公認会計士試験/平成30年論文式/経営学/第2問問題3

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問題 編集

 次の問1問3に答えなさい。なお,本問における債券は全て無リスクで額面が100 円,利回りとは複利最終利回りを意味しており,利付債の利払いは年1 回で現在利払いが行われた直後であるとする。計算問題については,数値が小数点第2 位で割り切れない場合には,計算途中での四捨五入はせず,最終数値の小数点第3 位を四捨五入して小数点第2位まで答えること。

問1 次の文章の①〜③に当てはまる数値を答えなさい。

 現在の1 年物,2 年物,3 年物の割引債の利回り(スポット・レート)は,それぞれ,2 %,3 %,4 %であるとする。このとき,投資家は,1 年後から2 年後までの1 年間の利回りは ① %,2 年後から3 年後までの1 年間の利回りは ② %と,将来金利が上昇すると考えている。

 また,スポット・レートが上記であるとき,クーポン・レート3 %,残存期間3 年の利付 債の現在の債券価格は ③ 円である。

問2 次の文章の④〜⑥に当てはまる数値を答えなさい。

 債券価格は,市場金利の変動による利回りの変化によって価格が変化する。そこで,利回りの変化による債券価格の変動リスクを計る指標として用いられるのが,各種のデュレーションである。

 その中でも,マコーレー・デュレーションは,債券投資の平均回収期間を表している。たとえば,クーポン・レート4 %,残存期間2 年の利付債の現在の利回りが3 %であるとき,その債券価格は101.91 円であり,そのマコーレー・デュレーションは ④ である。

 一方,利回りの変化に対する債券価格の変動率を表す指標が,修正デュレーションである。たとえば,利回りが4 %でマコーレー・デュレーションが2.86 である債券の修正デュレーションは ⑤ である。したがって,この債券の利回りが4 %から4.2 %へ瞬時に上昇したとすると,修正デュレーションを用いて債券価格の変化を近似計算すれば,債券価格は現在の価格から ⑥ %下落することになる。

 ただし,修正デュレーションを用いた債券価格の変化の近似計算は,利回りが大きく変化した場合,実際の債券価格の変化との間の誤差が大きくなるという問題がある。そこで,その補正として用いられるのが, ⑦ と呼ばれる指標である。

問3 問2の文章の⑦に当てはまる最も適切な記号を一つ選びなさい。

ア.イミュニゼーション
イ.債券格付け
ウ.デフォルトリスク
エ.コンベクシティ
オ.信用スプレッド

正解と解説 編集

問1① 編集

スポット・レートとフォワード・レートの関係式より,

(1+0.03)2 = (1+0.02)×(1+1r2)
1+1r2 = 4.01%

問1② 編集

スポット・レートとフォワード・レートの関係式より,

(1+0.04)3 = (1+0.03)2×(1+2r3)
1+2r3 = 6.03%

問1③ 編集

3÷(1+0.02)1 + 3÷(1+0.03)2 + 103÷(1+0.04)3 ≒ 97.34円

問2④ 編集

4円÷(1+0.03)1÷101.91円×1年 + 104円÷(1+0.03)2÷101.91円×2年 = 1.96年

問2⑤⑥ 編集

修正デュレーション
2.86÷(1+0.04) = 2.75
修正デュレーションによる債券価格変化率の算定
-2.75×(4.2%-4%) = -0.55%

問3⑦ 編集

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