日本国憲法
まえがき
本書は日本の成文憲法に関する解説である。日本国憲法の概要については日本国憲法(Wikipedia)を、条文については日本國憲法(Wikisource)を参照のこと。各条項の解説については、人権、統治などを参照のこと。
概論
日本の憲法典は以下の特色を持つものである。
- 三大原則
- 前文で、国民主権·平和主義·基本的人権の尊重を三大原則と定めている。
- 天皇象徴性
- 天皇が専制権力を振るったのは中世におけるわずか2年(建武の新政)と古代を除いてほとんどないといえるが、大日本帝国憲法においては権威と権力の双方を合わせ持つ建て前にあったことから濫用を招いた。現行憲法においては、天皇は国家統一をあらわす象徴であることが確認されると共に、政治的権力との厳格な分離がはかられた。
- 戦争放棄
- 世界大戦を起こしたことを重大な過ちと考えており、日本国憲法第9条1項で戦争の放棄を、2項では軍備と交戦権の放棄をうたっている。ただし、これについては解釈が分かれ、政府見解では自衛のために必要な最小限度の実力まで放棄したものではないと解されている。
- 日本国憲法第9条第1項
- 日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。
- 日本国憲法第9条第2項
- 前項の目的を達するため陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない国の交戦権はこれを認めない。
- 思想・宗教・表現・学問の自由
- いずれも戦前は規制されていたことだが、民主主義に不可欠の要素として現行憲法では認められ、精神的自由権として厚く保証されている。
- 男女平等の精神
- 大日本帝国憲法では、女子生徒(児童)への教育は制限されていたが、現行憲法では一切の制限が除かれた。
- 人権尊重
- 正当な理由のない、民族・信仰・社会的立場などにおける差別を禁じた。
- 二院制
- 大日本帝国憲法下の帝国議会では「貴族院」と「衆議院」とし、貴族院の議員は天皇から選ばれたものが就いていた。
- 現行憲法ではこれを修正、「衆議院」と「参議院」とし、両院とも国民投票により議員を選出することとした。
- 特別裁判所の廃止
- 戦時中、軍事法廷などの特別裁判所が設けられていたが、これらは三権分立によっておらず、権力の濫用を招き、個人の自由を侵していたと批判される。そこで、現行憲法では、裁判官弾劾裁判所、国会議員の資格訴訟における裁判をのぞき特別裁判所は廃止された。
人権論
詳細は「人権 (日本国憲法)」を参照
統治機構論
詳細は「統治_(日本国憲法)」を参照
平和主義
詳細は「交戦権と平和主義」を参照
憲法訴訟
詳細は「憲法訴訟」を参照