もとに戻って,実係数微分方程式,
(4.7)
を考える. であるが, は複素数値関数で,
とする.そうすれば解も当然複素数値関数となるので,
とおくことにしよう.これらを式 (4.7) に代入して,両辺の実部と虚部を等置すると[1],二つの実形式の微分方程式,
を得る.この性質を利用すると,
(4.8)
の特解を簡単に見出すことができる.
ただし, とする.それには
[2]
に注目して,式 (4.8) の代わりに,
(4.9)
を解き,解の虚部を取り出せばよいのである.そこで解を,
と仮定して式 (4.9) に代入すると,
を得る.これを特性多項式を用いて表すと,
となる.いま と仮定すると,
となり,式 (4.9)の解は,
と求まる.この虚部を取り出すために,
と複素数の極形式で表すと,
となり,この式の虚部を取り出し,
と求まる.これが式 (4.8) の解である.この技法を複素振幅の方法と呼んでいる.