制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/指数関数の Laplace 変換とその応用

§1編集

前節で導いた公式

 

において,  とおくと,  であるから,

 

となる.

 

よって公式,

(2.12)
 

を得る. ここで上式の右辺を   で展開してみると,

 [1]

すなわち,

 

となるが,この原像は,式(2.8)より,

 

である.これは  Taylor 展開にほかならない.

§2編集

次に公式(2.12) の応用として 14C による年代測定を説明しよう. 試料に含まれている 14C の濃度を   とすると,

  は壊変定数

なる微分方程式を満たす.すなわち炭素の放射性同位元素 14C の壊変の速さは,その時の濃度に比例する.この式を Laplace 変換すると

 
 

この原像は、

 

である.これより経過年数は,

 

と求まる.  となる時間を半減期といい   で表す.14C の場合は,

  

である.半減期が分かれば、壊変定数が分かる.[2] したがって,初期濃度   が分かれば現在の濃度   を測定することによって経過年数が分かる.これが 14C による年代測定の原理である.

例22 

  の決定が大問題である.  としては,1950年代の大気中の 14C の濃度をとる.これは奇怪である.理由を調べてみよ.

解答例

不明.

 


例23 

(2.13)
 

ここに

 

を解け.ただし   は定数である.

Laplace 変換すると

 

これを   について解き,

 

さらに右辺を部分分数分解すると,

 [3]

この原像を求めると,

 

を得る.

この例は,時刻   にスイッチを入れて部屋を暖房したときの温度変化を表す.   は暖房前の室温(外界の温度に等しいと仮定している)からの偏位を表す. 定常状態の温度は,

 

であって,これは供給熱量と外界に逃げる熱量とが平衡を保つ状態での温度を示す. これは平衡状態の式,すなわち式(2.13)  とおいた式,

 

の解と一致している.

 

§3編集

例24 

(2.14)
 

を解け.

Laplace 変換すると,

 
 

ところで,

 

となることを想い起こすと,原像は,

(2.15)
 

となる.

 

(2.15)定数変化の公式と呼ばれている重要な公式である. その名前の由来は次のとおりである. 同次式,

 

の解は,

 

であった.定数   を変数   に置き換えて、非同次の式(2.14) の解を探す.すなわち,

(2.16)
 

を式(2.14)に代入すると,

 
 

となる.これを   から   まで積分し,

 

この結果を式(2.16)に代入すると,

 
 

となり求める結果を得る.

 


この公式は重要であるから,誘導法とともに覚えておくことが望ましい.


例25  次の微分方程式を解け.解を直接微分方程式に代入して成否を確かめよ.

 

解答例

 
 
 
このとき
 
 
 
よって解   は与方程式の解のひとつ.

 


例26  次の微分方程式を解け.解を直接微分方程式に代入して成否を確かめよ.

 

解答例

 
 
 
このとき
 
 
 
 
 
よって解   は与方程式の解のひとつ.

 


例27  次の微分方程式を解け.解を直接微分方程式に代入して成否を確かめよ.

 

解答例

 [4]
 
 
このとき
 
 
 
 
 
よって解   は与方程式の解のひとつ.

 


例28  次の微分方程式を解け.解を直接微分方程式に代入して成否を確かめよ.

 

解答例

 


過渡解を   とすると,  については
 
 
この原像は
 
 
 

定常解を   とすると,  については
 
 
この原像は
 
 

よって解は
 


続いて検算を実施する.積分範囲の上端が変数である定積分の微分について復習すると,
 ただし,  の被積分形   の中にすでに変数   が入っていてはいけない.[5]


定常解   については
 
 
 
 
 
 
 
よって
 
 


過渡解   については
 
 
 
よって
 
 
 
 
よって   は与方程式の解のひとつ.

 

§4編集

補題

(2.17a)
 


証明

合成積の定義より

左辺 
 
 右辺

を得る.

 

この補題(2.17a)を適用すれば,

 

を得る.ところで,

 

よって次の公式を得る.

(2.17b)
 

この公式を前の結果

(2.8)
 

と比較すると,  領域で   を掛けることと,  領域で   だけ移動することとが対応している. このことは,もっと一般的に成立する事実である.

第一移動定理

 

証明

(2.17c)
 [6]

 

この定理から,直ちに,

 

が導かれるのである.

例29 

 

を解け.

解答例

与式を Laplace 変換すると,

 

これを   について解くと,

 [7]

となるから,この原像は,

 

である.

 


例30 

 

を解け.

 

とおくと,

 
 

それゆえ,

 

を得る.

 


例31 

次の微分方程式を解け.

 

解等例

 

 

 

 


例32 

次の微分方程式を解け.

 

解答例

 

 

 

 


例33 

次の微分方程式を解け.

 

解答例

 

 

 

 


例34 

次の微分方程式を解け.

 

解答例

 

 

 

 

  1. ^ 初項  ,公比   の無限等比級数.
  2. ^  
  3. ^   とおいて
     
     
  4. ^   である.  と、うかつにもそうしがちだが、そうではない.
  5. ^ この定理および但し書きの意味を実際に確かめておく.   のとき,  を求める.
    1.実際に   の形を求めてから   で微分する.
     …①

    2.被積分部分の   依存部分を外に出してから   の形を求める.
     …②
    ②を実際に計算する.
     
    これは①と一致する.

    3. ②から「積分範囲の上端が変数である定積分の微分」を適用して   を求める.
     
     
     
     …③
    ここで③と①は一致し、本定理の意味を確認できた.但し書きについては,
      を求めるのに
      とすると①③に一致しない.
  6. ^ ここではすべての定理を,可能な限り合成積およびLaplace 変換の基本的性質から導出するように努めており,  の原像も合成積から導出しているが,第一移動定理については,Laplace 変換の定義から直接導出している.
  7. ^   と置いて,