会社法第280条
条文
編集(新株予約権の行使)
- 第280条
- 新株予約権の行使は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
- その行使に係る新株予約権の内容及び数
- 新株予約権を行使する日
- 証券発行新株予約権を行使しようとするときは、当該証券発行新株予約権の新株予約権者は、当該証券発行新株予約権に係る新株予約権証券を株式会社に提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券が発行されていないときは、この限りでない。
- 証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提示しなければならない。この場合において、当該株式会社は、当該新株予約権付社債券に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅した旨を記載しなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合において、当該新株予約権の行使により当該証券発行新株予約権付社債についての社債が消滅するときは、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
- 第3項の規定にかかわらず、証券発行新株予約権付社債についての社債の償還後に当該証券発行新株予約権付社債に付された新株予約権を行使しようとする場合には、当該新株予約権の新株予約権者は、当該新株予約権を付した新株予約権付社債に係る新株予約権付社債券を株式会社に提出しなければならない。
- 株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。
解説
編集新株予約権の行使と「新株予約権証券」又は「証券発行新株予約権付社債券」との関係についての規定。
- 新株予約権の行使については、行使する新株予約権の内容及び数並びに行使する日を会社に明示しなけてばならない。
- 新株予約権が、証券化されている場合は証券を用いて1.の内容は示される。
- 新株予約権証券
- 会社に「提出(=引き渡し)」する。
- 証券発行新株予約権付社債券
- 通常は、会社に「提示」する。会社は、新株予約権の行使を受け、券面に新株予約権行使済み(消印)の記載を記載する。
- 以下の場合は、例外として会社に証券を「提出」する。
- 当該新株予約権の行使により当該証券の社債が消滅するとき(社債が充当される場合)。
- 社債が償還された後に行使する場合。
- 新株予約権証券
会社は、新株予約権を保有していたとしてもこれを行使し自己株式とすることはできない。
新株予約権の行使の撤回・取消し・無効
編集- 撤回
- 新株予約権の行使は、新株予約権者が会社に対して一方的に行う意思表示であり、「単独行為」に該当、単独行為は原則として撤回できないとされているため(形成権の行使。参考.民法第540条)、新株予約権の行使も撤回できないとするのが基本的な考え方である。
- ただし、会社の承諾がある場合のような特別な事情がある場合には、例外的に撤回が認められる可能性がある。
- 取消し・無効
- 錯誤・詐欺・強迫によって行使した場合は、新株予約権の行使を取消すことができる。また、無権代理等により行使された場合は、新株予約権の行使の無効を主張できる。
- 無効は当初から、取消しはできる行為は、取消しによって新株予約権の行使の時に遡って無効となり、行使者は新株予約権を回復し、新株予約権に係る払込みがあれば返還される。その一方で、交付された株式は会社に返還される(民法第121条の2)。返還された株式が、交付前から会社が保有していた自己株式であるか、新株予約権の行使に伴い発行された株式であるかに関わらず、会社は自己株式として保有することとなる。
- 新株予約権の行使が無効であるならば、株式が新たに発行された場合、この発行も無効である
関連条文
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