中学校の学習 > 中学校数学 > 中学数学1年 > 中学数学1年 正負の数

加法・減法

編集

小学算数で学んだ足し算のうち、変化の結果を求める計算を加法(かほう)という。 値3から5だけ変化すると8になることを、3+5=8 と表す。数の値に変化がないことは、0を加える加法で示す。

小学算数で学んだ引き算のうち、数値の大小を比較する計算を減法(げんぽう)という。値8は3と比較すると5だけ大きいということを、8-3=5 と表す。値の等しい2数で引き算をすると、結果は0となる。

また、加法した結果を(わ、英:sum サム)、減法した結果を(さ、英:difference ディファレンス)という。

ただし、小学算数の数の知識では、値が減少する変化の結果を加法で求めることや、数の値をそれより大きな数と比較して差を求めることはできない。そこで新しい数「負の数」を導入する。

正の数・負の数

編集

0℃より3℃高い温度は「3℃」と表される。では、0℃より3℃低い温度は何と表せばよいのだろうか。これを「氷点下3℃」という表現があるが、この温度を「 ℃」と表すこともある。

まずは、この単元で学ぶ言葉の説明をする。

正の数(せいのすう)
今までに普通に使ってきた数で、0より大きい数を正の数(せいのかず/せいのすう)という。
例:   など
負の数(ふのすう)
それに対して、ここで新しく学ぶ、0より前の小さい数を負の数(ふのかず/ふのすう)という。0より小さい数を表すために、 (マイナス)というものを数の前につける。ここで用いられる数の前のマイナス記号「 」は、小学校の引き算で用いた「 」と、同じ記号である。どうして同じ記号を用いてもよいのか、混乱しないのかについては、後述する。
例:   など
 「 」は「マイナス1」と読む。 「 」は「マイナス12」と読む。

ただし「0」は、「正の数」、「負の数」のどちらにも当てはまらない。「0」以外の数のことを「正負の数」と呼ぶ。

量を表す

正負の数は、互いに反対の性質を持つ事柄を、まとめて示すときに使うことができる。

たとえば、200円の収入を" 200円の収入"としたとき、300円の支出は" 円の収入"とあらわすことができる。

このように示すときには、どちらを正の数として表すのかはっきりさせる必要がある。

前の例で支出を基準とすると、それぞれ、" 円の支出"、"300円の支出"といえるからだ。

また、このように基準を決め、その基準からの過不足(どのくらい多い、または少ないか)や増減を、正負の数で表すこともできる。その場合、基準そのものの値は"0"と表される。

たとえば、1日に20分走る、という目標を立てた人が、1日目に37分走ったとすると、目標の20分より17分長いから" 17分"と記録されることになる。
この次の日に、15分だけ走ったとすると、目標よりも5分短いから、2日目の記録は " 分"と表される。
3日目に、ちょうど20分だけ走ったとすると、この日の記録は"0分"となるが、これは全く走っていなかったという意味ではない。
さて、これを利用すると、簡単に平均を求めることができる。
上の例で、3日間での、1日あたりに走った時間の平均を求めてみよう。
目標を基準としたときの、1日に走った時間はそれぞれ、" 17分"、" 分"、"0分"で、
走った時間の記録の合計は、それらの和として計算できるから、
 
3日間の合計12分となって、1日当たりの平均は 4となる。これは、基準の20分と比べたとき、平均で4分余計に走っていた、ということを表しているので、答えは24分と求められる。
負の数の計算のしかたは加法・減法のセクションを見てみよう。


符号
正負の数の値が、0よりも大きいか、小さいかの区別を、数の符号(ふごう)と呼ぶ。
数の符号を表すために、数字の前に付ける記号も、また符号と呼ばれ、正の符号  (プラス) と、負の符号  (マイナス) の2種類がある。
正の符号  は加法の記号   と同じ記号である。ただし、この数の前の符号としての は、必要がないかぎり普通は省略して、書く手間をはぶくことがある。いっぽう、足し算の記号としての、足す数と足される数との間にある   も、符号をつけた数を扱うときには、省略されることがある。これから、この本で説明するが、0より大きいことを表す記号と、足し算の記号とは、同じような計算方法をすることになる。そのため、0より大きいことを表す記号と、足し算記号とで、同じ記号   を用いている。
負の符号  は減法の記号   と同じ記号である。ただし、符号でも減法でも、  を省略してしまうと意味が変わってしまうので、書く手間を惜しんで省略することはできない。
数の大きさを表す 0 には、特別な理由が無いかぎりは正の符号   も負の符号   も付けない。


数直線(すうちょくせん)

数を直線上の点に対応させた直線を数直線(すうちょくせん)という。数直線を使うと、数の大小をわかりやすくすることができる(下図)。 これは、ある直線上に原点(げんてん、意味:0の位置)と単位点をとることで完成する。単位点とは、「ここが1」「ここが 」というように、原点からの距離をあらわす点である。 数直線では、右向きを「正の向き」として、右に行くほど大きな数を表す。一方、反対に左を「負の向き」として、左に行くほど小さな数を表すとする。原点をはさんで、全ての正の数は原点の右側、全ての負の数は原点の左に位置することになる。

 
数直線




読者の中には「面積や体積のように、直線では表しづらい量の正負は、どうやって表すのか?」という疑問をいだく人もいるだろうが、とりあえずは、まず直線上の正負について考えてほしい。この本の後の節で、面積や体積などのような量の場合の正負についても解説をする。


整数(せいすう)
1 , 2 , 3 , ・・・などといった、一の位よりも小さい位のない数を整数(せいすう)という。整数には , , ,・・・といった負の数や、0も含まれる。
1 , 2 , 3 , ・・・などのような、正の数の整数を正の整数(せいの せいすう、英:positive integer)という。
  ,   ,   , ・・・などの負の数の整数を負の整数(ふの せいすう、英:negative integer)という。


※ 小数や分数は、普通は整数ではない。たとえば1.3や  は整数ではない。例外的に 1.0(=1) や   (=3)など割り切れる数は整数である。


自然数(しぜんすう)
中学校では正の整数のことを 自然数(しぜんすう) という。具体例をあげると、たとえば1や2や3や10や47は、どれも自然数である。

そのため、「0」や、小数・分数は自然数とはいえない。

たとえば 1.3 や   は自然数ではない。

※ なお高校や大学では、場合によっては 0 を自然数に含める場合もある。大学でも、マイナスの数は自然数にふくめないのが普通であるし、小数や分数も大学では自然数にふくめないのが普通。 
絶対値(ぜったいち)
数直線上でのある数と原点の距離をその数の絶対値(ぜったいち)という。上の図のように、たとえば5は原点からの距離が5なので、絶対値は5である。また、(−6)は原点からの距離が6なので、絶対値は6である。
正負の数では、その数から符号を取るとその数の絶対値となる。また、0の絶対値は0とする。
発展: ある数 a の絶対値を、記号を用いて   と表す。(注意 「中高一貫校の教科書」として読んでいる方へ:この内容は、中高一貫校の教科書「体系数学」には、発展内容ではなく普通の内容としてのっています。)
例:   、  、  
注意: 数 a,b,c を考えるとき、bの絶対値の前後からそれぞれa,cをかけ、その積の絶対値を考えようとすると、|a|b|c| となる。一方、aの絶対値、b、cの絶対値をこの順にかけた積を顕すと、|a|b|c| となって、これらは見かけ上、区別できない。そこで、基本的に絶対値の記号は入れ子にして重ねて使うこと(ネスト)は避けるが、どうしても必要なときは、abs(a)でaの絶対値を表すなど、別の記号を用いることになる。
項(こう)
加法でつながった式の、加え合わされている数のひとつ一つを 項(こう、英:term ターム) という。例えば加法の式、   という式では、項は     の 3つ である。通常は、この式の加法を表す を省略し、項のみを(符号付きで)並べることで、  と書き表す。項には正の項(せいのこう)と負の項(ふのこう)がある。例えば先程の例、  という式では、正の項は 6 と 12 の 2項、負の項は   の 1項である。
式で、  と書かれた場合、3から  7を引いた減法の差 すなわち  と比べて値 3はどれだけ大きな値か、を求める比較   と考えることもできるし、3に( ) を加えた加法の和 すなわち値 3から7だけ減少した、変化の結果を求める計算 3 ( ) と考えることもできるので、この式が使われた状況に従ってどちらで読んでも構わない。つまり、式   だけからは、加法か減法かの見分けはつかないが、計算の結果はいずれの場合も   であるから、運用上は特に問題にならない。

正負の数の符号と絶対値

編集

正負の数の符号と絶対値の意味を、数直線を用いて確認しよう。

正負の数の符号は、数直線上の位置が、原点より右か左かの違いである。絶対値が同じであっても、正の数と負の数では、正反対の意味を持っている。即ち、数値の持つ意味を正反対にするには、絶対値はそのままで、符号を正から負の数に、また、負から正に変えればよい。このように、符号を変えた数にすることを符号を反転するという。符号を反転した数は、数直線上では原点について反対側の、点対称の位置にある。値 0にはもともと符号はないので、0の符号を反転しても 0のままで、値は変わらない。

一方、正負の数の絶対値は、原点からの距離で表された。原点から離れた位置にある数ほど絶対値は大きく、絶対値の小さい数ほど原点に近い位置で表される。数の符号を反転しても、原点からの距離、つまり絶対値は等しいままである。符号を反転した数を、もとの数の反数と呼ぶ。値0の反数は 0と考えるので、反数とは、和が 0である 2数のことだと考えてよい。反数である2数の和が 0になることを、相殺(そうさい)するという。

数を数直線上に表すとき、必ず右に行くほど大きくなるように並べる。

数の大小をまとめてみると、

 ---------負の数-------->|0|<----------正の数-------
 <----|----|----|----|----|----|----|----|----|---->
     -4   -3   -2   -1    0    1    2    3    4

数直線では右へ行くほど大きい数に対応するので、

* 正の数は負の数よりも大きい
* 正の数は0よりも大きい。また、絶対値が大きくなるほど、数も大きくなる
* 負の数は0よりも小さい。また、絶対値が大きくなるほど、数は小さくなる

ということがいえる。

< と > の記号は、2つの数の大小について表す記号で不等号(ふとうごう)という。 これは、開いているほうが閉じているほうよりも大きい数であることを表す。 対して、2つの数について、大小の差がなく同じであることを表す記号 = は等号(とうごう)という。

例: 5 は 3 より大きい・・・・・・ 5 > 3
-3 は 0 より小さい・・・・・・ -3 < 0

ここで、例えば「0は1より小さい」というのは 0<1 あるいは 1>0 と書くことができる。また、これは「0は1より小さい」または「0は1未満(みまん)値を持つ」と表現される。 不等号を含む式を不等式(ふとうしき)といい、0<1 は「0 小(ショウ)なり 1」、1>0 は「1 大(ダイ)なり 0」と読む。

負の数の加法と減法

編集

加法

編集

いままでは、正の数に正の数を足すことはしてきたが、負の数に正の数を足すことはしてこなかったことだろう。では、負の数に正の数を足す計算はどのようにすればよいか。やり方を考えてみよう。

そのための準備として、まず、正の数に正の数を足すことを数直線で表してみよう。

例: 2+3 = 5
                     3大きい
                o------------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
      0         2              5

このように、2+3というのは数直線上で2から3だけ右に動いた数ということになる。同じようにして負の数に正の数を足してみよう。

例: (-4)+3 = ?
          3大きい
      o------------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
     -4             -1    0

(−4)から3だけ右に動いた数は-1ということがわかる。つまり、(-4)より3大きい数は(−1)ということになる。

⇒ (−4)+3 = (−1)

これで、負の数に正の数を足すことができるようになった。 これは、0をまたいでも同じようにできる。

例: (−1)+3 = 2
              3大きい
           o------------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
          -1    0         2

つぎに、負の数を足すことを考えてみよう。

例: 3+(−1) = ?

#正の数と負の数との大小で学んだことを用いてみよう。
3+(-1)は「3よりも(-1)大きい数」だから、負の数の意味が、反対の大きさを持つことを考えて、日常に近い表現に改めると「3よりも(+1)小さい数」となる。よって、3より1小さい数を求めればよい。

例: 3+(−1) =   2
例: 36+(−11) = ?

#正の数と負の数との大小で学んだことを用いてみよう。
36+(-11)は「36よりも(-11)大きい数」というのは、すなわち「36よりも(+11)小さい数」となる。よって、36より11小さい数を求めればよい。

例: 36+(−11) = 25

ある数よりも小さい数を求めるとき、あるいは数の値がもとの値よりも小さくなるとき、小学算数では引き算を用いてきたことだろう。じっさい、負の数を加える加法の計算を「値を減らして/引いて」と表現することは日常的に行われている。しかし、分かりやすいからといって、いちいち加法の計算を引き算に直して計算していたのでは、負の数に負の数を加えたときの加法の和や、絶対値の小さい正の数と絶対値の大きな負の数の和の意味を理解したり、実際に計算をして値を求めることは難しい。小学算数の引き算に頼ることなく、負の数を加える加法は、値が減る変化の結果であることを正しく理解し、加法は加法のままで計算できることが大切である。

減法

編集

小学算数では、大きい正の数から小さい正の数を引くことや、同じ値の数同士の差が0になることは学習してきたが、値の小さい数から大きい数を引くことは、負の数が使えない制約から行ってこなかった。また、負の数から別の数を引く計算も扱わなかった。

まず、加法の時と同じように、小学算数でも扱ってきた、正の数どうしの減法で、値の大きい数から値の小さい数を引く計算を、数直線上で理解しておこう。

例: 36−31 = 5
                     5大きい
      o----------------------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
      31                       36

減法が2数の値を比較するという意味を持つ計算であること、減法の結果(差)が、引かれる数(前の数)について、引く数(後の数)と比べてどれだけ大きいかを表していることに注意しよう。これと同様に、負の数から正の数を引く減法の意味も数直線上で確認しよう。

例: (−1)−(+3) = -4
          4小さい
           |<------------------o
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
          -1    0             +3

(−1)は、+3から見て4だけ小さい値を持つ数なので、差は(-4)であることがわかる。 これで、負の数から正の数を引くことができるようになった。 また、小さい値の数から大きい値の数を引く減法も、同じように計算することができる。

例: 2−5 = (−3)
              3小さい
                |<-------------o
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
      0         2              5


次は、負の数を引くことを考えてみよう。
例: 3−(−2) = 5
                        5大きい
      o----------------------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|---->
     -2         0              3

3は(-2)と比較すると、5だけ大きい値を持つ数なので、差は(+5)であることがわかる。 これで、正の数から負の数を引くことができるようになった。

正負の数の減法を正しく理解するためには、このように減法が 2数の値を比較する計算であること/引く数の値の大小を、引かれる数と比べて考えることの2点をしっかり押さえよう。

その上で、減法の計算方法にはもうひとつ、加法に直して計算する方法がある。先程の例で、出てくる数の絶対値に注目しよう。「3」と「2」から「5」が出てきている。これではただの足し算を連想させる。しかも、これは偶然ではない。その理由を説明しよう。

そのために、まず反数について述べておく。反数とは、絶対値が等しく、符号が反対の2数を指す。(-3)の反数は(+3)であり、(+7)と(-7)は互いに反数である。ここで、0の反数は 0、と決めておけば、反数は「和が 0になるような 2数」と定義できる。反数どうしの2数の和が打ち消しあって 0になることを相殺(そうさい)するという。

一方、0と数を加えると、加えた数に等しくなる。0+3=3 となるのは、0より3だけ大きい数は3だといっている。これは当然だ。 ここで、(-2)+3+(+2) は、3と等しい。加えた 3つの数のうち、(-2)と(+2)は互いに反数なので、相殺して 0に等しくなるからである。これを使って 減法 3-(-2) を計算してみよう。3の代わりに、これと値の等しい (-2)+3+(+2) を使って計算を進めてみよう。

3−(−2) =  {(-2)+3+(+2)}−(−2)
       =        3+(+2)
       =        5

中かっこの中は「(-2)よりも3+(+2)だけ大きい数」という意味だから、これと(−2)を比較すれば、差は 3+(+2) となる。これはもとの減法の引く数を反数とすり替えて、加法に直した式に他ならない。他の値を使った減法でも、同じ方法で加法に直して計算することができる。 このようにすれば、減法を、引く数を反数と置き換えて、加法に直して計算することができる。これらの方法を用いれば、負の数を含む加減、小さい数から大きい数を引く、といったことが容易にできる。

このように、数の前についた符号としてのマイナス − は、引き算の − 記号と同じように扱って良い。というより、そもそも、このような、「数の前の不足・減少を表すための符号と、引き算の記号とを、同じと見なして良い。」という発想があるからこそ、数の前の不足・減少を表すための符号と、引き算の記号とを、同じ記号 − を用いているのである。

ある数に、別の数を加える加法の意味
  • 加える数が正ならば、和はもとの数より大きくなり、負なら小さくなる。
  • 加える数がもとの数と同符号なら、和の符号に変化はなく、絶対値は増加する。
二つの数の和の符号と絶対値の関係
  • 二つが同符号ならば、和の符号は共通の符号、和の絶対値は絶対値の和
  • 二つが異符号ならば、和の符号は絶対値の大きい方の符号、和の絶対値は絶対値の差
練習問題
次の計算をしなさい。
  1. )    
  2. )    
  3. )    
  4. )    
  5. )    

乗法・除法

編集

掛け算のことを乗法(じょうほう)、割り算のことを除法(じょほう)という。

また、乗法した結果を(せき、英:product プロダクト)といい、除法した結果を(しょう、英:quotient クォウシェント)という。

乗法

編集

今までには正の数と正の数の掛け算、つまり、正の数どうしの乗法をしてきたが、負の数と正の数の乗法、負の数どうしの乗法はどうなるのだろうか。

まず、正の数どうしの乗法について調べてみよう。

例: 2×3 = 6
     「絶対値2」が3つ分右へ
      o-------->|-------->|-------->|
 <----|----|----|----|----|----|----|----|---->
      0         2         4         6

このように、「かけられる数」の絶対値をひとつの単位として「かける数」の個数だけ右に進めていったものが「積」として得られることになる。

正の数どうしの乗法は、正の数が正の数だけあるということだから、数直線ではどんな正の数を掛け合わせても正の方向になる。よって、正の数どうしの積は正の数となる。

次は、正の数と負の数の乗法について調べてみよう。

例: いま、ある地点で人が歩いている。その人は、西へ秒速2mで進んでいる。 3秒後には、どうなっているだろうか。 また、3秒前はどうなっていただろうか。

これも、数直線で表してみよう。 東を正の方向とすると、西へ秒速2mとは、東へ秒速-2mということだから、この問題の式は、-2×3となる。

例: (−2)×3 = ?
3秒後 2秒後 1秒後  今 1秒前 2秒前 3秒前
    <----<----<----<----<----<----
 西<|----|----|----|----|----|----|>東
   -6   -4   -2    0    2    4    6

図を見てわかるように、2秒後では−4m東へ、3秒後では-6m東へ行っていることがわかる。 さらに、2秒前は4m東へ、3秒後では6m東へ行っている。だから、正の数と負の数の積は負の数になり、負の数どうしの乗算の積は正の数になる。 今は、東(西)に0m進んでいると考えることができる。

二つの数の積の符号と絶対値
  • 二つの数が同符号なら、積の符号は正、積の絶対値は二つの数の絶対値の積
  • 二つの数が異符号なら、積の符号は負、積の絶対値は二つの数の絶対値の積
  • どんな数に対しても、0をかけると0
2つ以上の数の掛け算

以上のことを組み合わせ、次の計算をしてみよう。

  • (−2)× 5 ×(−3)

上記の問題と同じように計算し、答えは30 。


  • (+1)×(+2)×(−3)×(−4)

(※ 1つ目と2つ目がプラスになってる。)実際に計算してみて、答えは24とわかる。


  • (+1)×(−2)×(−3)×(−4)

(※ 1つ目がプラスになってる。)上記の問題と同じように計算し、答えは-24。


  • (−1)×(−2)×(−3)×(−4)

(※ 四つともマイナス。)上記の問題と同じように計算し、答えは24 。


ここで、上記のいくつかの計算例での積の符号について、何か気づいたことは無いだろうか?

三つ以上の数の積の符号

上記の計算例により、負の数をふくむ積の答えの符号について、次の事が分かる。

積の符号は、掛け合わせる負の数の個数によって決まる。

  • 奇数個の-をかけあわせるなら、積の符号は負
  • 偶数個の-をかけあわせるなら、積の符号は正
練習問題
次の計算をしなさい。
1) 
2) 
3) 
4) 
5) 

除法

編集

具体例で考えてみよう。

(-6)÷3=

答えは いくらだろうか?


まず、(-2)×3= -6 なので、おそらく

(-6)÷3= -2

となりそうだと思うだろう。


では、-2 のほかには答えは無いだろうか?

まず、3に、+2を掛けても、答えはプラスの数になってしまう。なので、 (-6)÷3の答えは、どうやら負の数のようであるので、負の数だけを探せばいい。

-2でない数を3に掛けてみても、6以外の数になることを確かめてみる。 たとえば -2.1 を 3 に掛けてみても -2.1×3 = -6.3 であり、6ではない数になる。

よって、

(-6)÷3 = -2

である。


まとめ

上述の例のように、負の数をふくむ割り算でも、小学校で割り算を習ったときのように、掛け算にもどって答えを探せばいい。

また、負の数を正で割った結果は、負の数になる。

正の数を負の数で割った場合は、負の数になる。

負の数を負の数で割った場合は、正の数になる。 0を0以外のどんな数で割っても、0である。(どんな数も、0では割れない。)

数の集合と四則計算の可能性

編集

加法、減法、乗法、除法をまとめて 四則(しそく) という。


次の式の   にどんな自然数を入れても、計算の結果がいつでも自然数になるだろうか。

(1)  

(2)  

(3)  

(4)  

(1)と(3)はいつでも自然数になる。しかし、   のように、(2)と(4)は自然数にならない場合がある。 つまり、自然数の範囲では、加法と乗法はいつでもできるが、減法と除法は、いつでもできるとは限らない。

では、上の   にどんな整数を入れても、計算の結果がいつでも整数になるだろうか。

(1)、(2)、(3)はいつでも整数になる。しかし、  のように、(4)は整数にならない場合がある。 つまり、整数の範囲では、加法、減法、乗法はいつでもできるが、除法は、いつでもできるとは限らない。

分数(ぶんすう)では、どうだろうか。分数どうしの計算では、値が整数になることもある。しかし、整数も分母が1の分数だとみなすことにすれば、上の   にどんな分数を入れても、計算の結果がいつでも分数になる。つまり、分数の範囲では、加法、減法、乗法、除法はいつでもできる。

今までの結果を表にまとめると次のようになる。   はその範囲でいつでも可能な場合、   はいつでも可能と限らない場合である。ただし、除法では、0でわる場合は除いて考える。

数の集合と四則計算の可能性
 加法減法乗法除法
自然数
 
 
 
 
整数
 
 
 
 
分数
 
 
 
 


集合
何かのあつまりを考えるとき、その集まりに含まれるか、含まれないかが明確に区別できるあつまりのことを集合(しゅうごう)という。
自然数全体のあつまりを、自然数の集合という。

 

自然数の集合にふくまれる数どうしでは、加法と乗法がいつでもできる。


整数の集合は、自然数(正の整数)の他、0や負の整数を合わせたものになる。


整数の集合にふくまれる数どうしでは、加法と減法と乗法とがいつでもできる。


整数の集合は、そのなかに自然数の集合をふくんでいる。

また、自然数から見れば、自然数の集合は整数の集合に含まれている。


数全体の集合には、整数の他に、小数や分数も含むこととなる。

数全体の集合のなかの数どうしでは、加法・減法・乗法・除法がいつでもできる。

つまり、

数全体の集合のなかの数どうしでは、四則計算がいつでもできる。


このように、数の範囲を、自然数の集合から整数の集合へ、さらに数全体の集合へと広げていくことで、それまでできなかった計算ができるようになる。

面積や体積でのマイナスの量

編集
 
(-1)×(-1)=(+1)の幾何学的な説明図。


今までの説明では、説明の簡単化のため、マイナスの計算例や応用例では、数直線、または数直線上に表しやすい左右や東西などの方向とか、あるいは金額や時間などのように 直線の「長さ」 で対応させやすい量を例にして説明してきた。だが、なにもマイナスの利用法は直線や数直線で表せる量だけではない。

たとえば、長方体の面積や立方体の体積を計算するのに、マイナス符号を用いてみても良い。というより、そもそもマイナスは、数直線や「長さ」などの線で表せる量だけに限らず、もし数で表せる量ならば、面積や体積などもまた、マイナス符号 − の数を計算に用いることができるからこそ、マイナスの数が「数」として数学では認められ、マイナスの数の理論が作られているのである。

マイナスの面積・体積の説明を学ぶ前に、ひとまずプラス符号の面積や体積について復習しよう。プラス符号は省略できるから、つまり小学校の算数で計算練習した普通の面積や体積は、プラス符号を省略した面積・体積などとみなせるので、小学校で習った面積・体積はプラス符号の面積や体積として見なして良い。


では、これから、マイナスの数の面積や体積などの理論が成り立つことを、とりあえず面積の場合で、確認してみよう。

たとえば長方形の面積なら、長方形の縦の長さを正の ○ cm として、横の長さを △ cm として、面積 ○×△ cm2 を面積の基準にしたとすれば、マイナスの計算例として、この四角形から横の長さを −3cmだけ変化させた時は、つまり横を3cm減らした時は、面積は ○×(−3) cm2 だけ変化する。つまり面積は ○×(3) cm2 減る。横の長さを3cm減らした後の面積は、 ○×(△−3) cm2 である。逆に横の長さを4cm増やした場合は、面積の変化は ○×(+4) であり、変化後の面積は ○×(△+4) である。

まとめて表すと、四角形の縦の長さを ○ cm として、横の長さを △ cm として、横の長さを □ cm だけ変化させると、面積の変化分は ○×□ であり、変化後の面積は、 ○×(△+□) である。横の長さを増やした場合は、□に正の数が入り、横の長さを減らした場合は、□に負の数が入る。

また、面積で考えても、加法・減法や乗法・除法の交換法則、結合法則・分配法則などの法則は成り立つ。 読者は、自分で長方形の図を書いてみて、面積などを計算してみて、確かめてみよ。


説明の簡単化のため、縦の長さ ○ を正としておいて、負数どうしの掛け算を考えなくても済むように説明したが、負数どうしの掛け算も次のようにして面積で作図できる。たとえば、縦の長さ ○ cm から、変化分として B cm だけ長さを減らしたとして、 面積 (○−B)×(△−3) cm2 を持つ長方形の図を作図すれば、負数どうしの掛け算も作図できる。この場合は(−B)×(−3)を作図したことになる。

読者は、自分で、負数どうしの掛け算を表した長方形の図を書いてみて、面積などを計算してみて、負数どうしの掛け算でも、交換法則、結合法則・分配法則が成り立つことを確かめてみよ。


読者は、小学校の時に算数で、「大小」や「多少」など大きさをもった、さまざまな量(たとえば、長さ、面積、体積、重さ、時間、個数、人数、金額、・・・・・・)の計算例を、習ってきたと思う。そのような大きさを持った様々な量で、必要に応じてプラスやマイナスの符号を用いて良い。

累乗と逆数

編集

累乗

編集
同じ数を何度も掛け合わせることを累乗(るいじょう)という。たとえば4を 3回 かけあわせた場合(つまり 4×4×4 )、
43

のように書く。 また、43 は「4の3じょう」と読み、 4×4×4 を意味する。

43 = 4×4×4 = 64
例: 53 は「5の3じょう」と読み、 5×5×5 を意味する(なお 53 = 125 )。

このように、かけあわせる回数がn回なら、「n乗」と読む。

また、累乗において、かけあわされる数のことを底(てい)、かけあわせる回数のことを累乗の指数(しすう)、かけ合わされた結果の値を羃(べき)という。 たとえば、累乗

43

の底は 4、指数は 3、羃は 64 である。なお、かつて羃は累乗やそれに関わる広い意味に使われる言葉だったが、累乗や指数を用いた表現に言い換えが進み、今では一部の熟語以外は、累乗の結果の値、という意味に使われるのみである。

同じ数を2回かけあわせることを2乗(にじょう)という。つまり、指数が2の累乗のことが2乗である。2乗のことを、自乗(じじょう)平方(へいほう)とも言う。


同じ数を3回かけあわせることを3乗(さんじょう)という。つまり、指数が3の累乗のことが3乗である。3乗のことを立方(りっぽう)ともいう。

同様に4回かけあわせることを4乗という。


いろいろな計算例
22 = 2×2 = 4 

43 = 4×4×4 = 64
(-3)2 =(-1)×3 × (-1)×3 = (-1) × (-1)×3×3 =9

-32 =(-1)×3 ×3 = -9

上記のように (-a)2 と -a2 は違うので、気をつけよう。

(-2)3 =-8

下記のように分数や小数も、累乗してよい。

 

 1.12 = 1.21


中学の段階では、自然数の指数のみを扱う。一般の実数の指数については高校の数学IIで扱う。

逆数

編集
  に対する のように、積が1になる2個の数について、一方の数をもう一方の数の 逆数 (ぎゃくすう)であるという。つまり、文字式で表せば a×b=1 となるときの a に対する b のことを 逆数 (ぎゃくすう)という。かけて1になるということは、分母と分子がひっくり返れば約分されて1になるので、ある数の逆数を作るためには、分母と分子をひっくり返せばよい。例えば2に対する逆数とは、この数を分母にして、分子を1にした   である。また、分数 の逆数は、この分母と分子をひっくり返した、 である。


例: 負の数の逆数

  の逆数をもとめよ。

  をかけると1になる。

よって逆数は   である。


なお、この例からも分かるように、負の数についても逆数を決めることができる。

また、負の数の逆数は、負のままである。

また、0 の逆数は存在しない。なぜなら 0と掛けて積が1になる数は存在しないからである。

正負の数の活用

編集

たとえば、次のような問題をとくとき、正負の数を活用すると手計算がラクになる場合が多い。

タカシくんの学校では、ある週の図書室で貸し出した本の冊数の結果が、次のようになりました。

月曜: 73冊
火曜: 68冊 
水曜: 65冊
木曜: 79冊
金曜: 81冊

  この週では、月曜から金曜までの5日間に、平均として1日あたり何冊、本が借りられたでしょうか?


解法

まず、目分量で、たとえば、おおよそ70冊あたりを基準として、

月曜: 70+3冊
火曜: 70-2冊 
水曜: 70-5冊
木曜: 70+9冊
金曜: 70+11冊

のように考える。すると、あとは、

月曜: +3冊
火曜: -2冊 
水曜: -5冊
木曜: +9冊
金曜: +11冊

の平均だけを求めればいい。

 

なので、70+3.2=73.2より、73.2冊が1日あたりの平均である。

(答え)1日あたり平均は73.2冊 .


(※ 本問題で負数をつかう意義の解説)

式     の計算中、3-2-5 の時点で、計算結果は -4 になる。中学の数学では、負数の存在を認めていることにより、計算をこのあとも続行でき、

-5の次の +9 +11 をそのまま続行できる。


もし、小学校算数のように負数を認めない場合、目分量として70ではなく、60や50など、もっと小さい数を基準にとらなければならなくなってしまう。


仮にだが、もし、水曜日の冊数が、65冊でなくて13冊のように、水曜日だけ極端に冊数が少なかったとしたら、負数を認めない小学算数では、基準の数を10冊など、大幅に下げる必要が生じてしまうので、そのせいで、ほかの曜日の冊数の基準からのズレの計算も大きくなってしまい、あまり計算がラクにならなくなってしまう。


※ 備考 (範囲外)

この問題では、たまたま、この週の日ごとの貸し出し状況のバラツキが小さく、一目で見ても70あたりが基準だと分かりやすそうな貸し出し状況だったが、しかし、一般の平均の計算では、日ごとのバラツキが大きい場合もあるので、上記のように負数を応用しても平均計算があまりラクにならない場合もある。

なので、平均の計算では、あまり負数を使う方法にばかりコダわる必要は無い。

また、実務的には、現代では統計的な計算をする場合、パソコンの表計算ソフトなどを活用するのが通常である。(もっと日数が多くなったりした場合、手計算では手間が掛かる。)

素数と素因数分解

編集

自然数のうち、1とその数以外の約数がない数を 素数(そすう)という。素数を小さい方から並べると、{2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23,...} となる。ここに含まれない {4, 6, 8, 9, 10, 12,... } は、いくつかの素数の積で合成することができる。

1は素数には含めない。2以外の素数は、全て奇数である。でも奇数だからといって、素数であるとは限らない。例えば、奇数の 7 や 11 は素数だが、同じく奇数の 9 は1と9以外に 3を約数に持つので素数ではない。 と合成できる合成数(ごうせいすう)である。

また、2 と 3 以外の素数は、必ず6の倍数の前後の数である。でも、6の倍数の前後にある数だからといって、素数とは限らない。例えば、6×15=90 の前の数 89は素数だが、後の数 91は 1と 91以外に 7や13を約数に持つので素数ではない。

また、整数を素数の積で表すことを 素因数分解(そいんすうぶんかい) という。素因数分解をした結果、同じ素数を何回も掛ける場合は、累乗を使って表す。底の大きさが小さいものから順に並べて答えよう。
たとえば、18は  と素因数分解される。また、600は  と素因数分解できる。