ここからは一般の方程式を離れて、
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という形の方程式を解いてみたい。この方程式の解は、 とおくとき、 という複素数を用いて、
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と表せることは高等学校数学C/複素数平面で学ぶ。本節では、具体的ないくつかの において一つの解 を、三角関数を用いずに平方根などの冪根の記号のみを用いて表すことを目標としてみよう。
次節以降でしばしば用いる共通の事項を2つ挙げておく。まず、 である。また方程式の左辺は
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と因数分解できる。このことと のとき であることに注意すると、
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が成り立つ。
のときは、これまでに見た解法を適用することですべての解が容易に求められる。
のときの方程式 の解は であり、 である。つまり、 である。
のときの方程式 の解は であり、 である。つまり、 である。
のときの方程式 の解は であり、 である。つまり、 である。
のときの方程式 の解は であり、 である。つまり、 である。
の場合は因数分解を用いて解を求めることが容易である。
6次方程式
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の解 について考えよう。方程式の左辺は
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と因数分解できるので、 は実部も虚部も正であることに注意すると、2次方程式
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の解のうち虚部が正のものが であることがわかる。すなわち、
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である。つまり、 である。
8次方程式
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の解 について考えよう。方程式の左辺は
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と因数分解できるので、 は実部も虚部も正であることに注意すると、2次方程式
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の解のうち虚部が正のものが であることがわかる。すなわち、
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である。つまり、 である。
5次方程式
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の解 について考えたい。ここでは、2種類の解法を用いて を求めてみよう。
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の両辺を で割ると、
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であるから、 が正の実数であることに注意すると、2次方程式
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の解のうち正のものが である。よって、
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であることがわかる。 であるから、 である。
ここで、 の両辺に再び をかけて整理すると
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であるから、この2次方程式の解のうち虚部が正のものが である。よって、
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である。つまり、 である。
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とおく。計算すると、 であることがわかる。よって、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、符号に注意すると、
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であることがわかる。ところで、 であり、一方 であるから、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、虚部の符号に注意すると、
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であることがわかる。特に、 である。
ここで、 を解に持つ2次方程式に注目すると
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であることがわかるので、これを代入して整理すると、
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である。つまり、 である。
以上の2つの解法は、より次数の高い方程式にも応用できる解法である。以下で、 の場合にそれぞれの解法を用いて、方程式を解いてみよう。
7次方程式
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の解 について考えたい。ここでは のときに用いた解法1に沿って計算してみよう。
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の両辺を で割ると、
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であるから、 が正の実数であることに注意すると、3次方程式
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の解のうち正の実数のものが である。よって、
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であることがわかる。 であるから、 である。
ここで、 の両辺に再び をかけて整理すると
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であるから、この2次方程式の解のうち虚部が正のものが である。よって、
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ただし、 である。
17次方程式
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の解 について考えたい。ここでは のときに用いた解法2に沿って計算してみよう。
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とおく。計算すると、 であることがわかる。よって、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、符号に注意すると、
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であることがわかる。ここでさらに、
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とおく。計算すると、 であることがわかる。よって、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、符号に注意すると、
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であることがわかる。また、
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とおく。同様に計算すると、 であることがわかる。よって、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、符号に注意すると、
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であることがわかる。次に、
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とおく。計算すると、 であることがわかる。よって、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、符号に注意すると、
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である。最後に、 であることから、 は2次方程式
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の解である。この方程式を解き、虚部の符号に注意すると、
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である。特に、 であり、この数を用いて と表される。
これまでの計算を逆にたどって、 の値を具体的に書き下してみよう。すると、
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である。ここで、
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であるが、 であることと、 を解とする2次方程式に注目すると より が成り立つことがわかることに注意すると、
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である。また、 であったことから、
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であるが、計算すると
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であるから、まとめると
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である。先ほど を求めた計算により、
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であることがわかっている。また、同様の計算により、
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である。よって、
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である。以上をまとめると、
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である。
これまでに見てきた円分方程式の解は、かなり複雑な見た目になる場合はあるもののすべて四則演算と平方根・立方根の記号のみを用いて表されていたことが注目に値する。 の場合には立方根が現れるが、 については平方根のみで表されている。
詳細は他の記事に譲るが、長さ1の線分を所与としたときに、ある長さの線分を定規とコンパスにより作図できることは、四則演算と平方根のみでその長さを表すことができることと同値である。よってこれまでに計算してきた結果から、 については長さ の線分を作図でき、したがって については正 角形を作図できることがわかったことになる。特に、 の場合をのちに大数学者となるガウスが少年時代に発見したというエピソードは有名であり、彼が数学の道を志すきっかけになった発見だったともいわれている。