社会権編集

社会権(しゃかいけん)とは、社会を生きていく上で人間が人間らしく文化的に生きるためには、国が積極的にかかわる必要がある、という考えからうまれたもの。 日本では生存権教育を受ける権利勤労の権利などの権利を社会権と呼ぶ。

歴史的には、社会権の考え方は、ドイツのワイマール憲法が世界で初めて法律として定めた。社会権は20世紀に入ってから認められた権利である。

生存権編集

生存権(せいぞんけん)」とは、だれもが人間らしい生き方ができる権利のことである。日本では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と憲法第25条において明記されている。

そして、この「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことを保障するための手段として、社会保障などの行政がなされている。

社会保障編集

病気やけが、老齢などによる生活不安、突然の失業・労働災害・事故などによって生活が苦しくなることがある。そういうときに個人や家族の責任にするのではなく、国の責任として、生活の保障をしていくためのしくみを社会保障という。社会保障は生存権を保障するための具体的な政策の一つでもある。

たとえば、病気にかかった場合に、安い価格で適切な医療や介護を受けられるような医療保険(いりょうほけん)介護保険(かいごほけん)や老齢になったときに受け取る年金(ねんきん)、貧しくて生活が苦しい人を政府がサポートすることによって自立をうながしていく生活保護(せいかつほご)などがある。

詳しい内容は中学校社会 公民/社会保障制度を参照してほしい。

教育を受ける権利編集

現代の社会では、子供は、親や学校などから教育を受けなければ、社会で必要な知識を身につけることは困難である。 そのため、子供が教育を受ける権利が保障されている(日本国憲法第26条)。

日本では義務教育は無償になっており(第26条)、授業料などは取らず、義務教育の学校教科書も無料になっている。 (ただしエンピツやノートなどの文房具は、各家庭が自費で出費している。)

※ 中学教科書では特にかかれてないが、憲法で教育の無償化がいわれてる対象は、中学校卒業までと考えられている。つまり、公立高校の授業料については、憲法はいっさい、無償とは言ってない。(※ 大学入試の2018年のセンター試験『政治・経済』で出題。)

病気や大けがなどで病院に長期入院しているため学校へ通えない子供には、院内学級(いんない がっきゅう)のある病院などを利用して、教育が施される。

労働基本権編集

勤労の権利は、日本では社会権に含まれている。日本国憲法は、国民に勤労の権利を保障している(第27条)。 賃金などの最低基準は、労働基準法などの法律で定められている。

また、一般に会社の従業員(労働者)などは経営者(使用者)などに対して弱い立場に落ちいりやすいので、労働者の権利を保護し、権利を守るための法律もある。

それが、労働時間や賃金などの最低限度を定めた労働基準法(ろうどうきじゅんほう) 、労働組合はどういうことができるかを定めた 労働組合法(ろうどうくみあいほう) 、労働組合と使用者との対立がはげしくなったときのための労働関係調整法(ろうどうかんけいちょうせいほう) などの法律で、労働者の権利が保証されている。この3つの法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)をまとめて労働三法(ろうどうさんぽう) という。これらをもとに、我が国は労働者も会社から最低限の保護を受けられるような仕組みをつくっている。

労働者は労働組合(ろうどうくみあい)の結成をする権利が憲法や法律で認められており( 団結権(だんけつけん) )、組合などがその会社の労働者の賃金を上げる賃上(ちんあ)げ交渉などをする団体交渉権(だんたいこうしょうけん) を認めている(第28条)。

・憲法28条 「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」

労働者の権利には、他にも、ストライキなどの団体行動権(だんたいこうどうけん)が認められている。ストライキとは、労働者が団結して仕事を停止することである。

これら3つの権利(団結権・団体交渉権・団体行動権)をまとめて労働三権(ろうどう さんけん)という。この労働三権と勤労の権利をあわせて労働基本権という。