制御と振動の数学/第一類/複素数値関数の Laplace 変換/複素数値関数の微分積分学/複素振幅の方法

もとに戻って,実係数微分方程式,

(4.7)

を考える. であるが, は複素数値関数で,

とする.そうすれば解も当然複素数値関数となるので,

とおくことにしよう.これらを式 (4.7) に代入して,両辺の実部と虚部を等置すると[1],二つの実形式の微分方程式,

を得る.この性質を利用すると,

(4.8)

特解を簡単に見出すことができる. ただし, とする.それには

[2]

に注目して,式 (4.8) の代わりに,

(4.9)

を解き,解の虚部を取り出せばよいのである.そこで解を,

と仮定して式 (4.9) に代入すると,

を得る.これを特性多項式を用いて表すと,

となる.いま と仮定すると,

となり,式 (4.9)の解は,

と求まる.この虚部を取り出すために,

と複素数の極形式で表すと,

となり,この式の虚部を取り出し,

と求まる.これが式 (4.8) の解である.この技法を複素振幅の方法と呼んでいる.

例86

の特解を上例にならって求めよ.

解答例

を実部に持つ複素指数関数は,


よって、解 とおく.これを与微分方程式に代入すると,


と極形式におくと,


この実部をとると,



  1. ^ 複素数の相等の定義は, である.
  2. ^