることです。
- 例えば、A新聞では大きくとりあげられていることが、B新聞ではほとんど書かれていないことも多いです。ある政策にA新聞は賛成し、B新聞は反対の場合、それぞれの新聞社が自社の意見につごうの悪い情報については新聞では紹介しないで、自社につごうのいい情報だけを新聞記事で取り上げる場合もあります。
作文編集
国立大学付属中学校や公立中等学校(一部の私立中学校でも)では400 - 600字の作文が出題されます。 45分というかぎられた時間に400字以上の作文を書かなければなりません。また、テーマは自由ということはほとんどなく、課題文をもとに自分の感想や意見を体験を交えて書くことがほとんどです。そのため、文章を書くスピードも大切ですが、課題文をしっかりと読む力も必要です。
英語編集
私立中などで、英語を入試に出す場合もあります。
まだ英語を出す中学校が少ないので(英語教育改革により、最近どんどん増えています)、傾向は固まっていないでしょう。受験生は、バランスよく勉強するのが、安全で近道だと思います。
単語の書き取り、聞き取り、会話とか、かんたんな英文の読みなどを、バランスよく勉強するのが、安全だと思います。市販の教材などを使うのも良いでしょう。最近なら、英語の音声教材なども、安い値段で売っているはずです。
けっして「聞き取りばかりしか練習しない」とか、「会話ばかりしか練習しない」とかは、やめたほうが安全だと思います。 いくら「語学では聞き取りが大切」だからと世間では言っても、まったく書き取り練習をしないのは、やめたほうが良いでしょう。
問題文やテストの説明まで英語で書かれていることもあります。問題文も理解できるようにしておきましょう。
また、英検®などを取得しておくと、優待が受けられることがあります。(5 - 2級程度)(※場合によっては、普通のコースと違う「英語特進コース」などに進むことになることがあります。)入試要項などを見て、必要に応じて取得しましょう。
実技科目(図工・音楽・家庭科・体育)編集
国立中などで、実技科目を入試に出す場合があります(ただし、家庭科がないことがあります)。
- まずは、どの教科でも、小学校の教科書を見返しましょう。
図工編集
図工では、色や形の知識、デッサン、美術史などが出題されます。
- デッサン
音楽編集
ピアノ・作曲などの練習をしましょう。絶対音感は、あれば有利ですが、なくてもほとんど問題ありません。4小節くらいの作曲が出題されることがあります。
家庭科編集
体育編集
小学校について編集
小学校のことをいい加減にしない編集
いくら中学受験の勉強をするとはいえ、絶対に小学校のことをいい加減にしないでください。きちんと小学校の宿題をする、授業を真面目に受けるなど、当たり前のことは当たり前にしてください。受験勉強もしつつ、小学校でよい思い出をつくってください[ウィキブックスの1編集者の見解または意見に過ぎません]。
中学受験の考えを小学校に持ち込まない編集
また、塾や参考書で習ったことを、そのまま小学校で使わないでください。もしほぼ同じ問題が出たとしても、小学校では小学校の解き方があるはずなので、必ずそれに従ってください。小学校で中学受験の解き方をするのは、小学校側にとっては望ましくないことです。また、理科や社会などでは、用語の記述が小学校の教科書と中学受験参考書で異なることがあります。小学校のテストでは、当然、小学校の教科書の通りに答えましょう(実際に、間違っていなかったとしても、教科書に沿った答えではないので不正解とされることもあります)。ですから、参考書による勉強も大切ですが、小学校の授業をしっかり受け、教科書もしっかり目を通しましょう。