日本語は3種類の書記体系を用います。音節文字には「ひらがな」と「カタカナ」の2種類あり、基本的な(音節)のそれぞれに対して文字があります。音節文字の他に、中国の文字をもとにした書記体系である漢字(かんじ)もあります。しかし、漢字は受容後に変化しており、中国語のそれとは異なります。

漢字 編集

 
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漢字(かんじ)表語文字(字形が語を表す)、すなわち象徴であり、おのおのが形態素を表します。各漢字は一般的に、中国語から借用された形態素だけでなく、日本語古来の形態素も表します。これが意味するところは、各漢字は一般的に2以上の発音があります。漢字の発音は「読み」と呼ばれます。初めのうちは非常に難しいかもしれませんが、広範的な練習を重ねるうちに、どのように読むべきか後天的に身に着けることができます。

漢字には普通2種類以上の読みがあります:

  • 音読み(おんよみ)
  • 訓読み(くんよみ)

音読みは古代中国語での読み方に近いです。この読み方はほとんどの場合熟語で使われます(ただし名字には訓読みが使われます)。日本由来で音読みのない漢字もあります。訓読みは、その漢字の意味を持つ日本語の読み方です。訓読みが複数ある場合も1つもない場合もあります。

漢字は5万字以上ありますが、日本政府は2,136字を常用漢字(じょうようかんじ)として定めています。常用漢字は「法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すもの」ですが、一般に成人はおよそ3,000字を理解できるといわれています。

かな 編集

 
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漢字からひらがなへの変化。上段が由来となった漢字、中段が草書体、下段がこんにちの「ひらがな」です。
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漢字は、同音異義語が多い日本語を書くときに便利ですが、日本語には活用があるため、表音文字で活用を示す必要があります。万葉仮名と呼ばれる漢字集合が発音を表したり、漢字では表せない語を書いたりするために用いられました。西暦800年ごろにこれらが、草書的なひらがなに発展しました。

この方法は主に、詩文で使われたり女性に使われたりしましたが、歴史的記録文書や学術的作品で使ってもよい方法としては認められませんでした。

もう1つの文字「カタカナ」も漢字から発達しました。ひらがなと同じ漢字から生まれた字も、別の漢字から生まれた字もあります。そのため、ひらがなに似ているカタカナも、全く似ていないカタカナもあります。カタカナは主に、外来語に使います。

2つをまとめて仮名(かな)(仮の文字の意)と言います。どちらも音節文字なので、子音と母音をセットで表しますが、「ん」(ン)だけは鼻音の拍を表します。どちらの仮名文字にも45字あり、概して「五十音(ごじゅうおん)()」と呼ばれる表に並べられます。ただし、yi, ye, wi, wu, weという音は現代日本語には存在しないので、実際のところは45音しかありません。「ん」は拍を構成しないのでカウントされていません。

日本語/非母語話者むけ/五十音図もご参照ください。

句読法 編集

日本語/非母語話者むけ/語彙/句読法もご参照ください。

2文をつなげるときは読点(、)、文末には句点(。)を使います。また、単語の区切り(たいていはカタカナで書く外来語)には中点(・)を用います。引用句にはかぎ括弧(「と」)が使われます。

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  • キャント・バイ・ミー・ラヴ (Can't buy me love)

ローマ字 編集

ローマ字(ラテンアルファベット)は日本語のものではありませんが、単語を書く際のファッショナブルな方法であり、ほとんどは企業や事業、スポーツチームなどの名詞を書くときに使われます。ローマ字はまた、翻字をするときやコンピューターに入力するときなどにも使われます。ローマ字化には2通りの方法があります:訓令式ローマ字は日本政府が20世紀半ばに発達し、小学校で教えられています。もう一方は、ジェームス・カーティス・ヘボン (James Curtis Hepburn) が19世紀に考案したヘボン式で、より幅広く用いられています。

書き順 編集

日本語の文字はもともと筆で書いており、その後はペンや鉛筆で書かれるようになりました。そのため筆順が大切です。手書きのとき、特に続け書きするときや書道をするときは、適切な筆順がきわめて重要です。さらに、見た目が似ているのに書き方が違う字もあります。書き方も勉強している人には簡単に区別できても、読み方しか勉強していない人には難しいかもしれません。

書道というWikibookも参考になるでしょう。

別の字を用いた表記 編集

漢字で書くのが一般的な箇所をカタカナで書いたり、ひらがなで書くのが一般的な箇所を漢字で書いたりするなど、一般的な書き方とは異なる文字を使って書く場合もあります。漢字で書ける語をひらがなで書くことが多いです。単にめったに使われないだけだが、読み方はよく知られているという漢字もあります。「燕」は複雑でうろ覚えであることが多いので、ひらがなで「つばめ」と書くことが一般的です。

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漢字の上にある振りがな

ある特定の漢字の読み方を読み手が知らないと考えられる場合(子供向け書籍、常用漢字ではない字など)は、その読み方を漢字ごとに、縦書きの場合は右がわに、横書きの場合は左がわにつけることが多いです。この書き方は「()仮名(がな)」または「()仮名(がな)」と呼ばれています。

漢字には複数の読み方があるため、読み方を簡単には断定できないかもしれません。この問題は特に、名前を読むときに起こります。なぜなら、名前の読み方は非常に不規則または古風である場合があるからです。

カタカナは主に外来語に使われますが、スタイリッシュさを目的に使うこともできます。ある特定の語を強調したり、異なった印象(例:今風な印象)を与えたりします。さらに、名前の読み仮名を書くときにカタカナを使うこともあります。漢字ではなくひらがなで書く名前があるので、読み仮名が名前ではなく単なる読み方であることを強調するために使います。

当て字 編集

英語のclubは外来語なので、片仮名で「クラブ」と書くのが一般的です。しかし、漢字で「倶楽部」と書くことも時々あります。このように漢字を発音記号のように使うことを「()()」といいます。また、特に昔の文章では助詞も漢字で書かれていることがあります。たとえば、「東京まで行く」が「東京迄行く」と書かれました。

数字 編集

算用(さんよう)数字(すうじ)、またはアラビア数字とよばれる数字がほとんどの状況で使われます(例:電話番号、値段、郵便番号、最高速度標識、パーセント表記)。漢数字もいまだに見かけますが、より伝統的な場面が多いです(例:料亭の品書き、格式のある招待状、墓石)。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
零 or 〇

縦書きと横書き、本のページ構成 編集

伝統的に日本語は縦書(たてが)きです。この形式では、文字は上から下に進み、行は右から左に進んでいたので、各行の下の文字の次はすぐ左の行の一番上となります。これは中国の書字方向に由来します。

現代語では横書(よこが)きも使います。この書式は英語などの欧米の言語と同じく、文字は左から右に、行は上から下に進みます。

いつ縦書きまたは横書きを使うべきか、規則は決められていませんが、媒体やジャンル、テーマによって変わる傾向があります。縦書きは、随筆や小説、詩歌、新聞、漫画、国語辞典などに使われるのが一般的です。横書きは、電子メールやハウツー本、科学的・数学的文章(数式も英語同様、左から右に書きます)で一般的です。

縦書きの本は右側で綴じられており、右から左に読むので、ページは左から右に繰ります。横書きの本は左側を閉じられているので、ページの繰り方は右から左です。

参考文献 編集

  • 送り仮名:動詞などの活用において、語尾に用いる。歴史的にはカタカナが使われていたが、こんにちではひらがなが使われている。
  • 万葉仮名:日本語、とくに和歌において発音記号として漢字が使われていた。
    • 仮名:万葉仮名が単純化されてひらがな・カタカナとなった。
      • カタカナ:漢字の構成要素を簡略化して作られた角ばった文字。僧院生が考案したといわれる。歴史的には教育の場や公文書で送り仮名として使われていたが、こんにちでは外来語に使われる。
      • ひらがな:丸みを帯びた文字。歴史的には非公式の場や文学で用いられた。高等教育で否定されていたことから、女性の間で人気となった。したがって、女手(おんなで)とも呼ばれる。こんにちでは、カタ化の代わりとして、送り仮名や和語に用いられる。
      • 変体仮名:標準的な文字として認められないかな文字が、現在も使われている。
    • いろは歌:この有名な詩では、各拍(音節)がちょうど1回ずつ用いられている。かつては、仮名文字の順序として使われていた。明治時代に現在の配列に変わった(ンは当時音節として認められず、のちに追加された。興味深いことに、実を言うと「む」の変体仮名である)
  • ローマ字:ラテンアルファベット(アラビア数字も含む)3とおりの書き方がある(ヘボン式、訓令式、日本式)。