制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/三角関数の Laplace 変換とその応用

(2.18)
 

を公式

 

を用いて Laplace 変換する.

 

とおくと,  であるから,式(2.18)

 
 

を得る.

また,

 

を Laplace 変換すると,

 

となる.


例35 

Laplace 変換の定義式から,直接三角関数の Laplace 変換を導け.

解答例

 

 

 

 

 

 

 

また   より

 


 


例36 

  を Laplace 変換することにより上の結果を導け.

解答例

  とすると,

 

 

 


以上をまとめて

 
(2.19)
 

を得る.

次に式 (2.19) から得られる興味ある結果を示そう. 右辺を   で展開する.

 [1]

この原像を求めると,

 

となる.これは   Taylor 展開である.


例37 

上の例にならって 構文解析失敗 (SVG(ブラウザのプラグインで MathML を有効にすることができます): サーバー「http://localhost:6011/ja.wikibooks.org/v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \cos\beta t} を Taylor 展開せよ.

解答例

  [2]
よってその原像は,
 

 

  1. ^ 初項: ,公比:  の無限等比級数.
  2. ^ 初項: ,公比:  の無限等比級数.


例38 

 

を解け.

与式を Laplace 変換 すると,

 

よって,

 

この原像は,

 

 


例39 

 

を解け.

与式を Laplace 変換すると,

 

これを    について解くと,

 [1]

となるから,この原像は

 

である.

 

  1. ^   とすると   の連立方程式
     
     
    を得る.したがって,
     


応用例

バネの振動

 

の周期を求めてみよう.今,

 

と変形しておいて Laplace 変換する.

 

これを   について解くと,

 

この原像を求めると,

 

ただし   とおいた.次に    を合成して

 

ここに,

 

と変形すると,周期   は,

 

であることが分かる.さて、バネに錘   をつけたときの伸びを   とすると, 力の釣り合いの式から,

 

を得るから,この伸び   を用いると,

 

となる.  を静たわみと呼ぶことがある. このバネ振子と振り子とを比べてみると面白い. この振り子の運動方程式,

 

は,  が小さいときは   であるから

 

となる.よってこの振り子の周期は,

 

である.さきの静たわみ   は,この振り子の長さ   に相当する.


例40 

次の微分方程式を解け.

 

解答例

  とおき,与方程式の Laplace 変換をとると,

 

 

この原像は,

 

 


例41 

次の微分方程式を解け.

 

解答例

  とおき,与方程式の Laplace 変換をとると,

 

 

  
この原像は,
 

 


第一移動定理

 

を式(2.19) に用いると,

 
(2.20)
 

を得る.

例42 

 

を解け.

  とおくと,

 

これを   について解く.

 [1]

この原像を求めると,

 [2]

 


例43 

 
 

を解け.

 

とおくと,

 

となる.これを   について解くと,

 

ところで

 

であるから

 [3]


 


例44 

 

解答例

 

とおくと,

 
 

とおいて,

 

すなわち

 
 
  

この原像は,

 

 

別解例

例43 で求めた解に   を代入する.

 

  を代入すると,

 
 [4]
  とおいて部分積分を実行すると,
 
 
  とおいて部分積分を実行すると,
 
 
 

前に戻って,

 
 

すなわち,

 
 
 
 
 

 


例45 

 

解答例

 

とおくと

 
 

過渡解   については,

 
 

この原像は,

 

定常解   については 例43 より

 
 

よって解   は,

 

 

  1. ^ これはまず二次式   を平方式   に展開し,分子は一次項   を含むように適当な定数を足し引きしたもの.
  2. ^  
     
     
  3. ^   
     
  4. ^ さらに加法定理を使いたくなるが,ここは我慢のしどころである….


  および  

の原像を求めよう.

(i)

 

であったから,

 
 [1]
 
 
 

(ii)

 

とおくと,今求めた   より   である.

 

にて   より

 

となるから、上の結果を用いて

 

を得る[2].以上をまとめると

 
(2.21)
 


この応用として,外力を伴う単振動を取り扱おう.

 

  では静止していたものとする.[3]いま,

 

とおくと,上式は,

(2.22)
 

となる.これを解けばよい.


(i)   の場合

式(2.22) を Laplace 変換すると,

 
 
 

この原像は

 

おもりの位置   に,微分方程式の形に由来する力学系の固有振動の項   の他, 外力による振動の項   が現れていることに注目する.この二つの振動数が近づくほど   の分母の影響により,  が大きくなることがわかる. 力学系の固有振動数   と外力の振動数   が同一となると、ついにはこの力学系にて問題を引き起こすのである.


(ii)  の場合

同じく,式(2.22) を Laplace 変換すると,

 

この原像は,

 

第二項に注目する.この項には   があるため,

  のとき  

となり,建造物の場合などでは破壊が起こる.いわゆる共振現象と呼ばれているものがこれである.


例46 

 

を解け.


解答例

 

とおくと

 
 

この原像は,

 
 

 


(2.21)第一移動定理 を用いると,

 
(2.23)
 

を得る.

例47 

 

を解け.

解答例

 

とおくと

 
 
 

この原像は,

 
 
 

 

  1. ^ 加法定理より
     …①
     …②
    ② - ① より  
    すなわち   (積和の公式)
    これを適用する.
  2. ^ または,  とし,これを求める.
     
    加法定理より
     …①
     …②
    ① - ② より  
    すなわち   (積和の公式)
    これを適用すると,
     
     
     
     
  3. ^ 水平面上,質量   のおもりと自由長  ,バネ定数   のバネを結合した系を   軸上に置き、このときのおもりの位置を  , バネのおもりとは反対側の一端(静止した状態では  ) の位置に新しい座標系   を置いて   の大きさおよび正の向きは   と同一とし,このバネの一端の座標軸   に対する向きを含めた変位を   とする.今   および   が任意の値をとるとき,バネの自由長からの伸びは符号を含めて  .おもりに対する運動方程式を立てると,
     
    すなわち,
     
    いま,  を強制的に変位させ,それが   ならば,
     
    これは   とおけば,おもり   に遠隔力としての外力   を与えたことと同じである.