を実変数の実数値関数、 を実数とするとき,
(2.1)
で定義される の関数 を の Laplace 変換といい,
または
と表す.このとき を Laplace 変換の像, をその原像と呼ぶ.
一般には は実変数の複素数値関数でもよく, も複素数とするが,当分,上のように実数の範囲で考えておく.
さて無限積分 式 (2.1) の意味は,もちろん
であり,各 に対して右辺の極限が存在すれば,それは の関数を定義するので,それを とするのである.
もっとも,ここで, は任意の有限区間で積分できるとしている.我々の目的は微分方程式や差分方程式を解くことにあるのだから,
多くの場合 は微分可能な関数で,せいぜい区分的に連続な関数である.そのときは,この条件を満たしている.
例16
- の Laplace 変換を求めよ.
よって, ならば,
となるから,結局,
または
となる.
例17
を示せ.
解答例
Laplace 積分[1]の定義から分かる通り, の の部分での値は積分には影響しない.
それゆえ,Heaviside の関数:
に対しても,
でる.したがって の部分も考えると, と とは 1 対 1 に対応しないことになる.
の部分が関係してくる場合,たとえば の Laplace 変換を考えるときなどは,
と約束しておく.こうすると実質的に と は 1 対 1 に対応する.
“実質的に”というのは,不連続点などの例外点を除いて、という意味である.
この約束は当分必要でないが,差分方程式を取り扱うときなどに重要となる.
- ^ Laplace 変換の定義式 (2.1) の右辺を Laplace 積分という.