小学校社会/6学年/歴史編/はじめに

年代・時代の表し方

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歴史学習では、「過去」の「できごと」をあつかいます。「過去」である「いつ」を表現するのにはいくつかの方法があります。

  1. 「〜年前」という表現
    わかりやすい表現ですが、年が変わると毎年言い方が変わるので、「いつ」起きたのかがはっきりしているできごとをあらわすには適当ではありません。「いつ」起きたのかがはっきりしない大昔のできごと(例、2万年前、5000年前)をあらわすのにもちいます。
  2. 年代による表現
    ある基準となる年[1]をきめて、その年から前後何年たったかということによって、「いつ」をあらわす方法です。みなさんの学習には、西暦(せいれき)が使われます。
    西暦は、キリスト教を始めたイエス・キリストが生まれたとされる年を西暦1年として年を表す表し方です[2]。現在は西暦2024年です。
    世紀
    西暦を100年ごとにまとめたものを世紀(せいき)と言います。これは、長い時間の(はば)をもったできごとが、おおよそ「いつ」ごろに起きたのかをしめす時にもちいます。西暦1年から西暦100年までが1世紀です。西暦101年から西暦200年までが2世紀です。西暦2001年から西暦2100年までを21世紀といいます。たとえば、105年は2世紀、1853年は19世紀にふくまれます。
    (参考)紀元前
    西暦1年より前の年をあらわす場合、西暦1年から何年前かという意味で「紀元前(きげんぜん)○年」という言い方をします。西暦1年の前の年は紀元前1年です。
    西暦1年より後について、「×紀元◯年」「×紀元後◯年」という言い方はしません。
    これから学習する日本の歴史では「紀元前○年」というのはあつかいませんから、あくまでも参考としてください。ただし、世紀については、「紀元前○世紀」という言い方をすることがありますから、それを見つけた時は、西暦1年から100年ごとに昔になっているんだなと理解してください[3]
  3. 時代
     
    時代の流れ
    歴史学習では、できごとの背景となる環境が共通している時期を、「時代」としてまとめています。時代のまとめ方は、代表的な文化であったり、政治の拠点であったりさまざまです。小学生のみなさんは、今すぐおぼえる必要はありませんが、歴史の学習を進めるにつれ、以下の時代をおぼえることになります。
    1. 縄文(じょうもん)時代
    2. 弥生(やよい)時代
    3. 古墳(こふん)時代
    4. 飛鳥(あすか)時代
    5. 奈良(なら)時代
    6. 平安(へいあん)時代
    7. 鎌倉(かまくら)時代
    8. 室町(むろまち)時代
      • さらに、以下の時代がわけられることがあります。
        南北朝(なんぼくちょう)時代 - 1392年まで
        戦国(せんごく)時代 - 1467年以降
    9. 安土桃山(あづちももやま)時代
    10. 江戸(えど)時代
    11. 明治(めいじ)時代
    12. 大正(たいしょう)時代
    13. 昭和(しょうわ)時代
    ※現代 - 平成や令和は、最近のことなので歴史の時代としてはとりあつかいません。
    (参考)元号
    今は、『令和』です、その前は『平成』でした。このように、日本では特定の年代に呼び名をつける慣習があり、この呼び名を『元号』といいます[4]。日本では646年(大化元年)からずっと元号があって、現在でも、日本国政府などがあつかう公的なものでは、西暦を使わず、または、西暦に優先してこれを使うことになっています。歴史の学習においても「明治」「大正」「昭和」といった時代は元号に合わせて区分しています。しかし、一般的には、覚えにくいなどの理由[5]で、歴史の学習には元号は使いません。

年代・時代の学習上の注意

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これから、みなさんが歴史を学習するのに、「年代や時代を暗記しなければならないの?」と不安になるかもしれません。
答えるのが、ちょっとむずかしい問題です。
まず、ある「できごと」が起こったり、ある人物が活躍(かつやく)した「時代」は、どの時代かというのは、その「できごと」や人物と一緒におぼえなければならないでしょう。なぜならば、その「できごと」は「時代」がひきおこしたり、その「できごと」が「時代」を変えるからです。
では、年代はどうでしょう。おそらく、小学生のみなさんが理解しなければいけない「できごと」は、100個程度ではないかとおもいます。それを、全ておぼえなければならないかといえば、おそらく、小学校の間は必要ないでしょう。ですから、おぼえられないからといって心配しないでください。
ただ、歴史では、どちらが先に起こったかという前後関係は、とても大切です。だから、教科書には、「できごと」に年代をつけて前後関係[6]がわかるようにしています。年代は暗記する必要はありませんが、前後関係は「理解」するようにしましょう[7]
年代を100年ごとにまとめた「世紀」については、「時代」と似ている部分があり、こちらは、「時代」と一緒におぼえることをすすめます。
年代をおぼえる必要はありませんが、「できごと」を年代ごとにならべた「年表」を参考に(または、自分で作りながら)、歴史の学習をすることは、理解を深めるのに大変効果的です。

脚注

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以下は学習の参考ですので覚える必要はありません。

  1. ^ これを、「紀元(きげん)」といいます。
  2. ^ 世界中が、キリスト教の信者ではないので、イスラム教の国にはイスラム暦、タイなど仏教国には仏暦(ぶつれき)というものがあり、その国内では使われていますが、国際的な交流には不便なので、キリスト教信者の少ない国でも多くは「共通暦」という言い方で、西暦を使っています。
  3. ^ 紀元前1世紀は、紀元前100年から紀元前1年まで/紀元前2世紀は、紀元前200年から紀元前101年まで/紀元前3世紀は、紀元前300年から紀元前201年までです。
  4. ^ 元号は、もともと中国で使っていたもので、中国の影響を受けた周辺各国で使っていました。現在、元号の習慣があるのは日本だけになりました。
  5. ^ ①日本の元号は、全部で248個ある。②元号は年の途中で変わる、③同時に2個の元号があった時期がある。
  6. ^ 複数の「できごと」に、原因と結果の関係がある場合、「因果(いんが)関係」といって、歴史の学習の重要なポイントになります。
  7. ^ 中学受験とかには、年代を暗記する必要がある場合があるかもしれません。このときは、指導する塾などの先生の指導をよく聞いて、「どの『できごと』が大事か」という順番をつけて、重要なものからおぼえるようにしましょう。ただし、そのような場合でも、基本は前後関係・因果関係です。

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