制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換/Laplace 変換の定義とその基本的性質/合成積の Laplace 変換

(2.3)

合成積といい,

または

と略記する[1]. 次の性質は重要である.

(2.4)

証明

定義により,

右辺の積分の範囲は であるから,図に示した三角形領域である.

積分順序を交換すると,

となる.ここで と変形し, によって、積分変数を から に変えると,

[2]


別証

上の積分順序の変更は,図のような説明によらなくても,形式的に次のように考えてもよい. に注意すると

と積分の上限を にとることができる[3]. このようにしておいてから積分順序を交換すると,

となる.ここで再び を想起すると,内側の積分の下限は でよく[4]

を得る.[5]


例18 上の(最初の)証明から分かるように,積分順序の交換式は は必要でない.別証のアイディアは、この仮定をはずしてもいかすことができる. どう考えたらよいか.


解答例

定積分の上限を とする. にて, であることを示す.

定義域 の領域で重積分することを考えれば

(2.4a)

(2.4a)の左辺と を加えたものは,

また,式(2.4a)の右辺と を加えたものは,

今,積分順序の交換が可能である仮定のもとで, より,

よって,式(2.4a)より,,すなわち,

で両辺とも極限値を持てば,同じくこの等式は成立する.


例19

(i)

(ii)

(iii)

(iv)

を示せ.


解答例

(i)


にて, とおいて積分変数を から に換えるとき,,また と変化するとき と変化するから,



(ii)





(iii) これはとても難しい…いつか分かる日が来るのだろうか?

(iv)




  1. ^ この積分形に近い型としては,いわゆる「複数桁×複数桁の筆算」.積の一つの桁に着目すると 形の総和をとる.
  2. ^ の両辺を で微分すると .よって すなわち にて積分変数を から に変更できる.また積分範囲は から に動くとき から に動く.
  3. ^ なぜならば,内側の積分変数 による積分で, ならば よって

  4. ^ 積分変数 の範囲のとき
  5. ^ この続きは上記のとおり と変形し, として積分変数を から に変える.