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確率とは

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確率とは、偶然起こる現象に対する頻度(起こりやすさの指標)のことです。 確率について知るために、次のような実験を行います。

 
コインの表が出る確率
実験の方法
  1. 100円玉を10回投げ、そのうち何回表が出たか記録する。これを100回繰り返し、合計1000回投げる。
  2. 表が出た割合を10回ごとに出す。たとえば120回投げ終わって、今までに65回表が出たなら、65 ÷ 120 = 0.541666667となる。
  3. それをグラフにする。

上記の方法で実行した結果が右もしくは上のグラフです。

回数が少ないうちは割合にばらつきがありますが、回数が多くなるにつれて0.5に近い値になっていることが分かります。では、この0.5とは何でしょう。0.5は分数で表すと、 です。これは、100円玉を2回投げるうち、1回は表が出ると期待されることを表しています。つまり、2回投げれば1回は必ず表が出るということではなく、起こりそうだと期待される程度が0.5なのです。

このように、ある ことがら についてそれが起こると期待される程度を表す数を、その ことがら の起こる確率(かくりつ)と言います。この実験の場合、「100円玉を投げて表が出る確率は0.5」(確率の表し方については後述)と言うことができます。

また、ある ことがら が絶対に起こらないとき、その ことがら が起こる確率は 0 であり、反対にある ことがら が絶対に起こるとき、その ことがら が起こる確率は 1 です。

どのようなことがらの確率も、絶対でない限り、0以上かつ1以下です。確率を文字Pで表すとすると、これらの確率は  です。

数式で確率を表す文字には、よく P が使われます。

確率の表し方

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上では、確率を小数を用いて などと表しました。しかし、確率は基本的に分数を用いて表します。例えば、 は分数で表すと、 です。確率に単位をつけることも基本的にありません。

しかし、例外的に確率を百分率を用いることや単位をつけることがあります。新聞やテレビのニュース番組における天気予報の枠で「降水確率」という言葉を目にしたことや、耳にしたことはありませんでしたか。あの降水確率は雨の降りやすさを表したもので、70%の場合「この予報が100回出された時、おおよそ70回は1mm以上の雨が降る」という意味です。このように一部の特殊な場合には確率を通常と異なった表現で表しますが、読者のみなさんが試験などにおいてこれらで回答することはあまりありません。ご注意ください。

「同様に確からしい」とは

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ペットボトルのキャップ (ふた) があったとします。これを数百回ほど投げてみて、表になる確率と、裏になる確率を比べる実験をすると、表になる確率はおよそ   で、裏になる確率は、およそ 、0.6でした。なお、残りの 、0.3 は横向きになる確率です。

ペットボトルキャップの形は、対称(たいしょう)ではないので、重さの (かたよ)り などの理由もあり、表と裏の出る確率は、必ずしも同じとは限りません。このように、表と裏のあるもので、その出現の確率がかならず等しくなるとは限りません。

一方で、10円玉や100円玉などは、表側に近い部分の重さも、裏側に近い部分の重さも、重さはほぼ同じです。実際に10円玉や100円玉を投げた上の実験でも、表の出る確率と、裏側の出る確率は同じで   ずつです。

この10円玉の表の出る確率と裏の出る確率のように、あることがらの起きる確率が同じである場合に、それらの ことがら を 同様に確からしい と呼びます。

普通のサイコロで、1~6の目のあるサイコロを振った場合に出る目の確率も、「1の目がでる確率 と 2の目が出る確率、 3の目が出る確率、 4の目の出る確率、5の目のでる確率、6の目のでる確率」は、「同様に確からしい」と言えます。このように、3つ以上の ことがら についても、「同様に確からしい」という言葉を使えます。

なお、6つの目のあるサイコロをふった時に、ある目の出る確率は   です。すなわち、このサイコロを振った時に 5 の目が出る確率は   です。

あることがらの起きない確率

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例えば、6つの目のあるサイコロを振って、3の目の出ない ことがら の確率を考えてみましょう。3が出ないということは、1もしくは2、4、5、6 の目が出る5パターンの確率を求めます。そして、それぞれの目の出る確率は   ずつで、確率   で起きる別々の ことがら が全部で5種類あるので、合計の確率は   となります。よって、3の出ない確率は   で、3の出る確率は   (前述)であることがわかります。。

サイコロを振った時、(どれかの)目が出る確率は 1 (どれかの目が出るため)である。  を計算してみると、  となり、これは、先ほどの3以外 (1もしくは2、4、5、6 の5つ) の出る確率を合計した結果と同じです。

このような例から、「あることがらの起きない確率は、その ことがら の起きる確率を P としたとき、  であること」が分かります。

問題

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(問題)1から6までの目のあるサイコロを振った時、出た目が(ぐう)数である確率を求めなさい。

(解答)0.5

(解説)サイコロの偶数の目は 2,4,6 の3通り。このサイコロの目は6つあるので、偶数の出る確率は、   である。

いかがでしたか。よく発展させた問題が作られやすい問題ですので、間違えてしまった方はしっかり復習をしましょう。

場合の数

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この例の場合の樹形図
 
上:組み合わせの樹形図・下:その他の方法

場合の数とは、あることがらの起こり方が何通りあるかを示します。例えば、コインを2回投げた時、それぞれで出た面の組み合わせは「表-表」、「表-裏」、「裏-表」、「裏-裏」の4通りです。このような場合の数を求める際は、考えられる全ての順番を整理して考えるのが重要です。このとき、樹形図(じゅけいず)と呼ばれる図がよく用いられる。樹形図とは、右もしくは上の図のようなものです。

また、順番を考えないで組み合わせを考えるとき(A-BとB-Aを同じものと考えること)にも樹形図は使うことができます。ただし、図のように、違った方法でもこれを求めることは可能です。右もしくは上の図には4チームで総当たり戦(リーグ戦)(全てのチームと戦う)をするときの試合数(つまり、4チームを2組ずつ組み合わせる場合の数)を求める図を示した。

確率の求め方

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それでは、前の章で取り上げた、「100円玉を投げて表が出る確率」を、計算で求めてみましょう。これは、次のように考えていけば、求めることができます。

  1. 100円玉を投げたときにでる面は、表と裏の2通りである。
    • 側面 (横) はないものとする。
  2. この2通りのうち、表の面が出るのは1通りである。

このとき、表の面が出る確率は、 となります。これは、実験で出た値と一致しているので、正しいと考えられます。

このように、「1つ1つの起こる確率」が、どれも「同様に確からしい」とき、確率は場合の数の割合として求めることができます。

確率の求め方
起こる場合が全部でn通りあり、どれも同様に確からしいとする。そのうち、ことがらAの起こる場合がa通りで、その確率をPとすると、

 

 


かけ合わせ

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2つの確率から1つの確率を求めることがあります。試験などでは基()となるこれまでの内容はもちろんのこと、ここから先の内容が出題されることが多いです。しかし、これらは一見難しく見えるものの、その実態は基本的にいままでの内容の組み合わせです。

例として、「6つの面のあるサイコロを2回()った時、2回とも()数の目が出る確率」を求めてみましょう。目の出方を表に表すと、次のようになります。

さいころを2度振った時の結果
1 2  3 4 5 6
1 奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数
2 偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数
3 奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数
4 偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数
5 奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数  奇数*奇数  奇数*偶数
6 偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数  偶数*奇数  偶数*偶数

この表の太字に強調されている「奇数*奇数」の部分が、この問題で重要です。この「奇数*奇数」は全部で9つあります。そしてこの場合の場合の数は6×6で、36となります。よってこれは になります。しかし、この問題は表に頼らずとも、計算で完結させることができます。さいころ1つの場合、全ての目の内奇数は3つですから、 です。この問題では

  1. 1つ目のサイコロが奇数でかつ
  2. 2つ目のさいころが奇数

という2つの条件の両方を満たしている必要がありますので、 を2乗した になります。