制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/線形性と重ね合わせの原理

を微分可能な二つの関数とし, を定数とすると,

となることはよく知られている[1].さらに の定義から,

が従い[2],このことから

が導かれることは明らか[3]であろう.もちろん は 2 個に限る必要はない.

この事実を微分作用素 は線形性をもつとか,加法的であるという.この意味で,式(3.1) または式(3.2) の微分方程式を“線形”微分方程式と呼ぶのである.線形方程式の特徴は次の重ね合わせの原理が成立することである.

[重ね合わせの原理Ⅰ,同次式の場合]

が式(3.1) の解ならば,

も式(3.1) の解である.ここに は定数とする.

証明

の線形性から

となるからである[4][5]


例66

はいずれも,

の解である.したがって を定数とするとき, も上式の解となる.


この結果は非同次式に対しては,次のように拡張される.


[重ね合わせの原理Ⅱ,同次式の場合]

の解とすると,

定数

は,

の解となる.


証明は,同次の場合と同じであるから省略する.[6]

例67

 は の解, の解である.このとき,

は,

の解となる.


  1. ^ の関数, を定数として, および
  2. ^ 第2次導関数についていえば,
    また
  3. ^ 等から,
    等から,
  4. ^
  5. ^ が式(3.1) の解ならば,
    …①
    が式(3.1)の解かどうかは, 式(3.1)に実際に代入してみるとよく,すなわち, の値が ①のもとで であれば も 式(3.1) の解であり,実際にそうであった.
  6. ^ 証明:…①