会社法第52条
条文
編集(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)
- 第52条
- 株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
- 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第28条第1号の財産を給付した者又は同条第2号の財産の譲渡人を除く。第2号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。
- 第1項に規定する場合には、第33条第10項第3号に規定する証明をした者(以下この項において「証明者」という。)は、第1項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
解説
編集関連条文
編集- 会社法第103条(発起人の責任等)
判例
編集商法第192条の判例
- 大審院判決大正5年10月25日民録22-1967
- 本条の趣旨は、少数の株式の引受けまたは払込みがなかったような場合には、一方で、設立を無効とすると設立手続きを反復せねばならず、また多数の株式引受人の予期にも反し、他方、引受けまたは払込みの不足分については発起人が責任を追えば会社資本の充実を害する恐れもないため、設立を無効とする必要は無いと認めた点にある。従って、株式全部についてその引受けまたは払込みがない場合やほとんどこれと同視すべき程度の引受けまたは払込しかない場合は、たとえ創立総会が終結しても設立は無効である。
- 大審院判決昭和8年9月12日民集12-2313
- 発起人の法定員数を欠くと言う設立無効事由があっても、設立無効の判決が確定しない限り、発起人は本条による責任を免れることはできない。
- 現行法では、当該事象は無効事由とならないが、無効事由の判決が確定しない限り資本充当責任を免れないという判例は維持される。
- 発起人の法定員数を欠くと言う設立無効事由があっても、設立無効の判決が確定しない限り、発起人は本条による責任を免れることはできない。
- 大審院判決昭和13年12月14日民集17-2371
- 現物出資の不履行の場合には、会社は発起人に対して、その不履行によって生じた損害の賠償を請求することができるが、本条による払込担保責任を求めることはできない。
- →現在は、本条により払込担保責任を負う。
- 現物出資の不履行の場合には、会社は発起人に対して、その不履行によって生じた損害の賠償を請求することができるが、本条による払込担保責任を求めることはできない。
- 売掛代金請求(最高裁判決昭和38年12月6日)
- いわゆる見せ金による株式払込の効力。
- 当初から真実の株式払込として会社資金を確保する意図なく、一時的借入金を以て単に払込の外形を整え、株式会社成立の手続後直ちに右払込金を払い戻してこれを借入先に返済した場合は、有効な株式払込がなされたものとはいえない。
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